VIRGIN HARLEY |  【ハーレーダビッドソン X350 試乗記】伝統的なハーレーとはまったく異なる走りが楽しく新鮮だ試乗インプレ

【ハーレーダビッドソン X350 試乗記】伝統的なハーレーとはまったく異なる走りが楽しく新鮮だ

  • 掲載日/ 2023年10月23日【試乗インプレ】
  • 取材協力・写真/HARLEY-DAVIDSON JAPAN 取材・文/佐川 健太郎 衣装協力/KUSHITANI
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HARLEY-DAVIDSON X350(2023)

HARLEY-DAVIDSON X350の特徴

高回転型ツイン搭載のトラッカー

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ハーレーダビッドソンが小中排気量セグメントへの進出を目指して開発した新たな戦略モデルがXシリーズである。人間工学に基づくリラックスしたライポジとコンパクトな車体、スポーティな乗り味を追求した都市型コミューターモデルだという。中でも日本で注目を集めているのが「X350」だろう。現行ハーレーでは普通二輪MT免許で乗れる初のモデルなのだ。X350はかつて米国伝統のフラットトラックレースで活躍した名車、XR750をオマージュしたトラッカースタイルで登場した。設計はハーレーが本社を置く米国・ミルウォーキーで行い、生産は提携企業である中国のQJモーターサイクルが担当している。

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エンジンは水冷並列2気筒DOHC4バルブのショートストローク設計という最新のレイアウトで、排気量353ccから最高出力は36ps/8500rpmを発揮。これだけ見ても空冷大排気量Vツインの王道を貫いてきた従来のハーレーとは別物であることは明らかだ。

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車体に関してはスチール製メインフレームとスイングアームを組み合わせたシャーシに、ダンパー調整機構付きの倒立フォークと直押しタイプのモノショックを装備。前後17インチアルミホイールにディスクブレーキをフロント2枚+リア1枚装備し、前後ABSを採用するなど足まわりも盤石だ。

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また、DRLヘッドライトを含む灯火類もすべてLEDタイプで統一するなどエクステリアのグレード感もレベル以上のまとまりを見せている。なお国内導入は11月下旬~12月上旬の予定となっている。価格は競争力の高い、69万9,800円(税込)となっている。

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HARLEY-DAVIDSON X350の試乗インプレッション

新しくも懐かしい独特の乗り味

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数年前から巷で話題になっていた“中免で乗れるハーレー”がついに国内投入された。スタイルは一見フラットトラッカー風だが、前後17インチにオンロードタイヤを履いた完全なオンロードタイプ。エンジンも単気筒と見まがうコンパクトな並列2気筒を積んだ現代のマシンだ。デザイン的にXR750にインスパイアされてはいるが、実際のところX350は軽快に街を走り抜けるスポーツネイキッドの位置づけと言っていい。

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エンジンは高回転型でスロットルを開ければ10,000rpm以上まで一気に吹け上がる。さすがDOHC4バルブ、スペック以上にパワフルに感じる。とはいえ右手への反応は穏やかで、重いクランクを回しているようなまったり感もあり、安心してスロットルを大開けできる。一方で低速トルクも十分あってクラッチも繋ぎやすく都内のストップ&ゴーも得意だ。360度クランクの規則正しいパルスは鼓動感というよりもマルチエンジン(3気筒、4気筒などの総称)に近い咆哮で、今回同時に試乗したX500と比べてもサウンドは派手なぐらい。そして、メカノイズとザラッとした素朴なエンジンの回転フィール。なんというか、新しさとともに昭和の400ccのような雰囲気も同居しているのだ。X350には見た目のイメージと実際の乗り味がちょっと異なる、そういう面白さがある。

