VIRGIN HARLEY |  オーバーヒートに注意。オイルクーラーの役割とはハーレービギナーズスクール

オーバーヒートに注意。オイルクーラーの役割とは

  • 掲載日/ 2005年07月28日【ハーレービギナーズスクール】
  • 執筆/ウインドジャマー 牧之瀬 保

オイルクーラーの画像

オイルクーラーの有無で
歴然の違いがでるのです

ハーレーダビッドソンは(V-ROD以外)空冷です。走行することにより、空気がエンジンにあたり、熱を放熱させてエンジンを冷やします。しかし、街中の渋滞ではSTOP and GOの繰り返しで、エンジンはなかなか冷えず加熱し、オイル温度も上昇します。特に新車は、初めての夏だとかなり加熱します。ある程度の速度で走ることができれば、その問題は一気に解決します。しかし、都市部の夏だとなかなかそうはいきません。オイルクーラーも走ることによって空気で冷やす構造ですが、一度外部にオイルを回すため、かなりの放熱効果があります。少しでも走れば、オイルクーラーのついてない車両とは歴然の違いがあるのです。

以前、オイル編でも書きましたが、HDは空冷であり油冷でもあります。オイル温度を下げることで、オーバーヒートになる時間を少しでも先にのばせます。そしてエンジン性能を最大限に発揮させられます。日曜日の晴れた夏の日の朝にTC88のソフテイルに乗っていらっしゃる方が、我々の店の前で集合し、ツーリングに出かけたことがありました。池袋から渋滞の山手通りを走って中央高速に乗り、最初のSAで休憩をしたときにオイル温度計を見て「自分の油温は250゜F、友人の油音は200゜Fになっている。どこか悪いんでしょうか。」と電話をいただいたことがありました。その答えはおわかりの通り、友人のHDにはオイルクーラーがついていたというオチですが、オイルクーラーの有無でこのくらいの差がでます(もちろん車両の個体差はあります。走行距離で30,000km走っているHDと、800kmしか走っていないHDは同じ条件とは言えません)。ツーリングでも街中の走りでも、オイルクーラーでずいぶん違ってきます。

オイルクーラーは
大きければいい…ことはない

「オイルクーラーは大きいほうが効果があるのでは?」という質問も時々いただきます。確かにオイルクーラーとしては大きい方が効果はあります。しかし、純正のオイルクーラーのサイズはあまり大きくありません。それはオイルポンプの噴出量とのバランスからです。オイルクーラーはオイルラインの延長線上と考えられているため、サイズが小さくなっているのです。オイルポンプによって押し出されたオイルは、エンジンの中をかけめぐり、いろいろなところを潤滑してクランク下に集められ、またオイルポンプによってオイルタンクへ送られます。注射器のポンプに管をつけ、送り出すのをイメージしてください。その管の中間にとても大きな容器(オイルクーラー)を取り付けてしまうと、そこをいっぱいに満たさないと、次に送ることができません。容器でなく管と同じようなサイズなら、送り出すのになんの障害もありません。このことと、オイルポンプの噴出量のバランスから純正のオイルクーラーのサイズが決まっているのです。

ショベルヘッドの時代、ローライダーだけはオイルクーラー標準装備されていました。今はV-RODが標準装備されています。最初の77年ローライダーに、ウイリーG氏がオイルクーラーを標準にしたのは、イメージはストリートドラッグレーサーだったのでしょうか? とても興味があります。

その当時の純正のオイルクーラーはロックハート社製でした。オイルクーラーも進化しています。プレミアムオイルクーラーと呼ばれているものは、コアー内を「タービュレーター」構造にして、オイルを分散/ミックスしています。従来のものに比べて、はるかに効果的に冷却が行われる構造になっています。 冬の寒い時期にオーバークーリングになってしまう、と心配する方もいらっしゃいますが、東京で乗っていて、エンジンが冷えすぎというのはあまり経験したことがありません。従来のものは冷えすぎの時は、オイルクーラーにカバー(もちろん純正でロゴマーク入り)をかぶせるようになっていましたが、TC88用はサーモスタット付きになっています。

ウルトラ系のオーナーには強くオイルクーラーを勧めています。バンパーつきの車両は、なかなかすり抜けできないためとても重宝します。オイルクーラーは夏のオーバーヒート対策には一番の優れものです。その前にオイル温度計を取り付けると、エンジンの状態が良くわかります。まず、これを先に付けてみてはいかがでしょうか。

プロフィール
牧之瀬 保
こんにちは。ウィンドジャマーの牧之瀬 保と申します。ショベルヘッドが現役だった頃から現在までハーレーに関わってきた経験の一部をこちらでご紹介させていただきます。皆さんのハーレーライフがこのコラムを通じて少しでも豊かになれば幸いです。

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