VIRGIN HARLEY | FLSTFB ファットボーイ ロー 試乗インプレ

FLSTFB ファットボーイ ローの画像
HARLEY-DAVIDSON FLSTFB(2015)

FLSTFB ファットボーイ ロー

デビューから7年目を迎えた
ダークカスタムモデルの先駆け

その名前からも分かるとおり、ハーレーダビッドソンのなかでも屈指の人気を誇るFLSTF ファットボーイの次世代モデルがこのFLSTFB ファットボーイ ローだ。2010年モデルのニューカマーとして日本上陸を果たし、以来7年にわたってラインナップに君臨し続けている。兄貴分と比較すれば一目瞭然のブラックアウトスタイルに、その名にあるとおりローダウン仕様から成るフォルムは、今なお多くのファンを獲得しているほど。FXSB ブレイクアウトやFLS ソフテイルスリムなど、ソフテイルファミリーのラインナップは今充実のときを迎えている。そんなファミリーの柱ともなりうるこのファットボーイ ローの魅力に迫ってみよう。

FLSTFB ファットボーイ ローの特徴

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現代のニーズを先取りした
進化版ファットボーイ

兄貴分のファットボーイが登場したのは1990年のこと。この当時のソフテイルフレーム仕様のモデルはFLSTC ヘリテイジソフテイルクラシック、FXST ソフテイル、FXSTC ソフテイルカスタム、FXSTS スプリンガーソフテイルの計5モデルで、FL系ソフテイルの新顔として送り出された。油圧式フロントフォークに大きなヘッドライト&ナセルカバー、そしてディッシュホイールという強いキャラクターを持ちつつも、当時は先輩モデルの牙城をなかなか崩せずにいた。

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そんなファットボーイにとって転機となったのが、1991年公開の映画『ターミネーター2』での起用だ。第一作で好評を得た作品の第2弾で、アーノルド・シュワルツェネッガー扮するターミネーターが劇中でファットボーイを手に入れ、ショットガンを片手にロサンゼルスの街中を激走するシーンは多くの人の心を鷲掴みにし、「やはりアメリカのムービーシーンに登場するハーレーはカッコいい」と印象づけた。以来、ファットボーイはこのターミネーターやシュワルツェネッガーとセットで語られるモデルとなった。

今なお、ターミネーターの印象を色濃く残すファットボーイだが、1990年のデビュー当時から見るとかなりのマイナーチェンジを行っている。特に大きな節目となったのは2007年、エンジンがツインカム96Bとなり、フューエルインジェクションモデル化と併せて、前後ホイールを17インチ化、そしてリアタイヤの幅が150ミリから200ミリへとアップした(デビュー当時は130ミリだった)。これはひとえに、アメリカ本国においてクルーザーとしての高い性能がソフテイルファミリーにも求められるようになったことから。130ミリ当時のモデルと見比べると、リアエンドは“ファットボーイ”の名にふさわしいワイドなものに。

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その3年後の2010年に登場したファットボーイ ローは、最新のファットボーイをベースとしつつ、当時市場で求められつつあった「ブラックアウトスタイル」と「ローダウン仕様」を取り入れた時代の寵児とも言える存在だった。

ハーレーに詳しくない人であれば、「ただ黒くしただけのモデルだろう」と思われるかもしれないが、ここで特筆したいのが“ブラックを操るハーレーダビッドソンの技術とセンス”である。ひとくちに「ブラック」と言ってもさまざまで、大きく分ければ「ツヤありブラック(いわゆるビビッドブラック)」と「ツヤなしブラック(いわゆるマットブラック)」がある。このファットボーイ ローをつぶさに観察すると、大きな部位はビビッドブラックとしつつも、前後ホイールやポイントとなる部分にマットブラックとし、それでいてエンジンをクローム仕様として表情豊かなコントラストを描いたフィニッシュとしている。「ただ黒くするだけなら誰にでもできる。ハーレーとして“黒を魅せる”演出を施してみた」と言わんばかりの仕上がりには、思わずため息が出るほど。他メーカーと比べて特にカラーリングやグラフィックにこだわるハーレーらしい主張が宿るモデル、それがファットボーイ ローなのだ。

FLSTFB ファットボーイ ローの試乗インプレッション

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クルーザーとしての地位を確立
他のFLモデルと異なる領域へ

ハーレーのFLと言えば、リジッド型フレームに油圧式フォーク、そして前後16インチホイールが基本形とされてきた。その点で言うと、17インチ化したファットボーイとファットボーイ ローは、FLの本道からやや外れた感が否めない。

ここで比較モデルとして、FLS ソフテイルスリムを持ち出してみよう。スリムは前後16インチホイールのリジッド型フレーム、油圧式フロントフォークという典型的なFLスタイルを持つ新人で、それでいて無駄を削ぎ落したスポークホイールモデルでもあることから、FLSTC ヘリテイジソフテイルクラシックやFLSTN ソフテイルデラックスよりも軽量とされる。“ソフテイルでスポーツライドする”というテーマが前提ならば、現ラインナップで見ればスリムの右に出るものはいまい。

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そのスリムの車重が318キロであるのに対し、ファットボーイ ローは330キロと、12キロもの差がある。12キロというと、身近なところでは10キロのお米よりもまだ若干重いほど。それを思うと、この重量差は大きい。

基本的な装備はほぼ同じであるスリムとファットボーイ ロー。その両者の重量を異ならせているのは、他ならないファットボーイ ローのアイデンティティであるディッシュホイール&タイヤなのだ。

16インチと17インチ、スポークホイールとディッシュホイール、そしてタイヤ幅もスリムの150ミリ(スポーツスターと同じ)に対してファットボーイ ローは200ミリという点が、この差を生み出している。なかなかタイヤの重量というものは意識しないものだが、50ミリも違うと数キロは変わってくるほど。足まわり以外はほとんど共通しているこの両者なので、前後ホイール&タイヤだけでこれだけの重量差が生まれているのだ。

