VIRGIN HARLEY |  1963年式 FLフルカスタム

1963年式 FL

  • 掲載日/ 2011年03月31日【フルカスタム】
  • 撮影/磯部 孝夫
    本記事は HOTBIKE japan vol.117 にて掲載されたものです
1963年式 FLのフルカスタム画像
1963年式 FLのフルカスタム画像

己の人生自体をクリエイトする
メカニックのマナーが投影された一台

アメリカ在住のカスタムビルダー、チャボエンジニアリング率いる木村信也以外、日本人としては唯一となるキャノンボーラーとなった新美佳昌。ご覧の一台は彼が率いる JAM’Z GARAGE 製作のパンヘッドだ。愛知県岡崎市のゼロエンジニアリングで10年間働き、同県豊川市に JAM’Z GARAGE をオープンさせたのは今から3年前のこと。ゼロでの10年で体得したカスタムビルドのスキルをベースに、現在の新美は自らの世界観をハーレーに投影すべく、じっくりとマイペースに創作活動に打ち込んでいる。

新美が手がけるのはカスタムバイクが中心だが、約1ヶ月近く店を閉めてまで参加した大陸横断レースという稀有な体験や、幼い頃から憧れ続けついに手に入れた63フォードのレストレーションといったプライベートでの一面をみれば、メカニックという職業を楽しみつつ、同時に己の人生自体をクリエイトしているような気がする。

「例えばクルマだと50年代よりも60年代のデザインが好きです。もちろんこれは個人的な趣味だけど、やはり大量生産になる前のマスプロダクトに惹かれます。メンテや修理さえすれば、いつまででも使えるものに愛着があるし、機能的で美しいと思えるものは、どうしても古いものが多くなってしまうんです」

そんな趣向の主が営むバイク屋ゆえ、集まる車両はショベル以前が多く、ご覧のパンヘッドのオーナーもしかりだ。

「ベース車の基本性能をスポイルするモディファイは避け、元来のポテンシャルを引き出し乗り手がそれを存分に楽しめるカスタムが好き。走って楽しいことがボクは大切だと思うから。強いてこだわりを言えば全体のシルエットとバランスです。だってカッコ良くないと意味がないでしょう?」

生粋のノリモノ好き。そんなメカニックならではのマナーが投影された63FLだ。

1963年式 FLのフルカスタム画像

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無理なモディファイに頼らずも、ここまで車体をナロードできるのが旧車ベースのカスタムの美点である。タックロールの効いたシートは バックドロップ 製。

カスタムの詳細をチェック!

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美しいアールと素材感がそそるカスタムテック製のブレーキレバー&マスターは、ビルダーの手により適度に艶がトーンダウンされる。
1963年式 FLのフルカスタム画像
今や希少な英国ワッセル社のピーナツタンクは、手を入れずそのままのシルエットで使用。印象深いペイントはデザイン/施行ともに JAM’Z GARAGE。ゴールドのピンラインのみ M&K の仕事。
1963年式 FLのフルカスタム画像
工芸品のような佇まいのテールランプはワンオフにて丁寧に作り込まれている。
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無垢のアルミ塊から製作されたアクセサリーがSUキャブのベンチュリーを覆う。
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リアブレーキシステムはPMの4ポット。キャリパーサポートは既製品をベースにドリルド加工が施される。
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ブレーキペダルにもドリルド加工が。リアブレーキの油圧マスターシリンダーは H-D Genuine のワグナーが使用される。旧車エンジンにリジッドフレームだが、ディスクブレーキを選択するあたりにも製作者の指針が伺える。
SHOP INFO.
住所/愛知県豊川市国府町上防入17-5
Tel&Fax/0533-56-2688
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