VIRGIN HARLEY | FXDL ローライダー 試乗インプレ

FXDL ローライダーの画像
HARLEY-DAVIDSON FXDL(2016)

FXDL ローライダー

2014年に新型化した
ニューローライダーにせまる

約一年のブランクを経て、2014年にマイナーチェンジをはたしたFXDL ローライダー。アメリカでひと足早く登場していたこともあって、一年遅れの再上陸はファンをやきもきさせたが、その話題性がかえって日本におけるローライダーの人気の高さを立証したと言えよう。1977年のデビュー以来、ずっとラインナップを飾り続けてきた不朽の名車。時代に合わせた変化を受け入れつつも、ハーレーを語るうえで欠かせない存在として君臨する同モデルのヒストリーと新型モデルの真の姿を紐解いていこう。

FXDL ローライダーの特徴

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時代を先取りした
ファクトリーカスタムの先駆者

ローライダーを語るうえで避けて通れないのが、1971年の「FXシリーズの誕生」だろう。それまでのハーレーダビッドソンと言うと、エレクトラグライドをはじめとするツインショック型フレームのFL系ビッグツインと、現スポーツスターの祖となるスポーツモデルXL系の2タイプでモデル展開していた。そんな流れに、「ビッグツインにXLのスポーツ性能を掛け合わせたハイブリッドモデルを」というアイディアから、最初のFXモデルであるFX スーパーグライドが誕生したのである。

発案者は、新進気鋭のデザイナーにして創業者ウィリアム・A・ダビッドソンの孫にあたるウィリアム・G・ダビッドソン。今、ウィリーGと呼ばれる人物だ。1963年にカンパニーに入社した彼がこのFXを世に送り出したのは38歳のときで、ボートテイル型シートカウルを採用するなど豊かな発想力を活かしてFXモデルに活力を与えていった。FXSローライダーは、勢いに乗るFXの新たな旗艦として1977年に生み出されたモデルだった。

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以来、姿を変えつつもローライダーの名はラインナップに残り続け、スーパーグライドやスタージス、ワイドグライドとともにファミリーの顔、ハーレーの顔として君臨した。ショベルヘッドエンジンからエボリューションエンジン、そしてツインカムエンジンへと変わり、マイナーチェンジを幾度も繰り返しつつも、不動の人気モデルであり続けた。2011年に本国のラインナップから姿を消し、日本でもついに2013年にラインナップ落ちした。ところが同年、本国サイトで装いを新たにしたローライダーが姿を見せ、一年遅れの2015年モデルとして再上陸をはたした。

新型ローライダーのテーマはずばり「進化&原点回帰」だろう。グラフィックは1978年のオプション扱いだったツートーンデザインをモディファイしたもので、メーターコンソールやダブルディスクブレーキ、オリジナルの2in1エキゾースト、「LOW RIDER」と刻まれたオイルタンク、昔ながらのボックス型テールランプ、そしてヘッドライトバイザーの復活と、現代のハーレーの流行とは異なる“古き良き時代の”という言葉がぴったりなテイストでの復活となった。

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それでいて、ただの懐古主義的なモデルになっていないところも心憎い。専用のダブルシートはバックレストが取り外し可能で、ライダーの体格に合わせてポジションを変えることができる。それはハンドルバーにも同じことが言え、可変式ハンドルライザーの採用によりハンドルポジションをオーナー仕様へシフトさせられるのだ。「乗りにくくても、そのモデルに合わせて乗るのがハーレー」と言われていた頃が懐かしく思えるほど、快適性を存分に考慮したギミックが取り込まれている。そう、2013年以前のローライダーと見比べると、その違いに驚きを隠せない。

伝統のスタイルをインスパイアしつつ、オートバイとしての進化を遂げたローライダーは、現代のハーレーダビッドソンが掲げるスタンスそのものを表しているモデルと言えるかもしれない。そんなニューローライダーのフィーリングを確かめるべく、走り出してみることにした。

FXDL ローライダーの試乗インプレッション

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スポーツからクルージングまで
二面性を持つ希有な新型モデル

