VIRGIN HARLEY | Project LiveWire プロジェクト ライブワイヤー 試乗インプレ

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HARLEY-DAVIDSON PROJECT LIVEWIRE

Project LiveWire プロジェクト ライブワイヤー

ついにベールを脱いだ電動ハーレー!
マレーシアにて緊急試乗してきた

いったいどんな乗り味で、どんな音がするのか……!? 昨年6月、なんの前触れもなく突如姿をあらわしたハーレーの電動スポーツバイク『Project LiveWire』。まさか、あのハーレーが電動だなんて……、世界中のバイクファンが耳を疑ったが、ミルウォーキー(H-Dカンパニー)はとことん本気だ。なんと発売未定ながら、今年中にアジア、ヨーロッパ、北米、3大陸8か国にまたがる試乗会を実施予定。その第1弾、マレーシアでおこなわれた招待制の試乗会『Project LiveWire Experience』に乗り込んだ。

Project LiveWire プロジェクト ライブワイヤーの試乗インプレッション

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イメージを覆す刺激的な走り
問題はその航続距離だろう

日本のメディアがライブワイヤーを目の当たりにし、試乗をするのはこれまでなかったこと。期待に胸を膨らませ成田を発つと、常夏のマレーシアで待っていたのは、これまでのハーレーとはまるで違うロードスポーツタイプの車体。ハーレーと言えばロングホイールベースのクルーザータイプの車体とVツインエンジンが代名詞だが、『LiveWire』はそのどちらとも決別。ライディングポジションは前傾姿勢となり、パワーユニットはエレクトリックモーター。当然、鼓動なんかない。既存のハーレーユーザーはおろか、バイクファンが果たして振り向いてくれるのか、不安でいっぱいだ。

しかし走り出してしまえば、そんなネガティブなイメージはきれいサッパリ、どこかへ吹き飛んだ。これまでのハーレーと比べるのは無意味と思えるほど、まったくの別モノ。ただ単に、ライディングが面白い!

メインスイッチを押すと、ハンドルポストに備え付けられたカラーディスプレイが起動し、電源が入ったことをライダーに知らせる。計器類は他に一切なく、ここに速度や走行距離、バッテリー残量や電圧・温度、ECUの温度など必要な情報を集約している。

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次にライダーは画面上で、より力強い走りが楽しめる「パワー」か、航続距離優先の「レンジ」いずれかのモードを選ぶ。自分が与えられた車両はバッテリー残量99%の状態で、「パワー」なら29分、「レンジ」だと59分ほど走れると、走行可能時間の目安が画面に表示されている。

スタートボタンをさらに押せば、いよいよアクティブとなり駆動力を得る。モニターの表示がスピードメーターに切り替わり「0km/h」と大きくディスプレイされればもう走り出せる。言うまでもなくアイドリング音などは一切なく、音は何も聞こえない。ただし、電源を入れたときにモーターを冷却するためのオイルシステムが駆動し、電気音だけが鳴った。

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操作方法は通常のガソリンエンジンを積むバイクとまったく一緒。回生ブレーキがエンブレの代りになる。ただし、トランスミッションを搭載する必要がないことから、クラッチレバーやシフトペダルはなく、ライダーはただただアクセルの開閉、体重移動などに集中すればいい。

レンジモードから試したが、加速は想像以上に強烈。しっかりとしたトラクションを感じつつ、瞬時に車速が上がり、あっという間に100km/hオーバー。さらにパワーモードでワイドオープンの感触を確かめたが、油断すれば乗り手が仰け反るほどの猛ダッシュを見せてくれるから驚いた。もちろんパワーモードの方がトルクは太いが、レンジモードでも充分に力がある。レシプロエンジンでは体験することのできない一定かつシームレスなパワー感は、右手のスロットル操作にリニアで、目の前の道が見渡す限りクリアになっていなければ容易くフルスロットルにできないほどだ。

