タンクのローマウント加工に前後サスのオーバーホール&ローマウント加工と、今回のフルカスタム企画で大きな割合を占める部分についての作業が完了。「ここまで来たら、後は早いですよ~」という長岡さんの言葉に期待を膨らませ、「さぁ完成はいつだ完成はいつだ」と鼻息荒く迫ってしまいそうな今日この頃です。冗談はさておき(あながち冗談でもないのですが)、いよいよこのフルカスタムプランも佳境を迎えつつあります。今回はカスタムメニューにあるパーツをすべて取り付ける段階へと入っていくのですが、そこは天下のTRAMP CYCLE、ボルトオンではないプロの腕を見せ付けるバランスを重視した取り付けに着手していきます。
正直言うと、この「パーツの取り付けに際するバランス調整」というのは各オーナーの好み次第ですから、フルカスタムにおける定義ではなく、あくまでTRAMP CYCLEとして重視する点を述べさせていただきますね。その中で言いますと、ウチではまずパーツ単体は重視しません。“パーツありきのカスタム”ではなく、カスタムのイメージがあって、そこにパーツが選ばれていく感じですね。
そのうえで、TRAMP CYCLEにおけるフルカスタムのチェックポイントを項目として整えると、以下のようになります。
4番などは特にウチのカラーですね(笑)。こうした項目に沿ってプランを練っていき、そこからパーツをチョイスしていきます。確かにパーツを取り付ける際にバランス良く……とは言いますが、“バイクを楽しむ”ことは趣味ですから、何が正しくて何が間違っている、なんてことは言えません。ただTRAMP CYCLEにお預けいただく際は、オーナーの意向を汲んだ上で、ウチのカラーありきのバランスの良いカスタムを施すことになります。こうした定義になると、“ショップのカラー次第”という大雑把な言葉にもなってしまいますね。こればかりは僕では言い切れない大きなテーマなので、ご理解いただきたく思います。
今回のジャージーさんプランを前提に述べますと、ウチのカラーである「見た目はもちろん、乗ったときにいかに満足できるか」を前提に、ストリートドラッグを意識したスタイルとして進めてきました。その上で楽しめるのが「ライディングテイスト」。これはオーナーの自己満足という部分になってしまいますね。例えば追い越しの際などに、1.シフトダウン or 回転を合わせる ⇒ 2.車線を変更しつつ…… ⇒ 3.アクセルをパカっ!と開ける ⇒ 4.一気に追い越す! ――と、体を小さく丸めて走り抜けたら……「俺って結構カッコいいんとちゃうの!?」と思えるようなスタイルを目指しました(笑)。
まずは取り入れるパーツをすべて装着して、「ここはこうしよう」「ここのパーツは加工してしまおう」といった部分を絞り出していきます。私も長年ビルダーとして多くのハーレーを触ってきていますから、ある程度加工を要する部分は事前に想定できるのですが、それでもこうした基本的な作業は必ず行います。それは車輌に対してオーナーをイメージし、どんな楽しみ方をしてもらうのがベストか、そのためにはどうバランスを取らなければいけないか、想像を膨らませてまとめなければならないからです。オーナーにとっては掛け替えのない大事な愛車ですから、期待以上のスタイリングと乗り味をご提供したいのです。
TB-014 ストレートライザー / ブラックアルマイト
材質:ジュラルミン サイズ:5.7インチ
今回タンクをローマウントしたので、既成のストレートライザーだとハンドルバーの位置が高くチョッパーっぽくなってしまうので、タンク上面とハンドルバーの高さとのバランスを整えること、そしてオーナーにより攻撃的なスタイルで乗っていただきたかったことから、高さを下げることに。ライディングスタイルにもスピード感が出るでしょう。
THB-001 ナロードラッグバー
材質:ステンレス? サイズ:全幅650mm
ジャージーさんの要望 & イメージされたスタイルが「ストリートドラッガー」タイプですので、ストレートライザーと合わせてハンドル周りをコンパクトにまとめ、攻撃的なライディングフォームを見せられるようにしています。とはいえそれほど窮屈なコックピットではないので、長距離航続の際でも疲れれば背筋を伸ばせるようにしています。
TSS-011 セミダブルシート / ステッチタイプ
表皮:合皮 カラー:艶ありブラック
先ほどお見せしたパーツ取り付け写真をご覧いただければ分かりますが、タンクからリアフェンダーへと流れるアールを、シート前部の盛り上がりが邪魔しています。ここでは膨らみを抑えたオーナー仕様のシート製作を行いました。せっかく全体のスタイリングがキマっていますから、ここもカッコよくしないと。
TB-007 キーボックス
材質:アルミ? カラー:ヘアライン
カスタムの完成度を格段にアップさせる弊社とっておきのパーツです。通常ステムのすぐ下に設置されているイグニッションキーの位置を、反対側のタンク下に移設。配線をフレームから逃がす際などに用いると、フレームのネック部分がすっきりと見せられるメリットがあります。ぱっと見でもカスタムされているのがよく分かるかな、と。
その他諸々
※フューエルタンクのローマウント加工やフロントフォークの加工&オーバーホール、フルペイント、その他細かなパーツおよび消耗品交換など多数
すいません、画像をご覧いただければ分かりますが、まだ完全にパーツを取り付けたわけではありません。というのも、この後フルペイントという最後の仕上げが残っているため、全体像を掴める範囲でのパーツ取り付けにとどめたからです。ここで全体のスタイリングを把握し、オーナーが希望するカラーリングとマッチできるようイメージを固め、再びパーツをバラして塗装を開始していきます。ちなみに今回、ジャージーさんからは「ブラック + ホワイト + イエローをちょこっと」というカラーリングの要望を受けていたのですが、個人的にジャージーさんとマッチしないんじゃないか? と思うようになりまして、現在オーナーと交渉中です(笑)。さて、次回は塗装の過程をご紹介しながらペイントを施していき、いよいよカスタムが完成します! 長かったですね~かれこれ2ヶ月ちょっとですか。やはりフルカスタムとなると、ビルダーも細部にまでこだわって手を入れていきますので、どうしても時間がかかってしまうのです。ジャージーさんにも言ってあるのですが、皆さんもご期待ください、「これがあのジャージー号?」と思うほど、本当にカッコよく仕上げますよ!
H-D 2008年式スポーツスターXL1200Rを所有するV-H担当者。バイクに関する知識は皆無なくせにバイクに乗るのは滅法好きという関西人で、東京⇔関西間をやたら自走取材するので走行距離は1年間で2万キロと伸びる一方。ようやくスポーツスター一台に絞ったにもかかわらず、H-Dの他モデル(特にダイナ)や原2バイクに心奪われることが多い。現在大阪の某カスタムショップで愛車をフルカスタム中。完成後の姿や如何に……。
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