VIRGIN HARLEY |  第7回 シートカスタム編スポーツスター研究室

第7回 シートカスタム編

  • 掲載日/ 2008年08月28日【スポーツスター研究室】
  • 構成・文/VIRGIN HARLEY.com 編集部 ターミー
スポーツスターカスタムの画像

楽しみ方が大きく変わる
スポーツスターのシート選び

スポーツスターを購入し、最初に行うカスタムの定番と言えば、ウィンカー、ハンドル、そしてシートだろう。スタイルを大きく左右するパーツでありながら、シート形状やスポンジ材質が変わることで、乗り味が大きく変化する。また、身長が低いオーナーにとっては足つき性も大きく変えることができるため、乗りづらかったスポーツスターがより体に合った愛車になることも珍しくない。それではスポーツスターのシートカスタムについてご紹介しよう。

年式による変化

~03、04~06、07~
それぞれでシート適合が違う

スポーツスターカスタムの画像

ラージタンクのラインに合わせて作られたシートにスモールタンクを取付けると、このような隙間ができてしまう。

2003年式までのスポーツスター(以下、旧エボ)は年式によるシート適合の違いはほとんどなかった。それどころか、ショベルヘッドスポーツスターの最終フレームは旧エボ初期のものであったため、最終型のショベルヘッドスポーツスター(1982~1985年式)に旧エボのシートが取り付けられるほど。そのため、旧エボでは年式によるシートの適合など気にする必要はなかった。旧エボの場合、注意すべきなのは年式ではなく、タンク形状。1995年式から純正スモールタンクではなく、タンク容量が12.5Lのラージタンクに変更されはじめ、それに合わせた形状のシートも市販されるようになってきたのだ。ラージランクに合わせて開発されたシートは、スモールタンクに交換しても問題なく使用できる。しかし、シート先端がラージタンクに合わせたラインになっているものがあり、その場合はシート先端のデザインに違和感がでることがあった。

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旧エボのソロシート。2006年モデルまでは、この形状のシートを取付けても違和感なく収まる。

ラバーマウント化された2004年式以降になると年式やモデルの違いに注意する必要が出てくる。同じ年式のモデルでも、XL1200Cなどタンク容量が17.4Lのワイドタイプのタンクが採用されるようになり、各メーカーが開発するシートも、シート形状は883などの12.9Lタンク用(03までのタンクと形状はほぼ同じだが、容量が増えた)と17.4Lの2種類用意されるようになってきた。また、17.4Lタンク用のシートは、ラインナップの数が12.9L用より限られており、シート選びが少し限定されてしまっている。さらに、2007年モデルでスポーツスターが総インジェクション化されると、2004~2006年モデル用のシートはそれ以降のモデルに適合しなくなってしまった。リアフェンダー上にインジェクション用のコンピューター(ECMと呼ばれる)が設置され、従来のシートベースが使えなくなってしまったのだ。そのため、2007年モデル以降に対応したシートを開発しているメーカーは、それまでのモデルに対応したメーカーより限られてしまっている。2007年モデル以降、2006年モデルまでの個性的なソロシート形状(そらまめシートなどと呼ばれていた)は採用されなくなり、ECMを隠すためシートベースが後ろに延長されたソロシート形状に変更されたのを残念に思うオーナーも多い。ただ、インジェクションモデルの発表から時間が経ち、徐々にではあるが現行モデルに対応したシートラインナップも増えてきている。ちなみに、2007年モデル以降でも、12.5Lタンク(インジェクションのスペースを確保するため、06モデルより容量が減っている)と17Lタンクの形状が違うため、それぞれタンクに合わせたシートを購入する必要がある。

シートの特徴について

シート形状と
その特徴について

さて、次にシート形状の違いから来る特徴についてご紹介しよう。とは言ってもスポーツスターのシート形状は無数と言っていいほど種類があり、ここで紹介するのは一部に限られる。純正のスポーツスター用のシートで多いのは、タンデム側に行くに従ってRが盛り上がってくるタイプ。お尻や腰を包み込むようなシート形状が、ロングツーリングの快適さに繋がることもあった。ただし、積極的に姿勢を変えて走りたいオーナーや、分厚いシート形状を好まないカスタムモデルオーナーにとっては、純正のシート形状は野暮ったく映ることもあるようだ。

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    シートラインに段差アリ

    純正に近いタイプのシート。タンデム側にいくにつれて盛り上がる段差やタンデム側末端の形状が緩やかなものやきついものまで、多くの種類が用意されており、キング&クィーンやコブラシートなど、その形状から多くの名前がつけられている。

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    フラットに近いシート

    座面がフラットに近いシート形状のものは、お尻のポジションの自由度が高く、走行状況によって自在にポジションが変えられる。見た目にもシンプルな形状が好まれることが多く、こちらもスポーツスター用シートでは人気のスタイルだ。

