VIRGIN HARLEY |  手嶋 梨絵(女性アイアン乗り)インタビュー

手嶋 梨絵(女性アイアン乗り)

  • 掲載日/ 2008年07月09日【インタビュー】

ハーレーインタビューの画像

ハーレー乗りって意識はない
バイク好きの、ただの女の子かな

かつてはほとんどいなかった女性ハーレー乗りだが、最近では珍しくなくなってきた。身長や体格のハンデをものともせず、ビックツインに乗る女性を私は何人も知っている。ただ、そういう女性の多くは「ハーレーに乗るんだ!」と気合が入っている人が多く、街で見かける女の子とは雰囲気がちょっと違う。しかし、今回紹介する手嶋さんはごく普通の女の子。ハーレーに乗るときも街でそのまま歩ける格好で乗り、革の上下を着ることなんてない。バイクに乗っていなければハーレー乗りだと気づかれることはないだろう。しかし、手嶋さんはこれまで3台のハーレーを乗り継いできている。XL883、FXD、XLH1000だ。ハーレーマニアでは無さそうな普通の女の子が、なぜこれほどハーレーに惹かれたのだろうか。話を伺ってみた。

Interview

バイクに乗るつもりもなく
教習所に通いはじめました

ー手嶋さんは社会人になってからバイクの免許を取ったんですよね。

手嶋●学生の頃はバイクに乗りたいなんて考えたことはありませんでした。それに、実はバイクの免許を取りに教習所に通いはじめたときも、バイクに乗るつもりはなかったんです。

ーというと?

手嶋●資格や免許を取るのが好きで「何かないかな~」と探して見つけたのがバイクの免許だっただけなんです(笑)。「面白そうな習い事、最後には免許ももらえる」そんな感覚でした。

ー女性がする習い事にしてはちょっとハードなのでは? バイクは重いでしょう?

手嶋●バイクの引き起こしは大変でしたが、走り出してしまえば重さも感じなくなりますし。楽しかったですよ、教習所は。バイクに乗るのが楽しくて、中型二輪を卒業して大型二輪にもチャレンジしたくなったくらいですから。

ーバイクの免許を取るのにそんな動機の人は初めて会いましたよ(笑)。じゃあ、免許を取ってもしばらくはバイクに乗らなかった?

手嶋●中型をとってすぐにYAMAHAのTWを手に入れました。通勤から日常の足まで快適にこなせ、公道を走る楽しさを教えてくれたバイクですね。TWはつい最近まで手放さなかったくらいお気に入りでした。でもフレームが逝ってしまって処分しなければダメだったんですよね…。

ー最初のハーレーは2005年式XL883(以下、883)ですよね。なぜたくさんのメーカーがある中でハーレーを、しかも883を選んだのでしょうか。

手嶋●「大型=ハーレー」というイメージがあって、他のメーカーは思い浮かばなかったんです。職場の近くにハーレーディーラーがあって、お昼休みにハーレーを見にいくことができたのもハーレーを選んだ理由かもしれません。883に決めたのは小さくてカッコよく、自分の体に合っているかな、と思って。私は身長が150cmしかないので、バイクの大きさは結構重要だったんです。

ー初めて乗ったハーレーの印象は?

手嶋●最初は「重~い」と思いましたけれど、毎日通勤で乗っていると取り回しにもすぐ慣れ、怖いと思うことはなかったですね。通勤に、ツーリングに、と毎日乗っていたら半年で1万kmも走ってしまうくらい、どこへ行くにも883で出かけていました。「このペースで乗っていたら883がすぐにダメになってしまう」と通勤はTWに変えましたけれどね(笑)。

ー883に乗り始めて半年後に、ダイナファミリーのFXDに乗り換えていますが、なぜ?

手嶋●883も気に入っていたんですが、慣れてくると「もう少し大きなモデルにも乗れるかも」と思い始めたんですよ。車体の大きさや排気量に惹かれて…あとでスポーツスターの方が好みだったと気づくんですけれどね。

ーFXDはダイナの中ではかなり車高が高いモデルですよ。

手嶋●前後をかなりローダウンし、ベタベタにして乗っていました。それで足つきは良くなり、立ちゴケなんかもしたことはありませんでしたが、あの重さがキツくて。停まっているときの重さはかなり負担でしたね。883もしばらく手元に置いていたので、気軽に出かけたいときは883に乗ることもありました。

ジャッキだって持っています
少しずつ自分で触ってみたいかな

ーそれからしばらくして、3台目のハーレー「1975年式XLH1000(以下、アイアン)」を増車した、と。3年の間に3台、乗り換えすぎですよ(笑)。よほど好きなんですね。

手嶋●さすがに883は処分しましたよ。本当に調子がよかったので883には可哀想なことをしましたけれど…。実家暮らしなので置く場所には困らなかったですし、883とFXDに乗っている間に自分の好みが見えてきて、そうしたらやっぱり乗りたいじゃないですか。

ーなぜアイアンだったのでしょう? 旧車が好みならショベルヘッドのビックツインもありますよね。

手嶋●FXDに乗って、スポーツスターのエンジンの良さに気づいたんです。確かにパワーはビックツインに劣りますけれど、タペット音って言うんですか、あのガシャガシャしたエンジン音が生き物みたいで魅力的に思えたんです。現行のスポーツスターとビックツインでも同じようなエンジン音の違いはありましたけれど、アイアンのガシャガシャ音は今のモデルとは段違いにうるさい。マフラーの音が聞こえないくらいです(笑)。

ーただの女の子のハーレー乗りじゃないですね。今はアイアンのカスタムが盛んなのにノーマルで乗っていますし。相当マニアックな好みですよ。

手嶋●私も最初はフルカスタムで乗ろうと思っていたんです。エンジン音を聞いて、初めて魅力を感じたのもカスタムされたアイアンでしたしね。アイアンが欲しいと思ってから、雑誌を見たり、ショップを回ったり、どんなカスタムをしようかと相当悩みました。でも「これだ!」というイメージが固まらなくて困っていたときに、ノーマルのアイアンを見てみたら新鮮に見え、「これだ!」と思っちゃったんです(笑)。それからはずっとノーマル党です。

ー今のアイアンは外装の状態もいいですね。どこで見つけたのですか?

