VIRGIN HARLEY |  河北 啓二(HOT-DOCK)インタビュー

河北 啓二(HOT-DOCK)

  • 掲載日/ 2004年08月02日【インタビュー】

ハーレーインタビューの画像

オリジナルエンジンさえ造る
脅威のカスタムショップ「ホットドック」

ハーレーにこだわり、他にはない数多くのオリジナルパーツをリリースしてきた「ホットドック」。秀逸なパーツをリリースするショップとして有名な同店。昨今発表された、オリジナルエンジンの「ラジアル4バルブエンジン」で驚かれた読者の方々もいらっしゃるかもしれない。カスタムショップがオリジナルエンジンまで作り上げるとは尋常ではない。そんな「ホットドック」の河北啓二さんへインタビューできるとあって、私は当日、非常に緊張していた。が、約束の時間に河北さんはカゴ付の自転車に乗ってやってきた。「こんにちは!」と満面の笑みで声をかけられた時、つい顔がほころんでしまった。フレンドリーな彼の物腰は、ハーレーの代表的なショップとは思えない。おかげで私もリラックスしてインタビューできたと思う。

Interview

カスタムはだいたい自分でやってた
その経験が少なからず今、役立っているんだよね

ーはじめて買ったハーレーは何だったのですか?

河北●1980年に買った79年式のショベルローライダーだね。当時は中古車なんて玉数が全然なかったから、もちろん新車。1ヶ月くらいはノーマルで乗っていたんだけど、やっぱりカスタムしたくなってさ。でもハーレーを買うためにお金を全部使っちゃってたんだね。パーツはほとんど見るだけ、結局自分でカスタムしてたね。

ー自分でカスタムですか。さすがに若い頃から技術をお持ちだったんですね。

河北●当時、車の板金の仕事をしていたからね。マフラーをぶった切ったり、フェンダーを加工したり、自分で何でもやってたなぁ。当時はパーツの種類がすごく少なかったからみんなそうやってカスタムしていたよ。そのときの経験が自分のお店をオープンしたときに少なからず役に立ったね。

ーご自分でカスタムされることを突き詰めていって1984年に「ホットドック」をオープンしたわけですが、オリジナルパーツはいつ頃から造られていたのでしょう。

河北●お店を始めてすぐに造ってたよ。1985年の「東京モータサイクルショー」に、オリジナルホイールやマフラーを出品していたからね。本当にパーツが充実してきたのは「バトルオブツイン」というレースに参戦してからだね。「こんなパーツがあったらなぁ」ってものを造ってたら、自然とオリジナルパーツが増えていったわけ。

あとレースには、パーツが充実する意外にもメリットもあったんだ。たとえば、スタッフ育成。レース用車両を組んで、走るのはいい勉強になるんだ。レースってちょっとしたミスでリタイヤにつながってしまうでしょ。「ミスは許されない」ことを学んでもらうのにはいい機会なんだ。そういう抜き差しならないところで、真剣に作業する経験はメカニックに必要不可欠だからね。

クールブレーカーは今もビジネスショーじゃない
ショップのみんなが技術と個性を競う場所なんだ

ーホットドックさんは「クールブレーカー(毎年横浜で開催される日本最大のカスタムハーレーショー)」を主催されていますが、始まったきっかけは何だったのでしょうか?

河北●最初に音頭をとったのは「モーターサイクルデン」の佐藤由紀夫さんだよ。昔は自分たちのカスタムバイクを展示できるところって「東京モーターサイクルショー」しかなかったんだよね。でも、あそこはハーレーだけのショーじゃないし、ビールも飲めないし、制約が多すぎてね。何か違うよねってみんな思っていたんだよ。

だから、ハーレー乗りだけが集まるショーができないかな、って仲間のショップと話し合って由紀夫さん主導でモーターサイクルショーを準備してたんだ。でも準備中に由紀夫さんが事故で亡くなってしまってね。一時はその話がなくなりそうになったんだけど、由紀夫さんのお葬式のときに由紀夫さんの奥さんから「遺志を継いでくれないか」っていう話をされてね。「俺たちでやろう」っていうことで、もう一度準備をして室内展示での第1回のカスタムショー「ハーベストタイム」が始まったんだよ。