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また、電動であるにも関わらず、サウンドにもこだわったというから、いかにもハーレーらしい。ヘルメット越しに聞こえるのは、加速するにつれて甲高くなる「ジェットサウンド」。これはモーターとギヤの噛み合わせによってケース内で共鳴する音を開発陣が追求し獲得したもので、じつにエキサイティング。ライダーのみならず、走り去るのを見送る人にも「キーン」という狂気じみたサウンドが耳をつんざく。

バッテリーへの充電は家庭用電源ででき、車体全体の完成度はきわめて高い。ハーレーダビッドソンは開発段階にあることを強調するが、試乗後に思うのは製品化も間近なのでは……!? という期待を込めた気持ち。クリアすべき課題は航続距離の延長と、魅力的な価格設定という点だけだろう。『Project LiveWire』の今後から、目が離せない。

Project LiveWire プロジェクト ライブワイヤー の詳細写真

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ヘッドライトをはじめ、ミラーステーにビルトインされたターンシグナルなど、灯火類はすべてがLED式。近未来的なスタイリングを演出している。なお、トランスミッションを搭載していないため、クラッチレバー、シフトチェンジペダルはない。
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ハンドルポストにマウントされるカラーディスプレイに、バッテリー残量など必要な情報を集約し表示。ライディングモードは「POWER」と「RANGE」がセレクトでき、それぞれの走行可能時間も画面で確かめられる。
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右手のグリップを捻れば走るという操作は、従来のバイクとまったく一緒。既存モデルからの流用パーツは、スイッチボックスまわりくらいだろう。試乗車では、RUNスイッチが電源ボタンに、STARTで、アクティブ(走行可能)となっていた。
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倒立フォークに装着されたシングルディスクブレーキ。制動力は必要にして十分なものだ。ホイールは専用デザインのキャストホイールが取り付けられている。
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ディーテールに至るまで専用のパーツで組み上げられ、既存モデルからの流用はハンドル左右にあるスイッチボックスくらいなもの。H-Dロゴも誇らしげだ。
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リチウムイオンバッテリーとセットされた油冷式三層ブラシレスモーターは、最高出力74hp(およそ55kW)、最大トルク51Nmを発揮。定格出力によって免許区分が決まる現行の免許制度なら、普通二輪AT免許で乗れるようになるはず。
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体重移動がしやすいうえ、加速時にはその強烈なダッシュに耐えられるようリアエンドをせり上げたシングルシート。幅も抑えられ、スリムな車体によく似合う。
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有機的なフォルムが与えられたリアエンド。どこか近未来的なマシンの印象を受ける秀逸なデザインである。さまざまな問題をクリアし、一刻も早く市販化を実現させていただきたい。
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バンクセンサーを備えるなどし、スポーティな走りに対応するステップまわり。回生ブレーキも採用され、減速時にバッテリーをチャージ。エンジンブレーキに似たフィーリングを獲得しているのも、お見事。
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リアサスペンションは、赤いスプリングがセットされたカンチ式モノショック。別体式のリザーバータンクを持ち、ハードな走りにも対応。初期はしなやかに動き、奥で踏ん張ってくれる。
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ファイナルドライブはハーレーではお馴染みのベルト式。専用のキャストホイールにはミシュラン製のSCORCHER11がセットされ、タイヤサイズはフロント120/70ZR18、リア180/55ZR17。
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ショートカットされたテールセクションなどで、スタイリッシュさをアピール。ターンシグナルを左右に備えたライセンスプレートも完成度が高く、そんなディテイルの数々を見れば市販化を期待せずにはいられない。
試乗ライダー プロフィール

バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。国内外のモーターサイクルカルチャーに精通しており、取材経験はアメリカやヨーロッ パはもちろん、アフリカや東南アジアにまで広範囲に及ぶ。自らのモトクロスレース活動や豊富な海外ツーリングで得たノウハウをもとに、独自の視点でバイクシーンを解説。現在、バージンハーレー誌やホットバイクジャパン誌をはじめ、数多くのバイク専門誌、総合一般誌、WEB媒体に寄稿。著書には「図解入門 よくわかる最新バイクの基本と仕組み」などがある。

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