VIRGIN HARLEY | みっき(世界を回る女性) インタビュー

みっき(世界を回る女性)

  • 掲載日/2005年10月01日【インタビュー】

ハーレーインタビューの画像

旅はあくまでも人生の一部
旅から帰ってきてからの過ごし方が大事

今回ご紹介するのはスポーツスターで世界一周を成し遂げた女性ライダー みっきさんだ。2003年6月~2004年10月にかけ、ロシア~ヨーロッパ、そして南米に渡りアメリカまで北上というルートで世界一周を行っている。この旅の前にも1年間ハーレーでアメリカを旅しており、バイクで海外を走る経験は豊富なみっきさん。自分のバイクで海外を旅する、実は私もやってみたいと思っている。その経験者のみっきさんに会いたい…実はかなり個人的な動機でのインタビューだ。海外をバイクで走ること、長期で日本を留守にすること、そこにはどんな楽しさ、辛さがあるのか、大変興味深い話を語っていただいた。

Interview

ハーレーで世界を旅するのは自然なこと
世界中にディーラーがあって安心できるから

ーなぜ世界一周をしようと思いたったのですか?

みっき●世界一周の前にハーレーでアメリカを1年かけて旅したことがあって、そのときに思い出深い人にいっぱい出会えて。バイクで海外を旅することに自信ができたから、次は世界をぐるっと周ってみよう、そう思って。

ー世界一周の前に、海外バイクツーリングは経験済みだったわけですね?

みっき●そう。2000年にアメリカ・メキシコ・カナダを旅していたの。アメリカのディーラーで新車のダイナを買って、1年かけて北米を周って。帰国するときにハーレーを売って日本に帰ってくるっていう旅でした。

ー海外ツーリングをする人はオフロードで、というイメージがあるのですが、みっきさんはなぜ海外ツーリングにハーレーを選んだのですか?

みっき●もともとはハーレーなんて大嫌いでした。デカクて、重くて、高い、そんなイメージしかなくて。でも1999年にアメリカに旅行したとき、レンタルバイクを借りてアメリカをツーリングしたんだけど、国産車がなくて。それで仕方なくハーレーに乗ってみたら、荷物はいっぱい積めるし、安定しているし。「これは旅するのにはエエバイクやわ」って思ったの。ハーレーをレンタルしたのは10日間だったんだけど、それまで欠点だと思っていた部分が気にならなくなって「進化しなくてもいい、そんなバイクがあるんやなぁ」と思って。私の旅の相棒がハーレーになったきっかけはレンタルバイクでのその10日間かな。

ー2000年にアメリカを周ったときはダイナだったんですよね、次の世界一周のときはスポーツスター。世界一周でスポーツスターを選んだのには何かわけがあるのでしょうか?

みっき●足つきがよくて、取り回しがしやすいハーレー。そう考えるとスポーツスターが一番かなと思って。1200か883かどっちにしようか迷ったけど、2000年のアメリカの旅のときに883で北米を走っている日本人に会ったことがあって「883はパワーが無くて、旅するにはちょっとつらいです」って聞いていたから「じゃあ1200の方がエエね」と。それで2003年式1200Sで世界を周ることにしたの。

ーでも、ハーレーで海外を走るとなると、トラブル時に修理してくれるところを見つけるのは大変でしょう、修理代だって国産よりも高くつくのでは?

みっき●そんなことはないよ。ハーレーのディーラーは世界中にあるから。海外だと国産車の方が修理は大変みたい。現地に部品がなくて日本から部品を送ってもらったっていう話も聞くけど、ハーレーだとディーラーがある国だったら部品はまず手に入る。ルーマニアで事故に遭ったときもディーラーですぐに部品が手に入ったしね。新車で買ってすぐに旅に出たから、最初の1年間は新車保証も使えて。国産車で旅するよりは修理代も得したんだと思うよ。

ー海外ツーリングで新車保証を使ったのですか。保証期間に何万キロも走るのでしょうに(笑)。

みっき●そう。ロシアからヨーロッパを横断して、南米にスポーツスターを空輸して・・・北米に入ってもまだ保証期間は残っていたはず。

ー日本ではハーレーに乗っていると同じハーレー乗りとの出会いは多いですが、海外ではどうでした?

