VIRGIN HARLEY | 排気量1,923ccのミルウォーキーエイト117エンジンを搭載したメガツアラー CVOストリートグライド 試乗インプレ

排気量1,923ccのミルウォーキーエイト117エンジンを搭載したメガツアラー CVOストリートグライド

排気量1,923ccのミルウォーキーエイト117エンジンを搭載したメガツアラー CVOストリートグライドの画像
HARLEY-DAVIDSON FLHXSE(2018)

アメリカならではのメガストリートバイク
その最上位モデルの真髄を堪能せよ

400kgに迫る総重量のバイクで、街中をかっ飛ばす――。誰がどう見てもメガツアラーモデルのストリートグライドは、その名にあるとおり「ストリートバイク」として生み出されたファクトリーカスタムモデルだ。そんなストリートグライドをバージョンアップさせたCVO(カスタム・ヴィークル・オペレーション)バージョンは、ベースモデルをはるかに凌ぐ存在感をこれでもかと見せつけてくる。400万円を超える豪奢なストリートバイク、その遍歴と乗り味をここでじっくり堪能されよ。

CVO ストリートグライドの特徴

もはや日本の物差しでは測れない
アメリカンカルチャーが薫るモンスター

CVO ストリートグライドの画像

ストリートグライドがラインナップに登場したのは2006年、ハーレーの上位モデルがキャブレターからインジェクション化しつつある時期だ。デビューまもないストリートグライドはエンジンがツインカム88(!)で、前後16インチのままローダウンした簡素な仕様に。同年のエレクトラグライドとの違いがわずかしかない程度のキャラクターだった。

目指したのは、バガーカスタムのベースモデルとして、だ。バガーとは、ハーレーのツアラーモデルに代表されるメガツアラーをゴージャスかつソリッドにカスタムするスタイルのことで、ギラギラした豪華絢爛なグラフィックに仕上げたり、なかには30インチを超えるフロントホイールを備えるカスタムモデルまで存在する。ストリートグライドが登場するまではウルトラやエレクトラグライド、ロードグライドなどがベースモデルとして用いられていたのだが、そうしたムーブメントに目をつけたカンパニーが「ならば」と、よりバガー向けのモデルとして考案したのがこのモデルなのだ。

CVO ストリートグライドの画像

2009年には前後17インチ化したウルトラに規格を合わせ、フロント17 / リア16インチというホイールサイズに変更。2012年モデルではフロント18 / リア16インチ化、2014年にはフロント19 / リア16インチと、ストリートグライドは年を追うごとにキャラクターを強めてきた。2015年に登場したストリードグライドスペシャルは2018年にはフロント19 / リア18インチと、クラシックスポーツバイクのそれと同じ仕様となり、豪華さはそのままにスポーツライドを楽しめる文字どおりスペシャルな一台として登場。そして今回のCVOストリートグライドは、そのストリートグライドスペシャルをベースに一層バージョンアップされているのだ。

エンジンはご存知スクリーミンイーグル印の「ミルウォーキーエイト117ci」(排気量1,923cc)で、フルクロームにボディカラーの一色がアクセントとして入るCVO仕様。ランチボックススタイルのエアクリーナーカバーに描かれた「117ci」の文字が誇らしげだ。

無駄のないチョップドスタイルというよりはマッシブなスタイリングだが、その分最上位のスポーツライドを約束する仕様であると言える。エンジンのシリンダーヘッドにまでボディカラーの一部が塗装されているのが心憎い。

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6つのスピーカーがこれ以上ないサウンドを楽しませるオーディオ機能「Boom!™ Box 6.5GT」が備わるのはもちろん、ヒーテッドシートおよびヒートグリップが標準装備される。グラフィックもCVOオリジナル仕様で、サメの歯をほうふつさせる専用ホイール「コントラストクロームタロン」も個性を強めるディテールだ。純正LEDヘッドライトが標準装備なのも嬉しいところ。

そんな豪華装備でおごられたCVOストリートグライド、排気量2,000cc一歩手前のバイクを街で、ハイウェイで乗るとどうなるのか……。ボディサイズ、重量、エンジンパワーともにオーバースペックなのは明白なこのモデルでいろんな場所を駆け回ってみた。

