VIRGIN HARLEY | 第7回 高速トラブルシュート CVキャブレター講座

第7回 高速トラブルシュート

  • 掲載日/2005年09月09日【CVキャブレター講座】
  • 執筆/ジャイアン
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キャブレターセッティング時の
トラブルシューティング ~ 高速編 ~

前回はミクスチャースクリューが中心の低速時のトラブルシューティングの話でした。今回はメインジェット(以下、MJ)とジェットニードル(以下、JN)で調整を行う、高速時のトラブルシューティングの話です。しかし、その前に少し遠回りをして、CVキャブレターの機構的問題を提示しておきましょう。

100%。完全なセッティングは難しい

負圧式でもスリング式でも、スライドバルブによってベンチェリーを変化させるキャブレターでは中間加速から全開域のガスをMJが計量し、JNの形状とスライドバルブの上下によってガスの量がコントロールされる事は以前に書きました(3時限目参照)。このタイプの機構を持つキャブレターは全開域までの加速とその特性だけを考えれば、この2つの補正装置で十分なセッティングが可能なはずです。しかし、公道上だとそうはいきません。

サーキットではもっともエンジンパワーが使いやすい特定回転域に合わせてセッティングが詰められます。特定の回転域までの加速と、その回転域での出力が問題になるため、各ギアにおける特定回転域までのつながりを合わせればいいのです。そのため、全開加速と上での伸びが良くなるようにMJやJNの調整が選択されます。しかし、公道上では「あらゆるギアのあらゆる回転域」で加速や巡航がおこなわれるため、特定の回転域や走行状態によっては部分的にガスが濃いところ、薄いところが出てきてしまいます。

つまり、「加速や全開高速はいいが、中速の巡航時はガスが濃い」、「中速域まではいいが、高速の加速時にはガスが濃く、伸びがなくなる」などの問題が発生することがあります。この問題はキャブレターのセッティング時には常に付きまとうものです。しかし、CVキャブレターではセッティングやチューニングパーツの追加では根本解決にはならず、根本的なモデファイがおこなわれない限りは、妥協点で甘んじるか目的を絞るしかありません。昔のCB750FのCVキャブレターのように中間ジェットをもった3ジェットのキャブレターであれば、かなり細かくセッティングできるでしょう。しかし、ハーレーのCVキャブレターの場合は45ディグリーさんのフルチューンCVように、キャブレターを根本から改造しない限りは是正できないないでしょう。そのため、オイラのセッティングは「自分の走りに合うよう特化させるため」のセッティングと言えます。では具体的な問題を見てみましょう。

メインジェットの選択方法

以前にも書きましたが、メインジェットの選択は一般公道上ではリスクが大き過ぎるので、ベンチ上での計測で決定するのがもっとも無難です。吸排気のパーツの交換によって効率が上がっている場合では数値が変わってしまいますが、取り扱い説明書などのチャートによるMJの選択を参考にしましょう。ただ、どうしても合わないこともありますので、その場合はデータを持っているショップなり経験者の意見を聞くべきです。ハーレーの最高出力はリミッタ-が効く回転数以上で出ることが多いのですが、通常そこまでの走行をする人は限られているでしょうから、モジュールを交換したり、吸排気に特別なものをつけていない場合はノーマルと同程度でMJを決めていいでしょう。

ガスが濃過ぎる時は大きなトラブルは少ないのですが(長期的にみるとカーボンの堆積や、それによるバルブのトラブル、適正燃焼にセットした時の堆積カーボンによるピストン事故などがおこる可能性はあります)、薄い場合はオーバーヒートやエンジンの焼きつきが起こる事がありえますのでMJの適切な選択は必要です。ガスが濃いときは加速が鈍く、伸びも悪くなります。ガス薄い場合は途中で加速が止まってしまい、最高速は伸びません。

参考程度に具体的な数値を書いておきますがこれは純正ジェットの場合ですので、チューニングパーツを取り付ける場合はそのパーツの取り扱い説明書のチャートにしたがって選択してください。

表1/排気量・仕様別メインジェットチャート

ノーマルクリーナー 社外クリーナー、ハイフロー使用
883cc #170~前後5番 #180~前後5番
1200cc #185~前後5番 #195~前後5番
1340cc #180~前後5番 #190~前後5番

これはあくまで参考基準程度なので、実車に対して適応するかどうか、は個体差があり、実際に試して見るしかありません。また、マフラーが純正か社外かによっても変化があるのでその場合も番手は変わってくるでしょう。現行のニュースポーツスターやツインカムはセッティングした事がありませんので、具体的な数値は申し上げられませんが、上記の番手からそれほど大きく外れていないと思われます。ただ、ニードルのセッティング次第ではMJの番手が変わる事がありますが、それは別途執筆しましょう。

使用目的、使用回転数がハッキリとしている人は、それにあわせたセッティングを行うのも手です。峠が好きな友人が周りにいるのですが、彼はベストなセッティングのMJでは峠で使用する回転域でパワーが出過ぎると言って#10落としたセッティングをしていました。自分がもっとも使いやすい目的に応じたMJの選択も当然アリだと思います。ツーリングなどの巡航が多い場合やスポ-ツ走行が目的な場合、また街乗りオンリーな場合などでは目的別にMJを選択するやり方もあるでしょう。

またニードルのセッティング次第では、MJの番手が変わることがあります。
それはまた後で書きましょう。

プロフィール
メンテナンス番長 ジャイアン氏

XLH883とFLSTFを所有する。彼のハーレーへの造詣は深い。特にCVキャブレターには、仕組みはもとよりセッティングや最適化まで幅広い知識を持つ。最近は、ブログにてメカニズムを中心に執筆中。

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