倉上 裕(1984 FXB Sturgis)
- 掲載日/2015年04月15日【インタビュー】
- 文・写真/モリヤン 取材協力/マイパフォーマンス
本記事は VIRGIN HARLEY vol.29 にて掲載されたものです
貴重なショベルのハーレーだけど
自分にとっては新車のような存在です
1980年にデビューしたスタージス。ローライダーの大ヒットを受けてそのスペシャルなイメージをさらに引き上げた記念すべきモデルは、現在も延々と続くバイクラリーで有名なサウスダコダ州の街の名前を付けられていた。
オーナーの倉上さんは、このスタージスが自身2台目となるハーレーだ。いや厳密に言うと、最初のバイクはハーレーエンジンを使用したスペシャルモデルであるロードホッパーだったという。
「最初のバイクは大学時代に乗っていたスティードです。その後は国産のスポーツバイクやスクーターにも乗りましたが、しばらくバイクから離れていたことがあって、当時バイトの先輩がハーレーのリジッドチョッパーに乗っていたこともあって、バイク熱が再燃しました。それで免許も取得して、乗ろうと思ったのがロードホッパーだったんですよ」
しかしたったの2000キロほど走った時点で手放してしまう。その理由は、クラシカルな外観と、インジェクションエンジンの手軽さがミスマッチと感じたからだった。
「よく出来ていて素晴らしいのに、何だか不満がある。なぜなんだろうと考えながら、もしかしたら、自分の求めている乗り味やフィーリングは旧車にあるのではないだろうかと思ったんですよ。でも知識がないから故障ばかりされても困る。そんな悩みの中で出会ったのがこのスタージスだったんです」
インターネット検索で見つけ出したスタージス。ショベルの最後期モデルであり、現在、オリジナルの状態で程度の良い個体は少ないと言われている。それならば、とにかく見てみようとショップを訪れることにしたのだ。
横浜にあるマイパフォーマンスは、エボリューション以前のハーレーだけを扱う専門店だ。そこにあったスタージスは、まるで当時からタイムスリップして目の前に現れたのでなかろうかと錯覚するほど程度が良く、倉上さんはほとんど一目惚れの状態だったという。
「見に行くだけのつもりだったけど、実はポケットに印鑑を忍ばせていました。そしてロードホッパーの下取り値が想像以上だったこともあって、その場で購入を決めたんです」
出会いは3月、そして納車は今年の5月と、整備にほぼ2ヶ月を費やして徹底的に仕上げられたスタージスに倉上さんはいよいよ乗り出した。ショベルエンジンの旧車とはいえ、セルモータースタートだし、乗り心地も優しいサスセッティングのハーレーは、倉上さんが求めていたイメージそのものだった。
「彼女とタンデムするのも、ロードホッパーでは若干厳しかったんですが、スタージスは快適です。のんびり走っても楽しいし、少し飛ばしても気持ちいい。ノーマルのプルバックハンドルバーが、実にいいですよ。たぶんこのままスタイルを変えずにずっと乗り続けると思います」
撮影のためにショップからほど近い横浜ニュータウンの幹線道路を流してもらった。調子の良さそうなショベルエンジンはメカノイズも少なく、柔らかい加速をしながらクルージングスピードに達する。倉上さんのライディングは、タンデムの彼女を気遣うスムーズなイメージで、バイクにも優しい。そしてそのスタージスに跨る二人の表情は、満面の笑顔に幸せが溢れていた。

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