VIRGIN HARLEY | 辻 光希子(142cmの女性ライダー) インタビュー

辻 光希子(142cmの女性ライダー)

  • 掲載日/2005年06月28日【インタビュー】

ハーレーインタビューの画像

「乗り方」は時間をかければ
きっと学べます

今回ご紹介させていただくのは東京都調布市に住み、ローライダーを乗りこなす女性ライダー 辻 光希子さんだ。18歳のときに中型免許を取り、少しずつステップアップし憧れのハーレーに乗る辻さん。しかし、その道のりは平坦なものではなかった。142cmの身長で大型二輪免許を取得し、今は普通の男性以上にハーレーを乗りこなしている。その過程を紹介させていただくことで、これからハーレーに乗ろうと考えている多くの女性を勇気づけられるのでは。そう思い辻さんにお時間をいただいた。

Interview

中免を取れたときには
教習手帳が2冊目になってました

ー辻さんはいつからハーレーに乗っているのですか?

辻●ローライダーに乗り始めて、今で1年くらいですね。大型二輪免許(以下、大型)を取ったのはハーレーに乗ろうと思ってからです。中型二輪免許(以下、中免)は高校3年生の18歳のときに取り、250ccのバイクに乗っていたので、まったくバイク初心者というわけではなかったですね。

ー高校生のときにバイクの免許ですか。昔からバイク好きだったんですね。

辻●実はその頃から「ハーレーが欲しいな」と思っていたんです。でも、教習所で大型は取れませんでしたし、まさか本当に自分がハーレーに乗れるなんて思ってもいませんでした。だから「中型のバイクでいいから乗りたい!」そう思ってアルバイトでお金を貯め、中免を取るために教習所に通いました。

ー中免を取るときは苦労されましたか?

辻●苦労続きでしたよ。入校の申し込みに行ったとき「142cmの私でも中免は取れますか?」と担当の人に聞いて「ギリギリ大丈夫ですね」と言われていたんです。でも、最初の教習の時間に教官から「まずは小型二輪(以下、小型)からにした方がいいよ」とアドバイスを受けて。確かにそのときはバイクの基本的な乗り方も知りませんでした。だから、まずは小型でバイクの乗り方を勉強し、それから中型の免許をとることになりました。小型は車両が軽く、取り回しも楽なのでそれほど苦労しませんでしたが、中免は大変でした。普通は1冊で済む教習手帳が2冊になりましたから(笑)。

ーそれほど大変だったのですか。

辻●私より後に入校してきた人がどんどん卒業していきましたね。いろんな苦労がありましたよ。転倒しても怪我をしないよう、教習のときに履いていたエンジニアのブーツは自分に合う小さなサイズが無くて、靴下を3枚重ねてから履いていました。実際の教習では、スラロームのような減速と加速があるような授業、一時停止が必要な坂道発進なんかは大変でした。うまく停まるためのコツ、うまい体重移動の方法なんかがなかなか覚えられなくって。それだけに、卒業できたときは本当に嬉しかったですよ。免許を取って、初めて自分のバイクに乗ったときは近所の道を何往復もしていましたから(笑)。

ーそれから、ずっと中型のバイクに乗っていたわけですね。

辻●2台バイクを乗り継ぎましたが、2台目のバイクを盗まれてしまって。バイクに乗っていない時期もありました。でも、たまたま知り合いの女性がハーレーに乗るために、中免を飛ばしていきなり大型を取る、と言い始めて。「大丈夫かな」と思って見ていたら、大型を取ってしまったんです。それを見て昔の憧れが湧き上がってきちゃって。「私だって取れるはず」と思って、大型にチャレンジすることにしたんです。

「幸せすぎて死んでしまうんじゃないか」
そう思うくらいに感動しました

ー教習所に通いはじめていかがでしたか?

辻●その前に「教習所探し」が大変でした。私の142cmという身長で入校を拒否されてしまったり、入校は認めてもらえそうなのに、教習車が車高が高くて重いCB750だったりと、なかなか自分でも大型が取れる教習所が見つかりませんでした。

ー教習車によって「乗れる・乗れない」があるわけですね。

辻●大型を取った教習所は教習車がゼファー750でした。ゼファー750は車両重量が軽くて、取り回しがしやすいんですよ。車高もCB750に比べて数cm低くて。私にとってはその数cmの違いが重要だったんです。身長が高い人にはわからない世界かもしれませんが、女性や背の低い人にとっては「どのバイクで教習を受けられるのか」が大事なんです。教習が始まってからは中免以上に大変でしたよ。教習所では停車時に左足をついていなければいけないのですが、普通に足を伸ばしても地面に足がつかないんです。シートから体を左にずらして、うまくバランスを取っていないとこけてしまうんですね。教習中の急な停止のときにはバランスが取れなくて、何度もコケてしまっていました。

ー途中で「もう辞めよう」と思うことはありませんでしたか?

