第3回 電気系統障害の犯人を追え!
- 掲載日/2009年08月03日【メカニック芦田のメンテナンス講座】
- 執筆/ハーレーダビッドソンシティ中野店 メカニック 芦田 剛史
待ってました夏到来! 暑さが苦手な私が言うのもなんですが、夏が来ました。夏真っ只中でお送りするメンテナンスコラム第3回も、夏に負けない熱さとゆるさで咲き乱れます! 夏バテを吹き飛ばしながら、さぁ張り切って行きましょう!!
今回のクランケ:2006年式 スポーツスターXL883R

症状:走行中にスピードメーターが動かない!?
「走行中に突然スピードメーターが動かなくなり、スピードが分からなくなる。それと同時にウインカーのオートキャンセルが効かなくなり、点滅しっ放しになってしまう」という症状を持つクランケです。スピードメーターが動かないなんてまずいですよ! そんなの、スピード違反まっしぐらです! って、そんなわけないか…。
陥りやすいポイント:真っ直ぐな瞳でスピードと向き合って!
ここでまず最初に気をつけなければならないのは、「メーターが動かない」という事象を細かく選別することです。動かない時、「オドメーターはどうだったのか?」「ヘッドライトは?」「動かないのはメーターの針だけ?」…と、あらゆる事象に振り分け、診断系統を一気に絞り込みます。ここで面白いヒントが一つあります。それは「ターンシグナルが消えなかった」という点です。カンの良いメカニックなら、この故障診断に30秒はかかりません。インジェクションの場合、エンストまでするようなら大きなヒントと言えます。
補修手順を見てみよう!

【01】メーターを開放しろ!

【02】手抜きは職人の敵!

【03】犯人発見、緊急逮捕!!

【04】サビ取り職人、頑張るの巻

【05】放っておけないんです、やればデキる子!

【06】完璧な状態に戻して、瞑想に入る
防ぐためのメンテのツボ

同じ過ちを何度も
繰り返してはいけないものです
今回のメンテナンス、やはり原因があってこそ水が浸入した事象です。原因のほとんどがコネクターに付いているダストシール不良か、配線のコネクターへの進入角度過多によるダストシールの歪みです。私の経験上、コネクターに入る手前で配線を極端に屈折させるのは軽犯罪級です。なぜなら、良いことがひとつもないからなのです。やはりハーネスと人間は真っ直ぐなのが一番理想的なんですね。今回は再発防止にダストシールにコーキングを打っておきました。この作業、基本的に部品交換なしですが、お客様の予算次第では端子と歪んだダストシールの交換をお勧めします!

広畑日産自動車・H-D事業部で経験を積み、25歳のときに「アメリカのディーラーに勤めたい」と単身渡米。アリゾナ、ラスベガスと約2年間におよぶディーラー勤務を経て帰国。現在はH-Dシティ中野店でメカニック主任として活躍中。V-RODでドラッグレースに興じるなど、幅広いハーレーライフの楽しみ方を知っている。

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