VIRGIN HARLEY | ミシュランタイヤ COMMANDER II インプレッション 特集記事&最新情報

ミシュランタイヤ COMMANDER II
    取材協力/日本ミシュランタイヤ 取材・文/Out Rider 編集部 構成/Virgin-HARLEY.com 編集部
    掲載日/2012年6月22日(金)

長寿命タイヤの
ウィークポイントを見事に払拭!

愛車3本目となるタイヤを前後交換。どうせハーレーだもの、コーナーで寝かせるわけじゃないので手頃な値段のでいいやと選んだのがこれ。ミシュランがクルーザー向けに開発した「コマンダーII」。タイヤの減りが遅く、他社製に較べると約2倍も持つとの評判も聞いていたので、ツーリング・ユースにはちょうどいいと考えていたのだ。

 

実際に換装してみたら、単なるロングライフ・タイヤじゃないことが判明。高密度で剛性の高いカーカスを採用しているおかげで、スタビリティ (安定性) がよく、長時間の連続走行時にもタイヤがだれるような印象がない。またハンドリングが軽快で、コーナーでマシンを傾けていく際のローリング感がきわめてスムーズ。寝かしこんでいく際に途中で挙動が変化することもなく、コーナー立ち上がり加速時にも力強いグリップ力を発揮してくれる。

 

一見スポーツバイク用みたいなトレッドパターンは、クルーザー用に開発されたというトレッドコンパウンドと相まって排水性が高く、雨上がり直後の濡れた路面にもよく食いつく。これで本当に通常の2倍も長持ちするのならお買い得なタイヤに違いない。

とりわけ耐摩耗性の高いリアタイヤは、偏摩耗も少ないという話だ。

とりわけ耐摩耗性の高いリアタイヤは、偏摩耗も少ないという話だ。

スポーツバイク用にも見える斬新なトレッドパターン。その形状からウェットグリップ性能は高い。

スポーツバイク用にも見える斬新なトレッドパターン。その形状からウェットグリップ性能は高い。

本音がぽろり!?
編集部余談

一般的には、超寿命タイヤはグリップ性能が低く、グリップのいいタイヤはすぐに減る、なんて言われますけど、どうやって両立させているのか不思議です。タイヤが長持ちしたら、タイヤ屋さんは仕事が減って困るんじゃないの!? ビバンダム君 (ミシュランマン)、あなどれません!

取材協力

テクニタップ

住所/東京都板橋区双葉町39-13

Tel/03-3964-5557

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営業/[平日]9:30~20:15
[日祭日]9:30~19:15

定休/水曜

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この記事は、
ツーリングマガジン
アウトライダー Vol.54
(2012年5月11日発売)
EQUIPMENT for RIDERS P.73 に
掲載された記事に加筆・転載したものです。

ハーレー講習インストラクターによるコマンダーII インプレッション

車体に優しいしなやかさが特徴
前後16インチ FL モデルにオススメ

現在私が乗っている 2001年式 FLTR は走行距離が 20万キロを超えているのですが、そのほとんどの距離をコマンダー II の前モデルであるコマンダーとともに過ごしました。このタイヤを愛用していた一番の理由は「軽いこと」。大いに信頼していたので販売されなくなったときは大変残念でしたが、今回その後期モデルとしてコマンダー II が登場、大きな期待と多少の不安がないまぜになりながらのインプレッションとなりました。

 

まずは軽さを確かめたく、装着前のコマンダー II を持ち上げてみました。前任と比べると少し重いかな、という印象です。そしてタイヤのみの状態で体重を掛けて押してみると、サイドウォールがしっかりしているのか感覚的にしなやかでした。コマンダーのときはリムに組む前に一度タイヤのビートをしっかり出さないといけませんでしたが、II ではその作業が不要でした。聞けば、ビードエリアの剛性バランスを改良し、タイヤのフィッティング (組み込み) 時の作業性とハンドリング性能が向上しているそうです。またベルトの枚数が1枚増えており (サイズによって異なる)、おそらくタイヤの重量やサイドウォールのホールド感は、このあたりからきているのかもしれません (構造イメージ図参照)。

 

