VIRGIN HARLEY |  日野 和江(ハーレーダビッドソンプラザ伊丹スタッフ)インタビュー

日野 和江(ハーレーダビッドソンプラザ伊丹スタッフ)

  • 掲載日/ 2009年04月15日【インタビュー】

ハーレーインタビューの画像

ハーレーへの知識はまだまだですが
ハーレーへの愛情は負けません!

街や各種イベントで見かけるハーレー乗りが女性だった。こんなことは今では珍しいことではなくなっている。ハーレー乗りの1割は女性だ、というデータも見た記憶がある。女性のハーレー乗りがこれほど増えたのは、乗りたいと思う女性が増えたことが一番の理由ではあるが、全国のショップに勤める女性スタッフの功績も大きいはず。ハーレーに乗る女性スタッフがハーレーに対する不安をひとつずつ解消し、その姿を見てハーレー乗りになったという女性ユーザーも多い。そこで、今回は全国に点在するディーラーの女性スタッフの代表として「ハーレーダビッドソンプラザ伊丹」の日野さんに話を伺ってきた。

Interview

自転車で風を切る楽しさを知り
ハーレーに乗るようになりました

ー免許を取ったのはいつ頃だったのでしょうか。

日野 ●19歳のときに中型免許は取りましたが、ハーレーに乗るようになるまでバイクにはほとんど乗ったことはありませんでした。兄や友人がバイクに乗っていて、その影響からか何となく取っただけだった気がします。車の免許より先に取ったのにもったいない話です。まさか私がハーレーに乗るようになり、それが仕事になるとは思っていませんでした(笑)。

ー10代の頃は何に夢中になっていたんですか。

日野 ●中学では陸上部、高校では軽音楽部に入っていてドラムをやっていました。ボーカルかドラムしかパートが空いていなくて、「人前で歌うのは絶対に嫌だ!」と選んだだけなんですけれどね。そんな感じで、バイクの“バ”の字も感じられない10代でした。

ーそんな日野さんが、バイクに乗ることになったきっかけとは。

日野 ●寺田モータースに入社する前は介護施設に勤めていたのですが、毎日1時間かけて自転車で通勤していたんです。自転車で風を切って走る気持ち良さを知ったのですが、夜遅くに仕事が終わったり、朝早くから仕事が始まるシフトになって、自転車通勤が難しくなってしまったんです。それで「自転車と同じ気持ち良さを感じられるのはバイクかな」と思うようになりました。

ーで、選んだバイクがいきなりハーレーだった、と。

日野 ●ハーレー以外を扱うショップも見に行ったのですが、いまいちピンとこなくて…。「バイクに乗るならハーレー」という思いも漠然とあって、近所だった寺田モータースで最初のハーレー「XL1200R」を購入しました。

ーXL1200Rを購入するときには、もう大型免許は持っていたんですか。

日野 ●契約書にハンコをついてから教習所に通いはじめました。中型免許を取ってからほとんどバイクに乗っていなかったので、教習の1段階は大変でした。久しぶりのバイクに慣れるまでは「私、何でこんなところにいるんだろう? なぜハーレーに乗ることにしたんだろう」と大変な思いをしました。

ー女性にはそういう思い切りのいい人が多いですよね。でも、購入前に「初めてのバイクがハーレーで大丈夫か」なんて迷いはなかったのでしょうか。

日野 ●それまで自分でバイクを所有したことがなく、何も知らなかったのが良かったのだと思います。怖いもの知らずだったんですよ。試乗もせず購入を決めていましたから。迷いや不安は教習所に入校してからたっぷり味わいましたね(笑)。

ーで、XL1200Rに乗り始めたわけですが、エンジンガードなどは納車時に装備していましたか? 初めてのバイクだと立ちゴケなんかが不安になると思いますが…。

日野 ●着けませんでしたね。車高を落としてポジションを私に合わせてもらったくらいです。幸い立ちゴケをすることもなく、安心して乗ることができるカスタムより、「メッキパーツを増やしたい。ポジションをもう少し変えたい」なんて、見た目のカスタムに興味が向いていました。

ーそのXL1200Rは半年で乗り換えたそうですが…XL1200Lへの乗り換えだったとか。なぜ同じ1200シリーズにしたのですか。

日野 ●XL1200Rも自分にあったポジションにしてもらっていたのですが、新しく発表されたばかりのXL1200Lは「こんな風にカスタムしたかったの!」と思える仕様だったんです。エンジンもメッキ仕様だったので、迷うことなく乗り換えを決めました。

古い新しいは気になりません
ショベルもツインカムも大好きです

ー寺田モータースに勤めることになったきっかけは?

日野 ●お客さんとしてショップに通ううちに「働いてみないか」と誘われたのがきっかけです。スポーツスターは楽しんで乗っていたものの、ハーレーに詳しくなっていたわけではなく、メンテナンスも自分ではできない。しかも、営業経験もありませんでしたから「私には無理です」と最初はお断りしていたんです。でも「経験なんか関係ない。ハートで仕事したらいい」と言われて…。心のどこかで面白そうだな、と思っていたこともあって、思い切ってチャレンジしてみることにしました。

ー入社してからはハーレーにどっぷり浸かってしまったらしいですね。勤めはじめて間もなく、ショベルヘッドのローライダー(以下、ショベル)を増車したと聞きましたよ。旧車にも興味を持ち始めたわけですね。

