VIRGIN HARLEY | 人気のボバースタイルを体現するニューソフテイルファミリーのソフテイルスリム 試乗インプレ

人気のボバースタイルを体現するニューソフテイルファミリーのソフテイルスリム

人気のボバースタイルを体現するニューソフテイルファミリーのソフテイルスリムの画像
HARLEY-DAVIDSON FLSL(2018)

ボバースタイルを体現する
ソフテイルスリムを検証

2012年、昨今のボバーブームを読み取ったかのようにデビューしたソフテイルのニューカマー、ソフテイルスリム。ヘリテイジ、デラックス、ファットボーイといった重鎮が並ぶファミリー群で瞬く間に存在感を放ち、ファミリーに欠かせない存在となったスリムも2018年のフルモデルチェンジを受け、大幅にバージョンアップを果たすこととなった。ミルウォーキーエイトを積んだ無垢なスリムがどんな走りを見せるのか、その体感模様を余すところなくお伝えしよう。

FLSL ソフテイルスリムの特徴

ハイパワーエンジンをとことん体感できる
伝統スタイルを継承する人気のボバーモデル

FLSL ソフテイルスリムの画像

デビュー6年目を迎えるソフテイルスリム。このソフテイルファミリーにはヘリテイジやデラックス、ファットボーイといった四半世紀近い歴史をもつベストセラーモデルがひしめいているのだが、ニューカマーでありながらすっかり人気モデルの仲間入りをはたしたところに、同モデルの潜在能力の高さを感じずにはいられない。

そのスタイルは、今ムーブメントの中心にあると言って過言ではない1950年代レーサースタイル「ボバー」そのもの。リジッド型フレームに前後16インチのスポークホイール、油圧式テレスコピックフォーク、トラッカーテイスト溢れるハンドルバーと、FLソフテイルがもつ本来の特徴を前面に押し出し、そのうえで無駄を省いたチョップドモデルである。

FLSL ソフテイルスリムの画像

ツインカム96B(排気量1,584cc)を搭載した初期モデルに始まり、2016年には103B(排気量1,689cc)へとパワーアップしたスリム。また、2016年にはSシリーズというカテゴリーでCVOだけに許されるツインカム110B(排気量1,801cc)を搭載したソフテイルスリムSという派生モデルも誕生。いずれのエンジンも、400kgを超す重量級のツアラーモデルを難なく走らせることができるもの。ソフテイルのなかでも無垢なスリムに搭載することで、エンジン本来のパワーを存分に味わってもらいたいというカンパニーの意図が伝わってくるラインナップであった。

そして今回、排気量1,745ccの新型エンジン「ミルウォーキーエイト107」と合わせて新設計となるカーボンスチール製の筒型フレームが採用されたニューソフテイルの骨格がこのスリムにも用いられ、フルモデルチェンジをはたした。もちろん、ソフテイルスリムの名を継承していることから、前後16インチのスポークホイールやハリウッドハンドルバー、ビッグヘッドライト、チョップドリアフェンダーといった特徴を担うディテールは健在である。ヘリテイジやファットボーイ、ブレイクアウトには「S」の文字が付け加えられたミルウォーキーエイト114(排気量1,868cc)搭載モデルが用意されているが、スリムはミルウォーキーエイト107仕様のみとなっている。

FLSL ソフテイルスリムの画像

伝統のリジッドスタイルをも継承しているだけに、写真だけでは以前のソフテイルスリムとの違いが見えづらいところ。新型フレームとミルウォーキーエイト107がスリムにどんな変化をもたらしているのか、探るには試乗してみるほかない。

FLSL ソフテイルスリムの試乗インプレッション

大柄なポジションであるが
その走りは第一級

FLSL ソフテイルスリムの画像

跨って引き起こした際に感じたのが「軽い」。あくまで体感でしかなかったが、あとあとスペックを見比べてみると、ツインカム時代の321kgに比べて新型スリムは304kgと、17kgも軽量化されている。これはカーボンスチール製の新フレームの恩恵によるものだろう。シート高は650mmから660mmにアップしているが、身長174cmの筆者には誤差の範疇といえた。

以前だとフューエルタンクの中央にイグニッションスイッチがあったのだが、それもなくなっていて今はスイッチボックス左側のセルのみとなっている。キーレスシステムにより簡素化されたと言えばそれまでだが、防犯という面で心配な方は必ずハンドルロックをかけるようオススメしたい。

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いよいよスタート……というところで、驚愕の事実が。なんと、シーソーペダルではなくなっていたのだ。もちろんステップボードは備わっているのだが、踵で踏める部位がなくなっており、スポーツスターなどと同じくつま先で操作するペダルのみとなっていた。ツアラーモデルをはじめ、シーソーペダルを標準装備していた数々のツインカム版FLモデルに試乗してきた身としては、驚きを禁じ得ない変化と言える。ある意味ハーレーのアイデンティティのひとつでもあっただけに、なぜ?という想いが拭えない。オプション扱いになったのか?だとしたらスケールダウンと言わざるを得ない……。

小さくない違和感を覚えながらも走り出す。ハンドルポジションはやや遠く感じる、小柄な人だとなおさらだろう。背筋をピンと伸ばした状態でハンドルを握った際、両腕が伸び切るようなら、プルバックライザーなどでハンドル位置を手前に持ってくるなどの対応が必要になるだろう。

