VIRGIN HARLEY | 鈴木 伸夫(OLD HARLEY RIDER) インタビュー

鈴木 伸夫(OLD HARLEY RIDER)

  • 掲載日/2009年06月24日【インタビュー】

ハーレーインタビューの画像

古き良き時代のアメリカと旧車を愛する
生粋のオールド・ハーレー乗り

神奈川県横浜市で歯科医を営む鈴木伸夫さんは、16歳で自動二輪免許を取得してからさまざまなバイクを乗り継いできた。ハーレーデビューは29歳とやや遅かったものの、一度その鼓動を味わってからはすっかりハーレーに魅せられ、現在1970年式のFLHエレクトラグライドという希少性の高い旧車との日々を楽しんでいる。「ハーレーの鼓動を本当に知るには、エボ以前のモデルに乗らないと」と語る鈴木さんに、独自のハーレー哲学を伺った。

Character

横浜市西区で「鈴木歯科医院」を営む歯科医で、現在1970年式FLHエレクトラグライドという旧車を友とする人物。横浜市内にある自宅が建つ大きな敷地は祖父の代から継いでいるもので、車2台とバイクが数台入るほどの大きなガレージが敷地の奥にある。古き良きアメリカの田舎にあるガレージをイメージした造りになっており、中にはアメ車やスポーツカーが納められている。根っからのマシン好きで、メンテナンスもほとんど自分でやってしまうほど。北海道や東北、さらにはアメリカまで走った経験を持つ御仁だが、「最近はもっぱらハーレー仲間数人と近所を走るだけだよ」と嘆く。

鈴木伸夫 / Nobuo Suzuki

  • 歯科医
  • 生年月日/1956年4月1日生まれ
  • 出身地/神奈川県
  • 所有ハーレー/1970年式 FLHエレクトラグライド

Owner’s Harley – Davidson

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1970年式 FLHエレクトラグライド

1998年に購入したショベルヘッド・エンジン搭載の旧車。ちょうどハーレー本社がAMF傘下に加わった時代のモデルで、ちょうどこの年からイグニッションコイルが装着されるなど、ハーレーの歴史における節目に立ち会った1台だと言える。「エボ以前のモデルこそ、ハーレーの鼓動をよりよく体感するエンジンだと思いますよ」と鈴木さんは断言する。外装は最低限の部分だけ変更しているだけで、基本的に往時の姿を忠実に再現。車体全体からノスタルジックな雰囲気が漂うところに大きな魅力を感じる。当然のことながら旧車ゆえに細やかなメンテナンスを施さねばならず、エンジンチューニング等におよんだ際は懇意のカスタムショップ「Vee Machine」に依頼しているのだそう。購入から10年が経つが、現在大きな不具合などはなく、快調に走り続けてくれている。

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【左】グリップやミラーは変わっているものの、配線などはハンドルバー内に納めて往時の雰囲気を生かしている 【右】ドラムブレーキ着用のフロントタイヤ。これも生産当時のパーツのまま
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【左】従来のシートだとかなりビッグサイズなため、座りやすさを優先したシンプルなシートに変更 【右】エレクトラグライドの象徴ともいえるフィッシュテールマフラーが存在感を際立たせている

Interview

ハーレーライフの礎となったのは
デニス・ホッパーのスタイル

ーかなりお若い頃から、バイクやクルマを趣味とされていたそうですね。

鈴木 ●そうですね、バイクの免許を取得したのが16歳の頃で、最初に乗ったのはホンダのダックス70という小型の原付でした。それからホンダCB250、ヤマハXS650と乗り換えていきました。バイクが楽しくて仕方がなかった時期ですね。

ーそれからずっとバイク中心の生活になったのですか。

鈴木 ●いえ、そうでもないんです(笑)。18歳になってから、今度はクルマに興味が移っちゃいまして。というのも、父親の趣味がクルマでして、小さい頃には父親にせがんで自分が好きなクルマに乗り換えてもらったりしました。当時からアメ車が好きで、父親も好みが同じだったので、クルマ中心の幼少時代を過ごしました。その影響から、自分も「アメ車に乗りたい!」と思うようになり、自動車免許が取得できる18歳を機に、クルマに移行しました。

