VIRGIN HARLEY | FLTRU ロードグライドウルトラ 試乗インプレ

FLTRU ロードグライドウルトラの画像
HARLEY-DAVIDSON FLTRU(2016)

FLTRU ロードグライドウルトラ

デビューから36年になる
ロードグライドの進化のほどは

ウルトラリミテッドと双璧をなすツーリングファミリーの重鎮、ロードグライドウルトラ。2013年、カンパニーが立ち上げた”ツーリングファミリー刷新”計画『PROJECT RUSHMORE』(プロジェクトラッシュモア)の第2弾モデルとしてフルモデルチェンジをはたした同モデルは、どれほどの進化を遂げたのだろう。祖先たる1980 FLT ツアーグライドから数えて36年めとなるロードグライドの遍歴とともに、その性能に迫ってみよう。

FLTRU ロードグライドウルトラの特徴

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正常進化をはたした
ツアーグライドの正統後継者

サドルケースのみを備えるロードグライドと、最高位ツアラーとしての装備が与えられたロードグライドウルトラ。前者のラインナップ歴は1998年からというロングセラーっぷりで、後者は初登場が2011年。2014年に一度カタログから姿を消し、2016年モデルとして復活した経緯を持つ新参モデルなイメージがある。が、始祖たるFLT ツアーグライド(1980年 / 排気量1,340ccショベルヘッドエンジン)はトップケースをはじめとする装備を備えた最高位ツアラーとして手がけられたモデルで、その点から言えばロードグライドウルトラこそが、ツアーグライドのスタイルを継承するモデルだと言えよう。

ツアーグライドが生まれた1980年は、ハーレーの暗黒時代と言われる大手機械メーカーAMF社傘下の最終年で、その翌年には13人の役員による再独立をはたす(いわゆるバイバック)。つまりこのモデルは、メーカーとしての信頼を失いつつあったカンパニーの危機感が生み出した新生ハーレーの第一歩ともなったバイクで、AMF社のロゴが消えた今も受け継がれていることは大変興味深い。

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1996年式 FLTCUI ウルトラクラシック ツアーグライド

ウルトラの装備を与えられたことによりツアーグライドの正統後継者となったロードグライドウルトラだが、2011~2013年モデルと2016年以降モデルとでは、根本的な仕様が異なる。それは2013年に立ち上げられたカンパニーのツーリングファミリー刷新プロジェクト「プロジェクトラッシュモア」にある。放熱性を高めるために水冷機能を併載した新型エンジン「ツインクールド ツインカム103」がウルトラ2モデル(エレクトラグライドウルトラクラシックとウルトラリミテッド)に採用され、新設計のフレームに最新ブレーキングシステム、そしてボディデザインもモダンで流麗なスタイルへとブラッシュアップされた。

この年、レギュラーだったロードグライドがカタログから姿を消したことが話題になったが、翌年このプロジェクトラッシュモアの手が加わった第2弾モデルとしてFLTRXS ロードグライドスペシャルが登場。エンジンはスタンダードなツインカム103だったが、同年デビューのCVO FLTRUSE CVO ロードグライドウルトラはロワフェアリング付きのツインクールド仕様となっていた。今回試乗するロードグライドウルトラは、そのCVOモデルのスタンダードバージョンという位置付けと言えるだろう。

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一世代前のモデルと比べて変わった点は、ボディ全体のデザインとライディングポジションに関するディテールだろう。タンクやトップケース&サドルケースは、新型ウルトラリミテッドにも用いられている機能性を高めたものが取り入れられている。「走っている最中でも片手で開けられる」という謳い文句のワンタッチ サドルケースは、プロジェクトラッシュモアによる恩恵の最たるギミックだと言えよう。

シャークノーズフェアリングと呼ばれるデュアルヘッドライト型フロントマスクはロードグライドの顔そのもの。空気力学に基づいて見直されたデザインにより、一世代前よりもフラットな表情となり、走行時の空気抵抗を軽減する仕様へと高められているという。もちろんヘッドライトはLEDだ。

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2015年式 FLTRXSでも話題になった独特の形状のプルバック型ハンドルバーも継承。このバーは、始祖ツアーグライドのそれに酷似していることもあり、改めて36年という歴史の長さを感じさせられる部分でもある。さらにパッセンジャー用と組み合わされたシートは前年のCVOモデルから受け継いでおり、ゴージャスな乗り心地をもたらしているのは嬉しいところ。

そこでポイントとなるのが、ツインクールド ツインカム103エンジンだろう。空冷ツインカム103はソフテイルファミリー全モデルに搭載されるようになり、来季はダイナファミリーも103ci化かとも言われている(北米仕様はすでに103ci化している)。また、CVO、そしてSシリーズがONE-TEN(ツインカム110)を備えていることを思うと、重装備のウルトラがツインカム103のままというのはあまりに寂しい。1,689ccという排気量は確かに大きなパワーだが、そこに物足りなさが出たりはしないだろうか。

