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昔はブローカー、今はe-bay? こんにちは「ハーレー屋まつもと」の松本です。今回は、これからショベルヘッド(以下、ショベル)に乗ろうと考えているみなさんに気になる「ショベル中古車事情」をお話しましょう。新車の販売終了から20年以上が経ち、ショベルは中古車でしか手に入れることはできません。では、全国いろいろなショップで販売されているショベルはどういった流通経路で仕入れ、販売されているのでしょうか。
オークションに流れる車輌には、最高の状態のモノは案外少ないのです。ですから、良い車輌をコンスタントに仕入れているショップは現地に信頼できる人脈を持っていることがほとんど。本当に良い車輌はオークションにはあまり出回らず、仲間内で車輌のやりとりをすることが多いのが現実です。そういったネットワークにツテがないと本当にいい車輌に出会えることは少ないでしょう。これはアメリカに限った話ではなく、日本国内でも同じ。ハーレーや他のバイク、車の世界でもいいモノは一般にはなかなか出回らないものなのです。また、ショベルを海外に出すことに抵抗を感じる人が多いのも、良いショベルを探すのが難しい理由の1つです。例えば日本国内の美術品が海外にどんどん流出していたら、私たちも嫌な気分になるでしょう。それと同じ感覚なのかもしれません。海外に出すのはそれなりの程度。本当に良い車輌は手元に置いておく、そういうことは確かにあります。悪質な例になると、「フルストック」と言いながら純正以外のパーツが組み込まれていたり、「エンジン絶好調」と言いながらしばらく走ると不調がでてくる車輌を掴まされたりすることもあるので注意が必要です。ショップが仕入れる場合でも、現地で車輌を確認できるわけではありませんのでハズレを引いてしまうことがあるのです。ただし、長い時間をかけて人間関係を築いてきたショップの中には、アメリカから出物を引っ張れるショップはあります。 調子が良いショベルとは…
また長期放置の車輌であっても、どこのショップで整備をされていたのかわかれば不安要素が減ることがあります。ショベルが現役、もしくはエボに代わって間もない頃はショベルの整備に長けたメカニックが少なからず存在していました。クリアランスの管理など、マニュアルの数値だけでは調子を維持できないのがショベルです。確かな経験と技術で整備されていた車輌がそのまま残っていれば…少々外観が傷んでいても問題ありません。長期間放置されていた車輌を復活させる方が、怪しい車輌を掴まされるより手がかからないこともあるのです。
海外から仕入れや長期放置の車輌など、珍しい例ばかり紹介しましたが、それ以上の台数が流通しているのは日本国内で何人ものオーナーを経て販売されている車輌でしょう。歴代オーナーがどんなメンテナンスをしてきたのか、どんなメカニックに整備をされてきたのか、それによって車輌の状態は変わってきます。最近は純正のままで乗られている車輌が増えていますが、フレームまで手を入れているようなカスタム車輌もあるので、購入の際はカスタム内容について尋ねた方がいいでしょう。あまりにやり過ぎた車輌だと車検が取れないこともあるようなので注意が必要です。また、見た目にはストックでもエンジン内部に社外パーツが組み込まれている車輌も珍しくありません。すべてが純正パーツのままの車輌を探すのは、最近では難しくなっていますが、エンジンパーツはできるだけ純正が望ましいでしょう。社外パーツだからと言って一概に否定はしませんが、丈夫な純正パーツと品質に劣る社外パーツがエンジン内部で一緒に使われていると…純正パーツ同士では起こりえない磨耗が進むこともあります。特に基幹パーツに関してはできるだけ純正にこだわった方が、少ないリスクでショベルを楽しむことができるでしょう。 誰に整備をしてもらうのか
しかし、独学で技術を習得しようとすると参考になるのはマニュアルだけ。注意深くマニュアルを見ていれば数値がおかしい点などに気づくかもしれませんが…。ショベルが現役の当時は、講習でマニュアルの間違いの指摘や記載されていない作業の際の注意点、仕様変更が行われた理由などの説明がありました。こういったことが次世代にどれだけ伝わっていくのか、少々心配です。独学で学んでいる人がいる昨今の状況を見ると、知識や技術の伝承が進んでいないように思えます。エボやツインカムはショベルに比べると学びやすいエンジンです。数値管理を徹底すれば調子を維持できるでしょう。しかし、ショベルは違います。試行錯誤の末に開発されたエンジンで、今のような精度の高い工作機械はありませんでした。ですから、メカニックに求められる経験や技術はエボ以降のエンジンとは違ったものが必要なのです。ショベルは何十年も前に設計されたエンジンです。オイルの流れる仕組みや冷却方法も古い技術が採用されています。そういったエンジンがどのような仕組みになっているのか、それぞれの部品がどのような役割を担っているのか、それを知った上で触ってやらないと、思いもよらぬトラブルが起こってしまうでしょう。
ショベルについてのコラムも7回目になりました。ショベルを現役当時から知る身として、一般にあまり知られていないエピソードを紹介しようとこのコラムをスタートさせました。しかし、そろそろネタ切れです(笑)。というわけで、今回でこのコラムを最終回とさせていただきます。このサイトでも雑誌でもなかなか語られることがない、ショベルについてのエピソードをお話させていただきましたが、参考になったでしょうか。現行車を否定し、「ショベル最高」と言うつもりはまったくありません。それぞれのエンジンに魅力はあります。もし、ショベルのフィーリングが合うと感じた人がいるならば…こちらの世界に是非おこしください。長らくありがとうございました。 |
![]() 松本 雄二 58歳。1971年よりハーレーに関わり“超マスターオブテクノロジー”と称されるほど、その技術力の評価は高い。複数のディーラーを経て「ハーレー屋まつもと」をオープンさせ、日々ハーレーの修理にいそしむ。なお不正改造車、マフラーのウルサイ車輌は触ってくれないので注意! |