VIRGIN HARLEY | VRSCDX ナイトロッド スペシャル 試乗インプレ

VRSCDX ナイトロッド スペシャルの画像
HARLEY-DAVIDSON VRSCDX Night Rod Special(2008)

VRSCDX ナイトロッド スペシャル

比類ない個性と美しさを持つ
新世紀のハーレーを予感させるモデル

世界に向けてモーターサイクルを販売するアメリカで唯一のメーカー、ハーレーダビッドソン。100年以上の歴史を持ち、必要以上に高性能を追いかけることなく個性を磨きあげた結果、ハーレーはバイクに乗らない人すらその名前を知るメーカーとなった。水冷エンジンが当たり前のこの時代に空冷で高性能化を追求すれば自ずと行き着く4気筒には目もくれず、ひたすら伝統ある大排気量のV型2気筒にこだわり続けてきたのがハーレーだった。しかし、2001年に、ハーレーは新たなる1歩を踏み出した。V-RODファミリーの誕生だ。エンジンは、90年代に活躍したハーレー・ワークスマシンVR-1000がベースの水冷60度Vツイン。空冷45度Vツインがハーレーの代名詞だったため、V-RODの発表は大きな物議を醸した。しかし、後輪出力が100馬力を超えるそのパワーと、ハーレーというブランドを度外視しても個性的な流線型のスタイリングは魅力的だった。その後V-RODは、徐々にファンの心を掴み、当初1モデルでスタートしたファミリーは複数のラインナップを持つようになる。果たしてこのハーレーはどんな個性を持つのか、その魅力をご紹介しよう。

VRSCDX ナイトロッド スペシャルの特徴

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数々の仕様変更を経て
完成度を高めた08モデル

まずはV-ROD全体の特徴から紹介しよう。流線型を描く優美なスタイリングの肝はフレームだ。水圧を利用してスチールパイプを曲げるハイドロフォーミングという技術で形づくられたフレームは、外観からもその美しさが一目瞭然。他ファミリーではフューエルタンクとなっている部分にはアルミ製カバーに覆われたエアクリーナーボックスが格納され、フレームの美しいラインを強調するデザインとなっている。また、ドラッグレーサーをモチーフにデザインされているため、ロー&ロングのスタイリングが際立つ。数値で見てもハーレーの全モデルでもっとも寝かされたレイク角は34°。ホイールベースもハーレーでもっとも長い1,715mmと、チョッパーテイスト溢れるソフテイルFXシリーズより長くなっている。

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今回試乗を行った2008年モデルのV-RODは誕生から6年を経て大きな変化を遂げた。排気量は2007年モデルまでの1,131ccから1,246ccへと拡大。ストロークは変更せず、ボアを5mm拡大し、排気量アップが行われた。従来よりハイパワー化されたマシンをしっかりと制動するため、ブレーキにはブレンボ製キャリパーに加え、ABSが搭載されている。また、急激なシフトダウンで強いエンジンブレーキがかかり、リアが流れてしまうことを防ぐため、ハーレーで初めてスリッパークラッチを採用したのも特筆すべき点だろう。

さて、今回の試乗車VRSCDXの特徴だが、2007年に登場したばかりのモデルであり、年式による変更点は上記のV-ROD全体のモノと変わりはない。他のV-RODとの違いについて触れることにしよう。VRSCDXのベースとなったのは2006年モデルで登場したVRSCDナイトロッドだが、この2モデルの大きな違いはポジションとタイヤ幅だ。ミッドポジションでハンドルが近くスポーツ寄りのVRSCDに対し、VRSCDXはフォワードコントロールでストレートハンドルを採用、加重時シート高はXL883L並みに低い。シート高が低いといっても、前後サスペンションが寝ていることもあって、貧弱なサスペンションを想像するのは間違いだ。リアにはハーレーでもっとも太い、迫力の240mmタイヤを履かせているのもVRSCDXの個性を際立たせる。また、ナイトロッドスペシャルの方が車両全体のブラック度合いは強い。エンジンは腰上、腰下ともにブラックアウトされ、マフラーやホイールに至るまでクロームパーツが抑えられた仕様となっている。

