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ハーレーの危機を救った
画期的なエンジン

年表エボリューション(以下、エボ)は21世紀のハーレーへと繋がるエポックメイキングなエンジンだ。“進化”と名づけられたことからわかるように、ハーレーはこのエンジンに大きな期待を持って開発を進めていた。実際、過去に経営難に陥っていたハーレーを救ったのはこのエンジンなのだ。従来までの「ハーレーは壊れやすい」と言ったイメージを覆したのはエボのおかげ、と言っても過言ではない。また、ショベルヘッド時代はFL、FXの2系統で分類されていた各モデルを“ファミリー”の区分で細分化されはじめたのは、このエンジンの登場からのこと。リジッドフレームのようなルックスが人気のソフテイルファミリーの登場や、ダイナローライダーを筆頭にショベル時代のFXモデルが進化したダイナファミリーなど、現在のハーレーのモデルラインナップはエボリューションの時代に形作られているのだ。

デジタルとアナログ良さを
併せ持つ、バランスのいいエンジン

旧車の写真エボリューションエンジンが登場した当初は“エボバッシング”と呼ばれた批判が湧き起こり、ツインカム88エンジンが登場した直後には必要以上にエボを評価する声が上がった。しかし、現在ではエボエンジンの魅力は冷静に評価され始めているようだ。エボはハーレー経営陣によるAMF社からのハーレー株式のバイバック後(1981年)、初めて登場する新型エンジンであり、メーカーの期待を一身に受けていた。新たに生まれ変わったハーレーを体現するエンジンである必要があった。それほど期待が高かったエンジンのため、ショベルヘッドの手直し程度で販売されるはずはなかったのだ。「冷却性、軽量化、メンテナンスフリー」この3点をテーマに掲げて開発されたエンジンは腰上に冷却性に優れるアルミ合金が採用されている。フィンの総面積の増加などと合わせて冷却性が高いエンジンとなり、エンジンチューニングを行うに充分な耐久性を持つに至った。ハーレーのエンジンチューニングが珍しいことでなくなったのは、ノーマルのエボの信頼性の高さが理由だと言われる。その他、エンジン精度・シール性の向上により、オイル滲みなどのトラブルが少なくなったのも「信頼性が上がった」と評価を受ける一因となったのだろう。このエンジンの登場がなかったなら、現在のハーレーの隆盛があったかどうか。そういう点では歴代ハーレーのエンジンの中で、もっともエポックメイキングなエンジンと言えるだろう。

 

モデルや年式によってフィーリングは違ってくるものの、一言でエボリューションの魅力で表すならば「信頼性が高く、旧車に近い鼓動を奏でる」エンジンだということ。ショベル、エボの点火系チューニングパーツは共通のモノが使用でき、ショベルに近いエンジンフィーリングにチューンすることも可能で共通点が多い。現に、初期の4速のモデルはショベルヘッドの腰下を使用するなど、ショベルヘッドの伝統を受け継ぎ生まれ変わったエンジンなのだ。エボはデジタルパーツが多く採用された最初のエンジンであり、ツインカムに繋がる新世代のエンジンではあると言える。しかし、ショベルヘッドの名残をも感じさせる“デジタルとアナログの間に立つ”バランスのいいエンジンなのだ。では、ツインカムとエボの差がもっともわかりやすいのは? これはソフテイルファミリーだと言える。エボソフテイルはエンジンがリジッドマウントのため、ツインカム後のバランサーが搭載されたTC96B、TC88Bエンジンとはエンジンの震え方、走行フィーリングが大きく違う。一方、ダイナやツアラーはエボの当時からラバーマウントが採用されていたため、ソフテイルほどエンジンの体感の差は感じられないだろう。ただし、点火チューニングなどで旧車テイストを求めていくのなら、ツインカム以上の結果が出しやすいためあえてエボのダイナやツアラーを選ぶのも手だ。エンジンが優等生になりすぎていず、旧車に近いテイストを楽しめる、しかも信頼性は高い。オーナーがエボリューションを選ぶ理由はそんなところにあるようだ。

車輌選びの注意点

旧車の写真エボが初めてのハーレーでもOK
手頃ながら信頼性が高いエンジン

数年前、ツインカム88登場直後にエボの中古車の価格が高騰した時期がありましたが、現在は価格は落ち着いてきています。まだまだ旧車と呼ぶには早いエンジンですが、古いモデルだと販売終了からもう20年以上が経っているのです。そんなエボが人気の理由なのは、ハーレーの信頼性が大きく高まった最初のエンジンであることでしょう。ショベル以前のモデル以上に手が出しやすい値段で、しかも安心感が得られるモデルだというのが人気の一因のようです。また、現行のツインカム96のインジェクションモデルや、ツインカム88のキャブレターモデルと比べても旧車風テイストを演出しやすいため、初めてのハーレーにあえてエボを選ぶ方もいます。販売当時の性能が良く扱いやすいモデルですから、初めてのハーレー選びの候補に入っていてもなんらおかしくないと思います。現行の新車を購入する予算があれば、エボの中古車を選べば車輌本体とカスタムまでできてしまうので、エボを皮切りにハーレーライフをスタートさせることもカスタム好きな方にはアリですね。ショベル以前のモデルと比べると、タマ数も豊富にあり、希望の年式・車種が見つけやすいのも魅力です。

 

ただし、信頼性が高く少々メンテ不足のままでも走れてしまうエンジンだったため、かなりの走行距離の車輌を走っている車輌も多いです。他にも、ミニメーターに交換され正確な走行距離が不明なモノ、丈夫だったがゆえに荒い乗り方をされたものが豊富なタマ数の中に含まれているのも事実です。購入時に、車輌の状態によってはベアリングや各部のオイルシール、ガスケット類など消耗品の交換をした方がいいかもしれません。走行距離は程度を測る大事な目安ですが、あまり走行距離の表示だけにとらわれず、距離以外の整備状態などと合わせ冷静に中古車選びを行ってください。購入後のメンテナンスやカスタムは、ツインカムにひけを取らないほどパーツの供給は安定しています。ツインカムでは使えない点火系パーツなど、エボならではのカスタムプランもあります。ハーレーの一番の魅力である“グッドサウンド&グッドバイブレーション”を色濃く感じつつも故障には怯えたくない、そんな欲張りなアナタにエボリューションはぴったりかもしれません。エボならではのハーレーライフを送ることができるでしょう。

 

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取材協力 Vegas Motor Cycles Vegas3
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