“スポーツライドを楽しむハーレー”として独自の世界観を形成するスポーツスターファミリー。アメリカではプアマンズハーレーなどと揶揄されることもありましたが、それも昔の話。サイズ感で言えばもっとも日本人向きで、日本市場においても販売台数だけ見ればハーレーのなかでもっとも売れているカテゴリーです。
ツインカムやミルウォーキーエイトではない同ファミリー専用のエンジン「エボリューション」を備え、排気量も1,201ccと883ccの2タイプに分けられています。フレームはツインショック型で、かつてホイールサイズはフロント19/リア16が基本とされていましたが、今は前後16インチやF18 / R17など、バリエーションが豊かになっています。
スポーツスターの歴史の起源は、半世紀以上も昔の「モデルK」(1952年)にあります。太平洋戦争(第二次世界大戦)終結後のアメリカに輸入された英国製バイクの人気を受け、それまでツーリングバイクを手がけてきたハーレーが生み出したスポーツバイクの第一歩がこの「モデルK」であり、これが今のスポーツスターへと継承されているのです。
現代のスポーツスターは、2004年にバージョンアップした「ラバーマウント」と呼ばれる設計のモデルで、エンジンマウントに大きな鼓動を生むVツインエンジンの振動を抑えるゴム(ラバー)が備わっているところが特徴的。一方、ハードな乗り味が魅力とされる2003年以前のスポーツスター(リジッドスポーツとも呼ばれている)と比べて重量が20kg以上もアップ(平均で260kg前後)していることから、軽量な日本製バイクと比べても取り回しに重さを感じるスポーツクルーザーといったモデルとも言えます。
スポーツスターがストリートバイクという位置付けであることは、ダイナファミリーやソフテイルファミリーと同じく積載能力が皆無なことからも明らか。一方、私たち日本人にとって1,201ccはもちろん883ccという排気量は、十分ツーリングバイクとして活用できるレベルのパワーと言えます。なので、スポーツスターをツーリングバイクとして見ることもOKで、その際はハーレー純正または社外メーカー製パーツ(サドルバッグ)などで積載能力をアップさせるといいでしょう。
2016年モデルと比べての違いは、ロードスターというニューモデルの存在と、全モデルにABSが搭載されたこと、そしてカスタムカラー増加、の3点。それ以外での大きな変更点はないので、購入時は2016年以前の中古車と価格を比べるのがいいでしょう。とりわけここ数年はスポーツスターに関する変更点(アイアン883とフォーティーエイトのバージョンアップ、ロードスターの登場)が多かったので、2018年以降に大きな変更があるとはちょっと考えにくいところ。今なら直近の中古車狙いがオススメですね。
2016年4月に登場した本格派スポーツモデル。フロント19/リア18というホイールサイズにセパハン風のコンチバー、41mm倒立フロントフォーク&ダブルディスクブレーキ、ガンファイターシートと、ハーレー版カフェレーサーの名にふさわしい”攻めた”仕様となっている。
ザ・スタンダードと言っていいスタイルを有したアイアン883。伝統のスポーツスタータンクにフロント19/リア16インチホイール、そして流麗なシルエットと、もっともスポーツスターらしい一台がこれだ。
ここ数年間、人気ナンバーワンとして君臨し続けているフォーティーエイト。2016年、ダイナモデルに用いられている49mmフロントフォークを備え、アメリカンマッスルカーのような一台へと進化を遂げた。
フロント18/リア17インチというホイールを備えたコンパクトなスポーツスター。その名のとおりのローダウンスタイルとビッグタンクが特徴的で、とりわけ女性でも取り回しやすいところが人気のポイントとなっている。積載能力などを高めればツーリングバイクとして十分活躍できる。