CVO ストリートグライドの試乗インプレッション

街乗りだけでは終わらせられない
メガクルーザーとしてのキャラ強し

CVO ストリートグライドの画像

ツインクールド・ツインカムエンジン時代(2016年式)と車重を比較してみたところ、395kgに対して新型CVOストリートグライドは398kgと、3kgアップしていた。まぁ、この重量まであがってきたら、3kgなんて誤差の範疇である。バイクに乗り馴れているオーナーなら腰と腿を使ってクイッと起こせるので問題なし。未経験者は……練習あるのみ、だ。

相変わらず……というと皮肉が過ぎるかもしれないが、ゆったりと座れる大きなシートは、股で挟む股間部分がやはり幅広だ。この仕様だとガニ股姿勢になるので、走行中はともかく停車時に足が外に開いてしまう。こうなると、身長が低い人には「足つきが良い」とは言い難い。ストリートグライドなのでウルトラなどよりはローダウンされてはいるが、一方19 / 18インチというホイールサイズが車高を上げているのも事実。足つきが気になる人は、このあたりでの相談が必要になるだろう。

イグニッションをオンにするだけでスイッチが入り、そしてセルスタート。さすがは1,923ccエンジンだ、火を入れただけでとてつもない鼓動を体中にビンビン伝えてくる。

CVO ストリートグライドの画像

ギアを1速に入れて走り出すと、それまでの荒馬感たっぷりの鼓動とは裏腹に、滑らかな挙動でアスファルトを駆けていく。1速だけで時速40kmを軽く超え、ギアをあげるたびにパワーとスピードがどんどんアップしていく。渋滞なく流れる都心の道路だと、3速でもスピードが出過ぎるほどで、2速で加減速を繰り返しながら流す乗り方が求められる。

ちょっと混雑した道路になると、モアパワーと重量級のボディを安定させるのに四苦八苦する。青信号になって走り出した……と思ったら、数十メートルほどですぐ信号につかまる。車重が200kg前後のロードバイクならば、さほど気にすることではないが、その倍はある重量で2,000cc近い排気量のエンジンを積んだCVOストリートグライドだ、バランスを取るだけで精一杯というのが本音。ボディそのものも大柄なので、ロードバイクのようにスルスルと駆け抜けることもなかなかに難しい。

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道幅も広く、長くまっすぐ続くアメリカの道とはわけが違う日本でストリートグライドを操りきるのは、決してカンタンではない。ただ、それを言ってしまうと実も蓋もない話になってしまう。あくまでアメリカのカスタムカルチャーから生まれたメガスポーツモデルなのだと理解したうえで楽しむことが大前提。”乗りやすさ”だけ言うなら、他にもっと乗りやすいバイクがあるのだから。

一方、ストッピングパワーは「さすがツアラー仕様」と唸らされるほど強力に仕上げられている。数年前から導入された前後連動型ブレーキングシステムにブレンボ製キャリパーが備わっており、しかもフロントブレーキはダブルディスク仕様だ。そして、今や標準装備が当たり前となったABS(アンチロック・ブレーキング・システム)も備わる。パニックブレーキをかけても車体のバランスを崩さぬようコンピュータ制御がかかるようになっているので、ちょっとした不注意が大惨事に……という事態を免れられるのは有り難いところか。

そのハイウェイライドで速度域をチェックしたところ、4速で時速100kmに軽く到達してしまった。そのうえのギアに入れたらどれほどの速度域になるかは推して知るべし、「6速ギアを使うときはあるのだろうか」などと考えてしまったほどだ。

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ギアチェンジからのスピードアップは実に滑らかで、やや機械的な挙動が印象的だったツインカムエンジンとの違いをまざまざと見せつけてくる。スピードに乗れば、ライディングこそメガクルーザーだが、まるでロードスポーツのような味わいも兼ね備えていることに気づかされる。新東名のような最新の高速道路なら、オートクルーズコントロールで気持ちよく走り続けられるだろう、東京~大阪間さえ苦にならないはずだ。