ー「ハーベストタイム」はキャンプミーティングだと思ってました。カスタムショーがあったのは初耳ですね。

河北●最初はあったんだよ。でも回を重ねるごとにキャンプの規模が大きくなってしまってね。バイクを展示する場所がなくなっちゃったんだよ(笑)。まぁ僕らもキャンプが面白くってハマッちゃったっていうのもあるんだけどね。バイクを展示してもね、みんな朝から晩まで飲んだくれてバイクを見てないのよ(笑)。だから3回目くらいからはもうカスタムショーっていう感じではなくなっちゃたんだ。でもね。でもね。もともと僕達は、気兼ねなく展示できる場が欲しい、カスタムショーがしたいって思っていたんだ。「じゃあ、原点に戻ろうぜ」って話になって『パシフィコ横浜』での「クールブレーカー」が始まったんだ。

ーなるほど「クールブレーカー」は「ハーベストタイム」の流れを受け継いでいるんですね。

河北●刺激というか、自分の頭の中にある来年のコンセプトのバイクがないか探しちゃうよね。探してみて、なければ「よし、来年はこれでみんなをびっくりさせてやるぞ」ってね。それが楽しくて「クールブレーカー」をやっているんだよ。あと、もうひとついいことがあるね。カスタム車両が一同に会して集まると「ヤベェな」って思うわけ。みんな「絶対これで勝てる」って思って持ってくるんだけどね(笑)。スゴイカスタムバイクがいっぱいあるから、そりゃみんな焦るよね。他のビルダーのバイクを見て、自分のカスタムバイクと比べる事で、いい刺激になるんだよ。

ー焦る。それって大切なんでしょうね。技術を競うというか。

河北●僕たちビルダーは常に何かを造りたいって思ってんの。でも、作って自分のだけ見て「いい出来だ」じゃ、つまんないじゃない。いいものを作るにはやっぱり「負けたくない」っていう思いや、他人が作ったものでクリエイティブな刺激が必要なわけ。その刺激を糧にみんな心底作りたいモノ、よりレベルの高いモノを造る、それがビルダー。そして、クールブレーカーに出展している人はみんなビルダーなんだ。

ーなるほど。そういうお話を聞くと、いかに「クールブレーカー」がハーレー、ひいてはカスタムに貢献しているか。痛感します。

河北●僕もそう思うよ。それも、デンの由紀夫さんの存在の大きさがあったからだろうね。彼の音頭ではじまった遺志。僕はそれを絶やさないように育てていきたいんだよ。

ーハーレーのカスタムシーンでは「モーターサイクルデンの佐藤由紀夫さん」はそれくらいに大きな存在なんですね。私も是非お会いしてみたかったです。

河北●メチャクチャ大きいよ。僕みたいに由紀夫さんと接したことがある人が、今はたくさんショップを開いているし、そのショップ来たお客さんがまた新しいショップを開いたりしている。日本のハーレー業界のかなりの部分に由紀夫さんの影響があるんじゃないかな。そういう意味で由起夫さんは大きな、大きな存在だよね。

プロフィール
河北 啓二
49歳。「HOT-DOCK」オーナー。彼が創造する斬新的なカスタムは素人でも目を惹かれる。また、ルックスを闇雲に形作るだけではなく、機能面をスポイルしない合理的なカスタムは、多くのメディアからも注目されている。また、彼は、日本最大級のカスタムショー「クールブレーカー」の主催者でもある。

Interviewer Column

実際に伺ってみて、決して「ホットドック」の敷居は、高くはないと感じた。オイル交換をお願いするお客さんが来店すれば、陽気に話す河北さんがそこにはいる。メディアでは、河北さんの個性ばかりクローズアップされるが、それはあくまでひとつの側面。「ホットドック」は、ハーレーを愛する街のカスタムショップなのだ。(ターミー)

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