VIRGIN HARLEY | 第1回 ブレーキレバーの遊び過大 メカニック芦田のメンテナンス講座

第1回 ブレーキレバーの遊び過大

  • 掲載日/2009年06月15日【メカニック芦田のメンテナンス講座】
  • 執筆/ハーレーダビッドソンシティ中野店 メカニック 芦田 剛史

メカニックの芦田と申します
どうぞお見知りおきを!

はじめまして。このたび、新コーナーの「メンテナンス講座」を任されることになりましたH-Dシティ中野店メカニックの芦田と申します。ディーラーメカニックの観点から、基本に忠実に、日々のハーレーのメンテナンス作業をリアルに伝えてゆくべく、レポートを綴っていきたいと思います! どうぞ皆様、この講座を心ゆくまで楽しんでください。

今回のクランケ:2006年式 FLTR ロードグライド

ハーレーメンテナンス講座の画像

症状:ブレーキレバーの遊び過大

「少し前からブレーキの握りしろが深くなり、エンドプレーの多さが気になり始めた」と本車両のオーナー様より相談を受けました。確かにしっかり握ると、グリップまで到達して接触してしまいました。今回の症例ですが、アフターマーケットのブレーキレバーが取り付けられているため、握りしろが手前に顕著にきていると考えられます。正常な状態であれば問題ないのですが、今回は助長条件になっています。

陥りやすいポイント:手に汗握る攻防! VS.スカスカブレーキの巻

ハーレーメンテナンス講座の画像

スカスカブレーキレバーのエンドプレー、果たしてこいつはどこからやってくるのでしょうか? 遊びが生まれるということは、必ずどこかに物体が移動できるクリアランスが生じているはずです。そのクリアランス部分を適切に見極め、なくしてやることで本来のエンドプレーに必ず戻ります。逆に適切な部位を見誤ってしまうと、作業後に不要な焦りを感じることになります。エアの混入か? マスターシリンダーのリーク? ピストンシールリターン不足? 整備作業ではあらゆる可能性を探ります。そうすることで、その先に素晴らしい達成感が待っているのです。

補修手順を見てみよう!

ハーレーメンテナンス講座の画像

【01】遊びさん、なぜ多いの?

遊びの原因として考えられるのが、抵抗をほとんど感じない「エア混入」、片方のピストンが極端に出てくる「キャリパーとローターの位置関係」、ピストンが奥側に留まる「ピストンシールの戻り不良」の3つです。
ハーレーメンテナンス講座の画像

【02】憎い遊びを探し出す

この中からクリアランス原因箇所を突き止めます。今回はピストンシールの機能不良でした。担当メカニックが正常なピストンの動きを記憶していれば、作動時のピストンとパッドの動作量から原因を究明できます。
ハーレーメンテナンス講座の画像

【03】判明した問題児を取り外す!

確信に至ったブレーキピストンシールを世に暴くべく、まずはキャリパー取り外し作業に入ります! ブレーキフルードを抜き出し、キャリパー取り付けボルトなどを手際よく外していきます。
ハーレーメンテナンス講座の画像

【04】奴の姿が見えてきた…

取り外したキャリパーの分解作業に入ります。特殊工具を使い(なくてもできますが)、エア圧を利用してピストンを押し出して抜き取り、シールを引きずり出します(爪楊枝などで外すのがいいです)。こんにゃろめ!
ハーレーメンテナンス講座の画像

【05】新品シールを組み込む!

グリースは大抵パッケージに同梱されていますが、市販のシリコンブレーキグリースを塗り付けても問題はありません。機会があれば、外したピストンやキャリパーボアの状態を入念に観察してみてください。
ハーレーメンテナンス講座の画像

【06】生き急がず組み付けて

リビルド(再構築)したキャリパーを再度車両へ戻します。フェンダーやホイールなどに干渉しないように慎重に組み付けます。ここで何か問題が生じてしまうと、今までの苦労はすべて水の泡!
ハーレーメンテナンス講座の画像

【07】愛のフィールド充鎮

組み付けが完了したら、空のブレーキラインにブレーキフルードを充填します。ラインを揺らしたり、レバーのストロークパターンを変えたり、バキュームを使ったり…。特にダブルディスクは要注意です。
ハーレーメンテナンス講座の画像

【08】期待と夢を乗せて握る!

最終確認でひたすら握りまくります。握りしろはばっちり復活していました。そしてテスト走行後にさらに握り、それから1時間ごとにひたすら握りまくります。それだけブレーキ修理は慎重を要するのです。

防ぐためのメンテのツボ

メンテナンスが命のブレーキ系統
できるだけコマメな部品交換を…!

ピストンシールの交換で見事に復活しましたが、実はシールにシリコングリースを塗布してピストンを馴染ませるだけでも、ピストンのリターンはある程度復活します。が、シールの寿命が尽きているものに関して、この対策はあくまで付け焼刃に過ぎず、やはりオーバーホールするのが理想です。ゴム製品であるシールは消耗品ですので、コマメな交換が大切。フルード交換も定期的に行い、新鮮な状態でブレーキラインをクリーンに保てば、マスターシリンダーやシールが持つ本来の寿命を維持できます。私はレースシーンでの活動を通じて、命を預けるブレーキの重要性を再認識させられました。もしブレーキに異常を感じたら、必ずプロのメカニックにご相談ください。それでは、次回をお楽しみに!

プロフィール
H-Dシティ中野 メカニック 芦田 剛史

広畑日産自動車・H-D事業部で経験を積み、25歳のときに「アメリカのディーラーに勤めたい」と単身渡米。アリゾナ、ラスベガスと約2年間におよぶディーラー勤務を経て帰国。現在はH-Dシティ中野店でメカニック主任として活躍中。V-RODでドラッグレースに興じるなど、幅広いハーレーライフの楽しみ方を知っている。

取材協力
住所/東京都中野区野方4-42-9
営業/10:00~20:00
定休/水曜日
電話/03-6909-1180

関連する記事

注目のアイテムはコチラ

ピックアップ情報