VRSCDX ナイトロッド スペシャルの試乗インプレッション

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乗り手に媚びることはない
御する楽しみがあるモデル

現行V-RODの3モデルの中で、スタイルがもっとも魅力的なのはVRSCDXではないだろうか。落ち着きと迫力を併せ持つ、漆黒のスタイリングに惹かれたオーナーは多いことだろう。じっくりとV-RODを試乗する機会は初めてとあって、前日からカタログデータに目を通していたのだが、頭の中のイメージは良くも悪くも裏切られた。最初に感じたのはシート高。シート幅があるせいか、640mmという数字ほど低くは感じられない。また、フォワードコントロールのポジションも、両足がピンと伸びきってしまうかと思っていたが、ひざが少し曲がる程度に余裕がある。「フォワードコントロールの車両は乗り手を選ぶ」という先入観があったが、足つき性やフットポジションを考えると160cm代前半の身長があれば、案外乗りこなせてしまうバイクかもしれない。

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始動はビックツインやスポーツスターとも違う、鋭いエンジン音で火が入る。スロットルを回すと、スピードメーター左側に取り付けられたタコメーターが鋭く回転数をあげた。いわゆるハーレーらしい鼓動を奏でるエンジンではないのはこの時に感じられる。走り出してみると細く、軽いスロットルをつい回し気味になってしまう、スルスルっとスピードが上がってしまうため、スピードメーターを注意して見ていないとオーバースピードになりがちだ。低速でトコトコと走るのも試してみたものの、VRSCDXの本領はやはり回した先にある。ビックツインやスポーツスターでは味わえない暴力的な加速が脳を刺激し、直線をできる限りのスピードで走るのが楽しくて仕方がない。代わりに苦痛なのは渋滞に巻き込まれたときだ。クラッチは軽く、渋滞で肉体的な辛さがあるわけではないが(エンジンからの熱気は少々辛いが…)、回したくて仕方がないのに我慢を強いられるのが苦痛なのだ。V-RODはドラッグマシンをモチーフに開発されたというが、このVRSCDXはまさにドラッグマシンそのもの。まったくノーマルのエンジンを試乗したのだが、ノーマルながら刺すような魅力を持っているのだ。一方コーナーリングは慣れないうちはかなり注意した方がいい。長いホイールベースと極太のリアタイヤのせいか、他のバイクと同じように進入すると怖い思いをするだろう。車体をある程度寝かすと急に倒れこむような感覚がある。これは乗り手に媚びてくるようなバイクではない。じゃじゃ馬どころか、荒馬といった感じだ。どう御すれば思い通りの動きをしてくれるのか、最初は探りながら乗る必要があるだろう。しかし、それでいい。ここまで個性に溢れたバイクに出会う機会は滅多にないため、ありあまるクセすら魅力的に感じてしまった。

VRSCDX ナイトロッド スペシャル の詳細写真

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水冷60°Vツイン1,246ccエンジン

ロングストロークが特徴の他ファミリーのエンジンに対し、V-RODの“レボリューション”エンジンはかなりショートストローク。回せば回すほど暴力的な加速を見せ、ついスピードを出してしまいがち。
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240mmの超ワイドタイヤ

ハーレーでもっとも幅のある18インチ240mmリアタイヤを採用。地面にしっかりと接地するラジアルタイヤを履かせているため、直進時の安定感は抜群だ。迫力のスタイリングの代償にタイヤコストは少々高い。
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足を前に投げ出すフットポジション

VRSCDXはフォワードコントロールを採用。ハンドルポジションとともに手足をかなり前に投げ出すスタイリングのため、加速時の体感速度が高い。体格が小さい人には少々厳しいポジションかもしれない。
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流麗な曲線を描くビキニカウル

ナイトロッドシリーズの代名詞とも言える小振りのビキニカウル。風防効果には大きな期待はできないが、スタイリングを引き締めるのに大きく貢献している。前から見たフロントマスクに惹かれるオーナーは多い。
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こんな方にオススメ

スタイルが気に入れば
迷わず買い、のモデル

V-RODと他のファミリーで悩む人はいないのではないか。ハーレーという枠を飛び越え、全バイクメーカーを見渡してもV-RODと比較検討できるモデルはYAMAHA V-MAXくらいしか思いつかない。「足つきがどう」、「ポジションがどう」そういったことはひとまず置いておき、まずはスタイリングが気に入るかどうかが最も重要なポイントになるだろう。もともと車高が低いVRSCDXの場合、乗り手に合わせたポジションにするのはそう難しくない。足つきが悪いのであればシートを加工すればいい。フットポジションが遠いのであればVRSCDのミッドコントロールに換えればいい。今回試乗した車両も多くの人が乗りやすいよう、ハンドルだけはスポーツスター用に変えられていたが、それだけでも十分に乗りやすい仕様になっていた。体に合わせるカスタムは後でいくらでも行えるので、VRSCDXをカッコいいと思うなら、迷わずこのモデルを選ぶべきだろう。