みっき●ロシアではスポーツスターが故障したとき、同じハーレー乗りに助けてもらえ、北欧ではハーレー乗りのクラブのゲストハウスに泊めてもらえ…同じハーレー乗りに助けられたことはいっぱいあったなぁ。ハーレー乗りって国籍とか人種とかを超えて「同じハーレーに乗っているから仲間」みたいな雰囲気があるでしょ。他のバイクではそんな話はあまり聞かない。不思議な乗り物だな、と何度も思ったよ。

ーサーシャさんというロシアのハーレー乗りの人との出会いは思い出深かったようですね。

みっき●モスクワの「バイクツェントル」っていうショップのメカニックの人なんだけど、モスクワ滞在中にバイクショーに連れて行ってもらったり、毎晩遅くまでいろんな話をしてもらったり、かなりお世話になっちゃった。サーシャに「みっきは日本人なのになぜハーレーで旅するの?」って聞かれたことがあったんだけど「ハーレーで旅をしていると、他のハーレー乗りとファミリーになれるから」って答えたらすごく喜んでくれて。いくら同じハーレー乗りだからと言っても、気の合わないハーレー乗りだっているけれど、こんな出会いの機会を与えてくれるのはやっぱりハーレーで旅してきたからなんだな、そう思える出会いだったよ。サーシャに出会うまでは、危ない目に遭うのが嫌だったから、バイクを動かしたり、荷物を運んだりするのは自分でやっていたの。でもサーシャが「今までみっきが一人でやってきたのは知っているよ。でも、みんなでいるときくらいはみんなでやろう。俺らファミリーなんだから」って言ってくれて。ハーレーを通じてこんな出会いがあることがスゴイ嬉しかった。自分では気づかなかったけれど、アメリカでもハーレーに乗っていると周りの人が優しくしてくれていたみたい。国産バイクで旅をしていた人が「ハーレーに乗っていると、アメリカ人は優しくなるんですね」って言っていたし。

ーバイクとはいえ、ハーレーは高級車です。ハーレーに乗って旅しているとお金持ちだと思われて、危険な目に遭うことはありませんでしたか?

みっき●国によってはタンクにシールを貼って、ハーレーのロゴが見えないようにしていたよ。新車で旅を始めたけれど、車体はすぐ汚れてドロドロになったから、ロゴさえ見えなかったらハーレーに乗っていることに気づかれることは少なかったかな。世界一周をしている間、私は危ない目にはほとんど遭わなくて。いい人、悪い人は雰囲気で何となくわかるから、そういう人には近づかなかったから危険な目には遭わなかったんだと思う。

ーなるほど。世界中を周っていると、民族や宗教が違う国々を周ったと思います。民族や宗教で出会いの多さ、人の優しさで違いはありましたか?

みっき●キリスト教、ギリシャ正教、イスラム教…いろんな宗教の、いろんな民族の国に行ったけど、宗教や民族での違いはあまり感じなかったかな。それよりも先進国と発展途上国、観光立国とそうじゃない国の違いの方が大きかった気がする。イタリアみたいな国だとバイクが走っているのは珍しくないし、観光客だってそこら中にいる。だから現地の人が興味を持って話しかけてくることなんてなかったよ。ヨーロッパは冬に走ったんだけど、「身」も「心」も寂しかった。確かに綺麗な景色や観光地はあるけれど、物価が高くてお金はどんどん減っていくし、現地の人と出会う機会はあんまりなかったなぁ。それに引き換えロシアや東欧では、バイクで旅していて声をかけられることは多かったし、人も優しかった気がする。変に観光客慣れしていなくて、擦れていない人達だったから出会いが多かったんじゃないかな。

ーロシアや東欧が印象深い国ですか、意外ですね。逆に印象が悪い国として挙げている人を知っていたもので…。

みっき●現地の言葉を勉強して行かないからそうなってしまうだと思うよ。観光立国じゃない国だから英語を話せる人は少ない、コミュニケーションを取りたいなら現地の言葉は勉強しないと。簡単な英語すら話せず旅をしている人がたくさんいるけれど、それでは現地の人と交流できないのは仕方がないことかも。少しでいいから現地の言葉を話せたら、もっと出会いは増えるはず。相手も喜んでくれるよ。ロシア人って最初はフランクじゃないけれど、一度心を開いてくれたら暖かい人たちだったよ。私にとっては一番好きな国の一つがロシア。人もよかったし、シベリアの景色も素晴らしかった。また走りたい国だよ。

ーラテンの国、南米の国々はいかがでしたか?

