VIRGIN HARLEY |  高本隆弘(飲食系チョッパー乗り)インタビュー

高本隆弘(飲食系チョッパー乗り)

  • 掲載日/ 2008年02月27日【インタビュー】

ハーレーインタビューの画像

自分なんかが乗っていいのか…
ハーレーは雲の上の存在でした

あらゆる業種で活躍する、一流の男たちが愛車に選ぶハーレーダビッドソン。 今回は東京ドーム近くで飲食店を営む高本さんに、ハーレーとの関わり方についてお話を伺ってきた。料理やお酒にこだわり、お客さんを100%の真心で満足させる高本さんのお店。人を喜ばせるのが大好きだという高本さんは、16時の開店前から24時の閉店まで休みなく仕事に打ち込む。夢と情熱を持ってお店を経営しているものの、オフになればそんな自分を休ませたい時もある。そんな貴重な時間を共に過ごすのが、愛車であるFXSTソフテイルスタンダードである。ハーレーだからこそ得られる時間が、高本さんには大切なひとときとなっているようだ。

Interview

ハーレーとの出会いは中学生のとき
EASY RIDERを見たのが最初です

ー高本さんのお店は一見ハーレーとは無縁なように思いますが、ハーレー乗りがたくさん集まるそうですね。

高本●ボクがハーレーに乗っていることは取り立てて宣伝してないのですが、人づてに広まってハーレー乗りたちが集まってくれるようになっていますね。でも、お店は“居心地のいい空間”、“うまい肴とうまい酒”“がウリな居酒屋ですから、大半はオートバイには興味のないお客さんがです。お店に入っても“ハーレー乗りがやっているお店”というようなアピールは何一つありませんし、ハーレーやオートバイの気配はまったく感じないと思います。

ーお店は料理とお酒で勝負、そういうわけですね。

高本●もちろん、そうなります。もともとボクは料理が好きで、小学生の頃にはひと通りの献立はつくれるようになっていました。ウチは両親が共働きでボクは典型的な鍵っ子でしたから、運動会の弁当も自分でつくって、しかも弟の分までボクがつくっていました。弟は単純で、辛めのシャケに玉子焼き、それからホウレン草が入っていればOKなんです。それに比べるとボクは昔から食べ物にはうるさくて、毎日違うおかずを考えて、いろいろなメニューに挑戦していましたね。

ー食通の小学生、なんだか可笑しいですね。チョット変わった子供だったんですか?

高本●そうでもないですよ。剣道と野球に夢中になっているフツーの子供だったと思いますけどね。東京の杉並区に住んでいたんですが、自転車で遠くへ行くのが好きで、友達と奥多摩まで走って行ったこともありましたね。中学生になると洋楽にハマりはじめました。ロックンロールに憧れてローリング・ストーンズ、エアロスミス、ステッペンウルフとかを聞くようになり、ステッペンウルフが主題歌を歌った映画「EASY RIDER」とも出逢ったってわけです。ハーレーのワイルドなイメージにイチコロで、ハーレーにもロックを感じましたね。

ーそのまま高校生になってオートバイ乗りに?

高本●そうしたかったんですが、“三ナイ運動”があったおかげで、オートバイの免許は取れませんでした。どうしても乗りたい友達は隠れて乗っていましたが、ボクにはそこまで情熱はありませんでした。ハーレーはカッコイイと思っていましたが、高いし乗れませんからね。高校を卒業するのを待ってオートバイに乗り始めました。

ーハーレーは好きだったけど、オートバイにはそれほど興味がなかった?

高本●ええ。でも卒業後、トモダチに原チャリを借りて乗った時、強烈な感動を受けましてね。自転車のように漕がなくても、オートバイならアクセルを捻るだけでいろいろなところへ行ける。30km/hも出ていなかったのでしょうが、風を感じたんですよ。それからオートバイに惹かれていって、クルマの免許を取れる年齢になっても、先にオートバイの免許を取りました。当時はレーサーレプリカブーム。仲間たちは2ストのヤマハ「TZR250R」とかホンダ「NSR250R」なんかに乗っていたんですが、ボクは天の邪鬼で、4ストが好いって言ってホンダ「CBR」にしたんですよ。加速ではいつも置いていかれて、タイヘンでしたけれどね。でも大勢で走るよりも、オートバイは一人で乗るのが好きでしたからパワーなどに不満はありませんでした。

ーそれ以降、ずっとオートバイが手元にあったのでしょうか?

高本●それからホンダ「XLR250」や「CB400Four」を乗り継いでいましたが、仕事が忙しくなって乗らなくなっていました。友人を事故で無くしたのも、乗らなくなった原因の1つかもしれません。その友人とは、ある日久々に再会してお互いにオートバイに乗ってるってことで盛り上がって。「今度、一緒に走ろうぜ」みたいな話を交わしたんですが、しばらくすると事故で亡くなったという報せが届いたんですよ。言葉がでませんでしたね。本当にいろいろと考えさせられました。

ーそうですか…。それでもまたオートバイに戻ってこられた。それはいつ頃ですか?