それを探るべく、あらゆるシチュエーションでの試乗を行ってみた。

FLTRU ロードグライドウルトラの試乗インプレッション

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ヘビー級モデルにふさわしい
ベストセッティングエンジン

全長が2,575mmで、車両重量が424kg。やはり重量級のウルトラともなると、その大きさだけで扱いに相当気を使ってしまうほど。ウルトラを取り扱う機会が多い身長174cmの筆者でさえ、ソフテイルやダイナとは違う緊張感が走る。軽々と扱える正規ディーラーのスタッフには感心するばかりだ。

跨ってみてまず感じたのは、ハンドル位置だ。乗車時にハンドルに手をかけると、やや遠い印象を受けたが、実際に走り出してみたらその印象は薄らいだ。走り出してからライディングポジションを修正したからだろう、筆者の腕が伸びきらない程度の位置に落ち着いてくれた。実際にハンドルを大きく切ってみると、確かに片腕が伸びきるが、そこまでハンドルを切った状態で走ることはまずないので、デメリットだとは思わない。

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ロードグライド乗車時のハンドルポジション

ハンドルに関しては、漢数字の八の字を描くようなポジションが特徴の形状なので、ここは好みが分かれるところかもしれない。実際にロングランで具合を見てみたところ、2時間ほど走り続けても操作で手首が疲れるということはなかった。むしろ、慣れてくれば力の入れ方次第で操りやすいと感じることもあったほど。

相当に厚みのあるシートは、いざ走り出すとまるで高級ソファのような乗り心地を提供してくれる。さらに上にはCVOというグレードがあるとはいえ、そこはやはりウルトラだ。オーナーの所有欲を満たしてくれる仕様になっているのは嬉しいところ。一方、厚みに合わせて股間部分が幅広いところがネックになっている。ここの幅が広いと、足が外に開いて足つきが悪くなってしまう。ウルトラという重量級モデルなだけに、オーナーの身長によってはここの調整は必要になってくるかもしれない。購入前の試乗時には入念にチェックしていただきたいポイントだ。

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ツインカム103化した300kg代のソフテイルに、スクリーミンイーグル・ツインカム110が標準装備されるCVOやSシリーズの台頭という背景から、重量級モデルが揃うツーリングファミリーがツインカム103ということに物足りなさが漂うのもまた事実。一方で、1,689ccという排気量は日本人の体格やバイクライフから考えればオーバースペックとさえ言える大きさでもある。大事なのはバランスで、400kgオーバーのウルトラとツインカム103との相性が、ロードグライドウルトラを評価する際の最大のポイントとなる。

車両は確かに重い。ウルトラリミテッドと違ってフェアリングがトップブリッジにマウントされていない分、ハンドリングに重さを感じることはないが、それでも400kgオーバーの車両である。慣れない人にとってはバランスを取るだけで精一杯であろう。

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それに対してツインカム103の仕様はというと、思っていた以上に相性がいい。これは10年以上かけて煮詰められてきたフューエルインジェクション機能のセッティングによるものもあろう、低速の吹け上がりが急すぎず、程よいパワーでこのヘビーモデルを突き動かしてくれるのだ。ネガティブな印象が出るように思えたタウンユースでも、適度なパワーとトルクで疾走させることができる。これがトップケースのないロードグライドとなると、また違った感想を抱くことだろう。

これほどの重量バイクにもかかわらず、以前に比べて操りやすくなったのは、「プロジェクトラッシュモア」による新設計のフレームが採用されたからに他ならない。体格に恵まれたアメリカ人のパワーに任せていたフレームの弱点をすべて克服させ、日本人をはじめとする小柄な人でも力を要さずにコントロールできる設計になったのは大いに評価したい。主戦場とはならないが、タウンユースでストレスを感じることはほとんどなかった。

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高速域でのハイウェイライドはさらに快適だ。特に進化を感じさせられたのがウインドプロテクション機能で、ライディング向けとは言い難いジャケットで時速100km巡行を行ってみたところ、ジャケットがバタついたり暴れすぎて不快になるということは皆無だった。この速度域ならフルフェイスの方が快適に過ごせるだろうが、ジェットヘルメット+サングラスという出で立ちでも「走行風が強すぎて困る」というほどにはならない。さすがはノーヘルOKな州がある国のバイクだと言えよう。

気になるエンジンの熱さだが、真夏日に数時間ロングライドをしてみた結果、確かにかなり熱くはなるものの、手がつけられなかった以前の空冷ツインカムに比べれば幾分かマシか、というところ。「この熱さもハーレーならでは」と寛容な心で受け止めるのが大切かと感じた。

