VIRGIN HARLEY | ハーレー新型ソフテイルのデラックスは重厚なスタイリングと操作性向上の両立が計られている 試乗インプレ

2018年式 FLDE デラックスの画像
HARLEY-DAVIDSON FLDE DELUXE (2018)

ハーレー新型ソフテイルのデラックスは重厚なスタイリングと操作性向上の両立が計られている

FLSTN改め、FLDEに!
ソフテイルを意味する「S」が車名から消えた

2005年モデルでデビューして以来、安定した人気でラインナップに欠かせないモデルとなっている「FLSTN ソフテイル デラックス」が、フルモデルチェンジを果たした18年モデルからは、「FLDE デラックス」とネーミングを変更した。その背景はソフテイルファミリー全モデルがフレームとエンジンを刷新し、生まれ変わったことにある。

1984年の「FXST ソフテイルカスタム」の登場以来、フレーム底部にリアショックを2本持つソフテイルフレームを採用するモデルは、1986年の「FLST ヘイリテイジソフテイル」に端を発したFLモデルも、車名の3番目にSOFTAILを意味する「S」を付けてきた(FX系はFXS、FL系はFLSという具合)が、新生ソフテイルファミリーではそれを撤廃。各モデルの表記はハーレーダビッドソン 2018年式モデルカタログで確認してもらいたいが、ヘリテイジクラシックはこれまでツーリングファミリー(FLTフレーム車)にのみ与えられてきた「FLH」を名乗り、ツーリングファミリーとの垣根を感じさせないネーミングとなった。

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FLDE デラックスの特徴

ハイドラグライドのフォルムを
現代に再現したノスタルジーなモデル

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2005~17年モデルが「FLSTN」を名乗っていたこともわかるとおり、デラックスの前身は1993年エボリューション時代に登場した「FLSTN ヘリテイジソフテイルノスタルジア」と考えていい。グライドフォークとリジッドフレームを再現したそのシルエットはパンヘッド時代の「ハイドラグライド」をイメージしたもので、全身がクラシックテイストに満ちあふれている。

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それはメインフレームとエンジンが新しくなっても変わらない。ヘッドライトはLED化され充分過ぎる被視認性を持ったが、クロームメッキの施されたトリプルライトはトラディショナルとしか言いようがない装備だし、ディープフェンダー、クロススポーク仕様のホイール、ホワイトウォールタイヤ、大柄なソロシート、墓石のような形状をしたトゥームストーンテールランプなど、車体の隅々を見ても伝統を感じるものばかり。往年のスタイルを現代に蘇らせているのだ。

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FLDE デラックスの試乗インプレッション

新設計フレームと高性能サスペンションが
身軽なはずのない車体をコントローラブルなものに

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重厚なスタイルながら走りは侮れない。「リラックスしてドッシリ乗れる」というデラックスの持ち味を失うことなく、走りの性能を飛躍的に上げている。軽くなったとはいえ身軽なはずのない車体を、従来のソフテイルよりずっと簡単にコントロールすることができてしまうのは、新設計フレームと前後サスペンションの刷新によるところが大きい。

まずメインフレームは、リジッドマウントによるエンジンも剛性メンバーに加え、強度を65%も向上。5ヶ所あった溶接部は4箇所に、57点あったパーツは23個に減らし、剛性アップと軽量化の両立を果たしている。

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また、ハードブレーキでは柔らか過ぎてすぐにフルボトム状態になっていたフロントフォークは、ツーリングファミリーと同じSHOWA製デュアルベンディングバルブフォーク(インナーチューブ径49mm)となり、しなやかに動くがしっかりと踏ん張りの効くものとなった。リアサスペンションはモノショック化され、ストロークも充分。ハイスピードで段差に乗り上げても衝撃をしっかり受け止めてくれるようになり、バネ下重量の大幅減とマスの集中化に貢献し、ライディングを軽快にした立役者と言っていいだろう。

ミルウォーキーエイト107は低中速トルクが潤沢で、加速力が上がっている。リジッドマウントによってハーレーのVツインエンジンらしい鼓動感がダイレクトに味わえ、不快な微振動はギア駆動によるデュアルバランサーによって打ち消されている。