みっき●南米でも優しい人には出会えたけれど、観光立国の国が多いからなぁ。ツーリストはあくまで「お金を落としてくれる人」として見る人がほとんどで。向こうから寄ってくる人はだいたい「何か買って」という人たち。南米で一般の人の家にお邪魔したっていう話は、旅仲間からは聞いたことがなかったよ。「自分たちの国」と「ツーリストに見せる用の国」が違う地域なんだと思う。南米は一見陽気な国に見えるかもしれないけれど、スペインやポルトガルから侵攻を受けた暗い歴史を持っているから、実はイメージとちょっと違う地域みたい。だから南米では旅仲間の日本人との出会いの方が思い出深いかな。

ーどんな出会いがありましたか?

みっき●長く旅しているとみんな日本食が恋しくなるみたいで。私は料理好きだから、宿で日本食をよく作ってあげていたのね。そうしたら「手料理が旨い女性ライダーが旅しているらしい」って噂が回って。長期旅行者って狭い世界だから噂が回るのが早くてね。新しい宿に行っても「みっきさんですよね。俺餃子が食べたいんですけど・・・」みたいなこともたまにあって(笑)。食べたいモノをみんなで話し合って市場に食材を探しに行って、一日かけて食事を作る、宿仲間とそんなことをして遊んだ国はいっぱいあるね。せっかく海外を旅しているのにもったいない、と思うかもしれないけれど、長く旅をしているとそういう一日も楽しいもの。せっかく有名な観光地に行っていたとしても、宿で一日中過ごしたり、近所を散歩したり、時間に余裕がある旅だとそんな過ごし方がだんだん増えてくる。そういうのを「沈没」っていうんだけど。私もたまーに沈没していたかな。

ー海外でも日本食の食材や調味料は手に入るのですか?

みっき●みりんも醤油も国によっては手に入ったよ。アルゼンチンでは「今、日本では牛丼が食べられないらしい」って聞いて「じゃあ今日は牛丼を食べよう」って作ってみたり、コロンビアでは粉からうどんを打って、うどんを食べてみたり。「ポン酢で鍋が食べたーい」って誰かが言い出して、ポン酢を作ったこともある(笑)。南米では観光はついでで、食い気に走っちゃっていたかも。

ー長く旅をしていると観光地に行くことなどが面倒になるらしいですね。

みっき●観光地にも一応は行ってみるんだけど、長く旅をしてくると何かに感動する気持ちがだんだん麻痺してくるみたいで、有名な遺跡に行ってもそれほど感動できなくなってくる。もしかしたら、短期間にメリハリを付けて旅をした方がいろんなモノに感動できるのかも。旅に慣れてしまうと初めの頃の感動がだんだん薄れて行って、最後には旅に疲れてきて宿でゴロゴロとしてしまう。長いこと旅をしていると誰でもそんな時期があるんだと思うよ。

初めての場所に行く旅もいいけど
昔旅した場所にまた行く旅もいいもの

ーみっきさんも相当長く旅していましたよね。最後に周ったアメリカでは疲れ果てていたのでは?

みっき●「早く日本に帰りたい」とは何回も考えたよ。でも、最後の北米は目的がハッキリしていたから。前回のアメリカの旅で知り合った人に再会する、その目的があったからダラダラと惰性で旅を続けなくて済んだの。

ー昔の旅で会った人との再会。国内の旅でもそんな機会はなかなかないのに海外で再会するなんてスゴイことですね。

みっき●「地球を一周して会いに来たよー」って懐かしい人に声をかけに行く。旅の最後にそんな目的を持ててよかったと思う。もう二度と会えない、と思っていた人にまた会える、アメリカを走る理由ってそれだけだったのかもしれない。旅って初めての場所に行く感動もあるけど、昔行ったところにもう一度行く感動もある。もう二度と会えないだろう、そう思っていた人に再会できると、次もまた会える気がしてくる。そういう新しい旅の醍醐味がアメリカにはあった。海外で2回ともバイクで、同じ人に会いに行けて。これってスゴイ幸せなことなんだと思うよ。

ー世界一周の旅で、会いたい人がアメリカだけでなく世界中にできてしまいましたね。

みっき●うん。また会いに行きたい、大事な人はいっぱいできたね。たぶんハーレーで世界を周ったから、そんな出会いがたくさんあったんだろうなぁ。昔は「ハーレー乗りはハーレーに固執し過ぎていて、頑固やし、アツすぎ」と思っていたけれど、海外で出会ったハーレー乗りがそのイメージを変えてくれたみたい。でも、それは海外のハーレー乗りのイメージが変わっただけだったの。日本ではカッコやカスタムでハーレーに乗っている人が多い気がしていて「みんなもっと好きなように乗ったらエエのに」って思っていた。だから、世界一周から帰ってきてからも日本のハーレー乗りはちょっと近づきづらくて敬遠しているところがあった。