いざ発進……というときにまず気づくのが、グリップの細さだ。おそらく国産をはじめとする他メーカーモデルと同じミリ仕様となっているようだ。これまでハーレーはモデルを構成する規格がすべてインチ仕様で、専用規格のためにインチ用工具を用意せねばならなかった。ハンドルも同様にインチ仕様のハーレーは、他メーカーモデルに比べてやや太い。大柄なアメリカ人にとっては気にならなくとも、彼らと比べて体格はもちろん、手のサイズも小さい日本人にとっては気にせずにはいられないところ。そのようにこれまでずっとインチ仕様だったからだろう、数多くのハーレーに乗っている身としては、グリップを握っただけでその細さに「ん?」と違和感を覚える。

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FXDL ダイナ・ローライダーの足着きチェック(テスター:身長174センチ/体重78キロ)

ハンドルバー自体はインチ仕様だが、グリップ部分が細身の規格に変えられているのだ。メーカー発表としてはなされていないが、世界のさまざまな人にとって乗りやすいハーレーを生み出す計画『プロジェクトラッシュモア』の一環と思われる。日本人をはじめとするアジア系ユーザーにとって、有り難いグレードアップポイントだ。現時点でこのハンドルはローライダーとウルトラリミテッドロー、エレクトラグライドウルトラクラシックローのみに採用されているものだが、スイッチボックスがこれまでのものと同じところを見ると、おそらくスロットルボディをはじめグリップの内部構造がミリ仕様に変更されているようだ。構造によっては、さらに他ファミリーモデルにも取り入れることができるかもしれない。

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グリップが細くなった効果は顕著で、インチ仕様のそれと違ってアクセルワークが細やかになり、以前よりもスポーティなライディングが楽しめる。私たち日本人にとってはクルーザーとしてのイメージが強いダイナモデルがこの仕様となったことで、ツーリングにおいてもその快適性が味わえるようになった点は大きい。

ライディングポジションについての配慮はグリップだけではない。脱着可能なバックレスト付きシートと可変式ハンドルライザーは、ライダーに多くの選択肢を与える。大柄な人であれば、バックレストを外してハンドルバーをやや手前に移動させると、ゆったりとしたクルージングが楽しめるポジションに変えることができる。さらに重要なステップ位置がまた絶妙で、スポーツスターで言うところのミッドコントロールより数センチ前めにあることから、シートのホールドポジションを後方に下げれば、フォワードコントロールのようなポジションにすることも可能なのだ。そう、スポーツバイクとしてもクルーザーとしても楽しめる二面性を持ち合わせているわけだ。

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「ビッグツインでライディングする楽しみを存分に味わってほしい」というカンパニーのメッセージは、ダブルディスク仕様のフロントブレーキにも宿っている。2013年以前のローライダーはシングル仕様だったのだが、ハイパワーエンジンを制御することに加え、1978年FXSローライダーがダブルディスク仕様であったことへのオマージュとしてダブル仕様になったようだ。

ダブルディスク・ブレーキングシステムはバイクの制動能力を上げる一方、急制動でいきなり稼働させると、その大きなストッピングパワーが逃げ場を失い、すべてリアタイヤに集中してリア滑りを引き起こす要因になることも。そうした点を配慮してか、現ダイナモデルすべてにABS(アンチロック・ブレーキ・システム)機能が備わっている。ハーレーの場合、エンジンのパワーが強大なのでスピードダウンさせる際はリアブレーキからかけなければならないが、仮にパニックブレーキを起こしたとしても、ABSが手助けしてくれるので最悪の事態には及ばないだろう。もちろん、安全運転を心がけるという前提ありきではある。

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排気量1,584ccのトルクをしっかりと味わわせつつ、その絶妙なポジションでスポーツライドを楽しませる新型ローライダー。しばらく乗っていると、そのままワインディングへ走りに行ってみたくなったり、一方でサドルバッグに荷物を積んでツーリングに行ってみたくなったりと、乗り手の想像力をたくましくしてくれる。これほどの可能性を秘めたモデルというのはなかなかない。そういう意味でも、この新型ローライダーは希有なセンスの持ち主と言える。