辻●ありませんでした。負けず嫌いなんですよ、私は。バイクに限らず、小さい頃から「君には無理なんじゃないか」と言われることはたくさんありました。そういうときはいつも「自分にだってできる」と思っていましたし、チャレンジしてきました。そういう経験からか、大きいものに憧れがあるんですよ。私が今スポーツスターではなくて、ビックツインに乗っているのも「大きなハーレーにだって私は乗れるんだ」と証明したいのがあったのかもしれませんね。

ースポーツスターは考えなかったのですね。大型二輪免許が取れて、多くの車種の中から、なぜローライダーを選んだのでしょう。

辻●最初はワイドグライドが欲しかったんです。でも、さすがにそれは無理で。次に欲しかったファットボーイを買おうとしたのですが、お店の人に「ファットボーイをカスタムして乗れるようにはできるけれど、お金もかかるし無理してファットボーイに乗るのは大変だよ」とアドバイスを受けて、ローライダーを選びました。今、ローライダーは気に入っていますが、私が免許を取れそうになった頃、周りの仲間が「女の子がビックツインに乗るならローライダーが乗りやすいよ」と言っていたんです。「女の子用のハーレーだったらローライダーには乗りたくないな」と思っていました(笑)。

ーローライダーが女性用ですか、それはないでしょう(笑)。

辻●そのときはそう思っちゃったんです。今思うとファットボーイじゃなくてよかったかもしれません。車庫入れや駐停車の取り回しなどは一人やっていますが、もしファットボーイに乗っていたら、周りに手伝ってもらわないとできないことがあったと思います。ハーレーに乗っていると周りがいろいろ心配してくれて、手伝ってくれることもあるんです。それは本当に有難いですし、感謝していますが、もし一人のときに何かあったら自分で何とかしないといけないので、仲間とのツーリングのときも仲間に頼らずに、自分でローライダーを動かしたりするようにしています。

ー辻さんのローライダーは乗りやすくなるようなカスタムはしていますか?

辻●足つきがよくなるようシートは低めのものに換えてあります。手も小さいのでブレーキとクラッチレバーはミスミ製のものを使っています。足つきは体を少しずらして停車したり、と私なりのコツがあって「ノーマルの車高で充分乗れるのでこのままでいいかな」と思ってローダウンしていませんでした。でも、周りからの「ローダウンすると足つきはよくなるよ」と言う誘惑に負けて、最近になって車高を下げてしまいました(笑)。

ー周りの仲間には女性のハーレー乗りの方もいるのでしょうか。

辻●お世話になっている「ハーレーダビッドソン調布」のレディースツーリングの仲間や、よく遊びに行く「M」というカフェバーで出会った女性のハーレー乗りの人たちに、いろいろと教えてもらっています。ハーレーに乗り始めた頃にはいなかった、女性の仲間が少しずつ増えてきていて恵まれた環境だと思います。同じハーレーに乗る女性同士でツーリングに行くのは楽しいです。

ーハーレーの世界では男性が多数を占めていますが、これからは女性のハーレー乗りも増えてくると思います。そういう方に「私でもハーレーに乗れますか?」と相談されたらどういう風に答えますか?

辻●安易に「乗れますよ」とは言えませんが、「私もハーレーに乗れているから、乗ることはできると思いますよ。でも乗り続けることができるかどうかはあたな次第ですね」と言うでしょうね。重いハーレーを乗りこなすためのテクニックはきっと時間をかければ身につけられるでしょう。でも、重いハーレーに乗り続けられるかどうか、は最初に努力して「慣れる」ことができるかどうかでしょうね。「好きだから努力できる」のなら、私みたいにハーレーを楽しめるようになると思いますよ。「ハーレーに乗りたい」という気持ちがどれだけ強いのか、ありふれた言葉ですがそこに尽きると思いますね。

ーでは、最後に、辻さんが大型を取って初めてハーレーに乗ったとき、どんな気持ちだったのか教えていただけますか。

辻●初めて乗った日は「幸せすぎて死んでしまうんじゃないか」と思いましたね。ずっと、ずっと憧れていたモノに乗っているわけですから。そのままずっと乗り続けたくて「このまま時間が止まってしまえばいいのに」と思いましたよ(笑)。今のローライダーに乗り始めて1年ほど経ちましたが、いまだにハーレーは特別な乗り物です。大切に乗って、これからも長くハーレーを楽しみたいですね。

プロフィール
辻 光希子
30歳。ハーレーに憧れ中免を取得し、アメリカンに乗り始める。車両の盗難にあい、しばらくバイクから遠ざかっていたものの、ハーレー乗りを目指す知り合いの女性に刺激を受け、苦労の末ローライダーに乗る努力家。ハーレーを乗りこなし、自在に操る。

Interviewer Column

ハーレーの世界はどうしても男性の数が圧倒的に多い。それは仕方がないことなのかもしれないが、最近女性のハーレー乗りも増えつつある。しかし「女性はどういうときに苦労するのか」は当事者でないとわからないことも多いだろう。「私にも乗れますか?」と女性に尋ねられ、安易に「大丈夫だよ、乗れると思うよ」と答えてしまうのは少し無責任な気がして、辻さんに直接お話をしていただいた。一人でハーレーの出し入れもでき、運転技術も素晴らしい、そういう辻さんに「女性がハーレーに乗ること」について語っていただければ、きっと一歩踏み出す勇気が出る女性も出てくれるはず、そういう願いをこめたのが今回インタビューだった。(ターミー)

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