VIRGIN HARLEY | FLHRXS ロードキングスペシャル 試乗インプレ

FLHRXS ロードキングスペシャルの画像
HARLEY-DAVIDSON FLHRXS

FLHRXS ロードキングスペシャル

ストリートで操り切れるのか
ダークカスタムの狙いを探る

ベストセラーモデルとしてツーリングファミリーに君臨する「ロードキング」のダークカスタムモデルとして登場したロードキングスペシャル。きらびやかなクルーザーの印象が強いベースモデルから一転、コンセプトどおりの黒を基調としたカラーリングにこれまでになかったカスタムメニューが加わり、ハーレー版アメリカンマッスルカーのような一台となっている。新エンジン「ミルウォーキーエイト」が備わるストリート仕様ツアラーの楽しみ方はどこにあるのか、試乗とともにそのキャラクターに迫ってみよう。

FLHRXS ロードキングスペシャルの特徴

FLHRXS ロードキングスペシャルの画像

稀有なバガー版ロードキングが
新型エンジンの性能を最大限に引き出す

ミルウォーキーエイトエンジン化以前のツインカムエンジン仕様ではあるが、ここVIRGIN HARLEY.comでも過去に何度かロードキングの試乗インプレッション記事が掲載されているので、ベースモデルのキャラクターに関しては過去記事をご参照いただきたい。それでは、このロードキングスペシャルの全容を暴いていこう。

FLHRXS ロードキングスペシャルの画像

明確な違いは、「専用ヘッドライトナセル」「ミニエイプハンドル」「フロント19 / リア18インチ・専用ホイール」「専用ダブルシート」「バガースタイル・リアエンド」「オリジナルグラフィック」「ブラックアウトボディ」といったところか。コンセプトはカンパニーが近年掲げ続けている「ダークカスタム」で、クロームパーツが多用されているベースモデルとは対照的に、ブラックというカラーが印象に残るカラーリングとなっている。

ツーリングモデルをベースに、ホイールのサイズアップにアップライトなハンドルバーのチョイス、そしてリアエンドのショート化はバガーそのもの。ウインドスクリーンとスポットランプが取り除かれたことでマスクが精悍になり、ロードキングでありながら異なるキャラクターとしての印象を強めることに成功している。タンクのメーターコンソール部分にスピニンググラフィックが施されている点など、アメリカンカスタムスタイルをほうふつさせるディテールと言えよう。

FLHRXS ロードキングスペシャルの画像

バガーカスタムと言うとストリートグライドやロードグライドといったモデルをベースにするイメージが強いが、ロードキングでこのスタイルに取り組むというのは珍しい。それも、カンパニーが主導でベースモデルを手がけたわけだから、新しい時代の波を感じずにはいられない。

そして、ミルウォーキーエイトだ。このエンジンが搭載されたモデルのなかでもっとも軽量だったのがロードキングで、そのロードキングをさらにチョップしたこのスペシャルとなると、よりパワフルなエンジン性能をダイレクトに感じることは間違いない。それが、ミニエイプハンドル & 19 / 18インチホイールという組み合わせでまったく異なる乗り心地を味わわせてくれる一台になっているのだ、期待せずにはいられない。

FLHRXS ロードキングスペシャルの試乗インプレッション

FLHRXS ロードキングスペシャルの画像

難易度はトップクラスとも言える
乗り手を選ぶ難題多きマッスルカー

ちょっとした縁あって、筆者宅に2017年モデルのロードキングを預かっていたことから、両者のポジションを比べる機会に恵まれた。身長174cmの筆者だと、どちらのモデルとも足つきに大差はない。スペックを見比べると、695mmのスペシャルに対してロードキングは705mmとある。この身長だと、1センチ差はあまり感じないようだ。ホイールサイズが変更(ロードキング:F17 / R16、スペシャル:F19 / R18)している分、スペシャルの車高が高いものと思っていたのだが、カスタムスタイルに合わせてしっかりローダウンしているということか。

ハンドル位置は、スペシャルの方が遠い。プルバック型のロードキングと比べれば当然の結果ではあるが、両腕はほぼ伸びきった状態になり、ゆったりと背筋を伸ばして流すベースモデルと違ってやや前屈気味なポジションを強いられる。バガーというストリートバイクとしてのキャラゆえか、それでいてシート位置やステップボードがノーマルとほとんど変わらないことから、ロードキングに乗り慣れている人にとっては違和感と思えるやもしれない。

FLHRXS ロードキングスペシャルの画像

そしてこのハンドルポジションによって、ライディングフォームそのものが大きく変わっている。グリップ位置が遠いがゆえに、まるでスポーツバイクのような前屈姿勢でライディングを楽しむというまったく異なるロードキングの楽しみ方を秘めている。

一方、狭い状況でのUターンなどでは反対側の腕が突っ張ってしまい、取り回しに苦労することがありそうだ。フル装備仕様のベースモデルより約24kgも軽いが、それでも車重は355kgである。購入を検討される方はハンドルポジションをご確認いただきたい。

そうしてポジションを確認し終えたところで、発進してみると……やはりというべきか、初速が恐ろしく速い。正直、ハーレーとは思えない出だしの良さである。ミルウォーキーエイト仕様のストリートグライドに試乗したことがあるが、20kg以上も軽いスペシャルでのそれはまるで別物。一速での発進だけで、ミルウォーキーエイトのパフォーマンスを改めて思い知らされたようだ。

バガースタイルというコンセプトに則って、東京都内で走りこんでみることに。結果、それなりの流れに乗った一般道に加え、車の流れに合わせた渋滞が激しい環七通りと、あらゆるシチュエーションでのテストを行うことができた。

