VIRGIN HARLEY | XL1200CX ロードスター 試乗インプレ

XL1200CX ロードスターの画像
HARLEY-DAVIDSON XL1200CX(2017)

XL1200CX ロードスター

  • 掲載日/2017年08月25日【試乗インプレ】
  • 取材・写真・文/田中 宏亮

歴代スポーツスターモデル中
ダントツの性能を誇るマシン

2016年中間期モデルとして昨年4月にデビューしたロードスター。スタイルそのものはスポーツスターらしくありながら、新設計の倒立フロントフォークに18インチリアホイール、カフェレーサー風のコンチハンドルバー、ダブルディスクブレーキと、現代のロードシーンにふさわしいモデルとしての性能を追求した真新しいスポーツスターだ。ニューカマーながら注目度の高いこのロードスターをどう楽しむべきか、ひとりのライダーとして改めて向き合ってみた。

XL1200CX ロードスターの特徴

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その出で立ちはまさに
21世紀に蘇ったXLCR

2016年4月にカンパニーより突如発表されたこのロードスターというモデルに心躍ったのは、今なお現スポーツスターでロードスポーツを楽しみたいという趣向を持ったオーナーたちだろう。現物を見るまでもない、各メディアで露出されたオフィシャルフォトから、カンパニーの狙いがはっきり汲み取れるスタイルだった。

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スポーツスターと言えば、「スポーツスタータンク」「フロント19 / リア16インチホイール」「ローダウンスタイル」「39mmフロントフォーク」といったディテールからなる独自のスタイルがフォーマット化されていた。ロードスターはそのスタイルこそ基本軸に則りつつも、ここに専用設計の「倒立フロントフォーク」「18インチリアホイール(前後ホイールともオリジナルデザイン)」「ダブルディスクブレーキ」「ローライズハンドルバー(コンチバー)」「前後ショック長アップ」「カフェレーサーシート」などなど、ロードスターのテーマとしてカンパニーが掲げる「カフェレーサー」らしいフォルムへと変貌を遂げている。

「ハーレーでカフェレーサー」と聞いて、1977~1979年の3年間に販売された唯一のカフェレーサーモデル「XLCR」を思い浮かべるオールドファンも少なくないだろう。日本のバイク乗りに馴染み深い「セパレートハンドル」「バックステップ」といったディテールは有していないが、当時の流行だった角張ったデザインに真っ黒なボディ、ビキニカウル、ドラッグバー、高く持ち上がったシートカウル、そしてフロント19 / リア18インチホイールと、ロードスターに通じるディテールをいくつも備えていた。見比べれば、ロードスターは現代版XLCRと言って差し支えないだろう。

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もうひとつ注目したいのがエンジンだ。フォーティーエイトや1200C カスタムと同様、排気量1,201ccのエボリューションエンジンを搭載しているのだが、そのセッティングが同機種と異なる。スペック表を見ると、最大トルクは90.1Nm / 4,000rpmと、87Nm / 3,500rpmという他の1200スポーツスターエンジンの性能を大きく上回る。徹底的に性能面を追求した特別モデル、それがこのロードスターだ。

一方、その車重は259kgと他のスポーツスターとほぼ同等で、スポーツバイクという点で見ればかなり重い部類に入る。理想は200kg以下、できれば220kg台であってくれればと思うところ。もちろんそれはどだい無理な話で、クルーザーとしての要素が多分に加わった2004年以降の現行スポーツスター「ラバーマウントモデル」である以上、どれだけ軽量化しても200kgを下回ることはまずない。欧米人にとっては許容範囲でも、日本人、特に乗り慣れていないライダーにとってこのスタイルと重量はアンバランスとも言える組み合わせでもあるのだ。

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カスタムという点では、リアホイールの18インチ化や倒立フロントフォーク換装、エンジンのセッティング変更、各部位の軽量化が図られたスポーツスターは過去に何台も登場している。ロードスターは「ストリートレーサー」という方向性を示唆するベースモデルとしてカンパニーが世に送り出してきた一台なわけで、スタートモデルとして見ればコンセプトがはっきりしたバイクだと言えよう。あとは、スペック表から伺い知れる課題に対してどう取り組むべきか、をオーナーが探っていくことになる。

マシンのコンセプトとメリットはわかった。それではいよいよ試乗へと移り、ロードスターに秘められた特徴を洗い出していこう。

XL1200CX ロードスターの試乗インプレッション

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本当の能力はこんなものじゃない
奥底に秘められた性能をいかに引き出すか