大柄なボディの割に動きが滑らかだから、スピードを出しすぎずに飛び込めば、コーナリングも軽快にクリアーしてくれる。18インチホイールの恩恵か車高も保たれているので、無茶なバンクでなければステップボードを擦る心配もない。

CVO ストリートグライドの詳細写真

CVO ストリートグライドの画像
排気量1,923ccを誇るスクリーミンイーグル・ミルウォーキーエイト117ciエンジン。誇らしげな「117ciが刻まれたエアクリーナーカバーと、ロッカーカバー下に入ったボディカラーがCVOならでは。
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伝統のバッドウイングフェアリングは2013年のツインクールド・ツインカム時代のマイナーチェンジから継承されるもの。グラフィックは当然CVOオリジナル。ヘッドライトは純正カスタムパーツのLEDライトが標準装備。
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手動で開閉できるエアダクトがフェアリング内に内蔵されている。
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フェアリング内にはスピードメーター、タコメーター、ガソリン計、バッテリー計が上段に並び、その下にタッチパネル型モニターが内蔵される。
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オーディオ機器「Boom!™ Box 6.5GT」と手持ちのスマートフォンをつなぐことができるので、普段から視聴している好みの音楽をライディング中も堪能できる。
CVO ストリートグライドの画像
カバーがフルメッキ仕様になったツーリング以上のモデルに搭載されるスイッチボックス。オーディオやオートクルーズもこのスイッチだけで操作できる。
CVO ストリートグライドの画像
CVOだからこその純正ヒートグリップの標準装備が嬉しい。
CVO ストリートグライドの画像
容量22.7リットルというツアラーモデルにだけ許されたビッグフューエルタンク。近年新たにデザインされたバー&シールドのエンブレムがアイコンだ。カラーリングはこの「オレンジラバ/ブラックデニム」のほか、「ダークアロイ/ブラックデニム」「ガンシップグレー/ビビッドブラック」と、CVO専用グラフィックが並ぶ。
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グリップと同じくヒーテッド機能を備えたダブルシート。幅広なところがちょっと難点。
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サドルケースにも「Boom!™ Box 6.5GT」のスピーカーが内蔵されている。
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2013年の「PROJECT RUSHMORE」により、以前は内側に開くサドルケースが一新。「走行中でもライダー自ら開けられる」とメーカーが言うほど開閉性能に優れたサドルケースとなった。フェアリング内にロック機能があり、そのボタンひとつで施錠可能なのだ。
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CVOストリートグライドに許された、サドルケースとリアフェンダーのあいだに縦に備わるバガースタイルのウインカー一体型テールランプ。
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昨年の5スポークとは打って変わって、まるでサメの歯をほうふつさせる獰猛なオリジナルホイールが備わる。サイズはフロント19インチ、リア18インチとされる。
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ツインクールド・ツインカムエンジンの際はラジエター機能が備わっていたフェアリングは、ミルウォーキーエイトエンジンとなったことでラジエター機能が取り除かれた。
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そのフェアリング内には「Boom!™ Box 6.5GT」のスピーカーが内蔵されている。
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シーソーペダル、フットボードともハーレー純正カスタムパーツにラインナップされるアイテムが標準装備。マシンのグレードが一層高まって見える。
CVO ストリートグライドの画像
117ciミルウォーキーエイトエンジンに対応するCVOモデル専用のショットガンエキゾースト。バズーカーのようなデザインがバガースタイルのリアエンドと相まって、迫力を増しているよう。

こんな方にオススメ

実はお値打ちなCVOモデルを手に入れて
見栄を張りたい若人にこそふさわしい

はっきり言って、お腹いっぱいなモデルである。「ここからさらにカスタムを……」と言うのはカンタンだが、そんなことができるのはハーレーが好きで好きで仕方がない日本有数のお金持ちだけだろう。

CVOの魅力は、「これでもか」とハーレー純正カスタムメニューを投じたパッケージモデルであることで、後づけカスタムをしたらこの価格では到底おさまらない。実はお値打ち価格なこのCVOで個性を際立たせ、ブルジョワ感を演出したい見栄っ張りなオーナーにふさわしい。それこそ30代、いや20代の若人がCVOストリートグライドで走っていたら……こちらは呻かざるを得ないだろう。

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