VIRGIN HARLEY | ハーレーの新型水冷Vツインエンジンを搭載したファクトリーカスタムモデル「ストリートロッド」をインプレッション 試乗インプレ

2018年式 XG750A ストリートロッドの画像
HARLEY-DAVIDSON XG750A STREET ROD (2018)

ハーレーの新型水冷Vツインエンジンを搭載したファクトリーカスタムモデル「ストリートロッド」をインプレッション

  • 掲載日/ 2017年12月21日【試乗インプレ】
  • 取材・写真・文/田中 宏亮

よりストリートバイクらしさを増した
真新しいファクトリーカスタムモデル

2014年の冬、新型の水冷Vツインエンジン「レボリューションX」とともに、「ストリート」という新ファミリーからデビューしたストリート750。そのモデルをベースに、よりアーバンライドなマシンとすべく手が加えられた「ストリートロッド」が2017年初期に登場した。パッと見ただけでも違うモデルだとわかりつつも、具体的にどこがどう変わって、どんな楽しみ方ができるのかを知らねば、ストリートロッドを本気で楽しむことはできまい。改めてストリートロッドのキャラクターを露わにしてみよう。

XG750A ストリートロッドの特徴

伝統のカフェスタイルを踏襲した
本気のストリートバイクが降臨

XG750A ストリートロッドの画像

「100万円を大幅に切るハーレーダビッドソン」として、ストリート750が日本上陸を果たしたのが2014年のこと。かつてスポーツスターXL883が88万3,000円で販売された時代もあったがそれも遠い昔のこと。新型の水冷Vツインエンジン「レボリューションX」を心臓に、よりストリートシーンをイメージしたニューモデルとして登場したストリート750は俄然注目を集めた。

1,500mmを超えるロングホイールベースにビッグタンクと、どちらかと言えばまだクルーザー色が強いストリート750をよりアーバンライドなモデルへとカスタマイズしたストリートロッド。この「ストリートロッド」という名前を聞いて、かつて2006年と2007年モデルとしてラインナップされたVロッドファミリーの「ストリートロッド」を思い浮かべた人は、かなりの近代ハーレー通と言っていい。残念ながら、その同名モデルとの関連性はないとのことだ。

さて、その新ストリートロッドだが、スタイリングやディテールに大幅な手が加えられているところが興味深い。圧縮比が上げられたレボリューションXエンジンに、ホイールサイズが前後とも17インチへと変更されている(ストリート750はフロント17 / リア15)。このホイールサイズは他メーカーが輩出するスポーツバイクと同じ設定で、専用の倒立式フロントフォークにリザーバー付きリアサスペンション、そしてフロントがダブルブレーキングシステムへと進化。ことフットワークに関しては、ベースモデルを大幅にしのぐワインディング仕様と評していい。

XG750A ストリートロッドの画像

前後サスペンションに合わせてシートカウルも専用設計のパーツとされ、これによってシート高も720mmから765mmへと大幅アップ。現ラインナップでハーレーを代表するスポーツバイクにXL1200CXロードスターが存在するが、こちらが785mmと2センチも上を行く。それに次ぐシート高という点から、ライディング時のバンク角を意識したキャラクター設計であることは想像に難くない。

そのシートと組み合わさるステップとハンドルに注目してほしい。まずステップだが、ストリート750と同じミッドコントロール仕様ながら、バンクセンサーが搭載された新設計なところもキャラクターを強めるディテールだ。さらにハンドルバーは、意外にも一本もののドラッグバー仕様とされる。スポーツバイクであるなら曲げが入ったニュートラルなものかセパレートハンドルが想像されそうなところだが、そこはやはりハーレーダビッドソン。そう、1970年代を代表するハーレー版カフェレーサー「XLCR」もドラッグバー仕様なのだ。そういう意味では、ベースモデル以上にXLCRを意識した一台と言えよう。

XG750A ストリートロッドの画像

このストリートロッドで見逃してはならないのが、レイク角だ。ストリート750の32度に対して、ストリートロッドのそれは27度と、グッとフロントが手前に来るような設計となった。これによってホイールベースは短くなり(ストリート750:1,520mm / ストリートロッド:1,510mm)、コンパクトなライディングが楽しめるように。リアホイールのサイズアップも相まって、ストリート750と見比べるとボディそのものが引き締まった印象さえある。

現代版ロードスポーツに欠かせないフットワークを付与しつつ、XLCRへのオマージュとも思えるディテールを各所に与えられたストリートロッド。いよいよこのマシンで街へと繰り出してみよう。