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FLDE デラックスの詳細写真

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美しい光沢を放つ伝統的なトリプルライトはついにLED化。ターンシグナルも60年代のアメリカ車のようなデザインだ。
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インナーチューブ径49mmは変わらないが、フロントサスペンションをデュアルベンディングバルブフォークへと進化。踏ん張りの効くセッティングとなった。
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リジッドマウントされるミルウォーキーエイト107エンジンは、フレームメンバーとなって車体の剛性アップに大きく貢献。オイルタンクの面影が残るサイドカバーといい、ラウンド型のエアクリーナーといい、クロームを多用するデラックスはエレガントということばがよく似合う。
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デコレーションパーツで飾られたディープフェンダーには、アメリカ車みたいにゴージャス主義なエンブレムがよく似合う。
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低く広い形状のハンドルもまたオールドハーレーを彷彿させるもの。クローム仕上げのハンドルクランプにはHARLEY-DAVIDSONのロゴが刻印され、所有感を高めている。
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タンクオンメーターは写真の本国仕様では130mphまで速度を表示する。デジタル液晶モニターにはバーグラフ式のフューエルゲージ、シフトインジケーターを表示。さらに切り換え式で、オド、トリップA/B、エンジン回転数、時計、燃料から割り出した航続距離がわかる。
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フレームネックにはメインスイッチを入れると電流が流れるUSB端子を備え、ハンドルマウントするスマートフォンやポータブルナビゲーションの電源を確保した。トラディショナルなスタイルの中に近代的な装備が見られる。
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大柄なソロシートもデラックスには欠かせない。側面をメッシュにしたダブルテクスチャーで質感も申し分ない。デビュー以来セパレート式のダブルシートとしていたが、18年式ではソロ化。リアキャリアの装備もなくなった。
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シートを外すと、モノショック化したリアサスペンションが姿を見せる。路面の段差でフルボトムしていた従来のサスペンションだったが、新型ではストロークに余裕があり減衰もしっかり効く。
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新型リアショックにはプリロードアジャスターを搭載。デラックスとヘリテイジクラシックは、写真のようにレンチを用いて調整する。
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タンデム、荷物積載時にスプリングの初期荷重を最適化できるプリロード調整機構。ローライダー、ストリートボブ、ソフテイルスリムではフックレンチを使う。
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リアサスペンションのプリロード調整。ファットボブ、ファットボーイ、ブレイクアウトはハンドノブ式になっていて工具要らず。
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クラッチレバーの調整をマイナスドライバーなどで簡単にできるようにしたクラッチケーブルの新調整機構。メンテナンス性も至るところで向上している。
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トゥームストーンテールライトも伝統的なアイコン。スタイリッシュな新形状ウインカーとともにLED化され、ネオクラシックなイメージを強調している。
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H-D シニアプロダクトマネージャー(新型ソフテイル担当)のケビン・ヒンツ氏。「他社の競合モデル多数と乗り比べながらテストを繰り返し、ソフテイルに何が足りないかを考え、2011年より新型ソフテイルの開発に極秘で着手してきた」という。

こんな方にオススメ

落ち着きのある安定志向の乗り心地が好きな人も
ソフテイルビギナーも、誰もが納得できる!

テストライドはアメリカ・カリフォルニアにて2日間、300マイル(約480km)の道のりでおこなった。新型ソフテイルの開発を担当したH-D社シニアプロダクトマネージャーのケビン・ヒンツ氏に同行していただき話しを聞いたが、ヒンツ氏は従来のソフテイルが抱えていた悩みを打ち明けてくれた。

これまでのソフテイルは伝統的なスタイルと、ドッシリとした昔ながらの乗り心地で、それが“らしさ”としてファンに支持されてきたものの、大きな段差を乗り上げると突き上げを食らうといったように、走りの性能面においては決して高く評価されてこなかった。H-D社は世界中のライダー3000人に聞き取り調査をおこない、よりスポーティで、より快適な乗り心地が必要だということに気づき、今回のフルモデルチェンジへと至ったという。

また、ラインナップに偏りがあることも問題視した。もっと幅広い層のライダーに受け入れられるようにしなければと、既存のトラディショナル路線だけでなく「ファットボブ」のようなスポーティ路線のモデルもなければならないとファミリーを新展開したのだ。

開発は2011年から極秘でスタートし、ついに18年モデルでデビューとなった。NEWファットボブのような新路線を打ち出しつつも、デラックスはトラディショナルな路線を堅守。ハンドリングも安定感があり、従来からの“らしさ”を失っていない。

FLならではのドッシリとした重厚感が好きな人は、デラックスをまず試すべきだろう。ビンテージテイストをそのままに走りのポテンシャルを上げ、ゆっくり流すのも相変わらず気持ちがいい。従来のファンも納得ができるし、これまでソフテイルに乗っていなかった人もぜひ味わって欲しい。これがハーレーダビッドソンのFLだ。

試乗ライダー プロフィール
青木 タカオ
雑誌 Virgin Harley 編集長を務める傍ら、多くのバイク専門誌、一般誌、WEBメディアに寄稿するモーターサイクルジャーナリスト。10代の頃からモトクロスレースでライディングの基礎を学び、現在では競技用オフロードモデルから、サーキットでのロードスポーツモデルの試乗インプレッションまで手広く担当する。また、バイクの仕組みを解説する著書もある。

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