VIRGIN HARLEY | 第1回 開発端緒 フルチューンCVキャブレター開発秘話

第1回 開発端緒

  • 掲載日/2005年07月02日【フルチューンCVキャブレター開発秘話】
  • 執筆/保浦 清己
フルチューンCVキャブレター開発秘話の画像

試行錯誤の末、辿り着いた「Full Tune CV」構想

今回、ご紹介させていただく「Full Tune CV」キャブレター。レーシングキャブレターに乗り換えた多くのハーレー乗りをうならせる、純正CVキャブレターをベースに45degree独自の技術でチューンされたキャブレターだ。今「Full Tune CV」がなぜこれほど注目されるのか、その秘密を解き明かすため45degree代表 保浦氏に登場していただき、その全貌を語っていただいた。

はじめに

Virgin Harleyさんより「Full Tune CV」についてお話する機会を頂き、筆を取らせていただきました。さて、「Full Tune CV」の開発にあたり、多くの困難がありました。最初は何の役にも立たない、と思い込んでいた「CVキャブレター」に注目したのはいつだったのでしょう。開発を始めてからは、チューンに苦しむ毎日でしたが、そうやってやっと今の「Full Tune CV」は生まれました。この記事では「『Full Tune CV』とはどういったコンセプトで開発されたモノなのか」について余すところなく、書かせて頂こうと思います。お付き合いの程、よろしくお願いいたします。

ここ数年、ハーレー乗りの皆さんの間で「CVキャブレター」が見直されつつあり、私ども「45degree」の名前を聞くと「Full Tune CVのお店」というイメージを持つ方が多くいらっしゃるようです。「頑固にCVキャブレターにこだわり続けるお店」と思われている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、私どもは今でも「S&S」や「HSR」、「FCR」の取り付け・セッティングを行っており、他のレーシングキャブレターを否定しているわけではありません。

オーナーさんが「どのような走り方をするのか」によっては、レーシングキャブレターを選択した方がいい方もいらっしゃいます。しかし、レーシングキャブレターとは違うモノを求めている方に「45degree」から提案させていただく製品が「Full Tune CV」というわけなのです。そうなると「じゃあFull Tune CVと他のキャブレターはどう違うの?」と聞いてみたくなると思います。しかし申し訳ありません。他のレーシングキャブレターと「Full Tune CV」では求める方向性が違い、比較できるようなモノではありません。では、いったい他のキャブレターと何がどう違うのか、順を追ってご説明いたしましょう。

乗り手に技術を求めるキャブ
果たしてそれが理想なのか…

広島で「45degree」を始めて今年で9年目になりますが、現在まで、排気量のボアアップ、ハイコンプ(高圧縮)のエンジンのカスタム、ストローカーの組み込みなど、ハーレーのエンジンのモディファイをさまざまな方法で探求してきました。そうやって多くの経験を積んでいく中で、いつも苦労することが「モディファイしたエンジンにあった点火時期の調整と、キャブレターのセッティング」でした。点火時期(進角)の調整についてはコンピューターの設定や、手動での設定変更でなんとか対応できます。しかし、キャブレターのセッティングはとても難しい作業でした。

S&SやHSR、FCRなど、微妙なアクセル操作が必要なレーシングキャブレターは、オーナーさんの乗り方に合うセッティングを出さなければ充分に楽しめない面があります。レーシングキャブレターはよほど熟練した人でないとスロットル操作は難しく、エンジンが欲しがる混合気をオーナーさんが手動で送り込んでやらなければいけないキャブレターなのです。チューンナップパーツを使い、使いやすいキャブレターにチューンすることは可能ですが、その性能を使いこなすためにはキャブレターの性格上、オーナーさんのテクニックもやはり求められます。それを「面白い」と評価される方もいらっしゃいますが「もうちょっと楽に乗りたい」、「アクセル操作が煩雑だ」という声を聞くこともありました。

そういった声を聞き「CVキャブレターをもっと面白くできないものか」という強い思いを持つようになりました。もともとCVキャブレターはスロットル操作が楽で、しかもエンジンが欲しがる適切な混合気をエンジンに供給することができるキャブレターです。少しくらい変なスロットル操作をしても、キャブレターがエンジンに調度いい混合気を送り込んでくれる賢いキャブレターですから、その良さを生かしつつ、もっと面白くできないものか、と考えはじめました。オーナーさんの要望を実現できるのは、今まで誰も見向きもしなかった「CVキャブレター」ではないかと思ったのです。

役に立たないとCVキャブレター
再び注目する日がやってくるとは

こういう思いにいたるまで、私も「CVキャブレターは使い物にならないキャブレターだなぁ」と思っていました。新車で購入して真っ先に取り外すパーツ、どうやっても自分が求める乗り味にはならないキャブレターだと思っていました。実際、「45degree」ではお客さんにいろいろなレーシングキャブレターを取り付けていましたから。いったいどれだけの数のキャブレターを交換したのか…数えきれないほどです。

さて、CVキャブレターに注目し触りはじめ、まずはいろいろとあったチューニングパーツを試してみました。しかし、どれも私が求める製品ではありませんでした。ある一面では素晴らしい結果が出るのですが「あらゆる走行シーンで満足の行くモノ」ではなかったのです。私は「低回転から高回転まで気持ちよく走ることができるフィーリング」を求めていたのですが、決してレーシングキャブレターに近づけるのではなく、CVらしさを残しつつ、CVならではの爽やかな爽快感を追求する、あくまでオーナーさんが扱いやすいモノを求めていました。

世のCVキャブレターのチューン製品はほとんど試したと思います。しかし「自分が求めているものはない」と悟りました(笑)。もう、「自分でやるしかない」と思い、開発をはじめたのが「Full Tune CV」だったのです。しかし、その時は後にあれほどの苦労があるとは思っていませんでした…。

プロフィール
保浦 清己

53歳。96年に「45degree」を創業。ハーレーの可能性を探求することに情熱をかけ、日本国内の製品のみならず、海外の製品にまで精通し、多くのハーレー乗りの信頼を集めている。また、自らの知識を隠すことはなく、多くの初心者に向けてハーレーのイロハを執筆している「WEBページ」は人気を集めている。

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