でも、最近出会ったスポーツスター乗りの人たちはそういう細かいことは気にしない「緩~い」人たちで。「日本でもこんな風にハーレーを楽しんでいる人たちがいるんや」って驚いたよ。そういう人たちに日本で出会えて嬉しかった。私はハーレーを海外ばかりで楽しんできたけれど、のんびり気楽にハーレーと楽しんでいる人に日本でも出会えて、やっと私も国内でハーレーを楽しめるようになってきたみたい。世界で何万キロも走ってきたのに、日本ではほとんどスポーツスターに乗ってやっていなかったけれど、最近またメーターの数字が伸び始めたかな。

ー日本のハーレー乗りも変わりはじめているのかもしれませんね。日本でのハーレーを通じた出会いはこれから作っていけばいいんですよ。世界をスポーツスターで走り、見たこともない世界を見て、スゴイ経験をしてきたみっきさんですから、すぐに日本でも新しい出会いが広がりますよ。

みっき●別にスゴイことなんかじゃないよ。バイクで世界を走る人があまりいなくて珍しいから、みんなそう思うだけ。貯金があって時間さえ都合がつけば旅なんて誰にでもできることだから。そこで自分がスゴイことをした、と勘違いしてしまうのは怖いことだと思う。旅先で出会った友達と前に話していたんだけど、こういう旅を経験して一番怖いことは「旅に自分が食われてしまうこと」なのね。旅に食われてしまうと、自分が旅に出ていないと不安になってしまう。「旅をしている俺がホントの自分」、「自分が一番輝いているのは旅しているとき」って思っちゃう。いつまで旅をしても満足できない旅中毒になってしまうの。

でも、旅なんて所詮は遊びだから。旅以外の時間の方が人生では長いんだから、旅以外の生活もちゃんと持って、そういう生活も楽しまないと、つまらない人生になってしまう。私も2000年のアメリカの旅から帰ってきたときは、しばらく何もやる気が起きず、引きこもりみたいになっていた時期があったのね。だから世界一周をしたときは、旅の終わりが近づいてきて「もうすぐ旅は終わるんやから」って頭を切り替えるようにしていたよ。日本に帰ってきてから、いろいろと旅の後片付けもあったんだけど、早い時期に日雇いでいいからアルバイトはするようにしていて。私にとってはそれが旅のリハビリになって、今回の旅からの社会復帰は早かったと思う。

ー「旅に食われる」。なんとなくわかります。私の周りにもバックパッカーをやっていた知り合いがいます。旅から帰ってきてからしばらくはずっと旅の話しかしていなくて…彼は旅に食われかけていたのかもしれないですね。

みっき●長く旅をしてしまうと「日本であくせく働きたくない」そう思ってしまう人は多い。その気持ちは私にもわかるけど・・・旅の話しかできない人になったらダメだと思う。世界一周の旅で知り合って、未だに仲良くしている仲間はちゃんと仕事もして、人付き合いもできて、日本での生活をちゃんと楽しみながら、人生の土台をしっかり持った上で旅を楽しんでいる。旅はあくまでも人生の一部。旅がメインの人生は・・・ちょと違う気がするかな。

プロフィール
みっき
32歳。18歳より、バイクの世界に足を踏み入れ、大学では自動二輪部に所属していたという。2002年5月から1年間、アメリカをハーレーで周り、世界を旅する面白さに目覚める。ほんわかとした口調とそのキャラクターが魅力。日本だけでなく世界中に友人が多い。

Interviewer Column

「旅に食われる」非常に興味深い言葉だ。みっきさんのような旅をいつかしてみたい、学生の頃から私はそう思ってきた。今回のインタビューのあと「自分は旅に出たら、旅に食われてしまうかも」と考えてしまった。「旅はあくまで人生の一部」確かにその通り。旅に出る前から、帰ってきてからのことは考えられないけれど、「旅は終わりが来るもの」という覚悟を決めていないときっと旅に食われてしまうだろう。滅多に無い非日常だからこそ、旅は魅力的なものであって。旅ではない日常の暮らしを犠牲にしては本末転倒。みっきさんに会えて、いい話を聞くことができてよかった。いつか私が旅に出ることがあったら…旅に出る前にこの記事を読み返してから旅立ちたい。(ターミー)

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