VIRGIN HARLEY | XL1200C 1200カスタム 試乗インプレ

1996年式 XL1200Cの画像
HARLEY-DAVIDSON XL1200C(2016)

XL1200C 1200カスタム

20年を超える歴史が誇る
初代ファクトリーカスタム

今年でデビュー20周年を飾ったスポーツスター XL1200C 1200カスタム(以下 1200カスタム)は、その歴史が示すとおり、スポーツスターモデルの中でも古参のファクトリーカスタムモデルとして世に送り出された。バージョンアップを経て今なおラインナップに君臨する同モデルは、ファクトリーカスタムモデルの増加からやや影が薄くなった感が否めないが、これまでとは違った魅力を兼ね備えた一台へと進化していた。改めて、スポーツスター初代ファクトリーカスタムモデルの真の魅力に迫ってみよう。

XL1200C 1200カスタムの特徴

XL1200C 1200カスタムの画像

モダンなディテールを取り入れ
正常進化した先駆者を知る

フォーティーエイト、セブンティーツー、1200T スーパーロー、ロードスター、そしてアイアン883と、スポーツスターのラインナップはすでにカスタムされたモデル――ファクトリーカスタムモデルがひしめくファミリーとなった。しかし、1990年代のスポーツスターはそのほとんどがオーソドックスなものばかりで、1996年にデビューした1200カスタムは、カンパニーが指し示すカスタムスタイルのひとつとして手がけられ、登場とともに大いに注目を集めた。

1996年式 XL1200Cの画像

1996年式 XL1200C

メッキ仕様の1200エボリューションエンジンにフロント21/リア16インチ スポークホイール、メーターブラケット一体型ライザー、プレート型エンブレム、エンジン左側のビッグホーン、そして多数のメッキパーツと、他モデルにはないきらめきを放つチョッパーモデルは、ハーレーファンのカスタムカルチャーを多いに刺激するものだった。その姿は2004年のスポーツスター・ラバーマウント化でも継承され、ベストセラーモデルとしての地位を築いていった。

2011年モデルが発表された際、1200カスタムがついにラインナップから姿を消したのだが、翌年の中間期モデルとして復活。それも、2011年に鮮烈なデビューをはたしたフォーティーエイトの特徴を引き継いだ前後16インチ仕様となって、である。以前のフロント21/リア16インチというフットワークのチョッパースタイルは、2012年の中間期モデル セブンティーツーに受け継がれた。

XL1200C 1200カスタムの画像

元祖ファクトリーカスタムモデルというアイデンティティを持つ1200カスタムだが、もはやスタンダードなXL883などは姿を消し、ファクトリーカスタムモデルでラインナップが形成されるほど乱立するまでになった今、その存在感はやや薄れつつある。しかもニューカマー(当時)のフォーティーエイトのスタイルを落とし込まれたことを思うと、「フォーティーエイトのベースモデル」というポジションで見られても致し方ない側面もある。

それでも、この1200カスタムにはオリジナリティがある。一言で言えば、きらびやかさと実用性の両立であろう。「カスタム」の名を継承しているだけあって、数々のメッキパーツに専用ライザー&ハンドルバー、オリジナルデザインのテールライト、そしてフォーティーエイトのキャスト化によって唯一となった前後16インチのスポークホイールを備える。そこに、容量17リットルというビッグタンクとミッドコントロールステップ、ポジションをラクにする専用プルバックハンドルバーが加わり、ネイキッドなスポーツスターでありながら快適なツーリングを楽しませる仕様となっている。2016年モデルからはフロントフォークがシングルカートリッジ式に、リアもプレミアムライド・エマルジョンショックが標準装備されるようになった。

XL1200C 1200カスタムの画像

「スポーツスターはハーレーのネイキッドスポーツ。ツーリングならビッグツイン!」と言われるが、排気量600?800ccクラスのバイクをツーリングモデルとして手がける日本において、883モデルでさえ十分ツーリングバイクとして使われるのだから、リッターオーバーのスポーツスターはツーリングバイクというカテゴリーで扱われるものと言えよう。その点から見ても、1200カスタムはある意味万能モデルとして手がけられたイメージすらある。

