VIRGIN HARLEY | XL1200C 1200カスタム 試乗インプレ

XL1200C 1200カスタムの画像
HARLEY-DAVIDSON XL1200C 1200 Custom(2011)

XL1200C 1200カスタム

復活した元祖ファクトリーカスタム
以前とは違う個性と存在意義とは

スポーツスターファミリーの人気車種として長らく君臨してきた元祖ファクトリーカスタムが、装いを新たに再びフルラインナップ入りを果たした。クロームメッキを多く配したエンジン周りにオリジナルのハンドル周りといった本来の特徴はそのままに、16インチのファットタイヤや新デザインのテールランプなど、“今風”のプラスアルファを取り入れたブラッシュアップモデルとして復活。XL1200X FORTY-EIGHT のような個性派ファクトリーカスタムとは一線を画した 1200カスタムの存在意義とは何か、そして以前とは違う新たな特性はどこにあるのか。1200カスタム本来の魅力を探りつつ、インプレッションを行った。

XL1200C 1200カスタムの特徴

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“ファットカスタム”という新テーマのもと
走りに重点を置いたツーリングバイクに

1200カスタムが登場したのが1996年、以来一度もカタログ落ちすることなくベストセラーモデルとしてラインナップを飾ってきた。クロームメッキで彩られたエヴォリューションエンジンは独特の高級感を漂わせ、さらには砲弾型ヘッドライトに独自デザインのライザー、ビッグツイン仕様のホーンなど、他のスポーツスターにはないオリジナルを各所に配したファクトリーカスタム、それが 1200カスタムだった。しかし XL1200N ナイトスター や XL883N アイアン、そして FORTY-EIGHT といった個性的なカスタムモデルの登場によってその存在が薄まった印象は否めず、2011年フルラインナップから姿を消したのは致し方ない時代の流れか、とも思えた。ところが今回、2011年中期導入モデルとして鮮やかに復活、しかも以前よりもさらにその存在感を際立たせて、である。

核となるスタイリングの新テーマは“ファットカスタム”。FXDF ダイナ・ファットボブ、FLSTF ファットボーイ と続くカスタムスタイルの流れを汲んだフォルムで、象徴的なポイントとして注目すべきはフロントタイヤだろう。FORTY-EIGHT とお揃いのファットタイヤはリアと同じ16インチという分厚さで、それでいて装着しているタイヤはミシュランのラジアルタイヤ“スコーチャー31”。ビジュアル重視型の FORTY-EIGHT にはない走りを重視したアイテムをチョイスすることで差別化を図っているのが伺える。このファット化によってヘッドライト周りなどフロントエンドが太くなるわけだが、本来の砲弾型ヘッドライトを用いつつも新デザインの“アイブロー”ヘッドランプバイザーを導入して全体のバランスを整えることに成功。容量17リットルというワイドタンクと相まって、全体的に“太っちょ”な印象にまとめているのはさすが。

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さらに見逃せないのが新デザインのテールランプだ。小型ローメンテナンス LED テールライトは他モデルにはないオリジナルパーツで、ここをコンパクトにまとめることにより、まるでファットボーイのようなリアエンドを演出しているのだ。そして少々意外(?)だったのが、ミッドコントロールとされたステップ位置である。実は本国アメリカの 1200カスタムの仕様を見ると、従来どおりフォワードコントロールとなっている。確認したところ、これは「日本仕様というよりもアジア仕様という設定」(ハーレーダビッドソンジャパン広報)とのことで、1200カスタムのフォワードコントロールは FORTY-EIGHT のそれよりもさらに前に位置することから、アジアというエリアのニーズに合わせた変更だというわけだ。メーカーの思惑はともかく、ラジアルタイヤに大容量フューエルタンクと“ツーリング向けバイク”としてまとめられているだけに、ライディングフォームを安定させるミッドコントロールはライダーにとって有り難い限り。スタイルこそ“ファットカスタム”だが、スポーツスターモデルの中でもツーリングに重点を置いた一台だと言える。

XL1200C 1200カスタムの試乗インプレッション

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カスタムよりも“走ってナンボ”
日本のバイク環境に適した一台

ビジュアル面での違いは分かったが、実際の乗り味について他モデルとどう差別化が図られているか検証してみよう。まずスペックを確認したところ、最低地上高が 112mm、荷重時シート高が 668mm と設定されている。これは XL1200L 1200ロー と同じ数値で、見比べてみるとなるほど今回の1200カスタムはこの1200ローにオリジナルパーツを配した、より長距離走行仕様という位置づけであることが伺える。数値も 1200ローに揃えていることから昨今のローダウンモデルの増加が狙いかと思えるが、実は XL883N アイアン(641mm)や XL883L スーパーロー(643mm)と比較してみれば、決して低いわけじゃないことが分かる。ラインナップを見ればスポーツスター全般がローダウン化している印象はあるが、こと 1200カスタムについては低くすることを目的とはしていないようだ。