タイヤパターンも、細かく刻まれる感じの前モデルに比べ、大胆にグルーブ (太い溝) が入っているところなどは重量系の FL モデルには嬉しいところ。このパターンとサイドウォールのホールド感が相まって、パターンがすり減っている使い込んだタイヤでの倒し込み走行時に発生しがちな振動やノイズが軽減されていて、ライディングに適したタイヤであると言えます。特に重量型の FL ツアラーに最適ですね。

 

スピードスターで装着し、早速インプレッションを開始。走り出してすぐに感じたのは、優れた安定感です。“重量から来る安定感”でも“グリップ感”でもなく、しっかりと路面を受け流す感じと言えば良いでしょうか。見通しのいい道でアクセルを開けてみると、じっくりと路面を味わうように気持ち良く加速していき、タイヤが転がっている感が体に伝わってきます。切り込むように車線変更をしていくと、フロントもリアも路面の轍 (わだち) にバイクが取られることなくスムーズに動いてくれるのです。前モデルと比較してみると、しなやかさが格段にアップしています。

 

ハーレーはメリハリのある操作をしてやると、コーナー時でも無理にバンクさせずともハンドルの切れ角に合うようにスッ、スッと軽やかに曲がっていってくれます。しかしながら、重量のある車両でのコーナーリング時に“安定から不安定に”操作するのはなかなか難しく、また勇気も必要です。そのため、ついついハンドルにしがみついてしまい、セルフステアリングが効かず、アクセルが開けられないからバイクが曲がっていくのを待つ流れになり、結果的に車体バランスが悪いまま遅くコーナーを曲がっていく――という悪循環に陥ります。

 

しっかり減速し、曲がる先の方向に目線を向け、バイクが曲がり始めたらコーナーの出口を見つけ、そこから曲がり方に合わせてアクセルを開けていく――というのがコーナーリングの原則です。コマンダー II は、その走りを開花させてくれる非常に良いタイヤだと思います。

 

重量系のハーレーに適しているのは、ハイグリップタイヤではなく“しなやかさに秀でたタイヤ”だという持論があります。ハイグリップタイヤは優れた車体とサスペンションを備えてこそその力を最大限に引き出せるわけですが、重量系ハーレーはそこまでの性能を備えていないので、タイヤのしなやかさに頼る部分が少なくありません。このコマンダー II は前モデルよりも確実に進化していましたし、ライフに関しては長期でテストしてみなければ分かりませんが、メーカーが「前モデル以上」とうたっているところを信じて良いでしょうね。それでいてコーナーリングもしっかり楽しめるなど、ちょい旧の前後16インチ FL モデルに乗る方にオススメしたいタイヤです。

 

前モデル コマンダーからさらに進化したコマンダー II 。ハーレーというバイクの性質を理解しているからこそ備えられた性能を体感し、期待以上の喜びをもたらしてくれました。

プロフィール

恩田 浩彦

「ハーレーライディングは基本が大切」が口癖のハーレーライディング講習インストラクター。このほか、レースアナウンサー、イベントMC、デザイナー、バイク盗難防止活動など、さまざまな活動に携わる多彩な人物。愛車は 2001年式 FLTR で、ハーレー歴は20年以上におよぶ。最近は「レースアナからスポーツアナになりそう」とこぼす。

>> インタビュー記事はこちら

コマンダーII タイヤサイズ

[フロントタイヤサイズ]

130/90B16 M/C 73H REINF TL/TT
120/90B17 M/C 64S TL/TT
130/80B17 M/C 65H TL/TT

 

140/75R17 M/C 67V TL
100/90B19 M/C 57H TL/TT
80/90-21 M/C 54H REINF TL/TT

[リアタイヤサイズ]

140/90B15 M/C 76H TL/TT
150/90B15 M/C 74H TL/TT
170/80B15 M/C 77H TL/TT
130/90B16 M/C 73H REINF TL/TT
140/90B16 M/C 77H REINF TL/TT

 

150/80B16 M/C 77H REINF TL/TT
180/65B16 M/C 81H TL/TT
160/70B17 M/C 73V TL/TT
200/55R17 M/C 78V TL/TT