VIRGIN HARLEY | XL1200X フォーティーエイト 試乗インプレ

XL1200X フォーティーエイトの画像
HARLEY-DAVIDSON XL1200X(2017)

XL1200X フォーティーエイト

ハーレーすべてを牽引する
不動の人気ナンバーワンモデル

2011年の最注目モデルとして登場して以来、スポーツスターのみならずハーレー全モデル中でも不動の人気ナンバーワンとして君臨するフォーティーエイト。2016年、フットワークを中心に大幅パワーアップをはたした同モデルは、伝統のスポーツスタースタイルを受け継ぐアイアン883とは異なるボバースタイルを定着させ、ハーレーカスタムの世界に新たな可能性を吹き込むことに成功した。改めてニューフォーティーエイトに乗る楽しさを追求すべく、街へと駆け出した。

XL1200X フォーティーエイトの特徴

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さらなるバージョンアップをはたした
重責を担うアイアンの本質を暴く

思い返してみるに、そのデビューは鮮烈だった。今でこそハーレーのニューモデルの発表は全世界同時となっているが、日本に上陸する半年も前のデイトナバイクウィーク(アメリカ・フロリダ州)で突如姿を現したフォーティーエイトは、オーディエンス注目の的となったことはもちろん、ネットを介してあっというまに世界中へと広まっていき、ファンの関心を大いに引き寄せた。

それまでフロント19 / リア16インチというホイールサイズが標準とされていたスポーツスターモデルに、FLスタイルである前後16インチホイールが投入されたのだ。そこにカスタムバイクを彷彿させる分厚いタイヤが備わり、ハーレー乗りにとっては馴染み深くも”スポーツスター”を前提とすると違和感とも言えるシルエットが誕生した。

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そして、オールドファンにとっては懐かしく、新規ファンには斬新にも映ったピーナッツタンクがラバーマウントモデルでついに復活。そのピーナッツタンク初投入となった1948年モデル「S-125」の年号から「フォーティーエイト」と名付けられ、2010年夏、ついに日本の地を踏んだ。

排気量1,201ccのエボリューションエンジンを搭載したフォーティーエイトは、フットポジションをフォワードコントロールとし、さらにテールランプ一体型ウインカー & ボブフェンダーによるリアエンドと、当時からカンパニーが精力的に取り組んでいた「ファクトリーカスタムモデル」の急先鋒にふさわしいスタイルを与えられていた。ともすれば「カスタムなど不要」とでも言わんばかりの完成度を誇っていたとも言える。

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スタイルそのものは、1960年代アメリカで一世を風靡したビンテージレーサースタイル「ボバー」である。現在のFLS ソフテイルスリムやFLSTNソフテイルデラックスなどに継承されている前後16インチホイールから成る「FLスタイル」は、往年のハーレーにとっては標準的な設計だった。リアサスペンションという概念がなかった当時のフレーム「リジッドフレーム」は過去の遺物となり、そんな古き良き時代を思ってこのホイールサイズをスポーツスターに導入するカスタムショップがいくつか現れはしたが、まさかこの手入れをカンパニーがやるとは想像だにしなかった。

そのうえでの、マシン全体のシルエットの美しさである。今思い返しても、フォーティーエイトが与えた衝撃の大きさは当然のものと言えた。日本のメーカーがどれだけアイディアを絞っても、こんなモデルは生み出せない。なぜならば、日本にはないカルチャーから生まれた発想の権化でもあるからだ。

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カスタムされ尽くした感があるフォーティーエイトだったが、2016年、アイアン883とともにマイナーチェンジを敢行。その前年に登場したオプション扱いのプレミアムライドエマルジョンサスペンションが標準装備となり、フロントフォークも現ダイナモデルと同径となる49mmサイズのものが付与された。真新しいデザインの9スポークホイールにソロシートまで手に入れたニューフォーティーエイトは、ライディングパフォーマンスの向上を目的に大幅なバージョンアップをはたしたのだ。

一長一短あるとも言われるフォーティーエイト、そのキャラクターは濃さを増したのか否か。改めて潜在能力を探るべく、走り出してみた。

XL1200X フォーティーエイトの試乗インプレッション

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帯に短し、タスキに長し
だからこそ楽しいフォーティーエイト

