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1986〜2003年モデルの
スポーツスターの良さとは?

スポーツスターは私がハーレーに関わるきっかけになった思い出深い車輌です。以前、勤めていた「モトライフ」に一台の1989年式の4速スポーツスターが入ってきたことがありまして「この車輌でレースに出たら、面白そうだな」と、そんな思いで触り始めました。それが私とスポーツスターとの出会いです。ふと気がつけばもう20年近くスポーツスターに関わっていますが、私の考えるスポーツスターの良さを挙げてみますと以下のようなものがあります。

 

・バイクを横から見て、エンジンの全体が見えること、そしてその造形の美しさ
・必要最低限のシンプルな装備
・19インチのフロントタイヤ、車重の重さから来る安定感
・その独特のエンジンのリズムが人に近く、心地よい

 

他にはない楽しさを感じることができ、乗っていて飽きがこないバイク、それがスポーツスターです。スポーツスターという名前を聞くと国産のレプリカバイクの「スポーツ」のイメージで考えてしまう人がいるかもしれませんが、レプリカバイクの「スポーツ」とハーレーの考える「スポーツ」は少し違いますのでご注意ください。国産の高性能なレーサーレプリカバイクは想像もつかない世界に連れて行ってもらえるポテンシャルを秘めていますが、公道ではまず使い切れないでしょう。レプリカバイクはバイクの高性能さが乗り手にプレッシャーになってくるほどの性能を誇ります。しかし、スポーツスターは人が御すことができる、ほどよいポテンシャルを持つバイクです。どの回転数でも楽しむことができます。「ゆっくり走っても楽しい、回して走っても楽しい」そんなスポーツバイクです。

 

ハーレーの購入に際して、ビックツインとスポーツスターの選択で悩まれる人も多いようですね。スポーツスターからビックツインに乗り換える人、ビックツインからスポーツスターに戻ってくる人など、いろんな人がいます。「ビックツインと比較したスポーツスターの良さ」は車格の違いからくる「取り回しの軽さ」でしょう。ビックツインに比べると、車輌の出し入れが楽で、細身ですから気軽に街で乗り回すこともできます。排気量が大きいビックツインの方が長距離は楽ですが、ちょっと頑張れば遠出もできます。街乗りからツーリングまで、どんな状況でもこなせてしまうのがスポーツスターの良さでしょう。スタイルでスポーツスターを選ぶのもいいですし、皆さんがハーレーをどんな目的で乗りこなしたいのか、によって選ぶのもいいでしょう。

年式による
スポーツスターの違い

さて、次は1986〜2003年モデルのスポーツスターの各年式による違いを簡単に書いてみましょう。ただ、年式の違いをご説明する前に最初にお伝えしておきたいのですが、初心者の方はなるべく高年式のものを選ぶ方がいいでしょう。スポーツスターに限らず、バイクは年式が上がるに連れ各部が改善されていっています。たいてい、その改善は正常進化と言えます。理由があるからこそ年々改善されていますので、よくわからない場合は高年式のものを選べば安心です。

 

1986年〜1990年モデルまでの
スポーツスター(4速モデル)

4速のエボリューションスポーツスターは当初は883ccと1100ccのラインナップでスタートしています。現行のスポーツスターは5速モデルで、それより1速少ないわけですから当然、5速に比べてギアレシオは広くなっています。頻繁にギアをかえるせせこましさがないので、大雑把に走れてしまうのが4速モデルです。そこを気に入って4速にこだわって乗る人もいるモデルです。年式による大きな変化を挙げてみると、88年モデルには1100モデルが1200にボアアップされ、フロントフォークが従来のショベルと同じ35φから39φに変更されています。またケイヒン35φバタフライキャブレターから40φCVキャブレターへの変更も同年です。CVキャブレターに加速ポンプが追加されたのは89年モデルからとなっています。

1987年モデル
XLHスポーツスター883デラックス(95年式モデルまで)登場

1988年モデル
1100ccモデルが1200ccへボアアップ
XLHスポーツスター883ハガー登場
フロントフォークが39φに
ケイヒン40φCVキャブレターへの変更

1989年モデル
CVキャブレターに加速ポンプが搭載される

 

1991年〜1993年モデルまでの
スポーツスター

1991年モデルからスポーツスターは5速に変更、ギアの機構も改善されて、信頼性が向上されています。これは大きな変化と言っていいでしょう。91年〜93年モデルで、車種によって年代は違いますが、チェーンドライブ仕様からベルトドライブ仕様に変更されています。ベルトドライブの方がチェーンドライブより耐久性は高くなっています。ベルトがゴムでできているため弾力性があり、加減速の衝撃が和らげられ、ミッションにも優しい駆動方式です。ただ、ベルトドライブは切れるときは突然切れてしまいますので、お気をつけください。一方、チェーンドライブは定期的なメンテナンスが必要など、少し手がかかる駆動方式です。しかしスプロケットを変えるなど、ギアレシオの変更は簡単に行えるので、個人的にはチェーンドライブが好みですね。また93年モデルよりガソリンタンクがラバーマウント化され、以前まで稀にあったガソリンコックの取り付け部分からガソリンが漏れてくるトラブルは改善されています。

1991年モデル
トランスミッションが5速に

1991〜3年モデル
各モデルがチェーンドライブからベルトドライブ化へ

1993年モデル
ガソリンタンクがラバーマウント化

 

