VIRGIN HARLEY |  北海道ツーリングでミルウォーキーエイトを搭載したハーレー2017年モデルの乗り味に浸るトピックス

北海道ツーリングでミルウォーキーエイトを搭載したハーレー2017年モデルの乗り味に浸る

  • 掲載日/ 2016年12月22日【トピックス】
  • 取材協力/ハーレーダビッドソンジャパン  写真/ハーレーダビッドソンジャパン、磯部孝夫  文/成田恒一
    ※この記事は、バイクツーリング雑誌『バイクブロス ツーリング部』に掲載された内容を再編集したものです

この度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に罹患された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

新型コロナウイルスの感染を抑えるため、7都府県に緊急事態宣言が4月7日(火)に発令されたことを受け、可能な限り外出を控え、人との接触を避けることが最重要だと言われています。私たちハーレー乗りも、愛して止まないハーレーにこれからも乗り続けるため、不要不急な外出を自粛し、自宅待機することが望ましいと考えられます。

そこでバージンハーレー.comでは「新型コロナに負けるな!」というコンセプトにより、パソコンやスマホを使い自宅で楽しめる過去アーカイブ記事を紹介させていただきたいと思います。今回は2016年12月22日に掲載した北海道ツーリング記事にフィーチャー。憧れの北海道ツーリングに夢を馳せ、来たる新型コロナウイルス危機克服の日に備えていただければと思います。

北海道ツーリングでミルウォーキーエイトを搭載したハーレー2017年モデルの乗り味に浸るの画像

18年ぶりに刷新されたハーレーダビッドソンの新型ビッグツインエンジン「Milwaukee-Eight(ミルウォーキーエイト)」。113年にも及ぶ歴史を持つハーレーダビッドソンが作り上げたこの新型エンジンの乗り味を確かめるべく、初秋の北海道・道東地区で開催されたメディア試乗会に臨んだ。2日間で600kmオーバーという道程を走破し、圧巻の風景とともにミルウォーキーエイトのパフォーマンスを存分に堪能することができた。

強いアメリカを象徴するハーレーダビッドソン

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どこまでも続く直線をハーレーダビッドソンで進む。なににも似ていないハーレーならではのトルク溢れる乗り味と、この飛びきりのロケーションに思わず笑みがこぼれてくる。道が続いているのなら、このまま月の裏側くらいまでだって行けそうだ。

ハーレーは他メーカーの最新モデルに比べ、決して絶対的なパワーが勝っているわけではない。しかし人の五感に直接訴えかけてくる心地よいライディングフィールは格別で、これこそカンパニーが一世紀以上もの間、頑なに守り続けてきたハーレーの根幹を為すものだ。広大なアメリカで生まれ、そして育まれてきたハーレーダビッドソン。ハーレーがキングオブモーターサイクルと呼ばれる理由は、一世紀を超える歴史とその守るべきポリシーにより生み出された強いアメリカを象徴するモーターサイクルだということに所以している。

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セル1発で目覚めた排気量1745ccの新型エンジン、ミルウォーキーエイト107が力強くアイドリングを刻んでいる。1999年に登場した1,450ccのツインカム88以来、18年振りに刷新されたニューエンジンである。2017年モデルのツーリングファミリー、トライク、そしてCVOリミテッドとCVOストリートグライドに搭載されるミルウォーキーエイトのトルクフルな走りは歴代エンジンの中でもずば抜けており、6速1,000回転からの加速でもノッキングとは無縁。伝統の空冷45度OHV・Vツインという基本構造は死守しつつ、4バルブヘッド&ツインプラグ化により燃焼効率を上げることでトルクアップを図り、さらに新しいシングルバランサーとデュアルノックセンサーで不快な振動を排除している。

アイドリングはツインカムより低い約850回転でハーレーらしい鼓動感を再現。ヘッドの冷却システムを見直し、加えてオルタネーターの発電量を大幅にアップすることで、この低いアイドリング回転数を実現させている。どの回転域からもパワフルに加速するミルウォーキーエイトだが、特に2,500回転あたりからの加速は群を抜いている。パワートレインのメカノイズが低減されたことで、Vツイン特有の重低音サウンドをよりクリアに轟かせながら猛然と加速するさまは、大排気量エンジン独自の醍醐味に溢れ、否応なく乗り手を高揚させる。都会の喧噪とかけ離れたこの雄大な北の大地でハーレーの新型エンジンを味わい尽くすという喜びをじっくりと噛み締める。やはり北海道は特別だ。

北海道ツーリングでミルウォーキーエイトを搭載したハーレー2017年モデルの乗り味に浸るの画像
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新型エンジン、ミルウォーキーエイトには2つの排気量が設定されている。ミルウォーキーエイト107(1,745cc)とツインクールドミルウォーキーエイト107(1,745cc)はツーリングファミリーとトライクに、残念ながら試乗車は用意されなかったが、CVO(FXSE除く)にはハーレー最強のツインクールドミルウォーキーエイト114(1,868cc)が搭載されている。今回、北海道で開催されたメディアローンチは新型エンジンの国内最速となる試乗の機会であり、それはとても貴重な体験だった。