久しく触れる機会がなかった1200カスタム、改めてそのキャラクターに迫ってみよう。

XL1200C 1200カスタムの試乗インプレッション

XL1200C 1200カスタムの画像

あらゆるシーンで平均点以上
その万能っぷりはファミリー随一

基本設計はフォーティーエイトと同じながら、加重時シート高はフォーティーエイトの710mmに対して、1200カスタムは725mmとやや高い。身長174cmの筆者にとっては誤差の範疇で足もベタ着きするほどだが、身長が低くなるほどその差が大きくなるため、気になる方は一度比較してみてほしい。

その足着きの違いに影響するのが、シートだろう。2003年以前のエボスポーツ時代から継承されるダブルシートは、股間部分が膨らんでいて足が外開き気味になる構造に。足が外に開けば、当然足着きは悪くなる。その点、比較的フラットなフォーティーエイトのそら豆シートは足着きに大きく貢献していると言えよう。実際にまたがって足着きが気になった人は、ノーマルシートをベースに肉抜き(アンコ抜き)するか、細身の国産シートに交換するのがいいだろう。とりわけ国産シートには長距離乗車時の負担を軽減するものもあるので、長い付き合いを検討する方はぜひ自分に合った製品を見つけてほしい。

XL1200C 1200カスタムの画像

フットポジションはミッドコントロール仕様で、停車時に足を降ろすとステップがパンツの裾にかかるのがやや難点。一方、フォワードコントロールステップのように両足を突き出したままのライディングではないから、ステップをしっかり踏ん張れるのでフォームそのものへの負担が分散され、結果丸一日ツーリングを楽しんだ後の疲労感に差が出てくる。「手に入れたバイクでいろんなところへ走りに行きたい」という方には、このミッドコントロールステップのモデルがちょうどいい。

ハンドル位置をライダー寄りにする1200カスタム専用のライザーと、同じく専用のハンドルバーによって、腕のポジションは背筋をピンと伸ばした状態でもヒジにゆとりができるほど。ロードスターのような前屈姿勢にならないところも、ツーリングバイクとしてのキャラクターだと言えよう。

XL1200C 1200カスタムの画像

全体的にニュートラルなポジション設計になっているので、フォーティーエイトやロードスターのような特異な姿勢にならないところにスポーツスターらしさを感じる。近年、日本仕様のフューエルインジェクション設定がグレードアップしてきたことから、排気量1,201ccのエボリューションエンジンも必要にして十分なパワーを発揮してくれ、リッターオーバーモデルらしい力強さを味わわせてくれる。マフラーやエアクリーナーを好みのものに換え、リセッティングをしてやれば、さらにパワフルな走りを楽しめることだろう。同時に燃費も向上するので、新オーナーとなる方にはぜひインジェクションチューニングをご検討いただきたい。

XL1200C 1200カスタムの画像

しかし、ノーマルセッティングのままだからだろうか、実際に走り出してみるとリッターオーバーのパワーに振り回される感じがまったくしない。むしろ、うまく操ってやれば必要なところで必要な加速を生み出し、かといって出過ぎていないのでシングル仕様のフロントブレーキ&リアブレーキでしっかり制動させてやれる。ミッドコントロールによってステップ荷重がしやすく、さらに車高も一定の高さになっているので、街中のカーブでもしっかりバンクさせてクリアしていける。バージョンアップした前後サスペンションの働きも寄与して、立ち上がりからの加速もスムーズになっている。今や「スポーツスターモデル随一のスポーツ仕様」の座はロードスターによる独占状態になっているが、この1200Cにも十分な性能が備わっているようだ。