XG750A ストリートロッドの試乗インプレッション

ハーレーに乗ることの意味を
問いかけてくる一台かもしれない

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軽い、速い。走り出した際の最初の印象がこれだった。軽量化して240kg前後になってはいるものの、普段乗っているスポーツスター(平均車重は約260kg)と比べると、238kgという車重はハーレーのラインナップ中でも軽量の部類に入る。それに加えて、シャープで切れ味鋭い水冷Vツインエンジン「レボリューションX」が生むスタートダッシュの良さとクイックな挙動が、目指したとおりのスポーツバイク仕様であることを体感させる。

割と混雑気味の東京都内を駆け抜けていく。3速パーシャルで時速60kmを軽く超えていく挙動は、はっきり言ってハーレーの他モデルにはないもの。というのも、エボリューションエンジンやミルウォーキーエイトといったパワフルなエンジンが生む爆発力で推進させるのとは違って、軽量モデルをシャープに走らせるという低燃費仕様だからだ。ストリート750を初めて試乗した際も感じたことだが、改めてこれまでのハーレーダビッドソンにはないパフォーマンスを有している。

XG750A ストリートロッドの画像

跨った際のポジションは好みが分かれそうだ。身長174cmの筆者だと、765mmというシート高は決して高い方に入らず、足は膝が曲がってのベタ足。それでいてステップ位置が思いのほか高い設定のため、膝そのものが90度近く曲がるほど高くまで上がる。おかげでその膝がフューエルタンクに描かれた「HARLEY DAVIDSON」のロゴを隠してしまっており、ここは少々残念なところ。

ドラッグ仕様のハンドルバーも思っていた以上に幅広なので、ライディングコントロールをタイトなものにはしていない。むしろ、専用のバーエンドミラーのおかげでサイドの張り出しが気になり、狭いところを通り抜けるのにかなり気を使う。メーカー生産モデルであるがゆえの幅広バーなのだとは思うが、ここは左右1cmずつ切り落とすぐらいのことをした方が、ストリートバイクらしさ、XLCRらしさが出るように思える。

XG750A ストリートロッドの画像

エンジンをはじめ、鉄製パーツが多様されているスポーツスターよりもコンパクトで軽量に仕上げられているストリートロッドだが、普段(スポーツスターで)慣れた市街地を走ってみるも、思うほどスポーティな印象が薄かった。特にコーナリングでぐいっとバンクさせてみたが、イメージしていたよりもやや外に膨らむ印象。

「思っている以上にホイールベースが長いのでは?」とスペックを見返してみたところ、スポーツスター・アイアン883と5mmしか差がなかった。レイク角がタイトになり、よりバンクしやすいモデルになったイメージが強かったストリートロッドだが、それでもまだクルーザー色が色濃く残っているようだ。ボディそのものが軽量なだけに、少々もったいなく思える。

XG750A ストリートロッドの画像

その流れで言うと、ストリートバイクという点から見るならば160mmというリアタイヤの幅も狭くしたいところ。ロードスターでさえ150mmで、私のように旋回性を高めるため130mmという細いタイヤを選ぶライダーは割と多い。ホイールベースに並んでこのストリートロッドの旋回性を抑えているのがリアタイヤ幅と思うと、むしろ「タイヤを交換するだけでパフォーマンスアップする」と好意的に捉えるべきか、とも。

XG750A ストリートロッドの画像

信号待ちの際に気になったのが、左右の車体バランスだ。無意識のうちに、かなり左側に傾けて足を着いていることに気づいた。この原因は、車体右側に設置された2in1エキゾーストにある。要はこのマフラーそのものがかなり重いのだ。ただ、実際に走り出すと「バイクが右寄りに走っていく」ということはないので、走行時のバランスは保たれている模様。「とすると、マフラーを交換したらこのバランス自体が変わる?」という思いがよぎった。これはマフラーだけに限らず、タイヤを変えた際にも起こり得ることだろう。実際にカスタムされる方がショップやディーラーなどと相談してみていただきたい。

