走行性に関わる重要部品
それがサスペンションです
はじめまして、「Glory Hole」の小山と申します。バージンハーレーさんより「サスペンションの選び」の注意点について解説をと依頼され、担当させていただくことになりました。よろしくお願いいたします。
サスペンションの選び方をご紹介する前に、まずはサスペンションの役割についてご説明いたします。サスペンションは「路面からの衝撃を吸収する」、「車体を支える」、「車輌の姿勢を変化させる」の3つの役割を果たしています。まず「路面からの衝撃を吸収する」とは、走行中にギャップを乗り越えるときなどにガツンとくる衝撃を、前後のサスペンションでやわらげ乗り手に伝えないようにすることです。次に「車体を支える」は200kg以上あるハーレーの重さを前後サスペンションで支えること。「車輌の姿勢を変化させる」は路面の状況に応じて前後サスペンションをストロークさせ、最適な走行状態に姿勢をコントロールし、不安なくコーナーを曲がれるようにすることとなります。
サスペンションというと「ああ、バネね」とイメージする方が多いですが、前後サスペンションともオイルや場合によっては空気を利用して機能する仕組みになっています。もしサスペンションが伸び縮みするスプリングだけで構成されていたら、縮んだスプリングが伸びるときの動きが早すぎたり「びよーん、びよーん」といつまでもスプリングが伸び縮みしてしまったり、車輌の姿勢が安定しなくなります。そのためにサスペンションの内部にオイルを入れ、バネの必要以上の動きをサスペンション内部でオイルを流動させ抵抗を加え制御しているのです。バネをオイルで制御するこの機能は、ダンパーと呼ばれています。
きっちりと仕事をしてくれる
サス選びをしてください
ハーレーのカスタムではサスペンション交換というと「ローダウンのため」と言う方が多いのが現状です。しかし、サスペンションが上記の3つの役割を果たしていることを考えず「ただ短ければいい」などの理由でサスペンションを選ぶと、快適な走行に支障をきたすことがあるので注意してください。たとえば、短すぎるサスペンションの場合、サスペンションがフルボトム(バネが限界まで縮んでしまうこと)するリスクが高く、フルボトムした状態でさらに路面から衝撃が伝わると、乗り手に路面からの「ガツン」とした衝撃が伝わってしまい、ハンドルが取られてしまうなど危険なこともあります。また短いサスペンションではバネが硬く設定されていることもありますが、硬すぎるバネの場合、サスペンションがきちんと仕事をしてくれません。サスペンションは硬すぎてもダメ、柔らかすぎてもダメ、乗り手の体重や乗り方に合わせて調整するのが本来の使い方なのです。
と言っても、身長やカスタムスタイル関係からサスペンション交換をしたいのは私もよくわかります。その場合は経験豊富なショップに相談してください。サスペンションは「購入したものをただ取り付けて終わり」ではない非常に重要な機能部品です。本来合っていないサスペンションが取り付けられている(他モデル用の流用など)、前後のサスペンションのバランスが合っていない、リアサスペンションが短すぎてタイヤがリアフェンダーに干渉してしまう、など酷い状態の車輌も見かけます。また、「安いから」と低価格のサスペンションを選んでしまうのも考えモノです。安いモノはそれなりの仕事しかしてくれません。サスペンション1つでハーレーに乗るのが楽しくもなり、苦痛にもなります。プロに相談しながら、いつも楽しい状態でハーレーに乗れるサスペンション選びをされることをオススメします。
コラム
サスペンションのメンテナンス
サスペンションは距離を走り、バネが伸縮を繰り返すと次第にヘタってきます。密閉された空間で流動するオイルも熱で劣化したり、汚れてきたりするのがその原因です。動きが渋くなってきたサスペンションはオーバーホール、もしくは交換が必要ですので、サスペンションにもメンテナンスが必要だと覚えておいてください。
サスペンションのオイル粘度
「サスペンションを硬くしたい」とサスペンション内部のオイルを硬くする方もいるようですが、これはオススメできません。オイルを硬くするとサスペンション内部でのオイルの動きが遅くなり、バネの動きを阻害してしまいます。バネの動きを「阻害」ではなく「コントロール」するのがオイルの役割です。サスペンションオイルは取り付けられているバネに合う指定粘度のモノを使用することをオススメします。