ストリートバイクなのか、クルーザーなのか。フォーティーエイトを判断する際、見方によってはどちらにも転ぶから難しいバイクだと思わされる。アメリカ人から見れば「何が疑問なんだ?」というところかもしれないが、日本人のモーターサイクルライフに照らし合わせたとき、このバイクにはあらゆる矛盾が内包されているからだ。

走り出してまず感じるのは、排気量1,201ccのエボリューションエンジンがもたらすパワフルなライドフィールだ。日本の排ガス規制値に合わせた縛られ気味のセッティングながら、街乗り、そしてロングライドでも必要にして十分なパワーで突き進んでいってくれる。これをインジェクションチューンしてしまえば、その快適性はさらに増すことだろう。

本領発揮したリッターオーバーのマシンというのは、混雑気味な都心部で操るにはかなりパワーを持て余すところ。実際、渋滞に巻き込まれた際は1速で引っ張り続けても流れに合わせられるし、ちょっと渋滞が緩和したところで2速に入れても、そこで引っ張っているうちに次の渋滞にはまる。良い流れに乗れて3速、4速に入れるときはかなり見通しがよいストレートロードに出たときぐらいだ。

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街乗りだけなら、中排気量(400cc以下)でも十分。混雑が激しい都心部ならなおさらだ。ともすれば883ccでも持て余すシーンにリッターバイクを投じるとなると、操る側–ライダー自身の技量が求められる。言うなれば「タスキに長し」なのだ。

252kgという重量は、他メーカーのネイキッドモデルと比べても重い。710mmというシート高のおかげで重心が下がり、腰で安定させられるメリットを備えてはいるが、街乗りという観点で見ると、都心でフォーティーエイトを操り切れるまでには時間を要することだろう。

逆に重心の低さとリッターオーバーのエンジンという組み合わせは、クルーザーというフォーティーエイトのもうひとつの顔を浮かび上がらせてくる。その点で言うと、新たに投入された49mm正立フロントフォークとプレミアムライドエマルジョンサスペンションというコンビによってハイウェイライド時の安定感は一層増し、特徴でもある直進安定性を高める結果へと結びついている。

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ここで面白いのが、フォワードコントロールというフットポジションだ。足を伸ばしきるこのステップ位置は、ロングツーリングだと足だけでなく体そのものを疲れさせ(真下に踏ん張れないから体重のすべてが臀部に集中し、臀部または腰の疲労を増してしまう)、ストリートライドにおいてもコーナリング時に車体をしっかり傾けさせられないなどデメリットの多さが目につく部位だが、ほどよい流れのハイウェイではこのステップワークがフォーティーエイトの楽しさを左右するのだ。

スロットルを捻りながら流すなかで、滑らかなコーナーやちょっとした車線変更の際、ハンドルで曲がろうとするのではなく突き出した足で進みたい方向へと荷重をかけてやる。そうすると、ジャイロ効果によってマシンが斜め前へとスムーズに切り込んでいってくれる。ここでキモになるのはスロットルコントロールで、交通の流れを滞らせないスピードを維持しつつステップワークを決めていくと、スタンダードなスポーツスターにはない独特のライドフィールに胸が高鳴る。その乗り味は、ハーレー版アメリカンマッスルカーといったところか。

2015年以前のフォーティーエイトだと、やや重めのタイヤを履いていることからフロントフォークがホイールまわりの重さにアジャストしきれず、交差点などでの右左折時にカクンと内側に切れ込んでくる悪癖があった。フォワードコントロールステップなのでライダー自身が踏ん張れず、肝を冷やしたオーナーも少なくないだろう。

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そうした現象への対応として採用されたのが、高剛性の49mm正立フロントフォークで、マシンの安定感アップに大いに貢献している部位でもある。2015年以前モデルよりもフロントまわりの重量もアップしてしまっているが、前述のショートトリップにおけるパワフルなクルージングにこのフォークの存在は欠かせない。流れにさえ乗ってしまえばフォークそのものの重さは感じないし、路面を踏み締めるその力強さがむしろ心強い。

