VIRGIN HARLEY | FXDB ストリートボブ 試乗インプレ

2016年式 FXDB ストリートボブの画像
HARLEY-DAVIDSON FXDB(2016)

FXDB ストリートボブ

よりパワフルな走りを味わわせる
ダークでチョッパーな新世代の申し子

2017年、ソフテイルに続いてダイナファミリーもツインカム103エンジン化することとなった。かつてツアラーだけに許された排気量1,690ccのパワーを得たダイナモデルは、一体どんな進化を遂げたのだろう。4台あるダイナモデルのなかで、「ダーク」「チョッパー」と“今の旬”を体現するストリートボブを通じて、その変わりように迫ってみたい。

FXDB ストリートボブの特徴

FXDB ストリートボブの画像

ハーレーの原型とも言える
スタイルを有するスタンダード

ストリートボブがデビューしたのが2006年。今から10年ほど前のことで、この年はダイナファミリーの大きな転換期でもあった。キャブレターからフューエルインジェクション化し、フレームの高剛性化にともないフロントフォークは41mmから49mmへ、リアホイールも16から17インチに、タイヤ幅も150から160mmへと、全体的にマッシブな印象を強めることに。ビッグツインモデルでありながらスポーツスターの佇まいを備えているところを大きな魅力としていたダイナの変貌は、いかにもアメリカらしい合理的な進化の賜物と言えた。

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そんな全体的なバージョンアップとともに登場したのが、このストリートボブだ。スーパーグライド、ローライダー、ワイドグライドといったダイナの大先輩を向こうに回し、この若輩者が描いた世界観はハーレーの原点とも言えるシンプルなチョッパースタイルだった。エイプハンガーにスポークホイール、スパルトテールランプを備えたコンパクトなリアエンドは、「時代の流れにともなう進化を遂げようとも、ハーレーのスピリットは失ってはいない」というカンパニーのメッセージのようにも見えた。

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10年というラインナップ歴を誇るストリートボブは、その間 若干のマイナーチェンジも行ってきた。大きく印象を変えたのは2014年、それまでスパルト型だったテールランプをウインカー一体型とし、トリプルツリーやアウターチューブ、エンジンのシリンダーヘッドなどをブラックアウト。今まさにカンパニーがテーマとして掲げている「ダークカスタム」の方向性にグッと近づける仕様となったのだ。

ローライダーS(Sシリーズ)やプロストリートブレイクアウトに見られる昨今のブーム「ファクトリーカスタムモデル」と見比べると、そのスタイルは極めてシンプル。だがそれこそが、ハーレーが100年以上の歳月をかけて培ってきたカスタムカルチャーに必要な要素でもある。例えばフォーティーエイトをチョッパースタイルに移行しようとすると、まったく異なるスタイルへの変更なだけに、想像しただけで大きな時間と労力、そして費用を要する。しかしストリートボブのようにベースがシンプルであれば、どんなカスタムスタイルをも許容できる。昨年ラインナップされた FXDBC ストリートボブスペシャルのようなクラブスタイルでさえ、容易に取り入れられるのだ。

そして今年、ソフテイルに続いてダイナファミリーのエンジンもツインカム103化することとなった。現ツーリングモデルの新型エンジン「ミルウォーキーエイト」から引き継ぐ形での継承だが、かつて重量級モデルのために作られたこのモンスターエンジンを積んだダイナモデルは、一体どんな走りを味わわせてくれるのだろうか。

FXDB ストリートボブの試乗インプレッション

2016年以前とは別物のバイクに
実はスポーツ仕様なチョッパー

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すでにエンジン音から違う。

走り出してからまもなく、その鼓動とサウンドの大きさに気付かされた。それもただ大きいだけではない、力強いのだ。フルチューン仕様のツインカム96とも根本的に異なる、本質的な違い。間違いなくツインカム103の潜在能力が為せる業だ。発進時に勢いよくスロットルを捻ろうものなら、リアタイヤが受け止めきれなかったパワーが有り余って、スピンしてしまいそうになるほど。しっかり踏ん張ったときは、逆にフロントが浮き上がるような印象さえある。街中であれば、2速パーシャルで引っ張りながら走り続けることも難しくない。

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よくよく考えれば当然のことで、ツインカム103は元々300kgオーバーという超重量級のツーリングモデル用とされたエンジンだ。それを、無駄な装備を持たないダイナ・ストリートボブに積んでいるのである、パワーがあり余っているのだ。ツインカム96のときのバランスを逸脱してしまうのは無理ない。

トルクフルになり、以前とは比べものにならない加速力と力強さを兼ね備えたことで、その走りは一層攻撃的なものに。ビッグツインスポーツであることをアイデンティティとするダイナモデルにとっては、正常進化と言えるのかもしれない。