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その結果、取り回しや押し引きの際のファットボーイ ローは、スリムに比べてかなり重量感を覚えるものとなっている。走りはじめてしまえばその重さを気にすることはないのだが、停車時に動かす際はその重さがそのままのしかかってくる。これがツーリング後の疲れたときともなると、特に堪えることだろう。やはり長く所有していくことを思うと、こうした取り回し時の相性は大事になってくる。ファットボーイの新車購入を検討している人は、正規ディーラーにてソフテイルスリムの押し引きと比べてみてほしい。両者の特性をあっさりと体感することができるはずだ。

と、まるでデメリットだらけのように聞こえるファットボーイ ローだが、ひとたび走り出せば抜群の直進安定性を誇る。ディッシュホイールの重量と200ミリのリアタイヤが生み出す接地感はまるでツアラーモデルのようで、ちょっとしたワダチでも踏みつけるように走り抜けていってくれる。このあたりはスリムやデラックスと違い、重戦車のような乗り心地が実に頼もしい。一方で、スポークやキャストと違ってディッシュホイールは風をホイール面全体で受け止めてしまうので、海岸線などで強烈な横風を受けると足元から押しやられることがある。特に突風が吹く高速道路などでは注意が必要となる。ここはファットボーイ オーナーになる人ならば必ず知っておきたいところだ。

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200ミリタイヤを備えた重量級ソフテイルなので、どうしても直進番長なキャラクターが強い部分が否めないが、乗り慣れてくれば街中や高速道路のカーブでもしっかり寝かし込んで走らせることは十分可能だ。ただしローダウンモデルなので、倒し込みすぎるとステップボードをガリガリと擦ってしまうことも。こうしたクイックなライディングをソフテイルで楽しみたい人には、FLS ソフテイルスリムが向いているだろう。ファットボーイ ローならば、そのローダウンフォルムとダーティなボディワークを活かしたグラフィックカスタムが最適な楽しみ方ではないか、と思う。

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特に惚れ惚れするのが、車体の左斜め後ろから見た際のシルエットだ。タンクからシート、そしてリアエンドへと流れるラインは、他メーカーモデルではまず目にしない流麗なシルエットとなっている。リジッド型フレームを備えつつ古き良き時代からの伝統を受け継ぐモデルだからこそ生み出せるもので、ファットボーイ ローにはその伝統が確かに息づいている。

FLSTFB ファットボーイ ロー の詳細写真

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今ではFLS ソフテイルスリムにも装備されているが、この大きなヘッドライトとナセルカバーはファットボーイ ローのアイデンティティのひとつだ。
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遠すぎず近すぎず、ニュートラルなポジションのハンドルバーを備える。ライザーは兄貴分のファットボーイと共通のオリジナル。
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容量18.9リットルのフューエルタンクには、やはりファットボーイ伝統のエンブレムが輝く。中央のレザーにも同様のエンブレムが刻まれる。
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全モデル共通となったキー付きキャップももちろん標準装備。
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細身のパッセンジャーシートとセットになっているシート。座面が広く、それでいて股間部分が細いので足がすんなりと降り、足着きの良さを実感することができる。
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200ミリタイヤを備えるリアエンド。リアフェンダーもファットボーイと共通の幅広いものを採用。遠目からでも、走っている姿を後ろから見ただけでファットボーイと分かるほどのインパクトを有する。
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FLスタイルを象る油圧式フロントフォークは今なお健在。時代に合わせた進化を遂げており、現代のロードシーンでも快適なライドフィールをライダーに提供してくれる。
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ファットボーイ2モデルの代名詞でもある17インチ ディッシュホイール。ロー仕様はご覧のとおりマットブラック塗装でまとめられている。
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前後どちらもバランスよく効くようになった新型ブレーキシステムを同モデルにも備えている。ディスクのデザインも変わり、ややレーシーな雰囲気をまとうようになった。
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2011年から搭載されるようになったABSシステム。現代のロードシーンでは不可欠な装備となっている。
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ソフテイルモデル共通とされる排気量1,584cc/空冷4ストロークV型2気筒OHV2バルブエンジン『ツインカム96B』。クロームメッキのエンジンが、真っ黒なエアクリーナーやエキパイ、そしてボディワークを引き立てる。
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こちらもソフテイル共通のフットボードだが、ボードそのものはビビッドブラック仕様に。
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左側のシーソーペダルのボードもビビッドブラックに。シューズを痛めないところもシーソーペダルの大きな利点と言えるだろう。
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マットブラックのエキパイカバーを備えるエキゾースト。こちらもボディ全体のブラックを引き立てるカラーリングとされる。
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要であるソフテイルフレームはマットブラック仕様。グラフィックを意識したカスタムを施すうえで、軸となるフレームがブラックアウトされているのは嬉しいところ。

こんな方にオススメ

『ターミネーター』に憧れるならば
細身タイヤの中古車も検討したい

前述したとおり、1990年にデビューしたファットボーイは当時リアタイヤ幅が130ミリで、1997年に150ミリ化し、そして2007年に200ミリ化したという経緯がある。そして『ターミネーター2』に登場した当時のファットボーイは130ミリ仕様のモデルだった。リアエンドの迫力という点ではリアタイヤ幅が太い方がインパクトがあるが、ターミネーターが劇中でリアを滑らせながら走っているシーンなどは細身のタイヤならではのスポーツライドが生み出せたもの。『ターミネーター2』で登場する場面に憧憬を抱いている方は、リアタイヤの細い中古車を検討してみてはいかがだろうか。

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