VIRGIN HARLEY | 小高 震(ハーレーダビッドソン昭和の森) インタビュー

小高 震(ハーレーダビッドソン昭和の森)

  • 掲載日/2008年03月26日【インタビュー】

ハーレーインタビューの画像

ドラッグレースに出場する
H-D昭和の森の元気印リーダー

MFJドラッグレースA級ライセンスを持ち、JD-STERドラッグレースなどにハーレーダビッドソン昭和の森からエントリーしている小高震さん。マシンはVRSCA/V-Rodをベースにドラッグレース専用マシンとしてモディファイされたVRXSEデストロイヤー。1/4マイル(約400m)をわずか10秒で走りきってしまう驚愕の世界は、小高さんを魅了してやまないスリルと興奮、そして難しさと奥深さがある。小高さんはロードレースを経て、ハーレーに行き着いた。「別にハーレーじゃなくてもいい」と言うものの、現時点ではハーレーがもっとも所有する悦びがあるという。ドラッグレースの楽しさ、そしてハーレーの魅力について、これまでのバイクライフを振り返りながら話していただいた。

Interview

最初は単純なスポーツなのかと…
やってみると難しくて奥深かった

ーいつからドラッグレースにハマるようになったのでしょうか?

小高●22歳の頃ですね。かれこれ17年前です。知り合いに富士スピードウェイに連れて行ってもらって、一目見てその迫力にやられました。「自分でもやりたい」と思い、スズキ「RG250Γ」やヤマハ「RZ350」、スズキ「GSX-R1000」などでドラッグレースをやるようになりました。最初は単純なスポーツだと思っていたんですが、いざやってみると難しくて奥が深い。アメリカまでAMAプロスターやNHRA・PSBなんかも観に行っちゃいましたよ。すっかりのめり込んでいます。(笑)

ー1997年にはMFJストックバイク エキスパートクラスクラスで年間ランキング3位にもなったそうですが、もともとレースはやっていたんですか?

小高●高校を卒業してすぐに筑波のサーキットライセンスを取りましたから、レースは18歳からやっていましたね。ホンダの市販ロードレーサーRS125のフレームにヤマハのモトクロッサーYZ80のシングルエンジンを載せて、筑波のS80に2年間ほど参戦しました。予選が6~7組あった頃で、ボクはぜんぜんダメでした。中華屋さんでアルバイトして、レース費用を稼いでは全部レースに注ぎ込んでいました。その頃のボクは専門学校に行っていたんですけど、アルバイトに明け暮れていましたよ(笑)。

ーオートバイとの付き合いは完全に競技だけというか、レース一筋だったんでしょうか。

小高●オートバイに興味を持ったキッカケはバイクレースを描いた漫画の「ふたり鷹」でしたからね。サーキットで勝つか負けるかみたいな世界に惹かれました。ちょうど“三ナイ運動”の頃で、バイクの免許を取るのは学校で禁止されていたんです。でも、隠れて取ってカワサキの「KR250」で奥多摩の峠を走っていました。いつも転んでいましたよ。同世代なら知っている人も多いかと思いますが、ヒザに缶をつけてレーサーのまねごとをしていたんです。ちょうど「バリバリマシン」が創刊された頃ですよ…懐かしいですよね。

ーハーレーとは無縁な青春期ですね。

小高●ボクは2ストが好きでしてね。20歳の頃にヤマハ「DT200R」、22歳の時にはヤマハ「RZV500R」が愛車でした。DTでは桶川(セーフティパーク桶川)や利根川の河川敷を走り、エンデューロレースにも出ました。ちょうどJ.マクグラスが全盛期の頃ですね。神宮のジャパンスーパークロスも観に行きましたよ。RZVは一発試験を受けて限定解除。大型二輪免許を取ったらリッタークラスに乗れるのに、わざわざ500ccの2ストですから相当好きだったんでしょうね。瞬発力とかエキゾーストノート、軽い車体とか、今でも2ストは大好きです。ハーレーに関しては、20歳の頃にFLHに乗せてもらったことがあるんですが、なんだかトラクターみたいに感じちゃって…。その頃はまだまだハーレーの良さは解りませんでした。でも、30代になると友達がXR1000を買いましてね。それは凄いと思いました。乗りにくいけどカッコイイし、ハーレーって、こういうのもあるんだって目から鱗が落ちました。それからスポーツスター883Rを買ったんです。あれは6年前だから、33歳の頃ですね。

ーハーレーに乗るようになったのは最近なんですね。

小高●そうですね。今はたまたまハーレーのお店で働いていますが、ボクはハーレーじゃなくちゃダメってわけじゃないんですよ。ドラッグレーサーもそうですが、機能美が好きなんです。「なんじゃ、コリャ!? なんでこんなカッコしてるの?」ってぐらいいびつなスタイルで、でもそれには理由があるみたいな。そういうのに惹かれるんですよ。ドラッグレーサーのロー&ロング・スタイルとか太いタイヤ、ゼンゼン切れないハンドルとか、何かに突出しているものに魅力を感じるんですね。ドラッグレーサーと同じように、2ストの過激なモデルとかXR1000、883Rなんかは同じような臭いを感じるんです。

ー昨年の「三宅島モーターサイクルフェスティバル」のときは、三宅島空港の滑走路で行われたドラッグレースでエキジビションとしてデストロイヤーを走らせていらっしゃいましたね。そのときはメカニックとしても活躍されましたが、イジるのもお好きなんですか。