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やはり気になるのはフロントタイヤである。その太さから直進安定性はまったく問題ないが、コーナーや急カーブ、右左折といった状況に差し掛かったときのステアリングはいかがなものか。同じサイズのタイヤを履いた FORTY-EIGHT を試乗したときは、右左折時に思いのほか内側に切れ込むきらいがあったが、この 1200カスタムで試してみたところ、一定のスピードを保ったまま傾けていっても安定感はなかなかのもので、不意の切れ込みといった現象はまったくなかった。ミシュランのラジアルタイヤはもちろん、聞けばフロントフォークのセッティングも独自の設定とされているとのことで、確かに通常のモデルよりも“車体を寝かせる”ことに意識を持つ必要こそあるものの、さほど違和感を抱くことなくカーブをクリアしていけた。もちろん寝かしすぎると、ステップに付いているバンクセンサーをカリっと擦ってしまうのでご注意。

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肩幅より少し広いハンドルバーに柔らかく設定されたツーアップシートは従来どおりで、快適な乗り心地をライダーに提供してくれる。ステップ位置がミッドコントロールなのでライダーの体重が必要以上にシートにかかることがなく、その負担をハンドル/シート/ステップの3ヶ所にバランスよく分散している。結果として、長距離ツーリングが可能なバランスの良さを生み出しているのは好印象だ。ひと目見たときの印象どおり、やはりこのモデルは“カスタムを楽しむ”ことより“走ってナンボ”。日本の道路事情やバイク環境にもっとも適したモデルと言っていいかもしれない。

XL1200C 1200カスタム の詳細写真

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16インチのファットタイヤのほか、新デザインのパーツを数多く配して再登場した 1200カスタム。
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近未来的な印象を与える新デザインの“アイブロー”ヘッドランプバイザー。思いのほかスタイリッシュだ。
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従来の 1200カスタムと同じプルバックハンドルバー。
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ツーリングに最適な容量17リットルのワイドなフューエルタンク。
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タンクには他のスポーツスターモデルと違い、オリジナルデザインのエンブレムが輝く。
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スポーツスター XLCH アイアンが誕生した 1967年が刻印されたツーアップシート。
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こちらも新デザインの小型ローメンテナンス LED テールライト。
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ミシュラン スコーチャー31(16インチ)を装着したファットな印象のフロントタイヤ。フェンダーもオリジナルパーツだ。
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1200カスタムと言えば、クローム一色に覆われたエンジンだろう。他にはない豪華さがただよう。
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これまでフォワードコントロールだったステップ位置がミッドコントロールに。ライディングを重視した配置か?
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ホーンはエンジン左側に。ビッグツインのような印象を受ける。
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身長174センチのライダーだとご覧の足つき。加重時シート高668ミリは XL1200L と同じ設定。

こんな方にオススメ

未知なる世界へ飛び込んでいきたい
ツーリングライダーにこそふさわしい一台

「北海道に行きたい」、「今まで足を運んだことがないところまで走っていきたい」……そんなアグレッシブなツーリングライダーにこそふさわしい一台だと言いたい。もちろんツーリング仕様と言えば、パワーも積載も十分兼ね備えたツーリングファミリーというカテゴリが存在するのだが、やはり日本人の体型や我が国の道路事情などを鑑みたとき、そのパワーを持て余してしまうのは否定できない。反面、スポーツスターはもっとも日本人に合ったサイズとフォルムを持ち合わせているのだが、開発している本国のファクトリーがタウンユースを前提に設計していることから、積載面などツーリングモデルとして用いるには物足りないところがあった。この 1200カスタムとて満足な仕様となっているわけではないが、こと“長距離ツーリング”という観点で切ってみれば、他のスポーツスターモデルよりも頭ひとつ抜けていると言っていい。積載は純正(または社外)パーツなどを用いれば解決できる。むしろ 1200カスタム本来の特徴を生かした楽しみ方を探っていけば、ツーリングのさらなる面白さを味わえること請け合いである。

プロフェッショナル・コメント

カスタムではなくツーリングに
目的が明確なライダーにオススメ

ご覧のとおり、「ツーリング仕様のスポーツスター」と解釈するほかありません。目的がはっきりした一台にまとまっているので、その特徴を削ぐようなカスタムは不向きと言えるでしょう。17リットルのフューエルタンクにミッドコントロール設定のステップと、このあたりは不可侵の領域ですね。後はライディングフォームの調整をする必要がありますから、足つきに不安がある人は細めのシートに換えたり、オーナーにとってもっとも良いバランスを生むハンドルバーを探すなど、ツーリングバイクとして一層煮詰めていくことをオススメしたいです。後は積載能力の向上ですが、ここはやはりH-D純正パーツのサドルバッグを取り付けてリアエンドの流麗なフォルムを維持させつつ、パワーアップを図りたいですね。男性でも女性でも不自由なく乗ることができる一台でしょう、だからこそ「ツーリング」という明確な目的を持った方がオーナーにふさわしいと思います。(ハーレーダビッドソン シティ中野店 松本 泰輔氏)

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