クルーザーとして見ようにも容量の少ないピーナッツタンクが不向きな印象を強めているし、ストリートバイクとして楽しむには排気量1,201ccはちょっと大きすぎる。しかし、ハマるシチュエーションにハマればフォーティーエイトでしか味わえないライディングが確かに存在する。そのスポットを発見したとき、「こういうシーンでフォーティーエイトを楽しむなら、こういうビジュアルが一番キマるよな」と、ライダー自身のスタイリングにも変化をもたらすことだろう。

帯に短し、タスキに長し。フォーティーエイトという異端児が輝くシーンは数少ないが、そこを発見するのもまたオーナーだけの楽しみと言えよう。

XL1200X フォーティーエイト の詳細写真

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排気量1,201ccの空冷4ストロークV型2気筒OHV2バルブエンジン「エボリューション」。ラウンドエアクリーナーは2016年のマイナーチェンジ時に変更されたもの。
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以前の41mmから49mmへと剛性アップした正立フロントフォーク。トリプルツリーももちろん専用設計に。ヘッドライトは以前と同様ボトムアップ型とされる。
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アンダーマウントされたミラーとの組み合わせが話題を呼んだハンドルまわり。ミラーの視認性はお世辞にも良いとは言い難いが、ハンドル上部にパーツ類が備わらないことからシルエットの美しさが際立つ結果に。
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フォーティーエイトのアイデンティティとも言える容量7.9リットルのピーナッツタンク。分厚いハーレーのエンブレム「バー&シールド」が存在感を増す。カラーリングはこのビレットシルバーのほか、ビビッドブラック、クラッシュドアイスデニム、コロナイエローパール、そしてハードキャンディーカスタムのホットロッドレッドフレークとブラックゴールドフレークという計6色が用意されている。
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今やすっかり標準装備となっているキー付きタンクキャップも健在。青空がきれいに映り込むクローム仕様なところがポイントだ。
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2016年のマイナーチェンジ時にそら豆シートから変更されたシングルシート。ライディング時の負担を軽減できるよう柔らかめのスポンジを用いたレザーシートとなっている。
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ストラットの位置に合わせて短く切り落とされたボブフェンダーにテールランプ機能が組み込まれた一体型のウインカーから成るリアエンドもフォーティーエイトならでは。さらにシンプルに魅せるためのナンバープレートのサイドマウント化も定番カスタムメニュー化している。
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以前はクラシカルなスポークホイールだったが、2016年のマイナーチェンジよりこの9スポークホイールへと変更。ハブ近くの削り出し部分がブラック x クロームのコントラストを美しく演出する。
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フォワードコントロールとなるフットポジション。もちろんミッドコントロール化すれば乗りやすさは向上するが、あえてこのままフォーティーエイトらしいコントロールを探り出すところに醍醐味がある。
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ブラックアウトしたサイレンサーにクロームメッキのカバーを備えることで、ボディ全体の黒い部分を引き立てるカンパニーらしいまとめ方が見え隠れするエキゾースト部分。
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今やスポーツスターモデルには標準装備となっているプレミアムライドエマルジョンサスペンション。プリロード調整機能を備えているので好みの硬さ(柔らかさ)にすることができる。
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2017年モデルより採用されている新デザインのスプロケット。

こんな方にオススメ

凝り固まった熟練ライダーにこそ
未知なるライドフィールを味わってほしい

ビジュアルだけのバイクだと思ったら大間違い、そこで思考を止めてしまったら、ハーレーダビッドソンというモーターサイクルを理解するのは一生不可能だろう。確かにフォーティーエイトのライディング性能に関してはひとくせもふたくせもあるが、それを笑って許容し、凝り固まった先入観の先にある楽しみを味わわせてくれる稀有なモデルだと言いたい。ライダーのライフスタイルまでビジュアル化してくるモデル、フォーティーエイトには、「バイクとはこういうもの」と悟りきった熟練ライダーにオススメしたい。一見ふざけているマシンに見えるだろうが、未知のライドフィールを発見させてくれること請け合いだ。

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