VIRGIN HARLEY | ハーレー話題のニューモデル「スポーツグライド」をいち早くインプレッション 試乗インプレ

2018年式 FLSB スポーツグライドの画像
HARLEY-DAVIDSON FLSB SPORT GLIDE(2018)

ハーレー話題のニューモデル「スポーツグライド」をいち早くインプレッション

新構造となったニューソフテイルの
限界に挑む現代のスポーツクルーザー

2017年11月、イタリア・ミラノで開催された「EICMA(ミラノ国際モーターサイクルショー)」のハーレーブースにて、ソフテイルファミリーのニューモデル「スポーツグライド」が発表された。新たなフレーム設計とミルウォーキーエイトを搭載したニューソフテイルファミリーがデビューしてまもないタイミングでの登場となったスポーツグライドには、どんな意図と可能性が秘められているのか。日本上陸まもない同モデルの潜在能力に迫ってみよう。

FLSB スポーツグライドの特徴

往年の名車Tスポーツを彷彿させる
あらゆるものが新しいビッグスポーツ

FLSB スポーツグライドの画像

排気量1,745ccの新エンジン「ミルウォーキーエイト107」と新設計のリジッド型ソフテイルフレームは、ソフテイルファミリーとして共通のものを有するスポーツグライド。他モデルにない特徴をあげていくと、脱着可能なバッドウイングフェアリングとパニアケース、43mm倒立フロントフォークに2in1トミーガンマフラーといったところになろう。

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パッと見て真っ先に思い浮かべたのは、2001~2003年までラインナップされたダイナファミリーのスポーツクルーザー「スーパーグライド Tスポーツ」だ。ツインカム88エンジンを搭載したツインショックフレームはロードクリアランスを十分に確保し、さらにダブルディスクブレーキ仕様となった「スーパーグライド スポーツ」に専用フェアリングとサドルバッグを備えたモデルで、まさにスポーツクルーザーモデルの先駆け的存在でもあった。そのイメージで本モデルのスポーツグライドを見ると、パニアケースの内側にツインショックが隠れているのでは?などと勘ぐりたくなる。

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カンパニーがそのスポーツライディング性能にも自信を持っているニューソフテイルフレームの存在を思うと、スポーツグライドがTスポーツに酷似していることにも納得だ。「ツインショックのダイナでなくとも、あのメガスポーツモデルのライディングを十分楽しめる」という意思表示でもあるのだろう。

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お気づきの方もいるかもしれないが、ホイールサイズもフロント18/リア16インチと、近代ハーレーにはなかった仕様になっている。FLモデルなら16ないし17インチ、スポーツスターやFXモデルなら19インチ、チョッパーモデルだと21インチがスタンダードだった最近のハーレーでは初の採用サイズだ。フロントホイール径を19インチより小さくしたのは旋回性を高める狙いがあると思われるが、これも倒立フロントフォークとの組み合わせによる現代版ハーレーの解釈でもあるのだろう。改めて、カンパニーの変貌ぶりに驚きを隠せない。

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走行性能の追求という点で見逃せないのが、シート下のオイルタンク部分に見える油圧式スプリングプリロード調整機能だ。これは新型ソフテイルフレームの核であるシート下のモノショックをリモート制御するもので、ライダーの好みに合わせて硬さを調整できる優れもの。かつてのダイナやソフテイルでは実現できなかった取り組みが垣間見える側面で、ビッグツインの快適性が格段に進歩していることが伺える。

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フェアリングも、デザインそのものはウルトラなどに備わる通称ヤッコカウルを模してはいるが、サイズそのものは一回り以上小振りに。ハイスピードライドを楽しませるスポーツグライドの性質を考えると、このサイズ感ではフェアリング機能はほぼ皆無だろうが、アメリカで人気のカスタムスタイル「クラブスタイル」をイメージしていると考えると、ハーレーらしいヤッコカウルデザインになっているところが心をくすぐってくるようだ。