ー(アメ車などが停まるガレージを見回し)確かに、今でもクルマを楽しんでらっしゃるのが分かります(笑)。

鈴木 ● こうした趣味は、昔から変わらないんですよね。バイクもクルマもどっちも好きで、間違いなく父親の血を引いているんだな、と感じます(笑)。

ーそれから、バイクには乗らなくなったんですか。

鈴木 ●22~23歳頃かな、またバイクに乗るようになりました。その大きな理由は、クルマ仲間だった友人が突然モトグッツィのルマン1000に乗り出したからなんです。見た瞬間に「カッコいいな」と思い、自分もスポーティなバイクに乗りたくなっちゃって。それでカワサキのニンジャGPZ900を購入しました。それからは、近所のバイク仲間を峠へ走りに行く毎日でしたね。

ーレーサーレプリカ全盛期の頃でしょうか。

鈴木 ●そうです。とにかく速く走りたかった。当然ながら転んだこともあるんですが、そうやって仲間と競い合った時代でした。とてもここではお話しできない高速走行を楽しんだりしましたよ。懐かしいなぁ(笑)。

ーハーレーへと興味が移り出したのは、いつ頃だったのでしょう。

鈴木 ●29歳のときですね、結構遅咲きでしょう? 横浜のマルトミオートで買ったFXSTソフテイル・スタンダードが最初です。

ーどうしてまたその歳でハーレーに乗り換えようと思ったんですか。

鈴木 ●元々ハーレーは好みじゃありませんでした。だって、GPZ900でかっ飛ばしていた人間にとっては、ハーレーというモーターサイクルはめちゃくちゃ遅かったから。でも、ある日同じように走っていたバイク仲間が事故に遭いましてね。それで自分が乗っているバイクの怖さが分かって、それで「ゆっくり走れるバイクにしよう」と思い、ハーレーに乗り換えることにしたんです。

ーソフテイル・スタンダードを選んだ決め手は何だったのでしょう。

鈴木 ●バイク映画の名作『イージー・ライダー』でデニス・ホッパーが乗っていたチョッパー・スタイルに近かったからです。あの映画が公開されたとき、僕は中学1年生で、アウトローなアメリカ人がカッコよくバイクに乗ってアメリカを疾走するシーンは、たまらなく魅力的でした。そのスタイルに憧れて、5度も映画館に足を運んだのを覚えています。今でもDVDで見ることがありますよ。

ーピーター・フォンダではなく、デニス・ホッパーがお気に入りだったんですね。

鈴木 ●大抵の人はピーター・フォンダに惹かれますよね。確かにあのスタイルはカッコいいと思います。でもそれ以上に、デニス・ホッパーの方が僕にとって魅力的でした。今改めてあの名作を見ても、カッコいいな、と思いますね。

鼓動こそハーレーのアイデンティティ
だからこそオールド・ハーレーに乗る

ーそこからずっとハーレーですか。

鈴木 ●これがまた違うんですよ(笑)。ハーレーとクルマの両方を楽しんでいたんですが、“喉元過ぎれば…”というヤツで、また速いバイクに乗りたくなってしまって。それでBMWの1991年式K100RSやホンダCB750Fに乗るようになりました。特にCB750Fはかなり楽しくて、8年ぐらい乗っていましたね。K100RSは今でも車庫にあります。

ー(車庫にあるK100RSを見て)オレンジベースのフレイム塗装がされているんですね。ご自身のオリジナルでしょうか。

鈴木 ●そうです。自分の好みに合わせてみたんですが、乗らなくなったので査定に出したんですよ。そうしたら、某バイク買い取り業者に「旧車は本来の姿をとどめている方が価値がある」と言われて。そこで恐ろしく低い価格を提示されたので、結局売らなかったんです。誰か20万円ぐらいで買い取ってくれないかなぁ。

ーウチのBMW担当者に聞いてみます(笑)。今回愛車としてピックアップしたエレクトラグライドですが、この1台を選ばれた理由はなんだったのでしょう。

鈴木 ●娘2人がアメリカに留学していまして、それでアメリカまで会いに行ったときに、広大な大地を走り抜けるハーレー乗りの姿に心を奪われたんです。本当にカッコよかった。それで再びハーレーに乗ろうと思い、帰国してからすぐに自分に合うハーレーを探しに行きました。