FLHRXS ロードキングスペシャルの画像

ストリートバイクとして乗りこなせるのは、相当の手練れに限られる。これが東京都内での試乗の感想だ。それぐらい、ロードキングスペシャルを乗りこなすのは容易ではないのだ。

これはミルウォーキーエイトの力によるところが大きいが、初速が速く、流れに乗った一般道でなら2速パーシャルで十分引っ張っていける。実際、3速に入れて走ったのはほんの数回で、4速に入れることは一度もなかった。それぐらいエンジン性能が高いわけだが、逆に言えば大いに持て余しているとも言えるのだ。

渋滞のなかに飛び込むと、そのキャラクターが一層顕著に表れる。グンっ!と勢いよく飛び出そうとするマシンをしっかり制御せねば、前のクルマに追突しかねない。355kgという車重を支えつつ、エンジンのパワーに振り回されないようコントロールするのは容易ではないし、時間が長引けば長引くほどライディングが辛くなってくる。極端なシチュエーションではあるが、世界屈指の渋滞都市とも言われる東京都内でのテストは、良くも悪くもロードキングスペシャルの性質を浮き彫りにしたように思えた。

FLHRXS ロードキングスペシャルの画像

翻ってハイウェイライドに持ち込むと、ロードキングスペシャルは持ち前の力強さでグングン高速域へと到達してくれる。フロント19 / リア18インチ化によって直進安定性はもちろん、スポーツバイクのようなコーナリング性能まで手に入れていたのだ。事実、タイトコーナーでかなり深めにバンクしても、ステップボードをこすることは一度もなかった。

一方、2時間近くロングライドしていると、その独特のハンドルポジションゆえか腕が疲れてくることも。これはハンドルだけでなく、フロントまわり全体の組み合わせによるところかもしれない。その点を見比べれば、プルバック型のロードキングは確かにツーリング向けとなっているわけだ。

スポーツバイクのようなフットワークと軽量化をはたしたとはいえ、私たち日本人にとってこのサイズ感のバイクはメガクルーザーに他ならない。それでもあえてロードキングスペシャルを選ぶとするなら、オーナー自身がバガースタイル、もしくはアメリカンカルチャーというものに強い憧憬の念を抱いていることが求められるように思えた。そんなことを考えながら、濃密なロードキングスペシャルの試乗を終えた。

FLHRXS ロードキングスペシャルの詳細写真

FLHRXS ロードキングスペシャルの画像
排気量1,745cc / 107キュービックインチ Vツインエンジン「ミルウォーキーエイト」のブラックアウトバージョンを搭載。
FLHRXS ロードキングスペシャルの画像
ウインドスクリーンやスポットランプが取り外され、真っ黒なヘッドライトナセルがダーティな印象を強める。ベースモデルのLEDとは異なり、スペシャルはハロゲン仕様に。
FLHRXS ロードキングスペシャルの画像
ミニエイプハンドルバーのハンドルポジションは、プルバックというよりもフラットな印象。それゆえやや遠めのポジションとなり、ライディングフォームも前屈気味になってくる。
FLHRXS ロードキングスペシャルの画像
この「チャコールデニム」のほか、「オリーブゴールド」「ビビッドブラック」「ハードキャンディー ホットロッドレッドフレーク」という4カラーが用意されているロードキングスペシャル。きらびやかなベースモデルとは異なり、シックなデザインを基調としている。
FLHRXS ロードキングスペシャルの画像
コンソール部分にはオリジナルのH-Dエンブレム、そしてスピニングのグラフィックが施されている。
FLHRXS ロードキングスペシャルの画像
ストリートグライドスペシャルのものとほぼ同じダブルシートを標準装備。ストリートバイクとしての矜持が感じ取れる。
FLHRXS ロードキングスペシャルの画像
こちらもストリートグライドスペシャルに見られるバガースタイルのリアエンド。クラシカルなスクエア型テールランプとウインカーが別体となっているロードキングと異なり、カスタム色を強めるディテールだ。
FLHRXS ロードキングスペシャルの画像
かつて2012年から2014年までラインナップされたCVO ブレイクアウトと同じデザインの同モデル専用ホイール。サイズはフロント19 / リア18インチと、クラシックスポーツバイクのそれと同様のサイズに。
FLHRXS ロードキングスペシャルの画像
もちろんシーソーペダルも備わっている。これならブーツのみならず、スニーカーなどのシューズ類でもつま先を痛めることはない。
FLHRXS ロードキングスペシャルの画像
外側に開くワンタッチ型サドルケースもロードキングから受け継いでいる。この積載能力の高さはハーレーならでは。

こんな方にオススメ

最旬のアメリカンカルチャーを
ダイレクトに味わいたい人向け

前述したとおり、街乗りというにはモアパワー & 超重量級であることから乗り手を選ぶロードキングスペシャル。一方で「ツーリングバイクか?」と問われれば、ベースモデルであるロードキングの方が長旅向きと言える。ではスペシャルの存在意義は? それはカスタム色溢れるアメリカンマッスルカーのような出で立ち、そして特異なキャラクターにほかならない。日本ではあまり馴染みがないバガースタイルは、アメリカのストリートシーンではお馴染みとなった存在である。道路事情なども異なるので同様に楽しむことができないのは当たり前として受け止め、それでもなおアメリカのカルチャーに身を委ねたい……ロードキングスペシャルは、そんな熱いハートの持ち主を待ち焦がれているのだろう。このモデルの面白さを理解できるライダーはそう多くはない、ゆえにその理解者はハーレーダビッドソンの本質に触れることにもなる……のかもしれない。

注目のアイテムはコチラ