またがった瞬間に、ロードスターがその個性を見せつけてくる。シート高の低いアイアン883(735mm)やフォーティーエイト(710mm)だと背筋を伸ばしたままシートに座り込み、フットポジションもやや前めに出る感じだが、シート高785mmのロードスターだと足は真下に伸びつつ、背筋はやや前屈気味に。ネイキッドバイク、いやスポーツバイクとしての匂いを漂わせるポジションが印象的だ。

そのポジションに対してのハンドル & ステップ位置は、ニュートラルな国産バイクに馴染む人にとっては違和感とも言えるもの。バーハンドルとはいえ両サイドが垂れ下がったコンチバーはセパレートハンドルを意識した設計ながら、ステップ位置はミッドコントロールとなっている。スポーツバイクの観点から見れば、ステップ位置はレーシーなバックステップになろうもの。実際のライディングポジションは、あたかもバイク(というよりタンクとエンジン)にしがみついているようなものである。

独特と言えば独特。フットポジションをミッドコントロール仕様とした点について、カンパニーは「ロードスターは基本的に攻める乗り方を楽しむバイク。だから、地面との接地をいち早くライダーに知らせられるよう、あえてミッドコントロール仕様にした」と述べる。その点を汲み取ると、確かにハーレーの伝統にバックステップというカルチャーは存在しない。乗り手はその意図を汲み取ったうえでロードスターに乗るべき、とも言える。

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いざ走り出すと、排気量1,201ccのエボリューションエンジンが小気味良いフィーリングとともに駆け出していく。低速からの吹け上がりは申し分なし、むしろ1,200ccオーバーとは思えないほど軽やかでスムーズだ。信号に捕まらなければ、3速パーシャルで気持ち良くシティクルーズを楽しめる。

この「軽やか」という感触は、良くも悪くも受け取れる。というのも、インジェクションチューニングの是非によって発揮されるパフォーマンスへの捉え方が変わるからだ。

このロードスターより、「EURO4」なる全世界共通の排気ガス規制基準にハーレーが対応することになった。つまり、アメリカ本土で走っているハーレーのパワーを大幅にセーブしたセッティングで日本に輸入されていた(日本の排ガス規制値がアメリカよりも厳しい設定なため)ものが、本国仕様と同様でOKになったというわけだ。

しかしながら、以前ハーレーダビッドソンジャパンの技術担当者に話を聞いたところ、「確かにEURO4対応モデルとはなったが、それでも日本に入ってくるハーレーのインジェクション設定値は以前と同じもの」とのことだった。市販車として販売する以上、国が設定する基準値を超えないモデルでなくてはならず、いくらカンパニーより「大丈夫」と太鼓判を押されたとはいえ、アメリカ基準のセッティングそのままで出してしまうのは、日本総代理店としてはリスキーというわけだ。

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筆者の愛車は、インジェクションチューナー「サンダーマックス」を投入した2008年式スポーツスターXL1200Rである。マフラーやエアクリーナーも換えているので一概に比較するのは難しくあるが、愛車のエンジンフィーリングと比べると、やはりロードスターのパフォーマンスにはやや物足りなさを覚える。エンジンの基本セッティングが上を行くモデルであるがゆえに、なおさらその想いは強くなる。

「軽やか」という表現は捉え方によって「相当にパワーセーブがかけられている」ことの裏返しでもある。1,200cc本来のパワーが無駄なく発揮されていれば「軽やか」ではなく「強烈」「持て余す」といった言葉が出てくるからだ。それも、スペック上で見れば、歴代スポーツスターの中でもハイエンドなエンジンを搭載しているロードスターである、チューニングでその足かせを取り除いてやればさらにパワフルなライディングが楽しめることになるだろう。

ロードスターらしさを演出しているディテールとして、シートは見逃せない。どちらかと言えば滑り気味な表皮のこのシート、後部が大きく盛り上がっているので走行時に臀部をしっかりホールドしてくれる。そして滑りやすい表皮はコーナリング時に姿勢をずらしての体重移動に最適でもある。そう、ワインディングやサーキットで攻めた走りを楽しみたいライダー向けなのだ。

1,505mmというホイールベースはスポーツバイクという観点から見たらちょっと長く、初めて乗る人には若干乗りづらさがあるやもしれないが、ロードスター特有の操り方に慣れてくれば違った味わいを楽しめるようになるだろう。そんなスポーツライドをサポートしてくれるのが18インチ径のリアホイールで、クルーザー色が残る16インチ・スポーツスターにはないスマートなコーナリング能力を発揮してくれる。ノーマルのリアタイヤ幅は150mmなのだが、これを細身の130mm仕様にすれば、さらにスポーツライドが楽しいバイクとなるだろう。