手嶋●ショップではなく、友人の伝で個人の方から手に入れたんです。前のオーナーもオリジナルを大切にしていた方で「このまま大事に乗ってくれるなら」と譲ってもらえました。カスタムをする楽しみもわかりますけれど、私はこのまま調子よく維持していく方に楽しさを感じるんです(笑)。

ー30年以上前のモデルですから、手に入れてからも手がかかったのでは?

手嶋●何かあったら心配だったので、日帰りを中心に走るようにしていますが、トラブルの回数はあまりありませんでした。大きなトラブルは、ツーリング中にポイントのガバナーが粉砕して点火がムチャクチャになってしまったことと、高速走行中にエンジンが焼きつきかけた2回だけです。

ーエンジンが焼きつきかけるなんて、経験してない人がほとんどですよ(笑)。

手嶋●高速走行中にエンジンから“ガラガラ…”と変な音が出てきたので、そのままショップに入院。今オーバーホール中なんですが、慣らしが終われば絶好調のアイアンになる…そう思うようにしています(笑)。

ーこれからの暑い季節に慣らしですが、油温に気をつけて乗ってくださいね。

手嶋●慣らしは大事にやりますけれど、アイアンはオイルタンクがシートの真下にあって、ふとももが熱いんですよね。身長が低いので、地面に足をつこうとすると、どうしてもオイルタンクに太ももが当たってしまう…それがアイアンのツライところです。

ー女性とアイアンの慣らしの話をするなんて…不思議な感覚ですねぇ。周りにそんな話ができる女性はいないでしょう?

手嶋●大学の同級生はみんな普通のOLですからね。仕事が終わったら飲みにいったり、買い物をしたりして、私だけ違う世界に足を踏み入れちゃってます。でも、バイクに乗り始めてから知り合った友達には、ハスクバーナやドカティに乗る女の子だっていますよ。そういう子たちとお互いのバイクの話で盛り上がったり、一緒に走りに行ったりして楽しんでいます。

ーハスクバーナやドカティ? 走るペースが違いませんか?

手嶋●ハーレー乗りの知り合いがあんまりいないんですよ(笑)。それに、みんなあまり飛ばしませんし、アイアンは旧車にしては結構速いんです。ペースなんかより心配なのはトラブルですね。トラブルが起こって、みんなとのツーリングをダメにしてしまわないか、心配です。だから、少々のトラブルなら自分で対処できるようになりたいんですよね。お世話になっているショップの人に教わりながら、少しずつ自分で触れるようになりたいです。

ーストイックな旧車乗りですね。じゃあ、家には工具も揃えているとか?

手嶋●ジャッキだってあります(笑)。いきなりアイアンを触るのは心配なので、最近手に入れたYAMAHA「SR」でメンテナンスの勉強中です。オイル交換から、ちょっとしたパーツ交換まで自分でやるようにしていますよ。もし何かあっても、アイアンほど修理代はかからないので、プラモデル感覚で部品をつけたり外したりして遊んでいます。もう少しSRで自信をつけたら、アイアンも少しずつ触ってみたいですね。

ー883→ダイナ→アイアンと、ハーレーにハマっていく泥沼コースを歩んでいますが、手嶋さんからはコテコテのハーレー乗りの雰囲気は感じませんね。

手嶋●あんまり「ハーレーに乗っているんだぞ!」という意識がないからでしょうか。革ジャンも革のブーツも持っていませんし、長袖を羽織るくらいで普段の格好で乗っちゃっていますから(笑)。周りのバイク仲間もハーレー以外のバイクに乗る人が多いですし…。ちょっと古いバイクが好きなだけの女の子かなぁ、私は。

プロフィール
手嶋 梨絵
28歳、都内在住の会社員。何となく大型二輪免許を取得したのを機にハーレーに出会う。883、FXDを経て、1975年式XLH1000を所有。一見、普通の女の子ながら、自宅には工具からジャッキまでを揃え、整備にも興味津々な日々を送っている。

Interviewer Column

手嶋さんへの取材はちょっと大変だった。気合を入れてハーレーに乗っている人ならば、少し話を振るだけで熱く語ってくれる。しかし、自然な感じでハーレーを楽しむ手嶋さんは「なぜ?」と話を振って悩んでしまう場面が多かった(笑)。自然な流れでバイクに出会い、ハーレーに乗り始め、気が付けばアイアンのオーナーになっていた。それが自分にとって自然な流れだったから、深く考える必要もなかったのだろう。こういう普通の女の子が「ポイントが…」や「エンジンが焼きついて…」と話すのを聞いていると不思議な気分になる。決してハーレーのことを知らないわけではない。むしろ下手なハーレー乗りより詳しいくらいだ。新しい世代のハーレー乗りが増えていることを実感する取材だった(ターミー)。

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