小高●両方好きですよ。18歳の頃はF1のメカニックになりたいなんて真剣に考えていましたからね。自動車関係の専門学校に進んで、ロードレースに夢中になって卒業し、それからは某外車大手ディーラーでメカニックをしていたんです。2001年にはメカニックの全国大会に出場するなど、四輪のメカニックも楽しかったですよ。2000年にはファニーカー(※1)のメカニックもやりましたけど、あれはキツかったですね。ファニーカーの場合、メカニックは各パートごとに担当を分けてマシンの面倒を見るんですが、ボクはミッションの担当で1ヒートごとにバラバラにしては組み直すんですよ。もうすぐ40(歳)になる今のボクには絶対に無理です。ハードだし熱いし、あの頃の若さがないと絶対に持ちませんね。(笑)

※1 車のドラッグレースカテゴリ。走行する車両のパワーは市販車の比ではない。
ーオートバイに移ってきたのはどうしてなんですか。

小高●スポーツスター883Rが出て、ハーレーを買った時に、オートバイの世界もやっぱりいいなって。それで某H-Dディーラーへ入ったんです。ボクは物事を決めるのに躊躇しないっていうか、すぐに何でも決めちゃうんですよ。あの頃は2002年だから結婚もして子供も2人いましたからね、妻は「なんで急に?」って反対しましたよ。でもハーレーが面白いって思っちゃったんですよね。

“持つ歓び”それを満たしてくれるのは
ハーレーダビッドソンが一番

ー四輪のメカニックとして、そこまで成功していたのに……。ハーレーってそれほど面白かったんですか?

小高●ハーレー熱が上がっちゃったんですよ。すごく良くできているモノってボクはダメなんです。ツッコミどころ満載の方が楽しめる。そういう意味ではハーレーは面白いですよ。趣味のものは、製品だけじゃなくその世界観を買うんだと思うんですよね。“持つ歓び”それを満たしてくれるのは、ボクの中ではハーレーダビッドソンが現時点では一番です。

ー乗るだけじゃなく、メカニックとして見てもハーレーは魅力があるんですね。

小高●ドラッグレースにハマっているのも、メカニックがとても重要だからなんです。もちろん、ロードレースやモトクロスもメカニックが大切なんですが、ドラッグレースは特にウエイトを占める割合が大きくなります。もちろん、乗る方もすごく難しくて一歩間違えると大事故になります。ボクも2006年の仙台ハイランドで、ゴール後にギャップにハマって吹っ飛びました。デストロイヤーはかなりダメージを受けたんですが、ボクは足の突き指で済んじゃったんですけどね。(笑)

ー1対1の勝負ですから、相手との駆け引きとかも面白そうですね。

小高●そうなんです。昔からスポーツとか武道が好きで、小中学生のときは野球でキャッチャー。大人になってからは合気道をやっています。心・技・体、すべてがなければ勝てないところは、ドラッグレースも武道とよく似ています。毎日木刀を500回素振りして、手にはマメが絶えませんよ。(笑)

ー格闘技やスポーツって、精神的な部分がものすごく重要ですものね。

小高●ドラッグレースのスタートなんて凄く怖いですからね。7000rpmまで回して、そこから一気にクラッチレバーをズバっと離しますから、バイクがどこに跳んで行くか分からないんです。でも、抑え込もうとしたらダメなんですよ。真っ直ぐ走るのをバイクに任せて、人間はどれだけ邪魔しないかなんです。怖がってジタバタすると失敗する、それは合気道と同じですよ。

ーいろいろと趣味があるんですね。

小高●子供の頃から読書が好きで、いろんな本を読みました。漫画にもすぐに影響されたように、大人になってからは歴史小説にハマりました。吉川英治の「私本太平記」にはすごく影響を受けましたね。今は電車通勤なので好きな本をじっくりと読む時間があるんですよ。以前はカブ90で通勤していたんですけれどね。あれは世界一のオートバイですよ。本田宗一郎の本を読んで欲しくなったんです。「ネジの締め方が上手くなるんじゃない。人の心を治すのがメカニック」と書いてありました。その言葉を胸にしまって、お客さんと接するように心がけています。

プロフィール
小高 震
39歳、埼玉県出身。東京都昭島市にある「ハーレーダビッドソン昭和の森」サービスグループリーダー。V-RODのドラッグレーサー「デストロイヤー」でドラッグレースに出場し、ライダーそしてメカニックとして大活躍。MFJドラッグレースA級ライセンスを持つ。

Interviewer Column

10年以上、合気道をやっているという小高さん。その魅力はなんですか? と問うと「ボクはMなんです」とケラケラ笑う。そんなジョークを跳ばしつつも、武道の“心・技・体”の重要さ、そして“陰と陽”の関係を話してくれた。古武道の教えでは、パンチを出すときの意識は拳を出す前方ではなく、後ろに意識を持って行くのだそうだ。合気道では相手に技をかけようとしてはかからない。自分が引くことで相手が出てきて、そこを仕留めるのだという。すべては“陰と陽”の関係で成り立っている。普段、そんなことを考えたこともないが、なるほど納得させられてしまう。いつも笑顔を絶やさない小高さん。その笑顔の奥には、確固たる強さを秘めていた。また、日本の古武道や歴史の話を教えていただきたい。(青木タカオ)

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