1994年〜1997年モデルまでの
スポーツスター

1994年モデルよりフレームの形状が変わりました。94年以降のモデルはフェンダーレールの裏側までフレームが続いています。94年以降は他にもいくつかの改善が行われています。まず、オイルタンクへのバッテリートレーの取り付け方が変わり、バッテリーの重さでオイルタンクにクラックが入るトラブルも解消されています。95年モデルからスピードメーターが機械式から電気式に変更されていますが、個人的には機械式のタコメーターの針の方が機敏に正確に反応するので機械式の方が私の好みですね。

 

3.3ガロン(12.5L)のタンクがXLH1200に採用されたのもこの年式からです。96年モデルからXLH1200は日本国内では販売されず、直進安定性が高い21インチフロントホイールのXL1200C(以下、1200C)と、従来通りの旋回性が高い19インチフロントホイールのXL1200S(以下、1200S)に別れました。ただし、97年モデルまでの1200Sはシングルプラグ仕様です。カートリッジ式のフロントサスやダブルディスクのブレーキ、リザーバータンクを持つリアサスペンションなど豪華な足回りを持ったシングルプラグの96・97年モデルの1200Sは通好みで面白いモデルですね。97年モデルから883モデルにも3.3ガロン(12.5L)のタンクが採用されました。従来の小振りな純正タンクを求める方は96年までのモデルで探してみましょう。

1994年モデル
フレーム形状の変化
オイルタンクへのバッテリー取り付け方法の改善

1995年モデル
電気式スピードメーター
XLH1200に3.3ガロンのガソリンタンク

1996年モデル
XL1200S(シングルプラグ仕様)
XL1200Cの登場(2モデルとも3.3ガロンタンク)

1997年モデル
XL883シリーズに3.3ガロンのガソリンタンク
メンテナンスフリーバッテリーの採用

 

1998年〜2003年までの
スポーツスター

従来までポリッシュだったカバー類(883スタンダードは変わらずポリッシュで継続。また、メッキ仕様である883C,1200Cを除く)が1998年モデル以降からは梨地仕上げとなっています。また、1200Sがツインプラグ仕様となったのは意外に知られていませんが98年モデル以降です。ツインプラグ仕様の1200Sはハーレーの考える「スポーツ」を体現したモデルで1200Cが低速から高速までスムーズに吹けあがるのに対し、1200Sは低中速のトルクが非常に太い仕様となっています。1200Cと1200S、98年以降のモデルから両モデルの個性がより強く分かれました。

 

99年モデルからは豪華メッキのCモデルにXL883Cが加わり、Cモデルにフォワードコントロールが採用されています。「フォワードコントロールはステップが遠い」という方は98年モデル以前の1200Cを探してみるのも面白いかもしれません。2000年以降のモデルからはブレーキキャリパーが4ポッドのものに変更されました。4ポッドキャリパーになって制動力は上がりましたが、構造的な問題でパッドが片減りしてしまうことが起こっています。1999年以前のモデルのブレーキ性能も問題はありませんので、ここは好みで選んでください。2002年モデルには独特のカラー・スタイルで人気のXL883R(以下、883R)が登場しました。883Rは2002年・2003年の限定モデルとなっています。2005年モデルのラインナップに先日追加された883Rとは仕様が違っていますので比較してみるのもいいでしょう。2003年モデルは「ハーレー100周年記念」のカラーリングが施されています。従来とは一味違うカラーのファンも多いですね。

1998年モデル
カバー類がポリッシュから梨地に
XL1200Sがツインプラグ仕様に

1999年モデル
XL883Cの登場
Cシリーズがフォワードコントロール化

2000年モデル
ブレーキキャリパーが4ポッド化
エンジンオイルのオイル通路がギャラリー方式に変更
ホイールベアリングがテーパーローラーからシールタイプボールベアリングに変更

2002年モデル
XL883Rの登場(この仕様のものは2003年まで)

2003年モデル
100 周年記念モデルの登場

「883」と「1200」
それぞれを比べてみる

長くスポーツスターに乗ることを考えると883から1200にボアアップ(排気量アップ)することは簡単ですので、883を買うと両方の良さを楽しめるでしょう。883と1200ではエンジンの見た目も違いますね。883はエンジンにバフ地が非常に多く使われています。私は金属の造形がそのまま出るバフ地が好みですので「どちらを買う」と言われれば883を選びます。

 

渋滞の多い日本の交通事情に合って、バイクの性能を楽しみ尽くせるのは1200より883でしょう。回転を使い切って楽しむ、交通事情に合った程よい加速を楽しめるバイクです。ただ、パワーで考えると883はどうしても非力ですね。二人乗りをするときだと、883は回転数をあげて走るので、後ろに乗る人はせわしなく感じて疲れてしまうかもしれません。個人的には見た目も乗り味も883が好きなのですが、両方試乗した上で皆さんの好みにあった方を選んでください。

最後に

20年近くスポーツスターに乗ってきましたが、スポーツスターは未だに楽しく感じられるバイクです。皆さんがどんなバイクに乗りたいのか、その好みはさまざまでしょうけれども、スポーツスターはどんな方向性にもカスタムすることができます。私はノーマルのままのスタンダードな形の美しさが好みですが、レーサー、カフェレーサー、チョッパー、どんなスタイルにも振ることができます。シンプルなスタイルであるが故に楽しみ方の自由度も高い、そんな飽きがこないバイクがスポーツスターです。その良さを是非乗って体感してみてください。スポーツスターで困ったことがありましたら相談には乗りますので、お店に(バーンH-D SPORTS)コーヒーでも飲みにきてください。スポーツスターに乗った皆さんとお会いできるのを楽しみにお待ちしています。

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