メイン写真

毎号が創刊号で、毎号が最終号
その思いでVIBESは創られています

hostbarVIBES創刊時から現在に渡って貫いてきたテーマ、スタイルなどはあるのでしょうか?

只野●基本はやはり「バイカー」であり「人間」です。たとえ、どんなにカッコいいチョッパーであっても、カッコ悪い人が乗っていると終わってしまいます。カッコいいバイカーがいて初めてカスタムが活きてくるわけです。人間の持っている鼓動(VIBES)とハーレーが持つ鼓動(VIBES)。その二つが一緒になって初めてカッコよくなる、と私は考えます。だからこそ、VIBESはバイカーの生き方、バイカーが何を考えているのか、バイカーのハーレーに対する・仲間に対する想い、を追い続けていきたい、と考えています。これは将来もきっと変わらない不変のテーマです。

hostbarVIBESが変わらないテーマを貫き続けてきたから、日本のハーレーシーンは大きく育ったのでしょう。日本のハーレーシーン、ハーレー文化と言ってもいいかもしれませんが、それはVIBESが育てたと言っても過言ではないでしょう。

イメージ只野●最近になってやっと日本の中でハーレーが「文化」になりつつあるのかな、と思いますがVIBESを創刊した頃には「文化」という言葉は怖くて使えませんでしたね。VIBESを創刊してからしばらくは「今はハーレーブーム」と言われていました。VIBESが伸びているのはブーム、ハーレーが売れているのもブーム、そう思われていたんです。「日本人は熱しやすく冷めやすいから、かつてのレーサーレプリカブームのようにブームが終わればハーレー人気も一気に落ちるだろう」そう言う人もいました。

 

最初は確かにブームだったかもしれません。でも私は「ブーム」で終わらせたくはなかった。じゃあどうすれば「流行」で終わらないのか、を考えてバイカーたちの姿を紹介して行こうと決めたんです。バイカーの人たちはいくら年月が経ち、時代がどれだけ変わろうとも、生き方は変わりません。そういう人たちの生き方をVIBESが伝えていくことで、ハーレーが時代に飲み込まれず、流行だけで終わらず、ハーレーが社会に定着していくだろうと考えたわけです。VIBESが不変のテーマを掲げ続けているのには意味があるんです。

hostbar変わらないテーマで、これだけ長く発行している雑誌となると、なかなか見当たりません。読者の人が飽きないよう、長く読んでもらえるように心がけていることはありますか?

只野●決して妥協せず誌面を創ること、ですね。編集の人間には「手を抜くな、毎号が創刊号で、毎号が最終号だと思って真剣に作れ」と嫌になるほど言い続けています。たった1ページであっても手を抜いてしまうと、もう読んでもらえなくなりますから。ずっと読んでくれていた方が一度VIBESを買わなくなってしまうと、なかなか戻ってきてもらえません。長く雑誌を読んでいると、そういう時期は当然出てくるものかもしれませんが、創り手の我々としては毎号を真剣勝負で創り、毎月読んでいただける本作りをしなければいけません。

hostbar私はバイク自体への興味が薄れてしまったことがあり、VIBESを買わなくなった時期がありました。でもハーレーに出会い、またVIBESを買うようになりVIBESのスタイルが変わっていなくて、安心したことがありましたね。

只野●「偉大なるマンネリズム」と言われることがありますが、いつ戻ってきても「VIBESは変わってないね」と安心できる本でありたいと考えています。「VIBESは変わってしまった」と言われるのは寂しいですから。事情があってハーレーを降りてしまった人、乗らなくなってしまった人がいつハーレーに戻ってきても、VIBESは変わらずそこにある、いつ戻ってきても楽しんでもらえる、そういう雑誌でありたいですね。いい意味で変化する、進歩していくことは当然必要で、その努力はもちろん怠っていません。しかし変えてはいけない部分は変えない、そのポリシーはこれからも貫いていきます。

hostbarそこまでの情熱を捧げ、月刊誌を発行していながら、年に一度「VIBESミーティング」を開催されていますね。準備にも時間がかかり、運営するのは本当に大変だと思います。ミーティングがVIBESの原点だから、毎年「VIBESミーティング」を開催し続けているのでしょうか?

只野●そもそもVIBESミーティングを始めたのは、創刊してから1年が経ち、スタッフや協力してくれた方を集めて慰労会をしよう、それがきっかけでした。当時はこのままVIBESが続いていくのかもわかりませんでしたから「どうせだったら、VIBESを読んでくれている読者の人にも来ていただいて」と誌面で呼びかけました。そうしたら160人もの人が集まってくれて。集まってくれた方たちと一緒にお酒を酌み交わし、夜通し話をして「ああ、VIBESを創刊してよかった」と1年を振り返って見ることができました。来てくれた方も皆楽しんでくれていましたので「来年もやるぞ」と。そうやって毎年場所を変え、開催していったのがVIBESミーティングです。読者同士が知り合って、楽しくお酒を飲んでいる姿を見ると「続けてきてよかったなぁ」と毎年思います。

hostbarVIBESを通じて「カスタムを楽しむ」だけではなく、「乗って楽しむ」、「出会って楽しむ」を知った方は多いでしょう。日本の各地でこれほどミーティングが盛んになったのはVIBESの影響が大きいのでは?