プロフェッショナル・コメント

ポジションと積載性を強化すれば
ノーマルのままで充分です

2008年モデルから排気量が上がり、ABSやクラッチも変更、より魅力が深まったモデルですね。VRSCDXに興味を持つお客さんはほとんどが指名買い。細かな仕様や特徴はこちらから説明しないと聞いてくれないお客さんが多い気がします(笑)。スタイリングが個性的なV-RODの中でも一際存在感のあるモデルですから、一度気になってしまうと他のモデルは目に入らないのかもしれません。VRSCDとVRSCDXで悩むお客さんはあまりいませんが、あえて違いをご説明するなら、そこそこ走りたい人はVRSCDを、ロー&ロングで超ワイドタイヤの個性を選ぶのならVRSCDXを選んでください。

ノーマルで充分に完成度の高いVRSCDXですから、カスタムをしなくても楽しめますが、ポジションに不安がある人にまずオススメするのは、スポーツスター用のハンドルです。VRSCDXはハンドルポジションがかなり前にあるため、遠いと思う方もいるかもしれません。ハンドル交換だけでかなり快適なポジションになるので、ツーリングの機会が多い方にはオススメです。あと人気なのはサドルバッグサポートでしょうか。荷物の積載スペースがほとんどないので、サドルバッグが1つあればかなり便利になると思いますよ。(ハーレーダビッドソン高知 吉川氏)

バージンハーレー読者のカスタムハーレー【01】

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2008年式VRSCDX / 神原さん(広島県)

このモデルが無かったら
ハーレーには乗っていなかった

中型に乗っていた頃から「いつかはハーレーに乗りたいな」と思っていましたが、自分の年齢ではまだ早い、と真剣に考えたことはありませんでした。でも、VRSCDXを見て「これなら自分の年齢でも似合うかも」と本気でハーレーの購入を考えはじめました。このモデルが無かったら、まだハーレーに乗ることはなかったでしょうね。あえて欠点を挙げるなら…積載性の無さでしょうか。決して曲がるバイクではありませんが、そこは最初から覚悟していたので気にしていません。ちょっと倒すとステップを擦りますけれどね(笑)。直線をカッ飛ばしていると、何も考えられない気持ちよさのあるハーレーです。

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【左上】溢れんばかりのパワーを絞り出すエンジンは造型も美しい。 【右上】ノーマルのままで260mmのタイヤが履けるため、いずれは260mmにする予定。【左下】専用設計のマフラーはVRSCDXのスタイルの肝の1つ。【右下】美しいラインを描くV-RODのフレーム、タンクのラインがVRSCDXに惹かれたきっかけ。

バージンハーレー読者のカスタムハーレー【02】

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2008年式VRSCDX / 佐橋さん(兵庫県)

豪快な加速とワイドなリアタイヤ
ワイルドさが魅力的です

クロームパーツが多用されがちなハーレーの中で、シックなモデルというところが魅力的でした。ハーレーらしくない、ワイルドな魅力のように感じられるんです。スロットルを開けば豪快に加速してくれるので、高速道路での合流などでも楽しめてしまいます(笑)。これだけパワーがあるのに、ホイールベースが長いため前輪が浮かないのもスゴイ。ABSの動作は満足がいくレベルです。雨の日でもタイヤが滑りませんから。でも、それで油断していると怖い目に遭います。タイヤにかなりのパワーが伝わるので、金属の上に乗るとすぐに後輪が滑ってしまいます。こればかりはABSでは制御できませんからね(笑)。

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【左上】ビキニカウルの上にMRAの汎用シールドを取り付け。風防効果が大いに高まった。 【右上】ツーリング時の積載性向上のため、バッグ用ステーを取り付け。 【左下】VRSCD用ミッドコントロールに交換し、リアタイヤに荷重がかけやすくなった。【右下】タンクバッグは形紙から起こして、使いやすいサイズのモノを自作。

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