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何十年とハーレーを見てきた人にとっては、違和感の塊のようなバイクに変わり果てたと思うことだろう。“スポーツライドが楽しいビッグツインを”というコンセプトから生まれたダイナの祖 FXモデルだったが、細やかな操作でスポーツライドを楽しむ日本人にとっては、スポーツバイクと呼ぶにはほど遠い大雑把な仕上がりだった。それが四半世紀を超え、小柄な日本人でも乗りやすいロードバイクとしての進化を遂げ、多くの人から歓迎される存在となった。偉大なる先達からの系譜を持つモデルの宿命ではあるが、最新のローライダーは、現代のハーレーオーナーに向けて「これがハーレーの正常進化だ」とカンパニーが胸を張って生み出したモデルなのだと思い、ここで筆を置きたい。

FXDL ローライダー の詳細写真

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ローライダーの代名詞であるヘッドライトバイザーが復活した。中古車と購入比較する際、間違いなく違いとして比べられる部分であろう。
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広すぎず狭すぎずのニュートラルな幅のハンドルバー。グリップが細身のミリ仕様なので、スロットルコントロールは他モデルに比べて格段に快適。
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六画レンチで操作できる可変式ハンドルライザー。これまでのハーレーには見られなかった心配りを感じるポイントだ。
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容量17.8リットルのフューエルタンクはダイナモデル共通。右側にはキーシリンダー付きタンクキャップ、左側にはガソリン残量計が付属。
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ブラックパウダーコーティングが施されたメーターコンソールは’70年代ローライダーへのオマージュか。コックピットに雰囲気が宿る。
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1978年FXSローライダーのオプション仕様であったツートーンデザインのグラフィック。HARLEY-DAVIDSONのロゴも大きめに。
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脱着可能なバックレスト付きダブルシート。好みのポジションに合わせて変えられるという、これまでのハーレーには見られなかった進化だ。
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テールランプ一体型ウインカーが多く採用される今日で、あえて前時代的なボックス型テールランプとウインカーを採用したのは、クラシックスタイルの再現に他ならない。
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そのスポーティな走行性能を左右するフロントブレーキはダブルディスク仕様に。クルーザーであり、スポーツバイクであるという意思を強く感じさせる。
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ラウンド部分に[DYNA LOW RIDER]と描かれたエアクリーナーを備える排気量1,584ccの空冷4ストロークV型2気筒OHV2バルブエンジン『ツインカム96』。
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ローライダー専用のステップ。他のダイナモデルと見比べると、ミッドコントロールよりもやや前方にあり、それでいてフォワードコントロールほど前に出ていないポジションであることが伺える。
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コンパクトなデザインのイグニッションスイッチはFXSBブレイクアウトと同じく、エンジン左側にマウントされる。
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シート下のオイルタンクにも[LOW RIDER]の文字が。同モデル名にアイデンティティを抱くオーナーには嬉しいポイントだ。
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680mmという加重時シート高を実現しているのは、このショートリアサスペンション。性能について疑問を抱くところだが、実際に走ってみると驚くほどしっかりと仕事をしてくれる。
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新型ローライダー専用の2in1エキゾーストも、先達モデルに見られたスタイルの再現を意味したもの。ツインカムエンジンのパワーをしっかり引き出してくれる専用設計が嬉しい。

こんな方にオススメ

カンパニーとともに新たな未来を切り開く
そんなパイオニア精神の持ち主がふさわしい

あまりに偉大な祖の存在から、この新型ローライダーについては意見が分かれるところだろう。無茶な走りをしなければ、ビンテージモデルであっても現代のロードシーンでハーレーライフを十分満喫することはできる。一方で、剛性アップ&モアパワーという高性能化によって、どんなロングツーリングでもどんなタイトライドでも、ビンテージモデル以上の能力を見せつけてくるのが新型モデルだ。長期の旅に出かけても壊れる心配がなく、ストレスなくハイウェイを走り抜けていってくれるローライダーは、間違いなく頼もしい相棒となってくれる。カンパニーが指し示した“これからのハーレーのあり方”を具現化したのがこのローライダーであり、そのフィロソフィーに共感できる人こそ、このモデルのオーナーにふさわしいと言える。

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