只野●ミーティングがすべてだとは思いませんし、肌に合わない人もいるでしょう。でも、ぜひ一度でいいですからミーティングには遊びにいって欲しいですね。「ハーレーがもっと楽しくなる場」がミーティングだと思いますから。もちろん、ただ遊びに行って遠目から眺めているのでは何も始まりません。積極的に周りの人に声をかけて欲しい、自分たちの仲間内で楽しむのではなく、例えば隣のテントの人に挨拶でいいから声をかけて、交流して欲しいと思っています。いろんなところで交わされる挨拶がつながって、仲間が広がっていくのがミーティングの素晴らしさですから。

hostbarミーティングは「怖そうな人たちが集まる」というイメージを持っている人もいますが。

イメージ只野●ミーティングをそういうイメージで見ている人は多いでしょうね。一度ミーティングに足を運んで、参加している方と話せばそのイメージはすぐ払拭されるはずです。みんな笑顔で迎えてくれますよ。VIBESも昔からアウトローの雑誌というイメージで見られてきました。そう思っている方にはぜひ中身をじっくりと読んでもらいたい、中を読んでもらえればVIBESはアウトロー雑誌ではないということがわかりますから。真面目なことをいっぱい書いていますから。それをわかっていただくために、勘違いされないために、私も他のスタッフも全国各地でいろんな方と話をしています。そうやってお互いに話をすることで、少しずつ誤解が解けたり、理解してもらえたり、そういう出会いを14年間少しずつ積み重ねてきました。誌面だけでなくそういう草の根の活動があって、今のVIBESがあるわけです。雑誌だから、取材だからと偉そうにせず、読者の人と同じ立場で、同じバイカーとして、みんなと同じようにテントを張って、同じ飯を食べ、一緒にお酒を酌み交わす、そして同じ目線で話を聞かせてもらう。スタッフ全員がそうやって動くことでVIBESが本当に伝えたいことが理解されていくわけです。

hostbar見た目だけでなく中身を見て欲しい、ということですね。

只野●掲載されている人は怖そうに見える人もいるでしょう。しかし、雰囲気だけで判断せず、文章をちゃんと読んでみてください。タトゥーが入っていて、長い髪で髭も生えていて、外見はアウトローに見えるかもしれないけれど、人に迷惑はかけず、こんなにカッコよく生きているんだよ、実はこんな真面目なことを考えているんだよ、こんないいことを言っているんだよ、と紹介していますから。VIBESは読者の人に何かを押し付けているわけでもありません。こういう人がいる、こんな考え方の人がいる、VIBES編集部はこう思う、そこまでしか書いていません。記事を読んで感動するのか、自分とは違うと判断するのか、そこは皆さんに考えていただきたい、そう思っています。

hostbar好きで乗り始めたハーレーとは言え、そこまで情熱や時間を割いてしまうとハーレーが嫌になることはないのでしょうか。

只野●バイクに乗ること、旅をすることが仕事になってしまい、企画も浮かばず、何にもできなくなった時期はありました。遊ぶためならいろんなことも思いつくでしょうけれど、ずっとハーレーを仕事にしていると、何が楽しくて、何が楽しくないのかがわからなくなり行き詰まってしまうことがあったんです。一番好きなハーレーを仕事にしてしまったので、一番嫌なこともハーレーになってしまって。

どれほど楽しい仕事でも嫌なことは当然ありますよね。一番好きだったハーレーの世界にも嫌なことが出てきてしまうんです。趣味の世界であれば楽しいことだけを見ていればいいのでしょうけれど、仕事ですから悪いことも受け入れなければいけません。それに耐えられなくなったことが何度もありました。

hostbarどうやって克服したのでしょうか?

只野●「今やめていいのか?」と自分に何度も自問自答し、仕事を続けました。親しいバイカーたちに相談したこともあります。あるバイカーから「オマエの悩みなんてちっぽけで、そんなことでVIBESをやめてしまうのか。そんなことを吹き飛ばすくらい大勢のバイカーがVIBESを愛して、VIBESが出るのを楽しみにしているんだぞ」と言われました。その言葉で答えが出ましたね「やめるわけにはいかない」と。克服したというより、結局はやめなかったというだけです。バイカーたちの笑顔と、気持ちよく走る姿を見ていたらやめられるわけがないですよね。私の苦しい思いを支えてくれたのは読者であり、やっぱりバイカーたちだったんですよ。支えられる度に私自身がVIBESという本にのめり込んでいったんです。

バイブズ VIBES 公式サイト

INTERVIEWER COLUMN

今回のインタビューは極めて個人的な興味で取材させていただいた。ハーレーに興味を持ち、私が最初に買ったハーレー誌はVIBESだった。VIBESを読みながら「いつかはハーレー」という気持ちを高ぶらせてきた。VIBESで紹介されるハーレーオーナーの記事や読者ページを読みながら、いつの間にか「いつかはハーレー」が「もうすぐハーレー」に変わり、気が付けば「今すぐハーレー」になりハーレーを買ってしまった。カスタムハーレーだけを見ていても「今すぐほしい」とはきっと思わなかっただろう。ハーレーオーナーの笑顔を見て、ハーレーの魅力を語る記事を読み、ハーレーの世界に飛び込んできた。なぜ私はこれほどハーレーに惹かれたのか、なぜVIBESを読み続けているのか、只野さんにお会いしてVIBESへのこだわりをお聞きすることで、その疑問が解けた。モノではなく人、そのこだわりに心を動かされて私はハーレーにたどり着いたのだろう。(ターミー)

spacer