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慣れていない人はもちろん、雨天時だと路面でホイルスピンを起こしてしまうのでは……という懸念がなくもない。ただ、プレミアムサスペンションやオーリンズ製品などによるリアサスペンションのバージョンアップを図れば、その現象はかなり軽減されるものと想像する。むしろこの強大なパワーをしなやかに受け流せる高いスペックのサスペンションに変えたら、さらにこのモンスターダイナが楽しめる……。そう想像するだけで胸が高鳴りそうだ。

エイプハンガーという現ラインナップで唯一のカスタムハンドルを備えるストリートボブで攻めたライディングを試みると、やはりコーナリングでのクセの強さが浮き彫りに。ステップ位置こそミッドコントロールながら、ハンドル位置がうず高いため力の掛け方がオーソドックスなバイクのそれとは大きく異なる。それがツインカム103というパワーを得たわけだから、以前に比べて一層難儀なモデルとなっている。それでも、しっかり踏ん張れないフォワードコントロール仕様に比べれば全然マシな方で、要は力をかけるコツさえ掴めば、そのパワーもろとも操ることも容易だ。

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その勢いでコーナーに飛び込んでいく。「ステップをめいっぱい擦るだろうな……」そんなことが頭をよぎるなか、バイクをバンクさせていくと……ステップを擦るほどではなかった。後からスペック表を見比べると、最低地上高がローライダー(105mm)やワイドグライド(100mm)に比べて、127mmと思いのほか高いことに気づかされた。カスタム色の強いスタイルとは裏腹に、実は結構スポーツバイクとなっているのだ。もしかしたら、このストリートボブこそツインカム103化の恩恵を一番受けているのかもしれない。

正直言って、ツインカム96からツインカム103という変化をどこまで体感できるか、このインプレッション前まで少々不安があった。しかし、いざ走り出したと同時にその不安は簡単に消え去った。ツインカム103のパワー、健在なり。

FXDB ストリートボブの詳細写真

FXDB ストリートボブの画像
ソフテイルに続いてダイナも103化!排気量1,689cc / 空冷4ストロークV型2気筒OHV2バルブエンジン『ツインカム103』エンジンだ。ストリートボブにふさわしくブラックを基調としたカラーリングになっている。
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2014年モデルより、トリプルツリー(トップブリッジ)やフロントフォークのアウターチューブなどがブラックアウトされた。以前に比べてクロームパーツとのコントラストがより印象的になった。
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現ラインナップで唯一のエイプハンガー標準装備モデルとなったストリートボブ。ライザーには「MILWALKEE USA」の刻印が刻まれる。
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容量17.8リットルのフューエルタンク。2017年モデルのカラーリングは、ビビッドブラックにブラックデニム、オリーブゴールド、そしてこのチャコールデニム / ブラックデニムのツートーンと、ハードキャンディーカスタム[ホットロッドレッドフレーク]の計5カラーが用意されている。
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スピードメーターを中心に、左にガソリン計、そして右側にタンクキャップを備える。
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オーソドックスなサドルシートはホールド感にやや欠けるため、そのパワフルな加速時に体が後ろに流されてしまうことも。パワーアップしているだけに、このあたりのパーツチョイスは一考の必要がありそうだ。
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2014年のマイナーチェンジにより、テールランプ一体型ウインカー & チョップドリアフェンダーという組み合わせとなったリアエンド。
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真っ黒なスポークホイール & シングルディスクという組み合わせがチョッパーモデルとしての演出を担うフロントまわり。アウターチューブのブラックアウトによって一層引き締まった印象がある。一方、強力な走りを考えるとシングルディスクブレーキは少々心許ない部分も。
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チョッパースタイルを模していつつも、ステップ位置はミッドコントロール仕様とされる。ここが踏ん張れることでライディングに安定感がもたらされる。
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エキゾーストは従来どおり、2本出しのオーソドックスな仕様に。2017年モデルよりEURO4対応型となっているので、以前よりもパワーをしっかり引き出せている?
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駆動の要となるベルトドライブはスポーツスターとは逆の左側に。スプロケットのセンター部分が黒いところもダークカスタムモデルとしての主張か。

こんな方にオススメ

当たり前の日本人的思考から逸脱して
その強烈なパワーを操り切ってみる

ツインカム103を備えたことにより、チョッパーモデルというキャラクターが一層強まったと言える。あれほどのパワーを存分に楽しめるのであれば、主戦場はハイウェイをおいて他にあるまい。ストリートでも十分操ることができるが、それでも持て余している感は否めない。それなのにスタイルはチョッパーなのだから、スタンダードなオートバイに乗っているライダーから見れば理解に苦しむモデルであろう。だが、それがアメリカであり、ハーレーダビッドソンでもあるのだ。今ツインカム96仕様のダイナに乗っているオーナーに言いたい。「今のカスタムメニューがボルトオンの範疇なら、乗り換えてしまう方がお得だ」と。それぐらい、ライディングを支えるエンジンそのものが違うのだ。

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