いや、それよりもライディングポジションをグッと前にするためのシートへの変更が必要か。そう思ったのは、走り出してしばらくしてのこと。まずシートだが、ツインカム版スリムと比べて明らかに硬い。原因はシートの質ではなく、フレーム構造にあった。以前だとサスペンションがエンジン下部に備わるフレームだったが、カーボンスチールのこの新フレームにおいてはサスペンションがシート下に来る構造となる。これによってシート下のクリアランスが限られたものになり、それでいて以前のスリムのような車体ラインを美しく保つサドルシートのデザインとしているから、シートそのものが薄くなってしまっているのだ。もう少し厚みを持たさないと長距離ツーリングでは臀部に辛さが募ることになるだろう。

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加えて、左足のペダルポジションである。シーソーペダルではなくなったことにより、つま先を引っ掛けるペダル位置がかなり前目のため、フォワードコントロールステップと同じようなポジションを強いられる。踵こそステップボードに置いておけるが、足はほぼ伸びきったままでのコントロールが必要になった。これらを踏まえると、身長が160〜170cmのオーナーの場合、着座位置をホールドしてくれるガンファイター型シートなどでポジションを前方に持ってくる方が得策だと思われる。逆に言えば、シートひとつでいくつかのデメリットを解消できるとも。

ミルウォーキーエイト107と新型フレームの組み合わせに疑問の余地はない、この形状でありながらメガスポーツモデルとしての楽しみを味わわせてくれるパフォーマンスをしっかり発揮してくれた。3速で時速100kmに到達しようかというパワーに、正直6速なんてどこで使う機会があるのだろう?と思いもするところだが、ツーリングモデルと比べた際の力の持て余しようにミルウォーキーエイト107の底力を感じる部分で、そこにパワーを無駄に暴れさせることなくしなやかに吸収する新フレームは現代スポーツモデルのそれにふさわしいものと言える。

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ヘリテイジと並んで細身仕様となっている150mmリアタイヤもあって、旋回性も十分。どこまで寝かせられるかタイトコーナーでしっかりバンクさせてみたところステップボードを擦る結果となったが、車高も保たれているのでスポーツソフテイルとしての存在感は今なお健在といったところか。

エンジンの回り方からするに、フューエルインジェクションセッティングの関係でノーマル状態だと本領は発揮できていないよう。チューニングしたミルウォーキーエイト107となったらどんな走り方になるのか……おそらくとんでもないじゃじゃ馬になること請け合いである。

FLSL ソフテイルスリムの詳細写真

FLSL ソフテイルスリムの画像
排気量1,745cc / 107キュービックインチ Vツインエンジン「ミルウォーキーエイト107」。真っ黒なラウンドエアクリーナーはツインカム版からの継承。
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ビッグサイズのヘッドライトはLED仕様に。スリムのアイデンティティでもあったヘッドライトナセルは無くなった。
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FLスタイルの象徴でもある油圧式テレスコピックフォークはシングルカートリッジ方式を採用した最新型。スタイルと性能を両立させた大きなポイントである。
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ツインカム版からの継承となるアイデンティティのひとつ、トラッカースタイルのハリウッドハンドルバー。
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「HARLEY-DAVIDSON」の刻印が刻まれた専用ライザーも健在だ。
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容量18.9リットルを誇るビッグサイズのフューエルタンク。カラーはこのウィキッドレッドのほか、ビビッドブラック、ブラックデニム、インダストリアルグレーデニム、ボンネビルソルトデニムの計5色が揃えられている。
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スリムらしい姿をかたどるソロシートも同じく継承。ただ厚みは若干薄くなっている。
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ウインカー一体型のテールランプとスリム専用のチョップドリアフェンダー。
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ブラックアウトしたリムが印象的な16インチスポークホイールには、同じく専用のショートフェンダーが備わる。ブレーキはシングル仕様。
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ツインカム版までシーソーペダル仕様だったのが、今年より踵部分がないスタイルに。オプション扱いでシーソーペダル化できるので、ぜひ取り付けていただきたい。
FLSL ソフテイルスリムの画像
ツインカム時代はスラッシュカットだったトミーガンマフラーがデザイン一新。
FLSL ソフテイルスリムの画像
2018年モデルよりすべてのソフテイルモデルに採用されているカーボンスチール製筒型フレーム。伝統のトライアングルシルエットはそのままに、シート下にサスペンションを忍ばせる最新仕様となっている。
FLSL ソフテイルスリムの画像
リアタイヤはヘリテイジなどとお揃いの150mm仕様ミシュラン・スコーチャーとされる。旋回性に優れたスポーツバイクらしいフォルムだ。

こんな方にオススメ

クルージングとスポーツライド
両方を楽しみたいわがままなライダーに

今のままでも十分凶暴なミルウォーキーエイト、チューニングすればさらなるパフォーマンスアップは確実で、そうなるとこのじゃじゃ馬を操り切れるライダーというのは日本全国でもそう多くはないだろう。逆に言えばこのモンスターバイクを操り切れれば、メガツアラーだろうがCVOだろうが何に乗っても怖くはなくなる。そのハイパワーゆえにワインディングだけで終わらせるのは惜しい新型ソフテイルスリム。クルージングにワインディングにとあらゆるシーンに持ち込みたいわがままなライダーにふさわしい一台と言えるかもしれない。

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