VIRGIN HARLEY |  ショベルスポーツスターとは?歴代エンジンガイド

ショベルスポーツスターとは?

  • 掲載日/ 2016年02月19日【歴代エンジンガイド】
  • 構成/VIRGIN HARLEY.com編集部

ハーレーダビッドソン・ショベルスポーツスターのエンジン画像

スポーツスターの原点たる
ショベルスポーツスター

第二次大戦後に訪れた高度経済成長期。時代は性能至上主義に突入し、より高性能なマシンが求められていました。そんな中、1957年にカンパニーが市場に投入したのが、初めてスポーツスターの名を冠したXLモデルでした。その後28年間に渡って生産されたショベルヘッドのスポーツスターは、その独自の乗り味から今も高い人気を誇っています。

ショベルスポーツスターの原型モデルとは?

ハーレーダビッドソンの数あるモデルの中でも大きな人気を誇っているスポーツスター。その原型モデルの誕生は今から60年以上も遡る1952年でした。時代は第二次大戦後の高度経済成長期。アメリカは大戦で大きなダメージを受けたイギリスに対して市場を解放し、あらゆる商品がアメリカに輸入されるようになりました。

そのためイギリス製オートバイのBSAやノートン、トライアンフといったメーカーがアメリカに進出し、その性能の高さから市場で人気を得ることになりました。そんなイギリス勢に対抗すべく、1952年にカンパニーは排気量750ccの4カムサイドバルブエンジンを搭載したモデルKを市場に投入。このモデルKがスポーツスターの原型となったのです。

ハーレーダビッドソン・ショベルスポーツスターの画像
1952 MODEK K

ショベルスポーツスターの歴史とは?

1952年に登場したモデルKもサイドバルブエンジンでは高性能なイギリス勢に対抗できず、カンパニーは当時としては最先端であったOHVエンジンの開発を余儀なくされます。そうして1957年に誕生したのが、はじめて「スポーツスター」の名を冠したXLモデル、ショベルスポーツスターだったのです。

OHVのショベルヘッドエンジンはモデルKのボア×ストロークを見直した883ccで最高出力42馬力、ゼロヨン15.0秒、最高速164km/hを誇り、Kモデルから受け継がれたエンジンとミッションが一体式の単体構造でカセット式ミッションが組み込まれた高性能マシンでした。

その翌年には競技用のXLC(C=コンペティション)と圧縮比を7.5から9.0に上げたXLH(H=ハイコンプレッシヨン)が加わりました。59年にはアップマフラーや軽快な外装を装備したスクランブラーモデルであるXLCH(CH=コンペティションホット)がデビュー。67年にはビッグツインモデル同様にセル始動方式が採用されました。

ハーレーダビッドソン・ショベルスポーツスターの画像
1967 XLH

72年には日本製高性能マシンに対抗するためXL系は排気量998ccとなり、圧縮比9.0で61馬力を発揮。77年にはウィリーGデザインによるハーレー史上唯一のカフェレーサーであるXLCRがデビュー。ケイヒンキャブと点火チューンで68馬力、ゼロヨン12秒台を誇る高性能マシンでした。

そして78年にショベルスポーツスターを支えてきたKフレームは終焉を迎え、新しいCRフレームを採用したXLHとニューモデルのXLSがデビュー。83年にはショベルスポーツスター最速のXLX-61が登場。フレームはCRフレームからXLXフレームに変更されました。そして85年、鋳鉄ヘッド&シリンダーのショベルスポーツスターはその28年の歴史に幕を下ろすことになったのです。

ハーレーダビッドソン・ショベルスポーツスターの画像
1983 XLX

ショベルスポーツスターの派生モデルは?

ハーレーダビッドソンレーシングの歴史を語る上で、決して欠かすことができないモデルが1970年にデビューしたXR750です。ダートトラッカーのXR750とロードレーサーのXR750TTがAMAレースに送り込まれたのです。70年には鋳鉄ヘッドでしたが、72年にはアルミヘッドを搭載したXR750が登場。このあと数々の伝説を築き上げることになります。

ハーレーダビッドソン・ショベルスポーツスターの画像
1972 XR750

1983年にはそのXR750のシリンダーヘッドとXLXの腰下を組み合わせたホモロゲーションモデルのXR1000が登場。これらのXR系統のモデルはショベルスポーツスターの派生モデルといえます。

ショベルスポーツスターの性能は?

今から60年近く前に登場したショベルスポーツスターですが、その性能は決して侮れません。現代の交通事情でも十分に対応できる高いパフォーマンスを持っています。もちろん最新のスーパースポーツの性能には遠く及びませんが、それを凌ぐ独特の乗り味が特徴です。

パルシブなトルク感、まるでマシンガンのように小気味よく回るエンジンは、他のどのハーレーダビッドソンのモデルとも違う特徴的なものです。その乗り味から多くのフリークを魅了するショベルスポーツは軽量な車体と相まって、実性能以上のライディングプレジャーをライダーにもたらします。ちなみに鋳鉄ヘッド&シリンダーのショベルスポーツスターは通称「アイアンスポーツ」と呼ばれることが多いことも最後に記しておきます。

関連する記事

ピックアップ情報