VIRGIN HARLEY |  第9回 タイヤのパンクメカニック芦田のメンテナンス講座

第9回 タイヤのパンク

  • 掲載日/ 2010年03月16日【メカニック芦田のメンテナンス講座】
  • 執筆/ハーレーダビッドソンシティ中野店 メカニック 芦田 剛史

第9回となりましたメンテナンスコラム。1ヶ月のブランクを経て、どのツラ下げて登場するのかと思いきや、割りと爽やかにこっそり再開しようと企む芦田は敵か味方か!? 今回もファンタスティックでメカニカルな講座をどうぞご覧になっていってくださいまし!

今回のクランケ:2007年式 XL1200L

ハーレーメンテナンス講座の画像

症状:タイヤのパンク

6ヶ月点検でご入庫のこの車両、6ヶ月点検時はタイヤの点検はもちろん該当項目でございます。いつもどおりにタイヤの溝確認と異物が無いか確認作業を行っておりますと…。きました、ネジネジ君がニョキッと出ました! こいつが例によってパンクって奴ですかい? ダンナさん!?

陥りやすいポイント:ダメ!絶対、他人の痛みとパンクを見ないふり。

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地上に中空車輪が接地している限り、避けて通れないのがこのパンクですが、人類は永遠にこの難敵と戦っていかなければならないのでしょうか? パンクしないタイヤを量販できれば億万長者だと常々思って参りましたが、未だそんなすげぇタイヤは市販されていませんね(開発研究はされているようですが…)。そんな憎いパンクについて、「大丈夫だろう」と思ってそのまま放置が最も危険なパターン! 出先で立ち往生なんてことも…!

補修手順を見てみよう!

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【01】そろそろ言うまでもない?

まず最初は、兎にも角にもよく観察することが大事です。どんな状況に陥っているのか、この段階できちんと把握しなくては、先へ進むことはできませんぞ! 現状空気圧もきっちり入念に確認していきます。
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【02】カニか? カニなのか?

おっと、ぶくぶくと白い泡を吹いておりますが、実はワタクシ今年から芦田ガニの養殖始めました…というワケでなく、エア圧流出の確認ですね。ここで出たら間違いなく要修理!と相成るのです。
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【03】引っこ抜いてしまえ!

修理を進めるにも、まずはこの物体を除去しなくては始まりません。プライヤー等を使用して異物を引っこ抜きます。この際、誤って怪我をする恐れがありますので、注意深く、真面目に、慎重に…。
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【04】SST出勤!

憎たらしい異物を抜き出したら、補修プラグサイズに合わせて穴を拡大してやります! じっくりと溶剤を馴染ませていくわけですが、デリケートな部分なのでこの作業の際は必ず専用ツールを使用します。
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【05】一撃必殺

準備が出来たら突入です。SWATが突入ですよ、一撃必殺です。一気に押し込んで、息を合わせてスムーズに工具だけを抜き取ります。これがよく出来たツールでして、見事にプラグだけがタイヤに残るのです。
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【06】乾くまで紅茶でもいかが?

一見作業完了ですが、ここでいきなり走り出すのは厳禁。まだ溶剤が硬化していない状態なので、プラグが抜けたり動いたりして、失敗してしまうことになります。急いでいても最低10分ぐらいは待ちたいですね。
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【07】たまらんのです…

最後に余ったプラグを切り落とします。タイヤ溝のプラス2ミリ程度上で切り、後は走行中に削れてトレッドと均一高さになります。しかし、何度やってもこの「ザクッ」っと切る感覚がたまらんですな。

防ぐためのメンテのツボ

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タイヤ交換した方がいいのかな?

かつてアメリカでメカニック修行をしていた際、パンクした車両に乗られていたお客様に今回のような修理を提案したことがあるのですが、その方は「トンでもねぇ、恐いから交換してくれ」とおっしゃられました。日米の経済的感覚差か、安全性への感覚の差か、未だによく分かりませんが、「出来ることならばタイヤ交換の方が良い」ということは誰しも分かっていることだと思います。ただ、今までの経験でパンク修理で失敗したことはありませんので、藪から棒に交換をお勧めできない私です。さて、皆さんはどう思われますか? 交換か、修理か?

プロフィール
H-Dシティ中野 メカニック 芦田 剛史

広畑日産自動車・H-D事業部で経験を積み、25歳のときに「アメリカのディーラーに勤めたい」と単身渡米。アリゾナ、ラスベガスと約2年間におよぶディーラー勤務を経て帰国。現在はH-Dシティ中野店でメカニック主任として活躍中。V-RODでドラッグレースに興じるなど、幅広いハーレーライフの楽しみ方を知っている。

取材協力
住所/東京都中野区野方4-42-9
営業/10:00~20:00
定休/水曜日
電話/03-6909-1180

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