VIRGIN HARLEY |  オイル添加剤についてパパコーポレーション佐藤のオイルコラム

オイル添加剤について

  • 掲載日/ 2008年12月28日【パパコーポレーション佐藤のオイルコラム】
  • 執筆/佐藤 博之 取材協力/パパコーポレーション

いいモノも悪いモノも玉石混合の状態にある
オイル添加剤についてご紹介します

こんにちは、パパコーポレーションの佐藤です。今回でこのオイルコラムも最終回になります。これまでのコラムをご覧になっていただいた方は、オイルついての知識や重要性はご理解いただけたことでしょう。そこで最終回は、オイルに後から添加する“オイル添加剤”についてお話いたします。当社はエンジンオイルだけではなく、オイル添加剤も取り扱っています。そのため、お客様から「オイル添加剤の効果って?」とお問い合わせをいただくことが珍しくありません。オイル添加剤には国産品から輸入品、性能の高いものから効果に疑問があるものまで、玉石混合と言っていい状態にあります。いい製品もそうでない製品も一括りに話されることが多いオイル添加剤について最後にご紹介いたしますので、ぜひお付き合いください。

体感効果がある、それだけで
添加剤の性能は判断できません

オイルコラムの画像

オイル添加剤とは何なのか。これをご理解いただくため、ひとまず第2回の「オイルの成分」をもう一度読み返してみてください。オイルは原油から抽出した成分以外に、エンジン内部を綺麗にしたり、高温や低温時でも粘度を維持させたりと、目的によって複数の添加剤が含まれていることを第2回目のコラムでご紹介しました。後から注入するオイル添加剤も基本的にはオイルに含まれている添加剤とその目的は同じなのです。当社のスーパーゾイルでご説明しますと、金属表面についた傷をトリートメントすることを第一に、オイルの劣化を防ぐ耐酸化作用や、エンジン内部の部品同士フリクション(摩擦)を抑えるなどを目的にした添加剤を配合しています。すでに使用しているオイル性能をさらに高めて、距離を走って傷んだエンジンを新車の頃の調子に戻し、新車の場合はいつまでもその状態を維持することを目的としています。

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しかし、オイル添加剤の中にはエンジンに優しいのか、疑問があるものもあります。使用するユーザーにとってみると「エンジン回転がスムーズになった」、「始動性、燃費が良くなった」と思っても、単にオイル粘度を下げるモノを添加してやれば体感的には同じ効果があります。各バイクが指定するオイル粘度と比較して粘度が下がりすぎると、部品同士の潤滑機能が低下し、油膜が切れるリスクが高まってしまいます。オイルが担う、複数の役割のバランスを取りながら性能を高めるには「どの添加剤をどの順番でブレンドするのか」など各メーカーが持つノウハウが重要になってきます。また、温度管理や衛生面で不安がある環境で添加剤をブレンドしてしまうと、製造段階で不純物が混入するリスクもあるでしょう。当社はそういったリスクを抑えるため、高い技術を持つ国内の大手石油精製施設に製造を委託しています。

性能だけではなく環境性能にも注目
地球に優しいオイル添加剤もあります

オイルコラムの画像

現在市場に出回っている海外製品の中には、日本では使用が禁じられている成分を含むものもあります。国内では製造の際に使用が禁止されている成分でも、海外で製造を行う製品の場合はその規制が制限されていない実情があるのです。長期的に見ると、オイルラインが詰まるリスクがある成分や、燃焼するとダイオキシンや環境ホルモンを排出し、焼却炉を傷めたり、環境や人体に影響が与えたりする成分を含む製品もまだ市販されています。「4サイクルエンジンでオイルが燃焼することなどない」と思うかもしれませんが、オイル添加剤はかなり距離を走った旧車などで使用されることが珍しくありません。そういう車両の場合、オイル上がりやオイル下がりなどのトラブル時にオイルが燃焼室に進入することもあります。また、たとえ調子がいい車両であっても、オイルが燃焼室にまったく入らないわけではないのです。

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なお、海外で実績のある添加剤だとしても、国内で期待通りの機能を果たすとは限りません。欧米と日本では気候や道路事情が違っており、そのため日本では海外と同じような効果が得られないものもあるのです。実際、オイルによっては日本向け製品の成分構成比を海外で市販されている同じ製品と変更しているメーカーもあり、正規品と並行輸入品で体感性能が違うようなことが起こっています。添加剤についてもこれは同様で、日本の道路事情に合った製品を選ぶべきでしょう。オイルやオイル添加剤については、法整備の問題もあり、まだ玉石混合といった状況ですが、国内のこういった問題を解決するために「潤滑油協会」という団体が活動を続けています。潤滑油性能や、環境問題、省エネルギー問題に関する調査研究などを行う団体です。私どももこちらに加盟していますが、こういった業界団体で製品検査を行っているかどうかも信頼のおけるオイル添加剤の目安になるでしょう。オイル添加剤は決して魔法のアイテムではありません。本来は、確かな調査研究に基づき添加剤がブレンドされ、求められた役割を果たす製品です。また、求められる性能を充分に発揮することは当然ですが、オイル添加剤に排気ガスを汚さない環境性能や、廃油として焼却される際に有毒ガスを発生させないなど、性能以外の部分で環境に優しいことも求められはじめています。添加剤選びの際にはそういった点にもぜひ注意を払ってください。性能と環境に優しいことは両立できる、私どもはそう考えて製品開発を行っています。

プロフィール
佐藤 博之

パパコーポレーション代表。クルマ・バイク好きが高じて、自らエンジンオイルに対する疑問を解決した金属表面改質剤「スーパー・ゾイル」を生み出す。エンジンを長持ちさせ、環境にも優しい性能を持つSUPER ZOILは、佐藤氏のオイルに対する深い造詣の賜物。

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