VIRGIN HARLEY |  FXSTC ソフテイル カスタム試乗インプレ

FXSTC ソフテイル カスタムの画像
HARLEY-DAVIDSON FXSTC Softail Custom(2008)

FXSTC ソフテイル カスタム

90年代に人気を誇った
人気モデルの再登場

2007年モデルからハーレーのラインナップに加わったFXSTC、ソフテイルカスタムは実は過去の復刻モデルだ。エボリューションエンジンが現行だった頃、1986~99年に販売されていたモデルで、クロームメッキが美しいエンジンにチョッパーテイスト溢れるスタイルが人気のモデルだった。ツインカムの登場とともにラインナップから外れたものの、FXSTCの人気は高く、ツインカムでの再登場を願う声は大きかった。ユーザーの期待に応え、2007年に復活したFXSTCは旧モデルの良さをしっかりと踏襲し、しかもエンジンは信頼性の高いツインカム96、1,584cc。まだ登場2年目ながら早くも人気モデルの地位を築きあげている。今回はこのFXSTCについてインプレッションを行ってみた。

FXSTC ソフテイル カスタムの特徴

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これぞハーレーダビッドソン
憧れのスタイルがここにある

FXSTCのファーストインプレッションは「これぞハーレー!」というもの。ビックツインではFLSTF(ファットボーイ)やFXDL(ダイナ・ローライダー)の人気が高いが、一般的なライダーが「ハーレー」と聞いて思い浮かべるイメージにはFXSTCの方が近いのではないだろうか。エイプハンガーハンドルにスポークホイール、シーシーバーにグラマラスなタンクといういでたちは、ノーマルでありながらカスタムモデルの風格を漂わせている。「憧れのハーレー」そんな言葉がよく似合う、堂々とした美しさがFXSTCをはじめソフテイルファミリーの大きな魅力だろう。ハーレーらしいスタンダードなスタイルだが、これこそハーレーに乗りたいライダーが求めるスタイル。細身のフロントタイヤに200mmの極太のリアタイヤ、エンプハンガーが演出するチョッパースタイルと足を前に投げ出すフォワードコントロール、極上のすわり心地のダブルシートはまたがってみても、ちょっと離れて眺めてみても“ハーレー”ということを強く実感させてくれる。見ているだけで深い満足感に思わず口元がゆるんでしまうほどだった。

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細かい部分の造形についても納得の仕上がりだ。タンクオンのスピードメーターに、各部にメッキがほどこされた1,584ccのツインカム96Bエンジンの存在感はもちろん、シートについているハーレーの刻印入りボタンなど、デザインにおいてスキが無い。ここからのカスタムも可能だが、ノーマルでもこれほどの雰囲気を醸し出すモデルはなかなかお目にかかれない。これぞまさしくハーレーダビッドソンのモーターサイクル。乗る前からいやが上にもテンションが高まってくる一台だ。

FXSTC ソフテイル カスタムの試乗インプレッション

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ゆったり、快適、軽快
極上のクルージングマシン

ゆったりとしたダブルシートに腰を沈めセルを押すと、両足の間にあるエンジンが大きく震え、始動する。体に伝わってくるバイブレーションはかなりのモノで、初めてハーレーのエンジンに火を入れた人なら驚くほど。ツインカム96Bは快適な乗り心地を実現するためエンジンにバランサーが採用されており、ビックツインのエンジンの中ではマイルド、と言われるが生き物のような鼓動感は間違いなく存在する。走り出して驚くのは、クラッチが非常に軽くなったこと。エボリューションのFXSTCを何度か借りて走らせたことがあるが、かつての閉口するようなクラッチの重さは皆無。握力に自信がない方であっても、ノーマルのクラッチで大丈夫なのではないだろうか。スロットルや各種スイッチ類の使いやすさも格別。走り出した瞬間から、乗りなれているバイクのようにハンドルまわりのコントロールができる、これは意外と実現するのが難しいポイントになるのだが、FXSTCはこともなげにこなしてしまっている。

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停車時の取り回しはさすがに重量を感じるものの、大排気量ツインエンジンが生み出すトルクが車体のサイズや重さをあまり感じさせないライディングを実現していることに驚かされる。走り出してしまえば余計な緊張を強いないコントローラブルな特性から、街中のような極低速域においてもストレス無くライディングを楽しむことが可能だ。そしてひとたび高速道路などの広い道に入ればまさに極楽。クッションの効いたシートに体をゆだねてゆっくりとスロットルをひねるだけで、余裕という言葉では言い尽くせない快適なクルージングタイムの始まりとなる。ただ、一つだけ気になったことがフォワードコントロールになっているステップの位置。身長173cmの筆者にとってハンドル位置に問題はないものの、ステップは少し遠めに感じてしまった。より小柄な人の場合、ここは少し不満に感じてしまうポイントかもしれない。

FXSTC ソフテイル カスタム の詳細写真

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エイプハンガーが演出する
魅惑のチョッパースタイル

ハンドルはチョッパースタイルを演出するエイプハンガーバーを採用。見た目ではハンドル位置が高そうに見えるが、実際にのればちょうど良い高さ。ウインカーはハンドルマウントだ。
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すわり心地は抜群
快適仕様のダブルシート

一体型のシーシーバーが付いたダブルシート。クッション性は高く、すわり心地は良好だ。タンデムシート側もなかなか快適。デザインされたボタンはこだわりを感じさせるポイントだ。
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極太のリアタイヤで
迫力と安定性を両立

車格に負けない200mm幅・極太サイズのリアタイヤを採用している。この太さのおかげもあり、FXSTCの直線安定性は抜群で、長時間のクルージングでもストレスのない走りが可能。
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所有欲を満たしてくれる
美しいデザイン

