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強かった頃のアメリカを
感じさせるパンヘッド

年表戦後間もない1948年、日本の4大バイクメーカーがまだ形もなかった時期にパンヘッドは登場した。この当時にハーレーはすでに創業45年を数え、戦時中はアメリカ軍に軍用車輌を納入するなど、隆盛を誇っていた。現代から見るとパンヘッドは60年近く前に開発されたヴィンテージエンジンだが、パンヘッドは創業から進化を続けてきたOHVエンジンが熟成されたモデルなのだ。1948年〜65年のパンヘッドが現役だった頃、アメリカは自信に溢れた時代だった。

 

60年から始まったベトナム戦争で次第に社会不安が広がりつつあったものの、世界中が強いアメリカに憧れていた時期にパンヘッドは販売されていたのだ。現代のモデルと比べると、トルクフルなわけでもなく、日常で気を遣わなければならないことも多い。それでも多くのハーレー乗りを魅了するのがパンヘッドであり、ヴィンテージハーレーの代名詞の1つとなっている。

大きくわけて4世代ある
パンヘッドの仕様変遷

旧車の写真17年の歴史を持つパンヘッドは大まかに4世代にわけることができる。48年のみに生産されたスプリンガーフォークを装備したファーストイヤーモデル、49〜57年のリジッドフレームにテレスコピックフォークを装備した“ハイドラグライド”。58〜64年までのリアサスペンションが採用された“デュオグライド”。そして65年の最終年にセルモーターが採用された“エレクトラグライド”だ。48年モデル、通称“ヨンパチ”はなかなかお目にかかることはできず、 パンヘッドの中ではハイドラグライドやデュオグライドに出会うことがほとんどだろう。真偽のほどは定かではないが、ヨンパチにスプリンガーフォークが採用されたのは「前モデルのナックルヘッドに採用されていたスプリンガーフォークが余っていたから」という話もある。ハーレーのモデルチェンジの際は代替わりの際に、旧モデルの機構を一部受け継ぐことは珍しくなく、それが希少価値を生んだと思うと面白い話だ。なお、パンヘッドには1200ccのFL系と1000ccのEL系の2種類が当初はラインナップされていたが、EL系は52年で生産終了となりわずか5年だけ生産されたモデルとなっている。

 

現行モデルのデザインにも大きな影響を及ぼしているパンヘッド。機構的な部分は現代から見ると古く、現行車と同じ感覚で酷使することはできない。しかし、1つ1つの部品形状やエンジンの造形など、当時も工業製品として生産されたモノながら、見る者を惹きつけてやまない何かが感じられる。その魅力は当時から持っていたものなのか、時の経過とともに身に纏ってきたものなのか。パンヘッドの現役を知らないモノには判断できないが、時代を生き抜いて現在でも現役で走り回るパンヘッドを見ることがあったなら、ヴィンテージハーレーを求める人がいる、その気持ちの幾分かは誰にでも感じられるに違いない。最後に代表的な変更点を列挙する。

 

49年:テレスコピックフォークが採用される

52年:フットギアチェンジ、ハンドルクラッチのFLF登場。
    ハンドシフトが主流の中では「スムーズなギアチェンジができる」と好評を博した。

55年:エンジンが改良される。圧縮比が上がり、カムが変更されたことにより従来の55馬力から60馬力へと出力が向上。

58年:発電量が大きなジェネレーターを採用。油圧ドラムブレーキを採用し、制動力が向上。

59年:フレームが変更。スイングアームとリアサスペンションが装備された。

65年:エレクトリックスターター(セルスターター)を装備。12Vバッテリーを採用。
    現在に続くエレクトラグライドの名前はエレクトリックスターターを採用したことに由来する。

車輌選びの注意点

旧車の写真手間と費用は間違いなくかかります
日々のメンテも怠れないエンジンです

ショベル以上にパンヘッドはタマ数が少なく、アメリカ本国で状態がいいものを探すのも一苦労です。パンヘッドはかつてカスタムベースになっていたことが多く、ストックに近い状態のモノを求めるなると、かなり予算がかかると思ってください。パンヘッド以前のモデルとなると“安く状態のいいモノを”期待するのは残念ですが諦めたほうがいいかもしれません。ここまで旧いモデルとなると、ショップ独自がどれだけ情報網を持っているのか、が希望の年式や状態のモデルが見つかる鍵になってきます。少々時間がかかる覚悟を決め、根気強く待つ覚悟が必要です。また、発売後から40年以上経過しているモデルのため、納車前の整備も行った方がいいでしょう。当時の最新技術が使用されたとは言え、機構は古く、オイルラインには長年の汚れが詰まっているかもしれません。一通りの整備は行った上で乗るのが無難でしょう。

 

納車後の日々のメンテナンスも、トラブルを少なくパンヘッドと付き合っていくには必要になってきます。最近の、耐久性の高いトラブルフリーなハーレーと同じ感覚で付き合ってはいけません。キャブのセッティングの狂い、進角の調整、ドライブチェーンやプライマリーチェーンの調整など調子を崩さないために必要なメンテナンスは怠らないようにしましょう。定期的にオイル量のチェックを行い、オイル交換時はオイルを手にとり混ざっているものがないか、チェックするくらいの心がけで付き合ってください。日々の些細なチェックやメンテナンスを怠ると、大きなトラブルになって返ってきます。オーナー側が車輌を労わってやる必要のあるパンヘッドですが、調子のいいパンヘッドで街を流すのは、なんとも言えない気持ち良さがあります。出力はたいしたことはなく、現行車と同じペースで走ることはできませんが、何にも代えられない、パンヘッドにしかない、あのエンジンフィーリングは病みつきになることでしょう。ハーレーが好きで、好きがさらに高じて、そうしてパンヘッドに辿り着いた人でしたら、覚悟を決めてドロ沼の世界に足を踏み入れてください(笑)。

取材協力 MOTO BLUEZ 垂水店
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