高本●はい。23歳から3年くらいのブランクを経て、です。26歳でヤマハ「ドラッグスター1100」を買ったんですよ。知り合いから「大型二輪免許が、教習所で取れるようになった」という話を聞いて、急にオートバイに乗りたくなりました。友人の事故のショックからも立ち直ってましたし。それで近くのショップに行くとドラッグスターがあって、カッコ良いなぁと。クルーザータイプなら安全だろうし、すぐに購入しましたね。当時の僕はすでに居酒屋の店長だったので、安全性は絶対でした。安全に楽しむことは、ライダー復帰する際に自分に課した条件だったんですよ。

ハーレーには人を繋ぐ力がある
そんな魅力があると思いませんか?

ードラッグスターを購入して、次にハーレーを購入されたんですよね?

高本●はい。ドラッグスターを買ってから5年後、31歳で独立して今のお店をはじめたんです。オープン後3年ほどは、それこそ休む暇なく働きました。ほとんどバイクにも乗ってませんでした。それでも、ありがたいことに3年ほどでお店も軌道に乗り始めまして。ご褒美として、ソフテイル・スタンダードを新車で購入したんです。2004年4月のことですね。

ーどうしてハーレーに? 中学生のときのEASY RIDERの影響でしょうか?

高本●それも潜在的にはあります。ただ直接の影響は、独立する前に「しばらくはオートバイに乗れないだろう」と行った北海道での出会い。当時乗っていたドラッグスター1100で行ったんですが、その時にいかにもEASY RIDERに出てきそうなショベルチョッパーの方に出会って。その姿に完全にやられちゃって、「いつか絶対にハーレーに乗りたい」って思ったんです。ソフテイルスタンダードを選んだのも、チョッパーにカスタムしたかったから。ノーマル状態で最もチョッパーにしやすい形ですからね。

ー念願のハーレーに乗ってみて、いかがでしたか?

高本●正直、“ハーレーは自分にはまだ早い”と思っていたんですよ。納車のときも信じられなくて、「オレなんかがハーレーに乗っていいのか」って自問自答(笑)。なんだかコッ恥ずかしかったことを覚えています。性能的に見ればドラッグスター1100の方が速いし、ハーレーのノーマルマフラーは音も静かで物足りないなっていうのが第一印象でした。ただ、乗っていて飽きない乗り味はハーレーならでは。

購入してからは、すぐにマフラーやハンドルを換えるカスタムがはじまりました。やっぱりチョッパースタイルがベースですね。購入から4年近く経ち、ローンも終了。カスタムも一通り終わりました。最近やっと自分だけの愛車って感じになった気がします。特にカスタムペイントを入れてもらった時に“自分だけの1台”という感覚を持ちましたね。

ーハーレーの魅力は何でしょうか

高本●エンジンの鼓動とかももちろんそうですが、ハーレーに乗って驚いたのは、人との出会いが一気に広がっていったこと。イベントでの出会い、信号待ちで声をかけあうなど、人と出逢うきっかけをつくってくれました。ハーレーを商売道具にしている気はまったくないのですが、ハーレーのおかげでお店に来てくれる人がいらっしゃることはとても嬉しいことです。

ー接客のお仕事はストレスも多いとは思いますが、休日はハーレーでリセットいうわけですか。

高本●そうですね。人と話すのが好きなので接客は苦にならないのですが、その反動なんでしょうか、休日は一人で過ごすのが好きですね。ハーレーに乗る時もあんまり大勢だとサービス精神がつい出てしまって、他の人が楽しんでいるのかが気になっちゃうんです(笑)。だから誰かと一緒に走るときは、気のあった仲間たちと走るのがほとんど。仲間と走っていると気を遣わないですし、楽しいですからね。平日しか休めない仕事なので、ハーレーに乗るまではオートバイ仲間ができなかったんですが、ハーレーになってからは平日でも走れる仲間と知り合えて、オートバイライフも充実しています。不思議ですよね、ハーレーって。人と人を繋ぎあわせる力があるのでしょうか。

プロフィール
高本 隆弘
東京都杉並区出身。37歳。東京ドームのすぐ近くで居酒屋「たかの家」を経営。中学生の頃に見た映画EASY RIDERに影響を受け、ハーレーに憧れ続ける。26歳で大型二輪免許を取得し、4年前に念願のハーレー2004年式ソフテイル・スタンダードを購入。

Interviewer Column

「ボクでいいの?」。取材中、高本さんは何度もこの言葉を口にした。高本さんがハーレーを買ったのは4年前。若干31歳だった6年前に飲食店を開業させ約3年、従業員も抱える人気店へと成長を遂げ、成功した経営者として名乗りを上げた時期にハーレー乗りへの仲間入りを果たしたわけだが、そんな右肩上がりの時期だというのに、納車の時には「こんなオレがハーレーに乗っていいの」と心の中で繰り返しつぶやいたという。そう、高本さんは己を大きく見せようとしない謙虚な人なのだ。そんな謙虚さは、どこから来るのか。それは高本さんのハーレーに対する大きな尊敬と憧れからだと思う。

高本さんは中学生の頃から映画EASY RIDERや片岡義男小説、はたまた「ナナハンライダー」や「バリバリ伝説」などから、オートバイ乗りに対する尊敬や憧れる気持ちを抱いてきた。そんな想いは昨日今日、ハーレーや大型バイクに興味を持った人には解らぬ大きく重たいものだ。いくら、ハーレーが乗りやすくなったといえども、やはりハーレー乗りには特別な何かが必要とされる。偉大なるハーレーダビッドソンに自分が乗る。跨がるたびに感じる、その感動。そういうものを、ボクもいつまでも大切にしていきたいと、高本さんに出逢って改めて感じることができた。(青木タカオ)

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