ハーレー全般に共通して言えることだが、クロームパーツの質感は格別。乗って楽しいのも当然で、所有するというよろこびを十分に満たしてくれる。また、ボディ全体の流麗なラインとエンジンの美しさも見逃せない。
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こんな方にオススメ

ノーマルでもカッコいいが
ハイテク系カスタムのベースにも

FXSTCを含む、ソフテイルFXシリーズの特徴はリアに200mmのワイドタイヤが採用されている点。以前のモデルだと大金を投じ、ワイドタイヤ化を図ったものだが、FXSTCはノーマルでワイドタイヤが採用されているためそれほど費用をかけなくてもハイテク系のカスタムを製作することが可能だ。あまりに太いタイヤ幅だとライディングに犠牲を強いることになるため、200mmのこのタイヤサイズのままカスタムを進めるのも手だ。またFXSTCはソフテイルFXシリーズの中で、クロームメッキのエンジンを採用する唯一のモデルであり、ハイテク系のカスタムを進めるのであればFXSTCがベースになってしまうのが必然かもしれない。

もちろん、ノーマルのままでもカスタムテイストに溢れるモデルなので、そのままで乗っても充分にカッコいい。ノーマル、ライトカスタム、フルカスタム、どのレベルでも満足の行くハーレーライフを楽しむことができる稀有なモデルといえる。

プロフェッショナル・コメント

ワイルドな雰囲気が人気の理由
カスタム好きな人にも支持が高い

2008年モデルのハーレーは30ものラインナップがありますが、なかでもFXSTCは個性的なモデルで人気が高いですね。映画「イージーライダー」や「ハーレーダビッドソン&マルボロマン」に出てくるような、チョッパーテイストで悪そうなイメージ、そこに魅力を感じて指名買いの方が多いのが印象的です。2008年モデルではラインナップから落ちてしまいましたが、ダイナファミリーのFXDWGと悩む人もいらっしゃいましたね。あのスタイルに惹かれる人は他には代えられないモデルなのでしょう。ノーマルのスタイルでも充分“カスタムバイク”としての風格も持っていますし、好みのカスタムパーツを取り付けてやればどんどんカッコよくなっていきます。カスタム好きな人が選ぶことが多いモデルです。

FXSTCのオーナーさんは購入後にシートを換える人が多いです。ノーマルシートは肉厚で、乗り心地は最高ですが、足つきに不安を感じる人もいますからね。人気なのは純正の「KING&QUEEN」シートです。FXSTCのスタイルを崩さないスタイリングながら、ノーマルよりもスッキリとした、足つきもいいシートです。ノーマルのフォワードコントロールが遠いと感じる人はKIJIMAの「ミッドコントロールキット」でもう少し余裕のあるポジションにすることもできます。大柄なモデルなので、ノーマルではそれなりの体格が求められますが、足つきやポジションはオーナーさんに合わせることができますからご安心ください。その他のパーツではやはりハンドル交換ですね。エイプハンドルかドラッグバーが人気です。ただし、ドラッグバーはハンドルポジションが遠くなるので、体格がいい方でないと辛いかもしれません。(広畑日産自動車 谷口氏)

バージンハーレー読者のカスタムハーレー【01】

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こーちゃんさん(奈良県)

インジェクションをキャブレター化
理想のフィーリングを実現しました

2007年6月に購入し、3000kmほど距離を重ねました。私が思う、一番ハーレーらしいスタイルのモデルでしたから、他のモデルと迷うモデルはありませんでした。これが初めてのハーレーですが、低速トルクはありますが、大排気量なのに思い切ってスロットルを回しても怖くないですね(笑)。カスタムはスタイルよりも乗り心地を重視しています。K&Hのシートと高速巡航を快適にするためのシールド、車高を少し落とし快適性を高めました。排気はマフラーをバンス&ハインズに、吸気は実はキャブレター仕様に変更し、イメージ通りの鼓動感を実現しています。今後はカスタムペイントをやってみたいですね。

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【左上】マフラーはVANCE&HINESのビッグショットをチョイス。 【右上】フィーリングを求めてインジェクションをキャブレター化。S&SスーパーEキャブを装備し、セッティングもバッチリ。【左下】フットペグにもこだわりあり。安定感のあるフットポジションを実現。【右下】ヘッドライトは夜間の視認性をよくするためHID化。

バージンハーレー読者のカスタムハーレー【02】

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まりりんさん(兵庫県)

チョッパー風のスタイルと
200mmワイドタイヤが決め手でした

280mmのワイドタイヤを履かせたカスタムモデルに憧れて、ハーレーに乗ろうと思ったんです。だから自分のハーレーを手に入れるときも、ワイドタイヤのFXモデルから選びました。あくまでカスタムベースで手に入れましたから、カスタムするのは早かったですね。フロントフォークは乗り心地が悪くならないよう5℃レイクで。配線はハンドルの中を通してスッキリとさせています。タンクもストレッチタンクに交換し、イメージを変えました。一番のお気に入りはマーボライザーペイントです。FXSTCはエンジンがクロームで、リアに200mmタイヤが採用されているので、カスタムが進めやすいモデルだと思いますよ。

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【左上】5℃レイクトリプルツリーでフロントを寝かせ、配線類はハンドル中通し&メッシュケーブル採用ですっきりとしたフロントマスクを実現。 【右上】クロームメッキエンジンはこの手のスタイルには必須。 【左下】デザインをイチから考え、製作したワンオフシート。【右下】マフラーはモーターステージ製ブラスマフラーをチョイス。

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