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ハンドリングは基本的に軽快だが、ステアリングの反応は穏やかで割とねちっこい感じ。トラスフレームの影響なのかしっとり感があって安心できる。サスペンションはオンロード設定でダンパーもほどほど効いている感じ。倒立フォークにダブルディスクの足まわりは排気量の割に足まわりの見た目は大仰だが、割と普通のフィーリングで違和感なく操作できると思う。標準装備のマキシス製タイヤも接地感があって路面のインフォメーションを伝えてくれるのでコーナリング中も安心できた。

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最後にライポジだが、見た目どおりのコンパクトさ。自分の体格(179cm/73kg)ではシートはかなり低く感じ両足ともベタ付きだし、ハンドルはグリップ部分が手前に引かれて楽に手が届く。一点、ステップ位置がやや後ろ寄りなのが個人的には気になった。ハーレーでバックステップというのは斬新ではあるのだが。

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車重195kgはクラスとしてはやや重めだが、低いシートとスリムな車体と相まって小柄な人や女性でも十分に乗りこなせるサイズ感だと思う。パワーといい車格といい、街乗りにはちょうどいいのでは。伝統的なハーレーとは全く異なるが、「いいね」が付くマシンに仕上がっていると思う。

HARLEY-DAVIDSON X350の詳細写真

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排気量353cc水冷並列2気筒DOHC4バルブから最高出力36ps/8500 rpmを発揮。ボア70.5mm×ストローク45.2 mmのショートストロークで高回転パワーを発揮するタイプだ。単気筒並みにコンパクト。角張ったラジエターシュラウドもデザインの一部になっている。

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フューエルタンク容量13.5Lとクラスとしては十分な容量を稼ぎつつスリム形状で足着きとホールド性の良さを実現。ポート噴射のシーケンシャルEFIを採用しパワーと燃費と両立している。日本仕様はハイオク指定。

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フラットトラッカーをイメージしたコンパクトで薄めの段付きシート&シートカウル。シート高777mmで足着きも良好。タンデムステップも装備され二人乗りも可能だ。

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前後17インチのアルミ製ホイールにはフロント120/70、リア160/60サイズの Maxxis Supermaxx ST タイヤを標準装着。ブレーキはフロントダブル&リアシングルディスクにABSを装備。伸側ダンパー調整付きφ41mm 倒立フォークで固めるなど足まわりは盤石だ。

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多くのハーレーのファイナルドライブはベルト駆動だがX350はチェーン駆動を採用する。チェーンガードやタンデムステップも美しくデザインされディテールにも手抜きはない。

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リアサスペンションはリンクを介さない軽量シンプルな直押し式モノショックを採用。レイダウンすることでプログレッシブ効果を狙ったものと思われる。プリロードと伸側ダンパー調整付きで、車体右サイドにオフセット配置されているため調整もしやすい。

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エキゾーストは2 in1タイプのショートシングルタイプ。マルチエンジンにも似た迫力あるサウンドを響かせる。

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一見クラシカルな丸型ヘッドライトだが、テールとウインカーも含めて灯火類はフルLEDを採用。イグニッションONでリング状のDRLとHARLEY-DAVIDSONブランドロゴが浮き上がるように光る演出に心躍る。

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メーターもオーソドックスなアナログ指針の丸型タイプ。小さな液晶ディスプレイが埋め込まれていて、下のスイッチでオド&トリップ、時刻、タコメーターなどを切り替えて表示することができる。

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ハンドルバーはフラットに近いセミアップタイプで幅も広すぎず狭すぎずで、バックミラーも内側にあるので混雑路も楽々突破。左右グリップが少し手前に引かれているので自然に構えることができる。

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デザインされたラバー張りのアルミ製ステップはカチッとした踏み応えでホールド感もある。下したての車両を慣らしもせずに試乗したが、シフトタッチもスムーズで節度感あり。こういった部分で加工や組み立ての精度などが分かるものだ。

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ハーレーのロゴを押すとジャックナイフ式に飛び出すキー。こうした遊び心が洒落ているし所有感を満たしてくれる。カフェのカウンターにさりげなく置いて自慢したいかも(笑)。

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