VIRGIN HARLEY | 第28回 スポークホイールとキャストホイール、どっちがいいの? ツーリング・ゼミナール 青木 タカオ

第28回 スポークホイールとキャストホイール、どっちがいいの?

  • 掲載日/2012年10月23日【ツーリング・ゼミナール 青木 タカオ】
  • 執筆/フリーライター 青木 タカオ

ハーレーにスポークホイールとキャストホイールのモデルがあるのはご存じのとおりですが、先日これからハーレーを買おうっていう人に「どっちがいいの?」と聞かれました。「どっちがいいの?」って直球で聞いてしまうのはビギナーにありがちで、自分自身もパソコンやスマートフォン、カメラなどを買うときに、ついついその道に詳しい人に「どっちがいいの?」と無茶な質問をしがちですから、その気持ちはよく分かります。居酒屋で店員さんに「オススメは?」と聞いて、つまみをその通りに注文しちゃう心境に似ていますよね。えっ、それとはチョット違う? まぁ、そんな感じです。

そうやって初心者が興味を持ったときに、適確に答えられるのがプロってものです。家電売り場で炊飯器を選ぶときに、「こちらは内釜全体が均一に高温となる IH 式で、お米に熱がムラなく伝わりふっくらとしたお米が炊き上がりますが値段は高め。そちらは炊飯器の底にあるヒーターから熱を伝えるマイコン炊飯器で価格は数千円台とお手頃です」などと説明されると、思わず唸ってしまいますよね。

というわけで、バイク専門誌に原稿を執筆させていただいている以上、自分も「どっちがいいの?」に適確に答え、質問してくれた人に選ぶ基準となるものを提案したいと思います。お題は「スポークホイールとキャストホイール、どっちがいいの?」です。

青木タカオさんの写真

軽量かつ高剛性のキャストホイール。パンク修理が容易なチューブレスタイヤが履けるだけでなく、よりグリップのいいラジアルタイヤも選択できる。

ファッションは足もとからと人間でも言うように、オートバイでも足まわりは肝心で、前後ホイールが全体の印象に大きく影響します。汚れっ放しなんてのもイケマセン。シャキッとキレイな足まわりは見ていても気持ちがいいですよね。

さて、デザインの自由度を考えるとキャストに軍配が上がります。オートバイは趣味性の強い乗り物ですから、やはりルックスが重要です。スポークデザインを曲げたり、太さの制約もありません。クロームを多用してゴージャスさをアピールしてもいいし、LED を組み合わせるなどカスタムも自由自在。FLSTF ファットボーイのようなディッシュホイールがあるように形状も斬新なものがありますし、ダークカスタムとしてブラックアウトしたり、クロームとブラックリムでコンストラクトをつけるなど色合いの選択肢も増えます。

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まるでお皿のような斬新な形状としたファットボーイローのキャストホイール。ディッシュホイールと呼ばれ、個性のある足まわりを演出している。

純正カスタムホイールには軽量で高剛性な鍛造アルミニウム製もあり、CVO に採用されるなど見た目の高級感も申し分ありません。時代とともにスポーツバイクがキャストホイールに移行していったことが示すとおり、軽さや剛性など性能面を考えてもキャストホイールの魅力は絶大と言えます。

とはいえ、ノスタルジックなスタイルとなればスポークホイールを選ぶのが定石でしょう。たとえば、FLSTN ヘリテイジソフテイルクラシックにキャストホイールでは、あのノスタルジックなスタイリングが台無しです。このへんは性能面というよりオーナーの好みの問題ですから、とやかく言う必要はありませんが、クロームメッキが施された光り輝くスポークホイールは磨く楽しさもありますし、ビンテージ系にはなくてはなりません。FLS ソフテイルスリムや FXS ブラックラインのような黒いリムもまた潔くシンプルで、精悍さをアピールするにはうってつけ。ワイドグライドやフォーティエイトにもよく似合っています。

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クラシックテイストあふれるスポークホイールは、ビンテージ感を演出するにはうってつけの足まわり。写真はクロームメッキが美しいFLSTCの16インチホイール。

重量面でもスポークホイールは不利です。重たいだけでなくスチール製のリムは外側の重量があり、ホイールバランス用のウエイトを多用する必要もあります。人の手で組み上げなければならずコストもかかり、“4クロス”と呼ばれるハーレーのスポークに関しては「組立3年、張り8年」なんて言われるほど手がかかっていて、それを考えるとまた所有感を満たしてくれます。

パンクしたときはチューブレスタイヤを履くキャストは簡単に修理ができますが、チューブタイヤのスポークホイールはチューブをタイヤから取り出してパッチを貼るという面倒な作業を強いられます。ただし最近はスポークホイールでもチューブレスタイヤが履けるように加工する技術がありますし、パンク防止剤などもあり、不安はなくなりました。

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リムをブラック塗装したスポークホイールは精悍なイメージをアピール。チョッパーテイストを強めるのに貢献する。写真はFXSの21インチホイール。

とまぁ、あれこれ書き連ねましたが、要するにそのオートバイに合っているかどうかで、結局は「好みで選んでください」としか言いようがありませんね。ちゃん、ちゃん。

プロフィール
フリーライター
青木 タカオ

バイク雑誌各誌で執筆活動を続けるフリーランス。車両インプレッションはもちろん、社会ネタ、ユーザー取材、旅モノ、用品……と、幅広いジャンルの記事を手がける。モトクロスレースに現役で参戦し続けるハードな一面を持ちつつも、40年前のOHV ツインや超ド級ビッグクルーザー、さらにはイタリアンスクーターも所有する。

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