否応なく乗り手を高揚させるダイナミックな乗り味

ハーレーダビッドソンジャパン主催の2017ニューイヤーモデルプレスローンチに参加するため、羽田から朝7時10分発、女満別行きの飛行機に乗り、わずか2時間足らずで北海道に降り立った。以前に雑誌の企画で北海道を愛機でぐるっと一周したことがあり道東地区も走ったが、その時はフェリーで大洗から苫小牧に渡ったので19時間以上もかかり、北海道上陸の達成感みたいなものがあった。しかし飛行機で2時間足らず、いや正確には1時間40分で北海道に着いてしまっては、どうにも実感が湧いてこない。だが時間的制約を考えるなら、飛行機で北海道に入り、レンタルバイクで走るのもいいだろう。状況によってそれぞれのスタイルで楽しめばいい。

空港から阿寒湖のホテルに入り、2017年モデルのプレゼンテーション後に豪華なランチを済ませ、ミルウォーキーエイトを搭載したニューモデルとはじめて対面する。「MILWAUKEE-EIGHT 107」と書かれたエアクリーナー以外、先代のツインカムと目立った違いは見当たらない。エンジンの表情を決定付けるロッカーカバーがボリュームある立体的な造形に変更されているが、フューエルタンクとエアクリーナーに隠れて遠目には旧モデルとその印象は変わらない。外装やシャシーも然り。このアプローチがいかにもハーレーらしい。変化を好むのではなく、ハーレーらしさを損なうことなく熟成を重ね、全うな進化を遂げるという一貫したスタンス。これがハーレーダビッドソンなのだ。

北海道ツーリングでミルウォーキーエイトを搭載したハーレー2017年モデルの乗り味に浸るの画像
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ハーレー特有の鼓動感ある乗り味を最新の技術で最大限まで引き出した新型ビッグツインエンジン、ミルウォーキーエイト。カンパニーが頑なにこだわる、伝統の空冷45度OHV・Vツインという基本構造は継承しつつ、4バルブヘッド、ツインプラグ、デュアルスプレーインジェクターによりトルクアップを実現。さらに先代ツインカムではその名の通り、カムシャフトを2本備えていたが、新型はシングルカムとなり軽量化とメカノイズを低減。特に2,500回転からの加速は強烈だ。

見たことのない景色に心を震わせ、この世界を肯定する

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秋の北海道、しかも道東地区の気温を東京で例えるなら11月18日くらいのイメージだ。羽田ではTシャツ1枚で問題なかったが、ここ道東ではジャケットがないととても過ごせない。特に朝晩の冷え込みはきつい。空気はからっと乾いており、非常に清々しいが、バイクで走るにはそれなりの装備が必要だ。まずは阿寒湖から国道241号で摩周湖を目指す。山越えの241号はさらに冷えるが、大型フェアリングを装備したツーリングモデルは体に走行風が直接当たることはなく、快適に走ることができる。不快な風の巻き込みも少なく、容量22.7リッターという巨大なフューエルタンクの上でトランプは難しいが花札ぐらいならなんとかできそうだ。

車両重量400キロ前後のツーリングファミリーだが、峠でもその車重を感じさせない軽快なハンドリングを実現してる。高剛性シャシーに搭載されるミルウォーキーエイトと前後の新型サスペンションにより、頻繁にシフトチェンジをすることなくリラックスして風景を楽しむことができる。もちろんその気になればフットボードを路面に擦りつけながらのアグレッシブな走りも可能。この懐の深さがツーリングモデルの魅力だ。

摩周湖から屈斜路湖を超えて網走方面へと向い、そのあと夜8時過ぎに阿寒湖のホテルに帰り着いた。ざっと計算して300キロ近い行程だ。翌日は朝8時にホテルを出発。国道241号から391号に入り、ひたすら北上し、知床斜里の「天に続く道」と呼ばれる国道244号から334号へと25キロ以上続く直線にさしかかった。これぞ北海道の道。その名の通り、このまま空まで行けるのではないかと思わせるありえない直線をハーレーでひた走る。この不思議な浮遊感はなんだ? 頬をかすめる風がたまらなく心地いい。

──夢のような2日間だった。

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ハーレーダビッドソン2017年モデルの新型エンジン、ミルウォーキーエイトを搭載したニューモデルで北海道を存分に走れるなんて、こんな贅沢はちょっとない。

バイクツーリングはどれも素晴らしい。今さらここで言うまでもなく、バイクの本質は走ることだということに誰も異論はないはずだ。同時に日常から非日常へと誘ってくれるのがバイクの大きな魅力である。いつもの見慣れた通勤路もクルマとバイクで走るのでは見える景色が違ってくる。バイク乗りは退屈なモノクロームの日常を瞬時に極彩色の非日常へと変換することができる。風を感じ、日本の季節を先取りできることもバイク乗りの特権だ。

ツーリングに出よう。ショートからロングツーリング、さらに自然を身近に感じることができるキャンプツーリングなんて最高じゃないか。目的地などどこだって構わない。いっそ目的地など決めず思うがままに走り出したっていい。好きな道を走ればいいし、好きなところで曲がればいい。疲れたら気が済むまで休んだって構わない。そうしてバイク乗りは見たことのない景色に心を震わせ、この美しい世界を肯定する。

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