ーこの車両を見つけられたのは、どちらだったんですか。

鈴木 ●東京・世田谷にあるライトスポーツというショップです。ここはハーレーやトライアンフなどを扱っていて、旧車のT120ボンネビルなんかも置いてありました。そこでちょうどエレクトラグライドを扱っていて、スタイルはもちろん、体感した鼓動が気に入って購入しました。

ーやはり鼓動が一番だったんですね。

鈴木 ●そうです。いろいろ乗り比べて分かったんですが、もっともハーレーらしい鼓動が味わえるのは、エボ以前のモデルまでかな。決して現行モデルを否定するわけではないのですが、ハーレー・ダビッドソンというモーターサイクルのアイデンティティは、鼓動を置いて他にないと思うのです。

ー確かに、旧車を扱うショップの方々も同じようなことをおっしゃられますね。

鈴木 ●エボだけでなく、ショベル、パンヘッド、ナックルヘッドなど、何十年も前のエンジンが、今でも現役でドコドコ動けるというのはすごいことだと思います。国産バイクでは考えられない。アメリカならではの頑丈さでしょうかね。

ー旧車と聞くと、やはりメンテナンスといった日ごろのケアが重要になるかと思いますが。

鈴木 ●メンテナンスは、できる限り自分でやるようにしています。壊れない旧車はないですからね、そこを受け入れた上で付き合う器量が必要だと思います。とはいえ、このエレクトラグライドにはかれこれ10年ぐらい乗っていますが、全然トラブルは起きていないですよ。数年前、いつも面倒を見てもらっているVee Machineというショップでエンジンをオーバーホールしたのですが、「まだまだ現役で走れますよ」と太鼓判をいただきました。

ー当然ながら、ツーリングの友でもあるんですよね。

鈴木 ●日本全国だと九州以外はすべて走って回りました。そのときもトラブルひとつなかったですね。たぶん僕との相性がいいのでしょう。

ーアメリカ・ツーリングも体験されたとか。

鈴木 ●ええ、数年前に。もちろんコイツではないですよ(笑)。やっぱりデニス・ホッパーのイメージを体験したくて。素晴らしい体験でした、また行きたいと思っています。

ーまたロングツーリングの計画などはあるのですか。

鈴木 ●今は全然ないですね。それどころか、1泊ツーリングもほとんどやっていません。最近はもっぱら仲間と一緒に近所を軽く走るぐらい。でも、気軽に楽しむモーニングクルーズやナイトランがいいんですよ。アメリカ流のハーレーライフの楽しみ方でもあります。

ー日本のそれとは、違うのですか。

鈴木 ●チームで走りに行くこと自体に変わりはないんですが、彼らはとてもマナーが良く、その場を乱す輩には厳しく接しています。バイクは自分たちで楽しむためのもので、「他人に迷惑を及ぼすような行為をしたら、自分たちも楽しめない」ということを彼らは知っています。だから大人としての暗黙のルールをきちんと持っているのです。日本はそうしたところがちょっと未熟だから、僕らバイク乗りがきちんとマナーを守れば、周囲の理解を得られるんじゃないでしょうか。

ー確かにおっしゃるとおりですね。鈴木さんのようなハーレー乗りが多くなれば、日本のバイク事情も変わるのかもしれませんね。

鈴木 ●そう言っていただけると嬉しいですね。

Interviewer Column

「旧車好きで、現行モデルはそれほど……」という鈴木さん情報から、2008年式スポーツスターに乗る僕は、この取材に際して若干オヨビ腰だった。しかし実際にお会いした鈴木さんは物腰が柔らかく、僕のスポーツスターに対しても「いいバイクだね、現行モデルもなかなかだな」と興味を示してくれた。それ以上に収穫だったのは、旧車に対する負のイメージを取り除いてくれたことだ。「故障なく安心して乗りたい」という人には、現行モデルをオススメしたい。しかしそれ以上にスタイルや雰囲気を楽しみたい、憧れのハーレー観を共有したいという人には、ぜひ一度旧車を試してみてほしい。いいじゃないか、何かあったって、ハーレーが好きならば。

文・写真/VIRGIN HARLEY.com 編集部 田中宏亮

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