XL1200C 1200カスタムの画像

そこで、気づかされた。右左折時に妙な切れ込みを見せる2015年以前のフォーティーエイトも、ステップをミッドコントロール化するだけでバランスが良くなるのではないか、と。往年のFLスタイルを再現した前後16インチ型スポーツスターには「ライディング自体はどうなの」と懐疑的な目を向けられていたが、この1200カスタムは街中はもちろん、ワインディングを走るうえでも十分な性能を持ち合わせていることを立証してくれた。

XL1200C 1200カスタムの詳細写真

XL1200C 1200カスタムの画像
フルメッキ仕様の排気量1,201cc / 空冷4ストロークV型2気筒OHV2バルブエンジン『エボリューション』。このギラッとした彩りもハーレーならでは。
XL1200C 1200カスタムの画像
歴代1200カスタムに受け継がれてきた砲弾型ヘッドライト。さらに専用設計のバイザーも備わる。
XL1200C 1200カスタムの画像
メーターブラケットが一体型となった専用のプルバックライザー。ハンドルバーもライダー寄りのポジションとなった専用パーツだ。こちらも全体的にメッキ仕様なので、コックピットに豪華な印象が与えられる。
XL1200C 1200カスタムの画像
容量17リットルというビッグタンクはロングツーリングにうってつけ。さらに専用デザインのエンブレムプレートが備わる。
XL1200C 1200カスタムの画像
もはや標準装備となったキーキャップ。脱着にはコツが必要だが、防犯対策として有効なパーツだ。
XL1200C 1200カスタムの画像
スポーツスターファンには馴染み深いデザインのダブルシートも健在。股間部分の盛り上がり&幅広な部分が気になるところだが、走り出してしまえばこの肉厚なシートが心地良い。
XL1200C 1200カスタムの画像
いまやすっかり珍しくなったロングタイプのリアフェンダーは鉄製。テールライトは1200カスタム専用のデザインとなっている。
XL1200C 1200カスタムの画像
メッキ仕様となっている前後16インチ スポークホイール。フォーティーエイトにはない軽やかなフットワークを生み出すポイントと言えよう。ブレーキはシングルディスク仕様で、タイヤはミシュラン・スコーチャーが備わる。
XL1200C 1200カスタムの画像
本来スポーツスターのホーンはフレーム前部にコンパクトなタイプが備わるだけだが、この1200Cやセブンティーツーはエンジン左側に大きなタイプが与えられる。ビッグツインモデルに見られるところも嬉しいポイントと言えよう。
XL1200C 1200カスタムの画像
ライディングを快適にするミッドコントロールステップだが、とりわけ右側ステップが長いため、停車時に足を降ろしたところで引っかかってしまうことも。ステップを短くする社外カスタムパーツがあるので、そちらを利用するのもいいだろう。
XL1200C 1200カスタムの画像
フルメッキ仕様のノーマルマフラー。エンジンと織り成すきらびやかさはセブンティーツーと双璧をなす。
XL1200C 1200カスタムの画像
2015年に純正パーツとして販売開始したグレードアップモデル「プレミアムライド・エマルジョンショック」、そしてシングルカートリッジ式フロントスプリングが標準装備に。

こんな方にオススメ

永遠の愛を約束してくれる
長く付き合える良妻

バイクとしての個性やアクの強さは、フォーティーエイトやセブンティーツーといったモデルの方が一歩先を行っていると言えよう。元祖ファクトリーカスタムモデルとして見ると物足りなさがあるのは事実だが、一方で堅実な装備のモデルになっていることから、安定感がありライディングそのものをじっくりと味わえる仕様であることが大きな魅力だ。前者がキャバクラ嬢なら、1200カスタムは大卒のキャリアウーマンといったところか。好みは人それぞれなれど、オートバイとして長らく楽しむことを考えると、この堅実な良妻というチョイスは日本人向きとも。ハーレーの楽しみ方をじっくり味わわせてくれるモデル、機会があればぜひ触れ、そして試乗してみてほしい。

関連する記事

ピックアップ情報