XG750A ストリートロッドの詳細写真

XG750A ストリートロッドの画像
2014年デビューのストリート750より搭載された最新の水冷Vツインエンジン「レボリューションX」(排気量水冷749cc / SOHC4バルブ)。エンジンスペックはストリート750に比べ、18%の馬力向上と8%のトルクアップを実現している。
XG750A ストリートロッドの画像
ストリートロッド専用に作られたオリジナルのビキニカウル。上部からメーターが見えてしまっているのが残念なところ。クラシカルなラウンドヘッドライトは健在だ。
XG750A ストリートロッドの画像
走行性能を高めるべく、今ハーレーの各モデルに投入されている倒立フロントフォークがストリートロッドにも。性能はもちろん、パッと見た印象もスパルタンに。
XG750A ストリートロッドの画像
こちらも専用設計の17インチホイール。ブレーキングシステムはダブルディスク仕様となり、ストリート750に比べて制動力がぐっとアップしている。
XG750A ストリートロッドの画像
一文字型のドラッグバーは、往年のカフェレーサーXLCRへのオマージュか。ご覧のとおり、かなり幅広いバーハンドルとなっている。
XG750A ストリートロッドの画像
ハーレーには珍しいメーター下に位置するイグニッション。メーターは変わらずラウンド型で、ライザー下にマウントされる。
XG750A ストリートロッドの画像
ウインカースイッチもハーレーには珍しい左側一体型に。その他イグニッションスイッチ、セルスイッチ、ホーン、ハイ & ロービームなどが備わる。
XG750A ストリートロッドの画像
ラウンド型ミラーはバーエンドに設置。近年のヨーロッパ製ストリートバイクに見られる傾向をハーレーも取り入れた形か。ただ、ハンドルバーより外に張り出しているため、狭いところを通る際の接触に気を使う。
XG750A ストリートロッドの画像
ベースモデルのストリート750と同じ、容量13.2Lというビッグなフューエルタンクが備わる。12.5Lというスポーツスタータンクよりも大きいわけだが、ストリートバイクという観点から見ると、ピーナッツタンクぐらいコンパクトでも良いのでは?という印象も。カラーリングはこの「エレクトリックブルー」のほか、「レッドアイアンデニム」「ビビッドブラック」「オリーブゴールド」「ボンネビルソルトデニム」とカラフルなバリエーションが魅力。
XG750A ストリートロッドの画像
ストリート750に比べてグッと高さをアップさせている専用シート。ガンファイター型のデザインがマシンを戦闘的に見せる。
XG750A ストリートロッドの画像
そのシートと一体型になっているカウル & テールランプもストリートロッド専用。
XG750A ストリートロッドの画像
バンクセンサーを備えるなどワインディングやサーキットでの走行をイメージさせる専用のステップ。ポジションはミッドコントロールとされ、マフラーの位置関係から取り付け部がかなり高く、タンクグラフィックを隠すほど膝が高く上がるのが難点。
XG750A ストリートロッドの画像
ストリート750のそれよりも ややショート化された2in1エキゾースト。鉄製ということもあり、かなりの重量なのが気になるところ。
XG750A ストリートロッドの画像
右側に設置されるスポーツスターモデルと異なり、駆動部分となるベルトドライブ位置は車体左側に。ミルウォーキーエイトなどと同じ仕様で、6速ミッションとされる。
XG750A ストリートロッドの画像
ショーワ製リザーバータンク付きリアサスペンションもストリートロッドのオリジナル。

こんな方にオススメ

いきなりハンディを背負ったモデルで
他バイクに迫ることに楽しみを見出す人へ

ツーリングバイクが大多数となるハーレーダビッドソンのラインナップで、異なる世界観を打ち出すストリートロッド。当然ライバルとなるのは国産メーカーをはじめとする他メーカーのスポーツバイクであろう。それらと見比べると、正直スペック面では劣っていると評価せざるを得ない。ハーレーのなかでは軽量な238kgも、他メーカーでは明らかに重量級になるからだ。

そんなモデルだからこそ、「カスタム」という選択肢でどこまでスポーツバイクとしての能力を高められるかが必須となってくる。いきなり大きなハンディを持ちつつも、カスタムメニューと自身のライディングテクニックで国産ライダーに後ろから迫っていく……そんなところに魅力を感じる人こそオーナーにふさわしい。

試乗ライダー プロフィール
田中 宏亮
5年ほどVIRGIN HARLEY.comの編集担当を務め、現在フリーランスとして活動中のライター。愛車は、オーナー以上に有名になった2008年式 スポーツスター XL1200R 改。スポーツ誌やファッション誌、モノマガジン誌、ほかライフスタイル系ウェブサイトなど、モーターサイクルの範疇にとどまらない動きを展開中。現在、自身に課している至上命題は「痩せること」。

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