重量級が並ぶツーリングモデルの心臓としてデビューを飾ったミルウォーキーエイトがニューソフテイルに搭載され、ネイキッドスタイルでその凶暴なエンジンを楽しませる方向へとシフトした矢先での、このスポーツグライドである。それでは、いよいよ実際の試乗インプレッションをお届けするとしよう。

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FLSB スポーツグライドの試乗インプレッション

ミルウォーキーエイトでスポーツする
そんなアメリカンな遊び心に溢れる一台

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意外なほど足つきは良い、というのが跨がってみての印象だ。シート高は680mmと、ヘリテイジクラシックと同サイズ。スポーツグライドというから踵が浮くほどの高さかと思っていたのだが、リアに向けてシルエットが下がっていくリジッド型フレームがベースなのだ、身長174cmの筆者でも膝にゆとりを持たせつつのベタ足なのも納得だ。シートの幅がやや広くガニ股になりがちなのは、いつものハーレーだと笑って済まそう。

引き起こしてみての印象は「軽い」。317kgという重量は決して軽いうちには入らないが、歴代ソフテイルとの体感差は明確で、フェアリングやパニアケースを備えていることを思えば驚きに値する。それも、カーボンスチール製の新型フレームの恩恵であろう。

火が入れられたミルウォーキーエイトのパワフルな鼓動を感じながら走り出す。とにかくギアをひとつあげるたびに生み出されるパワーが強大で、最新版Vツインエンジンをダイレクトに体感できるのは間違いない。それでいて、新型フレームがそのパワーを持て余すことなくしなやかに受け止めてくれるので、ライディングそのものが暴れることはない。

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とはいえこのサイズ感と重量、そして排気量1,745ccというビッグエンジンを積んだバイクである。シティユースでは慣れていないとなかなか安定させづらい。特に道が混雑している都心部だと、バランスを取りながらそのパワーをコントロールするのに苦労する。パワーは十分すぎるほどあるので、1速パーシャルでも大体の流れは引っ張れる。流れが良くなれば2速にあげて……という乗り方で、3速にあげるのはかなりスピーディな流れができてきたときか。やはりミルウォーキーエイトのマシンを操るには慣れが必要みたいだ。

やはり本領を発揮するのは、ハイウェイだ。3速、4速、5速……とギアをあげていくと、ミルウォーキーエイトは水を得た魚のように秘められた潜在能力を発揮し、凄まじい勢いで空気を切り裂いていく。本エンジンは6速ミッションだが、そこまでギアをあげたハイウェイクルーズとなると、ここではちょっと書けない速度域に達してしまう。5速パーシャルでも一般的な高速道路の法廷速度を軽く超えると言えば、大体は想像していただけるだろうか。

ここで気になるのが「フェアリングの効果」と「新型フレームの性能」であろう。まずフェアリングだが、速度域があがって走行風が強くなるにつれて、やはりヘルメット(頭部)への風圧は相当なものに。この時点で、フェアリング本来の機能はあまり果たされてはいない。まったく効果がないわけではないが、ハイスピードクルーズに適した構造とは言い難い。このフェアリングを5.5インチアップさせるウインドシールドがカスタムパーツとして出ているので、風防機能を重視する方はこちらをチェックされたし。

そして新型フレームの恩恵だが、想像していたより衝撃を吸収してくれる印象だ。もちろん時速100km近いスピードでハイウェイのくぼみや段差に落ち込むとかなりの衝撃をもたらすが、ある程度舗装されたストレートロードを突き進むことを前提としたロードバイクであることから、必要にして十分な性能だと言える。

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1,625mmというロングホイールベースからなるロー&ロングな車体ゆえ、コーナリング性能を得意とするとはとても言えないが、それでも43mm倒立フロントフォークのしなやかな動きと18インチフロントホイールという組み合わせもあって、思っていた以上にコントローラブルな旋回性を味わわせてくれた。

フォワードコントロールステップの位置もかつてのワイドグライドやブレイクアウトほど足が突っ張らないので、こちらもコーナリング時にはグッと踏み込んでやることができる。さらに、かなりバンクさせてもステップやマフラーを擦ることはなかった。これは車高がしっかり確保されている証と言えよう。ここがミッドコントロール仕様になればコーナリング性能はグッとあがるだろうが、バンク時に擦る可能性があることを思うと、このままでも十分面白いか、とも思う。