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前後が連動する最新のブレーキングシステム、並びにABS機能も上々の動作を見せる。ハイウェイはもちろん、タウンユースでもその効果は絶大で、急なアクシデントに際してもギリギリまでバイクが安全を保とうとしていることを実感できるほど。最新版ロードグライドウルトラは、かつてカンパニーが新たな旗艦モデルとして手がけたツアーグライドに対し、自信を持って示すことができる正常進化モデルだった。

FLTRU ロードグライドウルトラの詳細写真

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空水冷機能併載の排気量1,689cc / 4ストロークV型2気筒OHV2バルブエンジン『ツインクールド ツインカム103』。
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ロワフェアリング内にはツインクールド ツインカム モデルに標準装備される専用のラジエターが内蔵されている。
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伝統のシャークノーズフェアリングも、空気力学に基づいたマイナーチェンジを敢行。手動で開閉可能な上部ダクトやヘッドライト両脇に設けられたダクトを含んだインダストリアルデザインが大きな特徴に。ヘッドライトはLED仕様とされる。
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ハンドルバーは高く持ち上げられたプルバックタイプ。ロードグライドと共通ながら、他のモデルには見られない独特の形状は試乗でその具合を試されたし。
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ツーリングならびにCVOモデルに採用される専用のイグニッションスイッチボックス。オートクルーズコントロール機能スイッチが左側に、そしてオーディオ操作用のジョイスティックが左右に備わる多機能ぶりが特徴的だ。
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ハンドルのトップブリッジ上にはラウンド型のスピード & タコメーターが備わる。フェアリング内は、中央にタッチパネル式オーディオシステム「インフォテインメントシステム BOOM! BOX 6.5」、その両脇に燃料計と電圧計、そして両サイドにスピーカーが内蔵される。
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フェアリング左側には小物類を収納できるボックスが。スプリング内蔵型のカバーのため、開けっ放しにはならない。そのボックス下にはシガレットソケットも。
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右側にはオーディオシステムと接続できるUSBポートが。ヤッコカウル型ウルトラだとスマートフォンをホールドするスポンジが内蔵されているのだが、ロードグライド型はそのまま入れるだけ。走行中にスマートフォンが傷だらけになる可能性もあるので、自身でクッション等を用意されるといいだろう。
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22.7リットルという容量を誇るビッグタンク。250km近く走ってもまだ残量に余裕があるほど。
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ウルトラモデルで共通とされるライダー & パッセンジャーシート。トップケースと一体化した大きなバックレストは、パッセンジャーに快適な乗り心地を提供する。シート脇には電源ソケットが備わる。
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パッセンジャー用フットボードはご覧の大きさ。両足をべったり付けていられる安心感はウルトラならでは。
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「プロジェクトラッシュモア」によって刷新された新型のサドルケース。以前とはカバーの開閉が逆になり(外側に向かって開く)、謳い文句のとおりワンタッチで開け閉めすることができる。
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「プロジェクトラッシュモア」以前と見比べるとシャープなデザインへと変わったウルトラ用トップケース。さらなる積載用のキャリアも標準装備。
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トップケースの容量はご覧のとおり、ヘルメット2つなら楽々収納できるほど。書類や貴重品を収納するレザーバッグなどが備わる。
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フロント17 / リア16インチというハーレー流の足回り。フロントは、伊ブレンボ社製ブレーキキャリパーがダブル仕様で装着されている。さらに前後が連動する最新のブレーキングシステム、ABS機能も併載というフルコース。
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ツーリングやソフテイルモデルに装備されるシーソーペダル & 大型フットボード。近年は他メーカーのクルーザーモデルがこの仕様を取り入れ始める傾向も見え、改めてハーレーのアイデンティティーだと感じさせられる。
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バガースタイルをイメージしたストリートグライドとは異なり、スクエアテールライトの採用など、伝統のクラシカルなリアエンドになっている。エキゾーストは左右2本出し仕様。

こんな方にオススメ

人とは違う存在感を放ちたい
個性派主義のあなたに是非!

かつてハーレーが威信をかけて世に送り出した1980 FLT ツアーグライドは、「ハーレー初の2灯モデル 1929 JDLをインスパイアしたもの」というキャッチでデビューしたが、まだ馴染みのないデュアルヘッドライトというフロントマスクは少々先鋭的だったのか、デビュー当時はまったく人気が出なかったという。確かにハーレーのツアラーと言われれば、真っ先に思い浮かべるのはヤッコカウルのウルトラだろう。しかし、このデュアルにも四半世紀を超える歴史があり、今後もハーレーの顔として君臨していくことに変わりはない。だからこそ、あえてこのロードグライドでヤッコカウルにはないオリジナリティを放ってみよう。王道とは異なるからこそ、あなたにしか語れないハーレー論が構築されてくるはずだ。

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