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    薄くフラットなシート

    純正スタイルを大きく変化させたカスタム車両などでは、肉厚のシートでは車両のバランスが崩れてしまうことがある。そういった車両に採用されるのが、スポンジを薄くしたシート。快適性は損なわれるが、他では得られないスタイルが実現できる。

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    サドルシート

    ヴィンテージハーレーで純正採用されていたタイプのシート。市販されているものは汎用品で取り付けに工夫が必要だが、クラシカルなスタイルが実現できる。2007年モデル以降ではECMを隠せないため、サドルシートはオススメできない。

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    ダートラシート

    ダートトラックレーサーをモチーフにしたシート。市販されているキットはあるものの、2007年モデル以降ではECMの移設場所を探すことになるだろう。ダートラシートはタンクも合わせてカスタムする必要があるが、そのスタイルはクール。

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    ショベル時代のシート

    1960年代のショベルヘッドスポーツスターではタンデム可能なサドルシート採用モデルもあった。足つき性は少々悪いものの、このシートに幅広のハンドルが採用されたモデルは、現行のスポーツスターにない乗り味が楽しめる。

代表的なシートメーカーについて

現行モデル対応シートも
徐々に増加中

スポーツスター用シートの基本はおわかりいただけたかと思う。では下記に国内で入手可能なシートを紹介しよう。ここで紹介するのはあくまで代表的なシートメーカーのみ。これ以外にもショップオリジナルのシートなど、まだまだ選択肢は多い。デザインや快適性、足つきなどを考慮の上、理想のシートを見つけ出して欲しい。なお、下記に紹介しているシートはそのメーカーの中から3つを厳選してチョイスした。各メーカーサイトへ飛べば、選ぶのに悩むほどのラインナップが待っているので、そちらも確認して欲しい。

K&H

ハーレーのみならず、さまざまバイク用シートを販売する老舗メーカー。コシがあって長距離でも疲れにくく、乗って楽しめることを前提に開発されたシートは多くのユーザーから高い評価を受けている。【シート詳細

TRAMP

すわり心地のみならず、車両とのバランスを考えて製作されたシートは、ノーマルのみならずカスタム車両とのマッチングも最適。現行モデル用シートのラインナップも用意されているのが嬉しい。【シート詳細

NEO FACTORY

NEO FACTORYが取り扱うシートは汎用品が中心だったが、アメリカ進出も果たし、世界的に知名度が上がっているバックドロップ製シートの取り扱いを開始。汎用サドルシートなど従来からの製品ももちろん取り扱い中。【シート詳細

イーストアーバン

ショベルヘッドスポーツスターに強いイメージがあるイーストアーバンだが、2006年モデルまでのスポーツスター用のシートを販売中。クラシックテイスト溢れるシートデザインは昔も今も変わらぬ人気を保っている。

イージーライダース

もっとも手軽に購入できるスポーツスター用シートと言えばイージーライダース。しかし、チェックすべきは価格だけではない。国内のシートメーカーで唯一ガンファイターシートをラインナップに持つなど、デザインも見逃せない。【シート詳細

キジマ

日本を代表するモーターサイクルパーツメーカー。他のショップシートもカタログでは取り扱っているが、キジマオリジナルシートもあり。買いやすい価格ながら、質感のいいしっかりとした作りのシートをラインナップに持つ。【シート詳細

LePera

古くから根強い人気を誇る、アメリカを代表するシートメーカー。オプションで快適性に優れる“バイカーゲル”付きのシートのオーダーができるなど、品質やサービスの高さも人気の秘密。ラインナップの豊富さも魅力的だ。【シート詳細

Corbin

LePeraと並び、日本での知名度が高いアメリカのシートメーカー。ガンファイターシートなどデザイン性に優れたシートを持ちながら、背もたれつきのタンデムツーリングに優れたシートもラインナップしている。【シート詳細

機能性パーツでありながら
スタイルも左右するシートカスタム

ここで紹介できたシートはほんのわずか、まだまだ多くのシートが選択可能だ。また、既製品であっても、シートレザーの変更やカラーオーダーが可能なメーカーがあったり、購入後にスポンジ形状を削ってくれるショップもあったりする。気に入ったシートを購入し、それから微変更を加え、体に合わせるのもアリだろう。また、ワンオフで世界に唯一のシートを製作してもらうことも選択肢の1つ。シートはカスタムスタイルを大きく左右するパーツでもある。あらゆる箇所にこだわったカスタムであれば、シートだけが既製品というのも寂しい話だ。ちなみに、シート選びで1つ目のシートで満足がいくことはまずないと思った方がいい。ハンドルなどと同じく、2、3のシートを試し、やっと理想のシートに巡り合えるなんて話は珍しくないので、最初のシート選びに失敗したとしても気にする必要はない。

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