全体的には、直線番長感が残るメガスポーツクルーザーといったところか。遠方へのロングライドを主な目的とするなら今のままでよし、ワインディングに持ち込んでロードスポーツとして楽しむなら、180mmあるリアタイヤを150mm仕様にしてみるとさらに面白くなる、と期待させてくれるモデルと言えよう。

限定モデルとして登場したダイナ・ローライダーSも、こうした二面性を楽しませてくれる希有なモデルだった。そのローライダーSの後継モデルとして見ても面白い一台と言える。

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FLSB スポーツグライドの詳細写真

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排気量1,745ccを誇る107キュービックインチ Vツインエンジン「ミルウォーキーエイト107」。ブレイクアウト仕様のラウンドエアクリーナーをブラックアウトしている。
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デタッチャブル(脱着)式の小振りなフェアリング。ラウンドヘッドライトはヘリテイジクラシックなどにも備わる最新のLEDタイプ。
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点灯時はこんな感じ。ハイビームにすると、中央下部がさらに強烈な光を発する。
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スポーツスター・ロードスターにも備わっている高剛性の43mm倒立フロントフォークを採用。トリプルツリーももちろん専用設計で、レイク角は30°と、ソフテイルスリムなどと同設計とされる。
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タイフーンデザインが印象的なアルミキャストフロントホイールのサイズは18インチ、そしてブレーキはシングル仕様に。
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クセのないプルバック型ハンドルバー。
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左側下部にオートクルーズコントロールスイッチが備わるビッグツイン共有のスイッチボックス。ウインカースイッチが左右に分かれているハーレー伝統の仕様は変わらず。
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容量18.9リットルのフューエルタンクもソフテイルファミリー共通。カラーリングはこのビビッドブラックのほか、シルバーフォーチュン、トゥイステッドチェリーの計3色が用意されている。
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デジタル型給油ゲージが内蔵された最新のラウンドスピードメーター。
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高速走行時、パッセンジャーシートがライダーの臀部をしっかりホールドしてくれるガンファイター風ダブルシート。
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ウインカーは最新モデルに多く見られるテールランプ一体型に。
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左右合わせて容量25.5リットルという脱着可能なパニアケース。
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内部にはジョイントとメッシュが設けられ、荷物の落下防止に一役買っている。
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フォワードコントロールステップも、身長174cmのライダーだと膝が曲がっての踏ん張りがきく位置になっている。
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かつてのダイナ・ファットボブなどに見られた2in1トミーガンマフラーもスポーツグライド専用。その攻撃的なフォルムは同モデルのスタイルにマッチする。
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オイルタンクのカバー横にはモノショックのリモート制御を行う油圧式スプリング プリロード調整ツマミが備わる。
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ニューソフテイル共通となるモノショック仕様のカーボンスチール製リジッド型フレーム。
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180/70 B16 77H BWというサイズのミシュラン・スコーチャータイヤ。マシンの旋回性を高めるなら150mm幅にしてみるのもアリだろう。

こんな方にオススメ

ハーレーの無茶ぶりを真っ向から受け止めたい
そんなスピード狂にぴったりのメガクルーザー

強烈なパワーを発揮するミルウォーキーエイトをネイキッドモデルに積むこと自体が無謀と思えるなか、「だったら操れる性能を与えればいいんだろう」と、まさかのパフォーマンスアップを図ってきたスポーツグライド。確かに、「バイクが重い?だったらパワーをあげればいい」という開発を続けてきたカンパニーらしいと言えばらしいのだが、このスポーツグライドにもそんな系譜が受け継がれているようだ。ある意味カンパニーの無茶ぶりとも言える暴力的なマシンだからこそ、その未知なるメガスポーツの世界に嬉々として飛び込める変わり種なライダーにこそふさわしいのかもしれない。言っておこう、ちょっと試乗したぐらいでは、このスポーツグライドの真の実力を探りきることはできない、と。

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