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クセがあるのは、やはり姿勢だ。ミッドコントロールというステップ位置とシート構造にもよるのか、垂れ下がったハンドルバーにどうしても体重がかかりがちになる。そうすると必要以上にフロントに荷重がかかってしまい、せっかくの倒立フォークが能力を発揮できない……という現象も。リアブレーキ(フットブレーキ)で制動させつつ、腰とステップワークでバイクの進むべき方向を決め、ハンドリングで味付けをする……というロードスターならではのスポーツライドをノーマル以上に楽しむなら、シートポジションとステップ位置は改めて検討したいところ。ここに軽量化という要素が加われば、その面白さはさらに増していくはず。

操るにはコツがいる。ただ求められる技術は決して高いものではなく、教習所で習った基本的な乗り方を思い出して操れば、ロードスターはしっかり答えてくれる。そのうえで、自分に合ったスポーツバイクへとカスタムしていく……。実に21世紀のXLCRと呼ぶにふさわしい一台だと言えよう。

XL1200CX ロードスターの詳細写真

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空冷4ストロークV型2気筒OHV2バルブエンジン『エボリューション』(排気量1,201cc)。最大トルクは90.1Nm / 4,000rpmと、過去最強と言われたXR1200のそれを凌ぐ数値を誇る。カラーリングはブラックを基調にコーティンググレーで彩られる。
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フォーティーエイトと同じタイプのボトムマウント型ラウンドヘッドライト(ハロゲン仕様)。
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セパレートハンドルのように両サイドが垂れ下がったバーハンドル「ローライズハンドルバー」。
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メーターはロードスター専用のデジタルスピードメーター。夜間にはタコメーター表示とともにオレンジ色に光り出すので、視認性は抜群に良い。ライザー & メーターブラケットはフォーティーエイトに採用されているタイプ。
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スポーツスターの伝統とも言える容量12.5リットルのスポーツスタータンク。カラーはこのビビッドブラックの他に、ブラックデニム、ベロシティーレッドサングロ、ビレットシルバー / ビビッドブラック(ツートーンカラー)の計4色が揃えられている。
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ロードスター専用に制作されたガンファイタータイプのツーアップシート。体重移動しやすいなめらかな座り心地が印象的なシートだ。
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歴代スポーツスターモデルでもっとも短いショートフェンダー。全世界共通タイプで、スポーツスターらしい流麗なシルエットにレーシーな雰囲気を付与している。ウインカーは現代ハーレーに多く採用されているテールライト一体型モデルだ。
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他メーカーが手がけるロードバイクへの対抗も含めてか、初めてスポーツスターモデルに専用の43mm倒立フロントフォークが採用された。
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専用設計となるオリジナルデザインのホイール、フロントはもちろん19インチ仕様。ディスクは2ピース型のダブル仕様と、スポーツバイクにふさわしいストッピングパワーを備える。
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フロントフェンダーはFRP製の専用設計に。ハーレーがFRP製品を採用したのは極めてレア。
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EURO4対応仕様とされる2本出しマフラーもロードスター専用。ブラックのカバーがマシンのグラフィックにアクセントを加える。
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アイアン883はもちろん、XL883RやXL1200Rなどから代々受け継がれるミッドコントロールステップ。右側ペダル位置がやや外に出っ張っているのがフットポジションを戸惑わせる。
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2016年モデルより全スポーツスターモデルに適用されることとなったアメリカ仕様のスプロケット。こちらも軽量化に一役買っている。
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今やスポーツスターには当然備わっているプレミアムライドエマルジョンサスペンション。ショック長は全モデル中、もっとも長い340mmタイプとなっている。
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1970年代以来の復活となった18インチリアホイール。16インチモデルに比べるとすっきりとした印象のディテールとなり、よりクラシックスポーツ感を印象づける。

こんな方にオススメ

目指す方向性がはっきりしたモデルで
とことん遊び尽くしたいスポーツライダーに

ロードスターにエイプハンガーやフォワードコントロールステップを付けようというオーナーはまずいまい。目指すべきスタイルはシンプルに「ネイキッドスポーツ」だ。ノーマルのままでも十分楽しめるが、「どこまでやるか」次第で楽しみの幅が一層広がっていくモデルなので、カンパニーの想像を超える姿まで昇華させてくれるオーナーの出現を望みたい。確かに260kgもある現スポーツスターでスポーツライドを楽しむのは容易ではない。だからこそ、そんな特異な世界にチャレンジすることこそ、ハーレー乗りたる所以とも言えるのではないだろうか。

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