VIRGIN HARLEY |  第4回 セッティング部品CVキャブレター講座

第4回 セッティング部品

  • 掲載日/ 2005年07月02日【CVキャブレター講座】
  • 執筆/ジャイアン
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CVキャブのセッティングパーツ
その種類と効果

今回はCVキャブにおけるセッティングパーツについて書いてみましょう。CVキャブレター用のセッティングパーツはたくさんあります。代表的なパーツといえば「ダイノジェット」とその発展型の「ダイノジェット・サンダースライド」でしょう。他には「ヨーストパワーチューブ」、「ケイヒンJET KIT」、有名ドコロでは「ジョッキージェット」などなど。完全にレーシングなものからストリートユースまで、これらのチョイスはユーザーに任されています。さて、あなたは今のハーレーに何を求めていますか? これがハッキリしていないとセッティングは始まりません。

スポーツ走行が好きな人には…

使用するセッティングパーツ/ダイノジェット

有名なダイノジェットですが、これはかなりのパフォーマンスを発揮します。交換はスライドピストンスプリング、スライドピストンの負圧ホール拡張、メインジェットホルダーとメインジェットの交換、ジェットニードルの交換等になります。その本領はリプレイスメントのエアクリーナーとマフラーに交換した時に最大限発揮されます(サンダ-スライドは更にピストンも樹脂製に交換)。

どんなフィーリングになるのか?

レーシングパーツなので吹けあがりが早く、レスポンスもよくなり、違うバイクかのように感じます。しかし、重視されているのが「最高速」や「最高速までの加速特性」なので、セッティングのやり方によっては、ガスが濃い症状が出やすくなります(巡航時や中低速走行が続く場合)。スロー系のセッティングパーツは無く、調整はできますが、根本的な解決にはならない場合があります。しかし、スポーツ走行にはうってつけのパーツでしょう。

ストリート走行が好きな人には…

使用するセッティングパーツ/ジョッキージェット、ケイヒンJET KITなど

街中での走行がメインの、いわゆるストリートユース向けのパーツだと「ジョッキージェット」や「ケイヒンJET KIT」等が挙げられます。これらも、やはりスプリングやジェット、ニードルを変更します。しかし、ダイノジェットなどに比べて、より穏やかな特性で「ノーマル+α」を狙い公道上での走行に対応します。対象はノーマルのエアクリーナー、マフラーのようで、スロー系のセッティングパーツがついているものもありますが通常の場合、「低速は調整すれば良し」としているようです。

また「あなたのエンジンをどうしたいのか」がハッキリしていれば、これらのセッティングパーツを使わなくても純正部品の選択と加工で求める効果を手に入れることができます。この場合はノーマルフィーリングのままパフォーマンスアップが狙え、公道では扱い易いままです。ただ、吸排気系のパーツの選択や排気量によっては純正キャブのセッティング範囲を超えてしまうこともあります。

スロー系の調整について

「スロー系はノーマルのまま調整すれば良い」とオイラも考えますが、使用される排気系によってはトルクの落ち込みが大きく(トルクの谷)、これを改善する為にスロージェットの番手を大きくしなければならない場合があります。

あなたは
どんな走り方をしたいのか

現在のオイラはビッグツインのみにダイノジェットが組んであり、2台のスポーツスターはダイノジェットを外し、純正部品とその加工でジェットセッティングを出してあります。ビックツインでは自分の求めているセッティングが、純正ジェットでセッティングできる範囲を超えてしまっているため、より濃いガスが供給できるダイノジェットを使用しています。2台のスポーツスターは純正部品を使ったセッティングを検証するためダイノジェットを付けていたものの、現在は外してあります。

上記で書いたように、現在はさまざまなセッティングパーツが存在し、CVキャブを元気にすることが可能です。しかし、キャブレターのセッティングというのは、使用するエアクリーナーやマフラーによって大きく左右され、決して一律の数値で決まるとは限りません。極端な例だと全くの同じ仕様の2台のバイクだったとしても、オーナーの乗り方によって全く違うセッティングになる可能性もあります。ただ、これらのセッティングパーツの選択によってCVキャブの持つ可能性を広げることができることは確実です。実際、このキャブでしか走れないSSC(スポーツスターカップ)などのレースではセッティングだけで驚くべきパフォーマンスを見せてくれています。ですから、CVキャブレターのセッティングだけでご自分の求める「性能や乗り味」は手に入れることはそんなに難しいことではありません。もし、オーナーがそれ以上のパフォーマンスを欲した時に、そこで初めてリプレイスキャブの使用が選択肢に入ってくるのではないでしょうか。

まず自分がどんなライディングをしたいか考えてみましょう。

キャブレターの選択(CV、社外)はそれからでも遅くはありません。

プロフィール
メンテナンス番長 ジャイアン氏

XLH883とFLSTFを所有する。彼のハーレーへの造詣は深い。特にCVキャブレターには、仕組みはもとよりセッティングや最適化まで幅広い知識を持つ。最近は、ブログにてメカニズムを中心に執筆中。

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