日野 ●古いモデルだと知らずに興味を持っちゃったんです。たまたま店頭にあったそのショベルが私の好みのスタイルだったんですよ。タンクがシルバーでマフラーの形状も好みで「これ売り物? いくらですか?」って、それだけを確認して手に入れちゃいました。どのくらい古いモデルなのか、現行モデルとは何が違うのか、といったことについては購入した後に少しずつ知りました。

ー現行車と同じようには扱えなかったでしょう。キック始動だったり、トラブルに悩まされたり。そのあたりは大丈夫だったのですか。

日野 ●セルがついている年式でしたから…キックは使ったことがありません(笑)。かなり程度のいい車両でしたし、トラブルに悩まされることもなかったですね。寺田モータースには旧車に強いスタッフもいるので、調子よく維持しながらXL1200Lと交互で通勤に使っていました。私みたいなメカ音痴でもショベルに乗ることができる、いい環境に恵まれているんですよ。

ーショベルヘッドを手に入れて旧車の魅力にハマることはなかったのでしょうか。次はパンヘッド、ナックルヘッドと旧いモデルに遡るとか…。

日野 ●それはありませんでしたね。旧い新しいはあまり気にならないんです。ショベルヘッドの次に購入したのは、XL1200Lからの乗り換えで、ツインカムのヘリテイジだったくらいです。たまたま見た目で気に入ったハーレーがショベルだったというだけですね。私のショベルヘッドは結構人気のモデルみたいですが、その辺のことも未だに疎いんです。自分が気に入っていて、乗っていて楽しいければOK。ウンチク的なところには相変わらず弱いんですよ(笑)。

ーXL1200Lからヘリテイジに乗り換えたのはなぜでしょう。

日野 ●前から「もうちょっと荷物の積載ができたらいいなぁ」と思っていました。積載スペースがないので、通勤のときもバッグを背負っているのが段々面倒になっていたんですよ。そんなときに中古車でいいヘリテイジが入庫されたので、乗り換えることにしました。ショベルヘッドで大きなハーレーにも慣れていましたから、スポーツスターからビッグツインへの乗り換えに不安はありませんでしたね。実は、それまでヘリテイジスタイルは好きじゃなかったんですよ。フロントのスクリーンなど装備が大げさ過ぎると思っていたんです。でも、いざ乗り始めてみたらスクリーンも、左右のサドルバッグも便利で。それまでのスタイルの好みはヘリテイジに乗り始めて大きく変わってしまいました。

ーそのヘリテイジを経て、今のFLTRに辿りついたわけですね。

日野 ●FLTRはずっと気になっていたモデルだったんです。さすがに頻繁に乗り換えるわけにもいかず、将来の楽しみに取っていました。でも、このオレンジのカラーのモデルが入ってきて我慢できなくなっちゃいました。毎年カラーリングが変わるので、今手に入れないと来年はなくなっているかもしれませんから(笑)。

ー女性でツアラーに乗る人はまだまだ少ないようですが、日野さんに影響を受けた女性のお客さんもいるのではないですか。

日野 ●私がヘリテイジに乗り換えたときに、スポーツスターからヘリテイジに乗り換えてくれたお客さんはいましたね。やっぱり、同じ女性が大きなハーレーに乗っていると安心できる部分はあると思います。乗りやすくするためにどんなカスタムをしたのかなど、自分の口で説明することもできますから。「ホントはこのモデルに乗りたいけれど自信がなくて…」という女性の方は結構多いんですよ。もちろん無理に勧めることはありませんけれど、不安を解消するために私ができることは、何でも説明するようにしています。

ーベテランのスタッフが多い寺田モータースですが、それは日野さんにしかできないこと、女性スタッフならではサービスですね。

日野 ●「歴代のハーレーがどんな風に仕様変更してきたのか」といったことなどはお客さんの方が詳しいことがあるくらいですが、自分の経験の中からお客さんに伝えられるものがあるのは嬉しいですね。自分の話した一言が、お客さんがハーレーに乗り始めるきっかけになる。ハーレーは決して安い買い物ではないので責任重大ですが、皆さんのハーレーライフのきっかけに関われれば幸せです。

ーショップのツーリングなどでも活躍しているようですね。

日野 ●道を間違えたり立ちゴケをしたり、とそんな活躍の仕方ですけれどね(笑)。ツーリング中に車列が途切れ、私が先導することになり、道を間違えてしまったんです。Uターンしようとしたら慌てて立ちゴケ…。そのときはベテランのお客さんに助けてもらいました。まだまだお客さんに助けられることが多い私です。

プロフィール
日野 和江
兵庫県の「ハーレーダビッドソンプラザ伊丹」スタッフ。初めてのバイクでいきなりスポーツスターを選び、ハーレー歴はまだ5年と経っていないものの、すでに5台のハーレー歴を持つ。現在は1980年式ショベルヘッドローライダーと2009年式FLTRの2台を所有する。

Interviewer Column

日野さんのハーレーへの付き合い方はなかなか変わっている。勢いでスポーツスターを購入したことにはじまり、旧車だと意識せずにショベルを手に入れるなど、直感的な出会いからすでに5台のハーレー遍歴を持っている。日野さんのようなハーレーとの付き合い方は女性には多い、と以前から感じていた。買う前にじっくりと悩んだり、年式やウンチク的な部分にこだわったりするのは男性に多い気がする。女性はそういった難しいことを気にせず、素直にハーレーを楽しむ人が多いのだ。どちらが正解というわけではないが、日野さんのようなハーレーの楽しみ方は見ていて気持ちが良く、それがきっとお客さんにも伝わっているのだと思う。

取材・文・写真/ターミー
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