VIRGIN HARLEY |  第8回 クランプの錆び付き打破メカニック芦田のメンテナンス講座

第8回 クランプの錆び付き打破

  • 掲載日/ 2010年01月26日【メカニック芦田のメンテナンス講座】
  • 執筆/ハーレーダビッドソンシティ中野店 メカニック 芦田 剛史

今年一発目となります第8回メンテナンス講座、皆様いかがお過ごしでしょうか?2010年乱世の荒波を切り裂いて、ハーレーダビッドソンで飯を喰らう不肖・芦田がお届け致します。ちょっと役に立つかも知れないメンテナンス豆知識をどうぞご覧ください! それではいってみましょう!!

今回のクランケ:2009年式 VRSCF V-RODマッスル

ハーレーメンテナンス講座の画像

症状:ヒートシールドのクランプ錆び付き

12ヶ月点検にてご入庫のVRSCF、点検時には要点検箇所となりますヒートシールドの取り付け状態。しかし…締め付けようにも危なっかしいサビサビ状態のボルトを発見。このまま回してもいいものか? さぁ、貴方ならどうしますか!?

陥りやすいポイント:焦っちゃダメ!その株投資と錆錆ボルト!

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ここまで錆びていると、少し無理をするとズルズルっとなめってしまいます。よくある症例では、「無理にボルトを回してなめらせてしまい、右にも左にも回らなくなる」ケース。今回はヒートシールドのクランプですので、致命傷は避けられますが、フランジボルト(エキゾーストパイプの根元)などで失敗すると思わぬしっぺ返しを喰らうことも…。こういったときは、焦らずきちんと下準備をすることです。

補修手順を見てみよう!

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【01】まずは睨めっこ…笑いがこみ上げてきます?

まずはクランプの状況を把握することが先決ですので、腐食具合を念入りに確認します。そのまま継続使用することができるのか、それとも交換が必要なのか…? あらかじめ想定内に入れて作業にかかります。
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【02】壱に潤滑、弐に浸透、そして参に男気!

次に固着した状態を解除するために、ルブリケート(レギュレーターへの給油)します。市販の潤滑剤で問題ありません。重症なら入熱や衝撃加重が必要になりますが、このケースでは不要でしょう。
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【03】ちょっと待ったその選択!慎重な婚活と工具選び

さて、十分に潤滑剤が浸透したら、緩める(締める)作業に入りますが、ここで重要なのが工具チョイス! できれば6面ソケットを使用してください。12面やドラバーは状態を悪化させる可能性高し!
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【04】いざ対決!憎しみの拳ではなく、無心の拳で打て!

見出しはさて置き(?)、いよいよ緩めます。ここは説明不可能かと。その理由は感覚勝負だから。私だと一撃必殺の場合も、長期戦もすべて直感です。サンデーメカニックの場合、慎重さが功を奏すかと。
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【05】ぐるぐる回して締まり具合を確認!

何はともあれ無事にボルトが緩みましたら、潤滑剤を足して、右にも左にもぐるぐる回してやります。そして錆び付いた部分を慣らしましょう。スムーズに回るようであれば継続使用問題ナシです!
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【06】美観も大事!心のお花畑ありますか?

ここでヒートシールドの位置調整をし、きちっと締め付けましょう。連結部に極端な隙間はないか? 歪みなどはないか? エンジン始動時にビビリ音は出ないか? 丹念に入念にチェックします。

防ぐためのメンテのツボ

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どうせなら見えない方が良い?
チラリズムに酔いしれる…

とにかく錆びたボルトというのは目に付きやすいものですね! 上から見ると赤いヘッドが目立ちます。どうせクランプ緩めたなら、ぜひ位置変えなどいかがでしょう? 裏側へ回せばヘッドもすっきり見えなくなります。この際に気をつけなければいけないのは、無理に隠して他の部分へ干渉してしまうケースがあります。細心の注意が必要ですので、皆様決して無理はなさららずに。しかし……チラリズム、何て素晴らしい響きでしょうか。

プロフィール
H-Dシティ中野 メカニック 芦田 剛史

広畑日産自動車・H-D事業部で経験を積み、25歳のときに「アメリカのディーラーに勤めたい」と単身渡米。アリゾナ、ラスベガスと約2年間におよぶディーラー勤務を経て帰国。現在はH-Dシティ中野店でメカニック主任として活躍中。V-RODでドラッグレースに興じるなど、幅広いハーレーライフの楽しみ方を知っている。

取材協力
住所/東京都中野区野方4-42-9
営業/10:00~20:00
定休/水曜日
電話/03-6909-1180

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